逆転勝利で1回戦突破

男子ハンドボール

 大学、実業団、プロが一同に集結し日本一を争う全日本総合選手権(全日本総合)が開幕。今シーズン関東学生春季リーグ(春季リーグ)、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)、全日本学生選手権(インカレ)を全て制し、三冠を達成して波に乗っている早大は日本リーグチームのHONDAと対戦した。インカレで4年生の一部が引退し、新しい体制へと徐々に切り替わっていく中での一戦となったこの試合。前半は堅さからか本来のプレーができずにリードを奪われてしまうが、後半に入ると山田隼也(スポ4=沖縄・興南)を中心に逆転。後半に強さを見せつけた早大が32―26で勝利し、2回戦へと駒を進めた。

スーパープレーが光る東江

 前半、4年生が引退するなど新チームになりつつある早大は、リーグ戦やインカレとは異なる新しいメンバーで試合に臨んだ。しかし序盤は堅さからか、相手の激しいディフェンスの前になかなか得点を奪えない。桐生正祟(人2=群馬・富岡)からのパスを受けた川島悠太郎(スポ1=福井商業)がシュートを決めるなど好プレーも見られたが、速攻でのシュートミスやパスミスが目立ち、思うようなプレーができずに前半を11-16で折り返す。

 5点ビハインドで迎えた後半、早大は山田などを投入しメンバーを入れ替えると、これが功を奏し早大はリズムをつかむ。ディフェンスからの速攻が決まり始め次第に点差を縮めていくと、岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)の好セーブも光り後半9分、東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)のペナルティースローで18-18の同点に。勢いの止まらない早大は山田を中心としたオフェンスを展開し逆転。さらに得点を重ねていく。終盤には田中佑星(スポ2=兵庫・神戸国際大付)が体を張ったポストプレーでゴールを奪いHONDAを突き放す。前半こそ苦しんだものの、後半にリズムを取り戻した早大が32-26で白星を挙げた。

途中出場ながら奮闘した田中

 前半は「攻撃パターンというのができていないと思うので、そこがまだちょっと合わしきれていない」(山田)と語るようにリーグ戦やインカレからメンバーが入れ替わり、オフェンスでの合わせがうまくいっていない場面が多く見られた。次戦の相手は格上のチーム。「学生王者としてしっかりやってきたことを出して、実業団相手にどんどんチャレンジしていきたい」(東江)の言葉通り、格上相手に挑戦し勝利をつかむことができるか。早大のチャレンジマッチが始まる。

(記事 東哲也、写真 藤巻晴帆、松下優)

全日本総合選手権
早大 32 11−16
21−10
26 HONDA
スタメン
GK 岩下祐太(スポ4=熊本・千原台)
CP 森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)
CP 桐生正崇(人2=群馬・富岡)
CP 福岡佑哉(スポ2=北海道・札幌月寒)
CP 田崎裕晃(スポ2=神奈川・桐光学園)
CP 齊藤凌(スポ1=岩手・不来方)
コメント

岩下祐太主将(スポ4= 熊本・千原台)

――きょうの試合を終えて、率直な感想をお願いします

インカレ(全日本学生選手権)が終わったあとに4年生が抜けて、半分新チームみたいなところに僕が入らせてもらった感じです。新チームということで、インカレが終わってから気持ちの面やプレーの面でも乗ってないというか…。インカレのときを全盛期とすると、きょうの出来はあんまり良くなかったです。でもやっぱり、きょうの試合で社会人を相手にした戦い方に慣れることができたのではないかと思います。あしたは日本リーグの相手ですけど、良い試合ができるようにして(あさってに)つなげられれば良いかなと思います。

――きょうはインカレとは違うメンバーでしたが

ケガ人が多くて練習とかも人が少なくて良い合わせができていなかったです。そういういろんな要因があって、きょうの試合も前半で波に乗れなかったんだと思います。あしたは頑張ります。

――前半は11-16で負けていましたが、ディフェンスを振り返っていかがですか

相手のエースがフェイントとかが強かったです。ディフェンスを上げてたんですけど守れなくて、途中で下げてみたりもしたんですけど相手の強い1対1にやられしまっていました。フィジカル的な面で相手にすごく負けていたんで、らいねん以降は相手に対して負けないフィジカルとかをつくるために筋トレとかを見直していかないといけないと思いました。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

僕も練習に参加する時間が短くてシュートとかを受けてなかったので、最初は相手の強いシュートに動けてなかったです。後半は相手の体力が削れてきて相手のシュートも落ちてきていたのでセーブにつながりました。あしたの相手は日本リーグでやっていて体力的に(ワセダと)大差はないと思うので、集中力を切らさないように頑張りたいと思います。

――前半のタイムアウトで喝を入れていましたが、何を話していたんですか

相手のペースで試合が運ばれていて、一人一人の集中力が欠けていると思ったので、全員で集中して試合を組み立て直そうと会話をしていた気がします。相手もうまいので、こっちのマークがずれていたら点差をつけられてしまってもっときつくなると思って試合を組み立て直すために喝を入れました。

――後半に山田選手(隼也、スポ4=沖縄・興南)を入れて流れが変わった印象ですが、やはり4年生の存在が大きいと思われましたか

そうですね。山田も全然練習してなかったんですけど、それでもメンタルとかの部分で引っ張ってくれて。さすがだなと。最後まで役目を果たしてくれるんではないかなと、僕は期待しています。

――後半にワセダが点差を広げることのできた要因は何だと思われますか

ディフェンスで相手の一番強いところをしっかり守って、相手の弱いところから打たせたと思います。うまくディフェンスから速攻とか、良い流れで走って点を取れたと思います。インカレとかのように、自分たちのやってきたハンドボールをしっかりとやれば、社会人とか日本リーグが相手でも良い戦いができると思います。あしたも自分たちがやってきたことを出せるように頑張ります。

――あしたに向けて改善していきたい点とは

あしたの相手はディフェンスが高めで、うちが苦手としているディフェンスなんです。それでも対策とかはそれなりにやってきているので、オフェンスではしっかりと点を取って、ディフェンスでは相手の強いところをしっかりと守りたいです。相手の弱いところで勝負して、速攻でとるという理想的なかたちに持っていけるようにやりたいと思います。

山田隼也(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

僕も他の4年生も引退して、僕もほとんど練習には参加できてない状況で新チームで臨もうということで練習していたので、そういう形で臨んだ試合でした。

――前半は新しいメンバー中心での試合でしたがいかがでしたか

まだ攻撃パターンというのができていないと思うので、そこがまだちょっと合わしきれていないっていう部分があって、初めて出る選手も多かったのでそういう選手達の堅さが見られたのかなと思います。

――後半はメンバーが入れ替わっていいかたちになりましたがいかがでしたか

僕は試合に出るつもりなかったんですけど、監督から出ろと言われたのでできる限りのことしようと思いました。

――後半はオフェンスの流れが良かったと思いますがいかがですか

基本的に僕が入っての合わせっていうのが1年間やってきたわけで、その差だけだと思いますね。やってきたことが僕が抜けた分、チームで合わせる時間が無くて前半は合わせてないチームでやっていたので、僕が入って合わせられた分リズムができたと思います。

――あすに向けて抱負をお願いします

明らかに相手が格上ですので当たって砕けろじゃないですけど、僕も実業団に行くので自分の実力を試すって意味でも全力尽くして頑張っていきたいです。

森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)

――きょうの試合を振り返って

相手がクラブチームということで、いつも対戦している相手とは違うがたいのよい選手やフィジカルの強い選手とかと戦って。前半はあまり良いプレーができなかったんですけど、後半からしっかり学生らしく走って点を取ろうということで足を動かして。逆転して勝てたというのは本当に良かったです。

――ご自身の調子はいかがですか

結構ミスが多くて調子がいいとは言えないですけど、ワセダのユニフォームを着ているのでしっかりやることはやって、チームのために頑張っていきたいです。

――最上級生になることについてどう考えていますか

一番上の立場になるので、後輩の指導やチームをまとめるという仕事も全部任せられると思うので、そこは4年生がしっかりまとまってチームを引っ張っていければいいと思います。個人的には試合に出ることが多いのでプレー中に後輩とかにしっかり声かけできたらいいなと思っています。

――あすの試合への意気込みをお願いします

あしたは実業団のチームが相手で、きょうのような試合をすると負けると思うので、しっかり修正して。前半から足を動かして学生らしく元気あるプレーを見せられたら良いなと思います。

東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)

――きょうの初戦はどのようなモチベーションで臨みましたか

インカレ終わって早慶戦も終わって、4年生も何人か引退したんですけれど、それでモチベーションが下がった部分があって。チーム全体の士気がうまく上がらない中で初戦を勝てて良かったと思います。

――インカレ後1カ月間で強化してきた部分はありますか

社会人と当たるということで、個人的にはフィジカル面を強化してきました。

――メンバーが大きく変化した中での手応えは

新チームになるときょう出たメンバーでみんなやらないといけないので、いい機会だったと思うし、いい経験として今後に生かせていけたらいいなと思います。

――前半はうまく合わない場面も多いように見えましたが

練習でも合わせていない部分があったので、多少はそういったずれとかがありました。でもそこはコミュニケーションとかでカバーして、後半うまく立て直して勝てたので良かったと思います。

――あすへの意気込みをお願いします

きょうはクラブチームだったんですけれどあしたは実業団チームなので、もっと速いスピードだったりフィジカルだったりが求められると思います。学生王者としてしっかりやってきたことを出して、実業団相手にどんどんチャレンジしていきたいです。

田中佑星(スポ2=兵庫・神戸国際大付)

――この試合全体を振り返ってみていかがでしたか

僕は途中から出させてもらったんですけど、最初のほうは緊張もしたので足を引っ張ってしまったところがありました。後半からは気持ちよくできたので良かったです。

――チームとして前半の入りが堅かったように見えましたがどう感じましたか

外から見ているには客観的に見れて堅いなと感じていたんですけど、試合に出てみると緊張感が全然違いました。入ってすぐに退場してしまったのでそこは直さないといけないと思います。

――堅さという部分でチームはどう改善していこう話しが出ましたか

相手にはかなり年上の方もいて最初は負けていましたが走って勝つということを言って、走りました。

――後半に追い上げられた要因があれば教えてください

キーパーの岩下さんが止めてくれたので、そこからリズムに乗れて早く追いつけたのが大きいと思います。

――ディフェンスシステムが3-3でしたがその意図を教えてください

チームとしては昨年から1対1を強くしようということで、ずっとやってきたシステムなのでそれほど違和感はなかったです。

――4年生が抜けてポジション争いが待っていますがどのようにアピールしていきたいですか

いまはポジション争いを3人ぐらいでやっているんですけど、これという選手が僕を含めていないのでチームの柱になれるように頑張っていきたいと思います。まだちょっと自信はないです(笑)。

――この大会はどのように位置づけられていますか

いままでポストに先輩たちがいたので、自分がでないといけないと思っていかないといけないので、自分の色を出してステップアップしていく大会にしたいです。