関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)がついに最終日を迎えた。早大は目標の完全優勝に向け、強豪・日体大と対戦。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では負けて終わっているだけに、今度こそ勝利をつかみたいところ。しかしなかなか相手を引き離せず、試合は一進一退で進む。前半を11−11で折り返し、後半序盤は3点のリードに成功。しかし20分過ぎから速攻などでリズムを崩され、最終スコアは29−27となる。接戦の末、今回も日体大を破ることはできなかった。
最後方からチームを支える岩下主将
スタートから気迫がぶつかり合った前半。まずは東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)が先制点を決めると、すかさず相手もゴールネットを揺らした。気持ちはディフェンスにも表れ、開始から次々と両校にイエローカードが切られる。シュートを決めた直後も、日体大得意の素早いリスタートで翻弄(ほんろう)された早大。しかし守護神・岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)のスーパーセーブに何度も救われ、大きく点差を広げられることなく食い付く。前半はどちらも一歩も引かず、11−11で折り返した。
後半はさらに激しい点の取り合いが繰り広げられた。立ち上がりで離したい早大は、森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)がセットオフェンスから繰り出したシュートを皮切りに、4連続得点を決める。15−12と突き放し、このままリードを広げられるかと思われた。ところが早大は退場などでリズムが崩れた隙を突かれ、わずか2分の間に速攻で4点を奪われてしまう。このチームが苦しい場面で山田隼也(スポ4=沖縄・興南)がメンバーを集めて指示を出すと、今度は内海祐輔(スポ3=香川中央)のディフェンスに切り込むシュートなどで、再び早大は勢いを取り戻す。しかし20分を過ぎると流れが相手に傾き始める。退場者が続いたことも痛手となり、なんとか加点するが粘りのかいなく、27−29で最後は日体大に軍配が上がった。
苦しい場面でも得点を決めた東江
勝利こそつかめなかったものの、今回の結果は着実に日体大との差を縮めているといえるだろう。「ちょっとわかったかもっていうひらめきがあった」(山田)、「普通にやれば勝てる相手」(東江)と選手たちは確かな手応えを感じているようだ。この先さらに練習を積み重ね、最終目標の全日本学生選手権(インカレ)優勝へとつなげていきたい。いまだ成し遂げたことのない三冠へ、早大ハンドボール部は新たな歴史を刻めるか——。
(記事 細川香衣、写真 久良佳菜子、藤巻晴帆、松下優)
関東学生秋季リーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 27 | 11−11 16−18 |
29 | 日体大 |
スタメン | ||||
GK 岩下祐太(スポ4=熊本・千原台) CP 山田隼也(スポ4=沖縄・興南) CP 桐生和紀(人4=群馬・富岡) CP 内海祐輔(スポ3=香川中央) CP 森田啓亮(スポ3=岩手・不来方) CP 東江雄斗(スポ2=沖縄・興南) CP 桐生正崇(人2=群馬・富岡) |
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コメント
岩下祐太(スポ4=熊本・千原台)
——最後の関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)でしたが、今大会を振り返っていかがでしたか
春からの課題として挙げられていたセットディフェンス、セットオフェンスをずっと練習してきたんですけど、リーグ戦全体通してその成果は出たのかなと思います。
——全勝優勝とはなりませんでしたが、いまの率直な気持ちは
やっぱり日体大を倒して全勝で優勝したいっていう思いはあったんですけど、負けてしまったものは仕方がないので、次のインカレ(全日本学生選手権)では勝って優勝というかたちで締めくくれるように頑張りたいと思います。
——きょうの調子は
試合全体を通してみると調子は良かったかなと思うんですけど、所々でチームが苦しいときとかに自分がもっとセーブしてサポートしてあげられる場面もあったかなと思います。
——後半は失点が増えてしまいましたが原因は何だったと思いますか
セットのオフェンスからのミスだったり、速攻のミスだったり自分たちのミスから相手に速攻をかけられて点数を連続で取られる場面が増えてきて、それがそのまま相手のペースになってしまったことだと思います。
——インカレに向けて意気込みをお願いします
何年もインカレを取れてないんですが、ここまで二冠を達成することができたので、三冠できるように全部勝てるよう頑張りたいと思います
山田隼也(スポ4=沖縄・興南)
——最終戦を終えた、いまの気持ちは
日体大に結局負けているので、結果は優勝なんですけれど8勝1敗で1敗しているので、悔しい気持ちがあります。
——日体大と戦う上で意識したことはありますか
相手のリスタートが速いのでそこは意識しましたけれど、特に日体大対策ということではやっていなかったです。
——前半を同点で終え、ハーフタイムではどのような話をしましたか
速攻のつなぎの確認を話しました。けれど、それもいつも通りでした。
——後半は最後離されてしまいましたが、振り返って
大事なところで退場が多くて、リズムに乗れなかったというのがあります。そこは練習中から意識してスピードに付いていけるように、トレーニングが必要かなと思います。
——一番の敗因はどこだと考えていますか
僕が個人的に思っているのは、セットのオフェンスでリズムが取れなかったということで、そこに関してはやっている中でひらめいたこともあるので、それを試してインカレまでには新しい早稲田大学を作りあげるのが良いと思います。
——全勝優勝には届きませんでしたが
そうですね、優勝という結果の方が良いんですけれど。でもどっちかというときょねんや春よりも縮まったように若干見えて、(負けたことが)なんでかなというよりも、ちょっとわかったかもっていうひらめきがあったので、そこは収穫だと思います。
——4年生最後のリーグ戦でしたが、今大会を振り返って
一人一人がちゃんと役割を果たせていたので、そこはきょねんと変わらず良いハンドボールができていると思います。また継続するのと、プラス
日体大の対策をしていきたいです。
——インカレに向け修正したい点、意気込みをお願いします
インカレは何が起こるかわからないですけれど三冠というのはワセダ史上初らしいので、僕が考えていることはいろいろありますけれど、それを伝えて負けたら仕方ないと思うくらいの気持ちで、最後なので気合を入れて頑張りたいです。
稲垣圭亮(人4=神奈川・桐光学園)
——改めて、秋季リーグ優勝を決めたお気持ちを聞かせてください
秋リーグ勝ち続けられたことは素直にうれしいんですけど、きょうの試合で負けてしまったのは少し甘かったのかなと思います。
——きょうの試合はどういった気持ちで迎えましたか
自分たちは全勝優勝を目指していて。みんな勝とうという気持ちは全面的に出せていたんですけど、チームで大事なところでミスをしていた点が負けた原因なのかなと思います。
——これまでも日体大と試合することは多かったと思いますが、どのようなイメージをお持ちですか
速攻でどんどん走ってくるチームで、引きながら守っていたらやられるので、しっかり、みんなが共通意識を持ってディフェンスをやろうという感じでした。
——試合を振り返ってみて、前半はベンチから見ていてどのように感じましたか
いつもは点差を離されたりしてしまうことが多いんですけど、きょうはみんなの気持ちが入っていて自分たちの得意とするディフェンスで、相手をロースコアに抑えられていたのは良かったかなと思います。
——逆に後半はいかがでしたか
自分は後半から出ていたんですけど、ディフェンスのコミュニケーション不足でマークが外れて退場になってしまったところもあって、後半はずっと相手より人数が少ない状態でした。そこが原因だと思います。
——きょう出た課題は
チームとしての共通意識です。誰が出てもその共通意識を持っていることが必要だなと思います。
——稲垣選手にとってリーグ戦はこれで最後となりました
自分は4年になってから試合に絡めるようになって、1年間しかなかったんですけど、それまでの自分の努力が少しは報われたんじゃないかなと思います。
——インカレまで2カ月を切りました
チームとしては出てる人だけじゃなくて出てない人も共通意識を深められるように、練習のときから全員が話し合うということが必要になってくるかなと思います。そういうところを意識してやっていきたいですし、個人としてはいまはディフェンスだけなんですけど、出たときにしっかりと結果を出せるように。自分に求められていることっていうのを再確認して、強めていけたら良いなと思います。
桐生和紀(人4=群馬・富岡)
————リーグ戦を連覇で締めくくることができたことについて、ご感想をお願いします
チーム一丸となって戦って、総力というか、本当に良かったです。最後の試合を負けてしまったという部分では、詰めが甘かったと思います。
——4年間を通して、リーグ戦の思い出などは
1年生の頃とかは仕事ばかりで、サポートの部分でしかチームに貢献することができなくて、でもことし4年生になって春から少しずつ試合に出させてもらうようになって、チームの裏舞台と表舞台を経験できました。そういう部分で、ワセダって良いなと思いました。
——きょうの試合を振り返っての率直な感想を
力の差はほとんど無いなと感じたのですが、日体大は勝負どころのポイントでしっかり点を取っていて、ワセダは点を離しきれなかった場面があるので、そういうのが差となって負けてしまったのかと思います。
——宿敵・日体大戦での思い出などはありますか
きょねんのインカレの決勝はベンチから試合を見ていたんですけど、1個上の4年生の先輩が日体大に最後負けてしまった瞬間は本当に悔しい思いで、忘れられない思い出になりました。
——きょうも点の奪い合いや退場が続いたりと激しい試合で、日体大とは拮抗(きっこう)していましたが、オフェンスはうまく展開されたという印象ですか
前半に流れが悪くなりかけたときに、次はこうやっていこうというのを山田がみんなに伝えていて、試合中に作戦を変えたりとかできたのが良かったのかと思います。春は、みんなの雰囲気が沈んでしまったんですけど、今回は次こうやっていこうという提案をできたのが良かったのかなと思います。
——インカレに向けての目標と、修正していきたいことを教えてください
目標は、三冠を飾るために優勝するということが目標です。やってきたことは間違っていないと思うので、それをしっかりと継続することと、あとは詰めの部分でディフェンスの戻り方だったり、強い気持ちを持って今後もやっていきたいと思います。
東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)
——相手が日体大ということでしたが、どのような気持ちで挑まれましたか
春負けて秋はリベンジっていうかたちで挑んだんですけど、結果負けて残念です。
——きょうの試合を振り返っていかがでしたか
試合やっていて普通にやれば勝てる相手だけど際での自分たちのミスが多かったっていうだけです。
——惜しくも全勝優勝を逃してしまいましたがそのことについてはどのようにお考えですか
負けてしまったのは残念なんですけれど最終目標はインカレ優勝なのでまた1からやり直してやっていきたいと思います。
——退場者が複数出るなど激しいゲーム運びでしたがディフェンス面で意識したことはありますか
相手はスピードがあっていかにその(スピードがつく)前につぶせるかってことで挑んだのですけれど、後半最後のところで足が止まってしまって巻き込まれて退場になったっていうのはすごく課題の部分だと思います。
——リーグ戦を振り返ってご自身の成果と反省は
春とは違って秋はちょっと余裕を持って挑めた大会だったのですけれど、まあまあっていう感じです。
——インカレへ向けての意気込みと目標を教えてください
いま春、秋と優勝して最終目標がインカレ優勝ということで三冠を狙っていきたいですし、そのためには日体大に負けているのでその課題をこれからの練習で修正していきながらチーム一丸となってやっていきたいです。
桐生正崇(人2=群馬・富岡)
——相手が日体大ということでしたがどのような気持ちで挑まれましたか
春負けているのでしっかり日体大の得意分野である速攻を抑えようということで試合に臨みました。
——きょうの試合を振り返って
前半ロースコアにしっかり持ち込めたのは良い展開だったんですけど後半で相手に連続得点をやられてしまったのが負けた原因かなと思います。
——惜しくも全勝優勝を逃してしまいましたがそのことについてはどのようにお考えですか
秋リーグ始まる前から全勝優勝で勝つということを目標にしていたので、優勝はできたんですけど完全優勝できなかったのが少し悔しい部分だと思います。
——退場者が複数出るなど激しいゲーム運びでしたがディフェンス面で意識したことはありますか
相手の利き腕側にしっかり立って、相手の打ちやすいようにシュートを打たせるといいシュートを打ってくるのでそこをしっかり話し合ったんですけど、スピードに付いていけず退場者が出てしまったことはこれからの課題かなと思います。
——リーグ戦を振り返ってご自身の成果と反省は
成果は練習でやってきたことをしっかり出そうっていうことを意識して、両フローターが強烈なのでその両フローターを生かせるようにしっかりチームの組み立てが春よりはできたかなと思います。また最後シュート行く場面とかそのボールの離れ際でのミスが個人的に多かったのでそこは最後抜いたあともシュートまでしっかり打てるようにとか飛ばしのパスまでできるように細かいところを修正していきたいと思います。
——インカレへ向けての意気込みと目標を教えてください
春、秋で二冠とったんで三冠目指して、インカレでは日体大に二度一昨年と昨年負けているのでしっかり優勝できるように頑張りたいと思います。
川島悠太郎(スポ1=福井商業)
——きょうの試合を振り返って
秋リーグいままで全勝できていて、全勝優勝を目標にチーム一丸になって試合に臨むことができました。
——今大会で見つかった課題はありますか
前からの課題なんですが、大学生のフィジカル、体の強さっていうのをもっとレベルを上げいこうと思いました。
——途中交代からの出場でしたが、コーチからなにか指示はありましたか
自分が1年生っていうのもあって、「思いっきりやれ」と言われました。
——試合の流れが変わったところはどこだったと思いますか
後半、ペナルティスローを決められなかった後、連続失点してしまったところだと思います。
——インカレに向けて意気込みをお願いします
負けてしまっては終わりなので、一試合一試合集中して優勝して三冠とれるようにしたいです。