波乱の幕開けも、勝利をつかむ

男子ハンドボール

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は4試合目に差し掛かり、国士舘大と対戦した。春季リーグの覇者としてのプライドをかけ、確実に勝利を収めたい一戦。だが、試合は波乱の幕開けとなった。先制点を奪われ、リードを許したまま前半を終える。だが、後半に入るとワセダとしての意地を見せつけ、試合の流れを変えることに成功。最後は28-21で逃げ切ることができ、再び連覇への道へと突き進んだ。

 春季リーグでは快勝した国士舘大を迎えた一戦。この試合も早大有利の展開で押し進められるかのように思われた。だが、国士舘大に翻弄(ほんろう)され、試合開始とともに相手のペースに飲まれる。国士舘大の素早いパス回しから繰り出された速攻により試合の主導権を握られ、先制点を奪われた。得点を奪い返したい早大だが、気持ちとは反比例に得点を離されていく。前半開始から9分が経とうとする中、0-5へと突き放された。気持ちを切り替えるため、前半中盤にチームタイムアウトを設ける。気分を一転させ、徐々にリズムをつかみはじめたワセダ。東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)が得点を決めたことを機に、相手に詰め寄る。積極的に速攻を展開させ、パスも順調に回し、逆転する場面も見られた。その後、再び得点を奪われた上、相手GKによるゴールも決められ、11-13で前半を終える。

相手ディフェンスの上からシュートを打つ桐生正

 着実に勝利を重ねていきたい戦いにおいて、一刻も早く巻き返したい後半。再び、東江が相手ディフェンスを潜り抜け、力強いシュートを決めて逆転を果たす。その後、桐生正崇(人2=群馬・富岡)が速攻から得点を決め、早大が次々に加点に成功し、調子を取り戻し始める。「セットオフェンスで点を取れていたというのは評価できた点」と岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)が語るように、素早いパス回しが展開された。終盤にはワセダのチームを象徴するかのような良い連携プレーから、各自がシュートを決め込むことに成功。その結果、着実に点を決め、国士舘大から逃げ切り、28-21で勝利。秋季リーグ制覇に向けて、開幕4連勝と記録を更新した。

突破力を生かし、相手を切り抜ける東江

 春季リーグで7位という下位の相手に先制点を奪われ、焦りが見られたワセダ。だが、春季リーグの覇者としての意地をみせ、逆転勝利を収めた。追われる立場にある秋季リーグも4試合を終え、次戦が折り返し地点となる。早大らしい連携したプレーのもと、ディフェンスからの速攻が上手く展開されることで連覇が見えてくるだろう。一つ一つの試合に全力を注ぎ、優勝への道を歩んでいく。

(記事 久良佳菜子、写真 細川香衣)

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関東学生秋季リーグ
早大 28 11-13
17-8
21 国士舘大
スタメン
GK 岩下祐太(スポ4=熊本・千原台)
CP 山田隼也(スポ4=沖縄・興南)
CP 桐生和紀(人4=群馬・富岡)
CP 森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)
CP 桐生正崇(人2=群馬・富岡)
CP 藤井豪之(教2=東京・早実)
コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

前半初めのディフェンスで守れなくて立て続けに点を取られてしまったところが改善点ですね。今週の試合は前半20分をしっかり戦おうということをテーマにやっていて、きのうの試合はそれなりだったんですけど、きょうは相手のオフェンスに合わせてしまった、自分たちの運動量が全くなくて受け身に回ってしまった前半でしたね。

――前半は相手のロングシュートに苦戦していた印象がありました

相手がロングシュートを撃つのをただ見ているというか、受け身になっている時間が本当に多かったですよね。自分たちが今までやってきたディフェンスの上がり下がりという部分が全く出せなかったので、相手のロングシュートにやられたというか…運動量が全くなかったということですね。

――前半のオフェンスについてはどう見ていましたか

オフェンスに関しては試合を通して大方の時間帯がボールをもらってからの動きですね、止まった状態からのプレーが多かったので攻めあぐねていたというか、流れの中ではなくて個人の1対1でたまたま得点をあげられたというのが非常に多かったと思います。そこは相手も守りやすかったと思います。

――後半はディフェンスからリズムをつかむワセダらしいハンドボールができていました

ハーフタイムの中で2点ビハインドを15分で追いつこうという話をしたんですけど、ディフェンスが機能して5分くらいで追いついたというのは評価できるというか、前半のリズムの悪さを後半の序盤で我々のリズムにできたところは評価できると思います。

――終盤は選手を次々に入れ替えていましたがどのような意図があったのでしょうか

メンバーの交代を考えているのはチームとしての底上げをしなければいけないからですね。我々はインカレの決勝で日体大と戦うつもりで一年間やっている中で向こうと比べて何が違うのか、と言うとメンバーのレベルの高さというところがあるので、チームの底上げとしてできる限り下級生ですとか試合経験のない選手を意識的に交代出場させようとは思っています。

――これからは春季リーグ上位校との対戦が続きます

相手がどうこうということではなくて、きょうみたいにディフェンスでしっかり守れればリズムが取れますし、この夏はオフェンスから戻りまでのところに多くの時間を割いたのでオフェンスでリズムを作るというのも上位陣と戦うときの鍵かなと思います。簡単なオフェンスミスから逆速攻を食らうと負けパターンになるというか、ディフェンスでしっかり守ること、ディフェンスからオフェンスまで、それからオフェンスからバックまで、そういったどこのチームもやっていることを徹底できれば良い試合ができるのかなと思っています。

岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)

――前半は速攻で攻められる展開でしたが、そこで見えた課題とは

そうですね、自分たちのミスから相手に点を取られるという展開が連続しました。ミスをしてしまうと相手にチャンスを与えてしまうので、これからはミスを減らすことが試合の主導権を握る鍵になるかなという風に思います。

――前半の途中に同点へ追いついて再び逆転されましたが

自分たちが試合の流れをつかめそうな場面でミスが目立っていたので、何回連続で攻撃を成功させられることができるか、そういう成功させる回数を増やしていかないと勝てないなという風に思いました。

――後半について、速攻で点差を広げていくことができていたと思いますが

そうですね、自分たちが練習の中でずっとやってきた、DFをしっかりと固めて速攻で点を取るというパターンに持ち込めたので、自分たちの流れをつかむことができたのかなと思います。

――秋季リーグを4試合終えた時点で、春から成長したと思う点とは

この夏の練習で一番課題として取り組んでいたのは、セットオフェンスでのボール回しを選手が動きながら速いパスを回してやるということでした。その成果として、セットオフェンスで点を取れていたというのは評価できた点かなと思います。

――きょうは1年生の活躍も見られましたが、チームの調子はいい状態ですか

自分たちが練習してきたプレーをしようと監督も言ってきていたので、いつもは試合に出ていないようなメンバーが試合に出ても、スタメンで出ている選手と変わらないプレーというか、誰が出ても自分たちの練習でやってきたことをしっかりと発揮できたかなと思います。

東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)

――試合を振り返ってみていかがでしたか

前半の立ち上がりで自分たちのペースに持っていけなくてちょっと焦る部分があったんですけど、チームとして後半の15分までに追いついて逆転しようというのがあったんですけど、後半の立ち上がりで追いつけたのが良かったです。

――前半の序盤に点差をあけられたときの苦しい表情が印象的でしたが、あの時の心境を聞かせてください

初めて相手を追う展開だったので、焦ったり気持ちが空回りした部分がありました。

――タイムアウトを取ってから雰囲気が変わったように思えますが、どのような指示がありましたか

みんな焦ってたので、まずディフェンスでリズムを作ろうということです。攻撃もディフェンスも一本一本確実なことをやろうという指示でした。

――後半になってから得点を量産されていましたが意識していたことはありますか

前半だけが焦って点を取れなかったので、チームとして切り換えて落ち着いてできたので、それを前半から出せていればよかったです。

――開幕4連勝となりましたが調子はいかがですか

きょうの試合から上位のチームとの対戦が始まったので、相手に合わせていたらのまれてしまうということがあるので、相手に合わせないことを意識しないと来週からまた苦しい展開になるのではないかと思います。ここをチームで意識していきたいです。