堅守速攻見せつけ接戦を演出も 2点差で敗れた中大戦 秋季リーグを7位で終える

男子ハンドボール

関東学生秋季リーグ 9月29日 東京・国士舘多摩体育館

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)最終日の9日目。第8戦を終えて4勝4敗の早大は、勝ち越しを狙い中大との戦いに臨んだ。前半は中大リードの展開が続く。終盤に同点に追いつくものの、再びリードを奪われると13―15で折り返した。後半は、夏に強化した3・3ディフェンスを展開する。堅守速攻で圧倒し一時は逆転に成功した早大。勢いそのまま勝ち切りたいところだったが、中大に反撃を許し31―33で試合終了。最後まで懸命に戦うも、秋季リーグを有終の美で飾ることはできなかった。

 先制点は中大に譲ったが、早大も尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)の強烈なミドルですぐさま得点を挙げる。守備では渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)がフリーのシュートに対して体を張った好セーブを連発。流れを引き寄せたかと思われたが、中大は攻撃の手を緩めない。強力なバック陣のミドルやカットインから得点を許すと前半17分には6点差をつけられた。これ以上のビハインドは避けたい早大、小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)を中心とした相手の勢いを止める守りから速攻につなげ、ここから一気に追い上げを見せた。24分には「序盤に1本決められたのがきっかけで積極的に攻め込めた」という尾上が力強いミドルを押し込むと、ついに中大の背中を捉える。同点以上で後半につなげたい早大だったが、前半終了間際に中大に連続得点をあび、13―15で前半を終えた。

シュートを放つ尾上

 後半が始まると早大は、前を西村悠吾(人3=千葉・市川)、守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)、外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)が、後ろを白築琢磨主将(文構4=東京・早実)、結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)、尾上が守る3・3ディフェンスを展開。後半開始30秒には、守屋のパスカットからつないだ速攻を外種子田が確実に決め切り、さっそく立体ディフェンスの強みを発揮した。間が広くなる分、中でシュートに持ち込まれる場面もあったが、守護神渡辺が前半から継続して安定したセービングを見せる。それに応えるように速攻で得点を重ねると、後半10分時点でスコアを19―17とし早大が2点のリードを奪った。ここで耐えきれず中大がタイムアウトを取る。再開後にはミドルやポストシュートで追いつかれ、そのまま4点差まで再び引き離された。

ディフェンスにつく守屋

しかしまだ後半折り返し。早大は苦しい時間帯にも運動量を落とさず堅い守りを継続し、徐々に追い上げを見せる。20分には外種子田の速攻で再び試合を振り出しに戻した。後半2度目の中大タイムアウト明け、試合も終盤に差し掛かると間を積極的に攻め込まれ、またも中大がリードする展開に。一進一退の攻防が続く中、早大も速攻や速水駿太(文構4=東京・巣鴨)のペナルティースローで得点を重ねたが追いつくことはできず、31―33で試合終了の笛が鳴った。この秋季リーグ「自分がチームから何を求められて、何に必死にならなきゃいけないのかということを悩みながらやってきた」という守屋を中心に、豊富な運動量が求められる3・3ディフェンスをやり切ったワセダセブン。中大の背中を捉える場面、さらに逆転する場面まで見せたものの、最後は2点差で涙を呑んだ。

得点後にガッツポーズを見せる外種子田

 堅守速攻を見せ最後まで懸命に戦い抜いたが、秋季リーグ最終戦を勝利で飾ることはできなかった早大。9試合の熱戦を終えて4勝5敗、最終順位は7位となった。複数人がケガで離脱し春とはメンバーを変えながら戦った今季は、得点ランキング2位の白築、3位の外種子田をはじめとした上級生が安定した活躍でチームを引っ張り、結城や尾上などスタメン起用が続いた下級生も躍動。またキーパー陣のファインセーブはチームを後ろから支え、21日の明大戦で目立ったようなベンチや応援席の盛り上がりは、チームの勝てる雰囲気づくりに貢献した。チーム集大成のインカレまで残された時間は約1ヶ月。強豪がひしめき合うインカレで、早大ハンドボール部が輝く日を楽しみに待ちたい。

(記事 片山和香、写真 大村谷芳、佐野真悠子、林朋亜)

集合写真

結果

関東学生秋季リーグ
早大 31―33 中大

13―15
18―18

スタメン

GK 渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 杉田一輝(スポ1=岩手・不来方)
PV 結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)
CB 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
RB 尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)
RW 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――試合を振り返って

 ディフェンスのシステムで言えば0・6から3・3を今日は主にやったんですけど、変則的なディフェンスの中でもうまく対応できていた部分はあったので、それはインカレに向けて良い収穫になったのかなとは思います。でもやはり際のシュートのところで、離し切りたいところで外したり、追いつきたいところで外したりというところが重なってしまったので、非常にもったいない試合だったかなと思います。

――ディフェンスでは1・5や3・3など試されていましたが、手応えは

 相手の強力なバックプレーヤーに対して、相手の間合いでプレーさせないということが多分狙いだったと思いますが、そこに対して相手にストレスをかけ続けられたという部分では、すごく質の高いことでした。

――秋季リーグ、チーム全体を振り返っていかがですか

 やはり両バックが1年生というイレギュラーなことにもなったりしましたが、大きい展開を作ってコートを広く使うというふうなことはこのリーグを通してやろうと考えていたので、オフェンスの幅も広がりつつありましたし、ディフェンスに関してもその試合を重ねるごとにだんだんとクオリティーが高くなっていったのかなと思います。

――リーグ戦前には「勝つために欠かせない存在になりたい」とおっしゃっていました。自身のプレーをどのように振り返りますか

 やはり勝った試合に関しても、それ以外の試合でも、プレーでも精神面でも引っ張っていきたいと思っていて、それができたかといわれたら別に100点ではないと思うので、それは最後のインカレに向けてもう1回考え直していきたいところだなと思います。今日の中大戦もあまり自分にとっては思うようにいかないプレーが多かったので、そこは修正点かなと思います。

――秋季リーグでチームの成長点を教えてください

 やはりディフェンスのクオリティーが高くなったなとは思います。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

 今日の試合もそうでしたが、最後のノーマークシュートのところでのミスだったりが重なって、こういう結果になってしまっているので、シュートの部分、球際の強さはより一層意識していきたいと思います。


守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)

――今日の試合を振り返って

 優勝が決まっている中大との試合で、インカレに向けた準備やどこまで試せるかという部分と、順位の変動がわからないので勝ちに行くっていうところで試合に臨みました。前日の練習でみんなで揉めることがあった分、今日勝つことでチームが一つにまとまると思ったので勝ちを大事にしていました。

――後半の3・3ディフェンスを振り返っていかがですか

 手応えはあったのかなと思います。春リーグが終わって練習してきた部分が中大相手にあそこまで成果が出たっていうのは良かったと思います。でもやっぱり勝ちまでつなげられずオフェンスもディフェンスも足が止まってしまったっていうのが反省点だと思っています。

――秋リーグを振り返って、ご自身またはチームの成長が感じられた部分はどこでしょうか

 秋リーグは個人的には反省点しかないなと思います。すごく悩んだところも、チームから自分が何を求められて自分は何に必死にならなきゃいけないのかということを悩みながらやってきたという部分は自分の中で収獲になったのではないかと思います。その上で今日は自分の中では出来るだけのパフォーマンスが出せたので、そこは明らかな成果だと思います。チームとしては春よりも勝ち切るところで勝ちきれたのは良かったですが、その分上位に勝てなかったのが反省点として残るところだと思います。

――これからインカレに向けて強化していきたいところはどこですか

 僕が入ってからの3年で1番自分たちの流れが作れなかったときに勝ちの基準が見えないチームになってしまっているので、早稲田の強みは何点はずされても最後走り勝てる、逆転できるところだと思うので、そこをもうちょっと突き詰めていくところと細かいところを一つ一つミスなくやり切れるところをやっていきたいです。


尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商

――今日の試合を振り返っていかがですか

 最終戦ということもあってみんな最初ちょっとふわふわしたところもあったんですけど後半になるにつれて熱量みんな出てきて、リーグの中でも1位の中央大学に対してしっかりついていける試合展開だったのでチームの中の気持ち的にはすごい良い状況だったと思います。

――前半からミドルやカットインなど積極的に持ち込んでいましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 今日は特に今までの試合に比べると結構調子が良くてミドルシュートの感覚もアップの時から良かったので、前半の最初の方に1本打ち込んで入ったのがきっかけで、「今日調子いいな」となったので積極的にいっていました。

――前半は相手ディフェンスが浮いてきていたと思いますが、チームではどう攻め込もうと話されていましたか

 例えばワンクロスしたときに中にいるポストが外に抜けると3枚目のディフェンスが付いてくるので、そこをパスフェイクでつってから次のプレーヤーに出して。そうするとその人(パスを受けたバック)が1対1いきやすかったので、ポストを使ってディフェンスを釣って1対1を披露するのと、打てるならしっかり積極的に打っていこうと話していました。

――秋リーグ、ご自身やチームを振り返って

 個人的には最後の試合は調子良かったのですが、1個前の試合(東海大戦)は前半から後半まで全部出て(個人の)得点が0点という試合もあったので、あまり調子がいいというものではなかったんですけど。最後良かったので個人的には良かったかなと思います。チーム的には春と比べて出だしが良かったというのもあるんですけど春は3勝で、今回は4勝。前より(勝利数が)多かったのでそこはチームの成長かなと思います。これからはインカレに向けてディフェンスをもっと強化して頑張っていきたいと思います。

――インカレへ向けて強化していきたいことや意気込みを聞かせてください

 さっきチームの強化として言ったディフェンスなんですけど、個人でも今はディフェンスが課題で。そのディフェンスの個人的な強化と、今日もそうなんですけど最後の方大事なところで外してしまったり、決定力の低さっていうのが目立っているので、しっかりノーマークシュートも決め切るというふうに、決定力を上げていくというところです。チームではオフェンス面で言えば速攻は強いんですけど、思考が停滞すると点が入らなくなるので個人の決定力をもっと上げていくべきなのかなと思います。