筑波大に11点差で敗戦 ディフェンス粘るも秋季リーグ黒星スタート

男子ハンドボール

関東学生秋季リーグ 9月4日 東京・国士舘大学多摩体育館

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)が開幕した。初戦の相手は、関東学生春季リーグ(春季リーグ)に熱戦の末1点差で惜敗を喫した筑波大だ。前半は強化してきた堅いディフェンスを見せ失点を最小限に抑えると、10―13で折り返した。逆転を狙う後半だったが、なかなかシュートを決めきれない間に、サイドシュートなどで筑波大に徐々に点差を広げられる。早大は何とか食い下がろうとしたものの、ラストに速攻やミドルをたたみ掛けられ、22−33で試合終了の笛が吹かれた。

 前半はロースコアの試合展開。特に出だしは試合開始から3分以上、両者得点のない状態が続いた。先にこう着状態を破ったのは筑波大。足元からポストにパスを通され、早大は先制を許す。一方の早大初得点は前半6分、渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)が相手のミドルを止めると、そのままスピードに乗ったオフェンスにつなげ、守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)が右サイドからシュートを叩きこんだ。その後も渡辺が好セーブを連発し、前半10分ごろには結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)のカットからつないだ白築琢磨主将(文構4=東京・早実)の速攻でついに早大がリードを奪った。渡辺のセーブに応えて一気に流れをつかみたい早大だったが、相手GKの大山翔伍(4年)にゴールを阻まれ、なかなかリズムに乗り切れないまま、10―13で前半を折り返す。3点のビハインドにはなったが、前半に光ったのは夏の期間に鍛えてきたディフェンスだった。相手に速攻に持ち込まれた際には、いち早く戻ってボールに当たり、速攻の勢いを止めるシーンが何度も見られた。

3枚目を守る結城(右)と小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)

 後半は、前半終了間際の退場で2人少ない状態からスタート。立ち上がりに点差を広げられるも、河原龍成(スポ1=福井・北陸)や外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)の速攻で食い下がる。後半9分には体を張ったスピードのあるプレーで相手の退場を2度も誘った。「サイドシュートを止めきれなかったのが悔しい」と渡辺が振り返ったように、その後はサイドシュートを中心に筑波大にリードを広げられると、後半16分で8点のビハインド。これ以上の点差は避けたい早大は、「途中からアウトで勝負しようと切り替えた」という尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)が2連続得点を挙げ、5点差にまで詰め寄った。流れに乗りたい場面だったが、ラスト5分からは筑波の猛攻が続いた。エース大浦和真(4年)のミドルなどで突き放されると、渡辺のファインセーブから白築が速攻につなげるなどなんとか得点をもぎ取るも、最後は22―33の11点差で試合終了となった。

好セーブを連発した渡辺

 リーグの初戦を勝利では飾れなかった早大。体格の良い選手が揃う筑波大に対し、オフェンスでは課題が残ったものの、ディフェンスでは特に前半、夏の練習の成果を発揮した。次戦では、堅いディフェンスからつながれるリズムに乗ったオフェンスにも期待したい。中2日という短い調整期間だが、今日出た課題をチームで調整、強化して、国士舘大戦に臨む。

(記事 片山和香、写真 大村谷芳)

結果

関東学生秋季リーグ
早大 22―33 筑波大

10―13
12―20

スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)
CB 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 増井浩介(スポ1=愛知)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――初戦勝利とはならなかったですが、試合を終えて今の気持ちは

 チームとして初戦を落としてしまったっていうのは重く受け止めなきゃいけないとは思いますし、反省すべき点は色々あるんですけど、負けは負けですし変わらない結果なので、次の今週末の試合に切り替えていきたいと思います。

――前半はロースコアの展開が続きました。開幕前に強化してきたとおっしゃっていたディフェンス面を振り返っていかがですか

 前半の0・6ディフェンスは春リーグ(関東学生春季リーグ)通してあとは合宿を経て、結構完成度は高まってきていたので、筑波という体の大きい相手にあのぐらい守れていたのは及第点かなとは思います。

――オフェンスではどんなふうに攻めていこうと考えていましたか

 大きい展開を作ろうということを頭に入れながらやってはいたんですけど、やっぱり体が大きい相手に対して小さいずれが作りにくくて、もう少しアウトを取れていれば、相手の視野外からの動きが生きてきたのかなっていうふうに、終わってから思っています。

――最終的には11点差がつきましたがその要因は

 チームのディフェンスの完成度は数を重ねて高まってはいるんですけど、やっぱりシュートの部分だったり、あとはパスミス、キャッチミスっていう細かいことの積み重ねがこういう点差になってきてしまっていると思います。一言で言ったら結構自分たちで自滅してしまったっていう部分かなと思っているので、丁寧にやろうっていうのは心がけていきたいです。

――最後に次の国士舘大戦に向けて意気込みを聞かせてください

 国士館は春には上位に入っている強いチームなんですけど、絶対負けないっていう気持ちは強いし、初戦を落としてしまってここから全部勝つっていう気持ちでやっていくので、チーム全員で戦っていきたいと思います。

渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)

――試合を終えて今の気持ちを聞かせてください

 しょっぱい試合でした。しょっぱいというか、もう塩辛い、そんな試合でした。

――最終的に点差を離されてしまった要因としてはどんなことが考えられますか

 ディフェンスは後半途中まで結構頑張れていたと思うんですけど、オフェンスで、相手の大山(大山翔伍、4年)がしぶとく止めてきたところを僕たちが決めきれなかった部分かなと思います。

――後ろから見ていて、今日の前半のディフェンスはいかがでしたか

 僕自身、夏から昨日まで、今日の試合までいい準備できてその上でのパフォーマンスが発揮できて。それに一緒にやる形で3枚目の創(小柴創、スポ2=千葉・昭和学院)、颯太(結城颯太、スポ2=千葉・昭和学院)、他の2枚目1枚目のディフェンスも全員がいい感じでできたので、それで前半のスコアにつながったかなと思います。

――渡辺選手個人では何度も好セーブがありました。ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 ありがとうございます。今日のプレーで言うとサイドシュートを止めきれなかったのは1つここからの伸びしろだと思っています。でも相手のエースの大浦選手(大浦和真、4年)、伊藤選手(伊藤太一、3年)とかのミドル、特に最後以外、大浦のシュートはずっと止められていたので、彼を止めるための夏だと思ってやってきてその結果は出たかなと思います。やっぱりさっきも言ったんですけど、サイドシュートを所(所凌央、4年)に多く決められたのが悔しいです。

――国士館大戦へ向けて意気込みを聞かせてください

 初戦なんて僕は4年間で1、2回しか勝ったことがないので、こういうものだと切り替えて、次の2、3戦目の国士、日大戦頑張ります。必ず勝たないといけないので、そこに照準合わせて、明日明後日しっかり練習していきたいです。

尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)

――45でのスタメンは初めてだったと思いますが、どんな気持ちでこの初戦に臨まれましたか

 初めてでも緊張はなかったので、いつも通りやれたらいいなと思っていました。

――特に後半、積極的にミドルを打ったり、1、2枚目間を割っていくプレーが印象的でした。個人としてはどんなプレーを心がけていましたか

 まず前半は周りに合わそうとして、あまり積極的にシュートは狙えてなかったんですけど、それだと筑波は引いてくるので、やっぱり打たないと点は取れないなと思いました。アウトから中を広げてっていうふうにやっていたんですけど、中でのシュートは枝に当てられる状況が多かったので、途中からアウトで勝負しようっていうふうに切り替えました。1枚目と2枚目の間を割に行くとか、あとは速攻が得意なのでそこはしっかり狙っていこうと思っていました。

――今日の試合を通して見つかったチームや個人の課題はありますか

 まず個人としては、得意なミドルが枝に当たってしまっていたので、身長差という部分もあるんですけど、どうタイミング変えて打つとか、歩数を変えてみるとか、ボールの持ち方を変えてみるとか、そこの工夫をしていきたいと思っています。チームの課題としては、前半の最初の方はしっかり粘ってほとんど離されずについてきていたんですけど、前半の終わり間際のミスだったり、そういう大事なところでのいらないミスが多かったので、そこを修正したいと思います。後半のその集中力の差、あとは攻撃の手数がちょっと少なかったんで、もうちょっと攻撃のパターンを増やすことが大事じゃないかと思います。

――クロスを多く入れて攻めていた印象でした

 クロスから攻めようとチームの中で決めていたんですけど、やっぱり筑波は中が大きくて密集している分、僕らは小さいので引かれて打たされるディフェンスのシステムで守られていたと思います。そこをワンクロス入れてアウトで勝負するだとか、ちょっと形になりすぎていたのでもっとアウトから攻めたいと思いました。

――最後に次戦に向けて意気込みを聞かせてください

 今回みたいに出られるか分からないですけど、少ない時間でしっかりシュートの練習をして、枝に当たらないようにキーパーとの駆け引きを楽しめればなと。チームとしては手数を増やして、行き詰まらずに余裕をもって試合をしていきたいです。