関東学生春季リーグ 5月25日 東京・国士舘大学多摩体育館
熱戦が続いた関東学生春季リーグ(春季リーグ)もついに最終戦。「最後に勝って次につなげよう」と意気込んで臨む早大は、2部との入れ替え戦がかかる明大と対戦した。前半は途中まで一進一退の競った展開が続いたが、ポストシュートやミドルを中心に相手オフェンスに得点を許し徐々に引き離されると、6点差をつけられ15―21で折り返す。追いつき追い越したい後半、立ち上がりとラストで追い上げを見せたが、明大の意地を前に、前半のビハインドをひっくり返すことはできず30―33で、春季リーグ最終戦は敗戦となった。
ディフェンスからスタートした早大。開始直後、先制点を明大に譲り、その後のオフェンスでは退場者を出してしまう。苦しい立ち上がりになるかと思われたが、前戦でも活躍を見せた鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)が完璧なコースのミドルを決めると、「退場の間、相手シュートを止め切れたのは良かった」と振り返る守護神・渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)が好セーブでチームを支え、その後は競った展開が続いた。ディフェンスからリズムに乗って流れをつかみたい早大だったが、前半21分ポストにパスを通され確実にゴールに押し込まれると、明大に3連続で得点を許し、徐々に点差を離されていく。白築琢磨主将(文構4=東京・早実)や増井浩介(スポ1=愛知)がサイドからシュートを決め、鍋島が体を張ってペナルティーシュートを獲得するなど、早大はオフェンスで粘りを見せたものの、明大も攻撃の手を緩めず15―21で前半を折り返した。
シュートを放つ鍋島
6点を追いかける後半、立ち上がりに渡辺が相手の速攻に対しファインセーブを見せると、鍋島のタイミングをずらしたミドルや、白築と外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)の速攻、所真大(社2=岡山・総社)のサイドシュートなどで一気に3点差まで迫る。この勢いのまま逆転したい早大だったが、入れ替え戦がかかる明大も意地を見せる。鋭いミドルを中心に得点を重ねられ、点差が5点にまで広がると後半19分、早大はタイムアウトを取った。切り替えて流れをつかみたいタイムアウト明け、オフェンスでは河原龍成(スポ1=福井・北陸)や尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)といった1年生バックプレーヤーが得点を挙げ、ディフェンスでは相手の退場やパスミスを誘う足を動かした早大らしい守りを見せる。なんとか再び3点差まで迫ったものの、前半のビハインドが大きすぎたか、その差を埋められず30―33で敗戦に終わった。
オフェンスに向かう白築
春季リーグ最終戦、後半に修正して追い上げたものの、意地を見せた明大に一歩及ばず、ラストを勝利で飾ることはできなかった。開幕4連敗の苦しい状況からスタートした早大の最終結果は5位。今試合でも目立ったように、30点、時には40点を超えるハイスコアのゲームが続いたリーグ戦を終えて、白築主将、渡辺副将は「ディフェンスが課題」と口を揃えた。また1点差での悔しい敗戦や流れをつかんで勝ち切った試合を振り返って、白築主将と鍋島は、「メンタル面も高め合いたい」「みんなで盛り上げていくチーム」と、チームの雰囲気をつくることの重要性も語った。今リーグでの経験を糧に、「守って速攻」、チーム全員で盛り上げるといった早稲田らしいハンドボールを追求する彼ら。これからも成長を続ける姿から目が離せない。
(記事 片山和香、写真 芦刈れい)
試合後の集合写真(早稲田大学男子ハンドボール部提供)
結果
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | ● | 30―33 | 明大 | |
15―21 |
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スタメン | ||||
GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園) |
コメント
白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
――今日の試合を振り返っていかがですか
春リーグ(関東学生春季リーグ)を締めくくる最終戦というところで、チームとしても勝って終わろう、勝って次につなげようという雰囲気でやっていただけに、負けたという結果は悔しいですし、心残りがある試合だったなと思います。
――ディフェンス面について、前半は相手にポストパスを通される場面が多かったように感じましたが、後半で改善したポイントはありますか
前半プレーしてハーフタイムの時に、2枚目に入っている選手から間が広いというような意見が出てきていたので、そこで後半はもう少し密集しながら守って、ポストを2人3人で守ろうという話はしていました。そういう意識のもとでディフェンス寄せられたことが、後半の失点を抑えられた要因の1つなのかなと思います。
――次に春季リーグ全体を振り返っていかがですか
春リーグ開幕から4連敗して、チームとしてもどんよりしてはしていたんですけど、失うものはないというか、もうやるしかないという意識はチームの中でありました。そこからチームとしての完成度が高まりつつ、上昇という方向にはあったんですけど、やっぱり最後こういう形になってしまったっていうのはすごく悔しいことですし、次の定期戦までにもう少しチームとして、ディフェンスもオフェンスも、それ以外のことでもまとまって戦いたいなと思います。
――春季リーグを通して、チーム全体または白築選手ご自身が、成長できたと感じる部分はありますか
個人的には開幕して最初の方から中盤にかけて、自分で点が取れる試合が減っているなと感じるところもあったんですけど、そこから自分でどう打開できるか、自分をおとりにしてどう周りを生かせるかというようなことはすごく考えるようになりました。キャプテンとしてチームをまとめることはもちろん、俯瞰的に物事を見て、今のチームに必要なものは何なんだろう、自分に求められている立場は何なんだろうというような視点が広がったところは、個人としてまだまだですけど、1歩進んだのかなとは思います。
――最後に、これからの練習期間で強化したい部分はありますか
戦術面で言えば、特にディフェンスが課題ということはチームとして、監督やコーチ陣からも指摘があって、このリーグを通して1試合の失点がすごく多くてもう少し失点を減らそうというようなことを話していたので、まずはディフェンスを重点的にやっていきたいなとは思います。他にも、やっぱりチームスポーツなので、メンタル的な部分も全員で高め合っていきたいなと思います。
渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)
――今日の試合を振り返っていかがですか
前半の21失点がまずかったかなと思います。個人的なことで言えば、序盤の2分間退場が立て続けに出た時に止めきれたのは良かったのですが、そこから落とさずに良いペースで止めきれなかったのがこの負けにつながってしまった1つの要因かなと思います。攻撃自体、今日は点数があまり入らなかった時点で、後3本止めていればなというところが悔やまれます。
――渡辺選手から見て、チームのディフェンスはいかがでしたか
序盤で立て続けに取られた場面は、シュートまで行かせない、ボールを相手から奪う意識が抜けてしまっていたと思います。それを踏まえて後半は足を動かしながら守ってくれて、自分自身も足を動かしてサイドシュートなどを止められました。後半が12失点に抑えられたのは、修正できたという面では良かったと思います。
――今日のチームの雰囲気はいかがでしたか
リラックスはしていました。先週で入れ替え戦もなくなりましたし、最後の試合を勝とうと強い気持ちを持って練習してきました。試合前はリラックスしていたのですが、前半終わったタイミングでの6点差はチームを盛り下げるきっかけになってしまったと思います。最後の最後まで気持ちを上げ切ることができなかったので、その反省を踏まえて夏まで頑張りたいと思います。
――春季リーグを振り返っていかがですか
最初4連敗から始まってしまって、4年生として不甲斐ない自分がいて責任を感じた部分もあったのですが、なんとか5戦目から2連勝できて。日体大には相手にならなかったところはあるんですけど。また来季、そしてインカレ(全日本学生選手権)に出場できる権利をこの段階でしっかり得られたという点で言えば、最低限のことはできたと思います。自分自身もっとレベルアップしなくてはいけないので、早関戦、早慶明戦で試合をする機会があり、また合宿も通して秋リーグ(関東学生秋季リーグ)に向けて頑張ろうと思えた春リーグでした。
――リーグ戦を通して見えたチームの強みと改善点を教えてください
得点自体は取れるので、ディフェンスが改善点だなと思います。その上で今日みたいに後半ディフェンスがうまくいっている時に、オフェンスがリズムに乗って点を取れればと思います。今日も負けるような相手ではなかったと思います。僕自身も前半は反省しつつ、後半はいいプレーができたかなと思うので、ディフェンス力を伸ばして、秋リーグを迎えたいと思います。
鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
――今日の試合を振り返っていかがですか
個人的には良いところも良くないとこもあって、チームとしては1試合通してずっと良くはなかったのかなと思います。春リーグ始まって少しずつ調子が上がってきた中で、最後やっぱり勝って終わることができなかったというところに僕らの弱さを再認識しました。
――勝ちきれなかった要因はどこにあると思いますか
前回の試合で入れ替え戦回避が決まって、みんな感じてはいないかもしれないですけど、どこか気が抜けていたというか。相手は入れ替え戦がかかっているから全力で向かってくるけど、僕らは7位から5位の間での変動なので、どこか気が抜けてしまうところがあったのかなと思います。今日の試合は自分たちらしさが出せなかった試合で。僕らはみんなで盛り上げていくチームだと思うんですけど、そこがまずできていなかったので、勝てるわけないなとは僕は感じていました。
――プレーに関して、相手ディフェンスがクロスカットなど積極的に狙ってきていましたが、オフェンスで意識していたことありましたか
特にはないですね。僕は考えてプレーしたら逆に迷ってしまうので、思うようにボールが来たらもうそのまま攻めています。
――鍋島選手はこのリーグ通して、チームが苦しい展開の中でも盛り上げている姿がとても印象的でしたが、チームの中でご自身の役割はどういったところにあると感じていますか
特に意識はしていないんですけど、去年は健志さん(田井健志氏、令6スポ卒=香川中央)がずっと引っ張ってくれていて、僕もその姿を見ていましたし、今年のチームにはそういう選手が少ないかなと個人的には感じていました。小さい時からハンドボールやってきた中で、僕はチームを鼓舞するといったようなところを売りでやってきた部分があって、むしろそうしないとなかなか自分の良さも出せないし、仲間を引っ張るのも僕のいいところの1つだと思うので、それは学年上がっても次のシーズンも関係なくやっていきたいと思っています。
――最後に春季リーグを終えて、これからの練習でチームとしてまたは個人として強化していきたい部分はありますか
最近ケガが多いので、個人的にケガしないような体づくりや動かし方を身につけたいです。あとやっぱり自分のポジションはエースポジションなので、僕がいないとダメだって言われるぐらいシュート決められる選手になれるように、もっと練習頑張ります。