東海大戦ハイスコアのゲーム展開制す 早大らしさを見せ快勝

男子ハンドボール

関東学生春季リーグ 5月19日 東京・国士舘大学多摩体育館

 前回の敗戦から切り替えて臨む第8戦。今回の相手は、早大と同様に関東学生春季リーグ(春季リーグ)2勝5敗の東海大、負けられない対戦となった。前半は速攻やバックプレーヤー陣の積極的なオフェンスで、一時は3点のリードを奪ったが、東海大も譲らず17―16で折り返す。突き放したい後半、早大は立ち上がりに逆転を許すが、持ち味の「堅守速攻」を前半以上に見せつけ、早稲田らしいプレーで5点差の40―35で快勝した。

 試合の先制点は早大が挙げる。鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)が体を張ったプレーで開始早々相手の退場を誘うと、外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)がディフェンスの間に走り込みスピードに乗ったシュートを決めた。先制後は競った展開が続く。東海大は強烈なミドルなどで得点を重ね、一方の早大はクイックスタートからの速攻や流れに乗ったロングシュートなどで、1点リードを維持する。勢いに乗りたい早大は前半17分半、河原がカットインで相手の退場を誘うと、「これまでの試合で調子が上がってこなかった自分に打ち勝つことができた」と振り返った鍋島の鋭いミドルや、増井浩介(スポ1=愛知)の冷静なエンプティーゴールで一気に3点のリードを奪った。このまま突き放すか思われたが、前半ラスト3分から東海大もミドルやポストシュートなど連続得点で追い上げを見せ、17―16の1点差で前半を終えた。この春季リーグ、外へ展開する意識を持ってサイドシュートから得点を重ねることが多かった早大だが、今試合特に前半は、相手ディフェンスの視野を左右させるクロスからのスピードに乗ったシュートや積極的なカットインなど、バック陣のプレーから生まれる得点が印象的だった。

ゴールを狙う鍋島

 リードを広げたい後半は立ち上がり、相手の勢いをつけたオフェンスに対し退場者を出すと、早大はそのまま逆転を許した。退場時間はまだ続く。苦しい展開になるかと思われたが、この状況でもワセダセブンは落ち着いていた。オフェンスではしっかり時間を使って攻め、白築琢磨主将(文構4=東京・早実)がカットインで獲得したペナルティーシュートを確実にゴールに押し込んで、すぐに同点に追いつく。ディフェンスでも足を動かし相手に時間を使わせると、サイドからのシュートに対し大武蓮(社3=神奈川・川和)が好セーブを見せた。1人少ない時間を同点で乗り切った後は、取って取られての展開が続く。少しずつ流れを引き寄せたのは、後半も半分を過ぎたあたりだった。ここから早大は持ち味の「堅守速攻」を存分に見せつける。今日初スタメンを飾った結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)が苦しい体勢からポストシュートを決めると、その後のディフェンスで守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)がルーズボールに反応、そのまま速攻に持ち込み冷静にゴールに押し込む。次のディフェンスでは相手にミドルを打たせてマイボールにすると、白築がミドルをねじ込み連続得点を挙げた。たまらず東海大がタイムアウトを取ったが、そのタイムアウト明けも早大は集中力を切らさない。大武のセーブから外種子田が、守屋のカットから結城が速攻を決めると、ついに5点のリードを奪った。東海大もラスト5分からクロスを交えたミドルなどで粘りを見せるが、早大は最後まで速攻でたたみ掛け、40―35でハイスコアの試合を制した。

ミドルを放つ白築

 後半の序盤まで競った展開が続いたものの、終わってみれば一度も相手に流れを渡すことなく、早稲田らしいプレーで勝利につなげたこの試合。安定した「堅守速攻」を見せ、試合に出場したほぼ全員の選手が得点に絡んだというプレーの面でも、「全員で声を出して雰囲気よくやれた」と白築が振り返ったような雰囲気の面でも、全員で戦った結果つかみ取った勝ちだといえるだろう。熱戦が続いたリーグ戦も、残すはあと1試合。最終戦の相手は明大だ。早稲田らしいハンドボールに磨きをかけて、有終の美を飾りたい。

(記事 片山和香、写真 丸山勝央 三浦佑亮)

結果

関東学生春季リーグ
早大 40―35 東海大

17―16
23―19

スタメン

GK 大武蓮(社3=神奈川・川和)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)
CB 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 増井浩介(スポ1=愛知)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――試合を振り返っていかがですか

 まずは先週の敗戦から、振り返って切り替えて1週間準備してきたので、それが全員で体現できたというところはすごく嬉しかったです。早稲田らしさというか、僕らの強みが出たのかなと思っています。

――試合前から雰囲気がとても良い印象を受けましたが、この1試合通してチームの雰囲気はいかがでしたか

 一言で言ったらすごく盛り上がっていて、流れが来ない時でもディフェンスからという声かけもあったので、全員で声を出して雰囲気よくやれたのかなと思います。あとは先週の試合で全体の反省として、雰囲気が良くないというか、自分たちが思っている以上に声を出さないと良くはならないというような話はしていたので、みんなその反省が頭にあって、この雰囲気につながったのかなと思っています。

――ハイスコアの試合展開で、後半には一時逆転された場面がありましたが、流れを渡さずに勝ち切れた要因は何ですか

 連続失点する時っていうのは、基本的に(自分たちの)ミスからというのが僕らの失点パターンとして多いので、ミスを減らすっていうことは前提としてありました。その中でもディフェンスで逆に相手のミスを誘って、速攻まで持っていって点につなげられたことが大きかったなと思います。逆転はされても、落ちる必要はないというか、まだまだ強みは出せる時間帯でもあったので、そこまで焦らずに落ち着いてプレーできたかなと思います。

――白築選手個人では、この試合バックでもサイドでもプレーされていましたが、オフェンスで意識していたことはありますか

 オフェンスは基本的にパスを回しながら攻めるということを大前提でやってはいるんですけど、その中でも個人的には相手の間を強く割ろうということを意識していたので、それが1試合通してできていたと思っています。それに伴ってポストプレーも使えたことも良かったのかなと思います。現状維持はあまり良くないとは思っているんですけど、今日の試合は去年の感覚、結構点が取れた感覚はありました。

――最後に春季リーグ最終戦、明大戦に向けて意気込みをお願いします

 一言で言ったら、もう勝って気持ちよく終わりたいです。あと1週間ありますし、そこはしっかり準備して現状に満足せずに、もっとクオリティをあげて一歩でも上に行けるように頑張ります。

鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 負けるわけにはいかない試合で勝ち切ることができて、本当にほっとしているというのが率直な感想です。個人的にも春リーグ(関東学生春季リーグ)あまり調子が上がらなくて、なかなか勢いに乗れない試合が続いていて、ちょっとしたスランプに陥りましたが、やっぱりそれに打ち勝つことができるのは自分自身しかいなかったので、今日の試合で少しスランプを抜け出せたというか、自分に勝つことができたんじゃないかなって思います。個人的にはいい試合になりました。

――入れ替え戦回避のためにも貴重な一勝になったと思いますがいかがですか

 そうですね、入れ替え戦には行きたくないという雰囲気はずっとあって、今年こそそうなるのかなみたいな雰囲気も最初はありましたが、自分たちのやるべきことをやれば、他のチームなら諦めてしまうような場面でも、早稲田はそこで諦めないのがいいところなので。残り一戦も厳しい戦いにはなると思いますが、自分たちらしく諦めずに最後まで泥臭くやっていこうと思います。

――先ほどおっしゃっていたように、ご自身にとって苦しい状況の中、今日はどのような意識で試合に臨みましたか

 あんまり考えないようにはしていたんですけど、いろんな人が声をかけてくれて、家族や先輩、後輩、同期もみんな心配してくれていて。その人たちが期待してくれている分、緊張してしまうこともありましたが、まずは自分が楽しむことを目標にしていました。

――ご自身の中で春季リーグを通して成長したことはありますか

 ちょっと今年はいいところが個人的にあんまりなくて。次の明大戦は高校の同期が2人いるので、あいつらには負けないように頑張りたいなと思います。

――チームとしてここまでのリーグ戦を振り返っていかがですか

 最初に4連敗しましたが、だんだんと良くなっていき、自分たちがやるべきことが明らかになったのかなって思います。それまでに練習試合で格上の相手といい勝負しちゃって、それで自分たちが意外とできるんだなって思ってしまったところが、春リーグ最初の4連敗につながったんじゃないかなと思っています。僕たちはやっぱり弱いので、弱いなりに全員で選手、スタッフ、あとベンチに入ってなかった子たちも全員で1つになって戦わないと僕らは勝てないんだなということが分かった気がします。

――高校の後輩・河原龍成選手(スポ1=福井・北陸)の活躍はいかがですか

 チームが小中高大と全部一緒で、そんな別に後輩って感じもないですし、あっちも別に僕のこと先輩だとかあんまり思ってないんですけど(笑)。1年生であれだけできるのは堂々としていて素晴らしいし、頼りになります。去年僕も1年生ながら出してもらいましたが、どうしても萎縮して攻められない時間とか1年生はあると思いますけど、彼にはそういうところも遠慮せずにガツガツいってほしいなと思います。

――明大戦への意気込みをお願いします

 明治には高校の同期が2人いるので負けたくないっていうのも1つあるんですけど、最後リーグ戦を勝って終わることが僕はまだできてなくて、去年は最終戦で(春、秋)どっちも負けてしまったので。そこで勝って終わることで次の秋リーグ(関東学生秋季リーグ)、インカレ(全日本学生選手権)にもつながると絶対思うので、勝って全員で笑顔で終わりたいなと思います。

結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)

――試合を終えて率直な感想を教えてください

 連敗が続く中、今日勝てたことで、入れ替え戦回避につながったのでとてもうれしいです。

――初のスタメン出場でしたが、どのような気持ちで臨みましたか

 緊張したりスタートが怖い気持ちもあったりしましたが、自分の持ち味を生かしてスタートから相手と渡り合えたので良かったです。

――バックとの連携はいかがでしたか

 合わせたことがない人もいましたが、練習では他の人と同じくらい入らせてもらっていたので、合わないと感じることは少なかったです。

――ディフェンスでも3枚目で活躍されていましたが、何か意識したことはありますか

 相手のストロングポイントの選手になるべくシュートを打たせないように、前に高く出て当たることを意識していました。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

 最終節なので、秋リーグ、早関戦、インカレへとつなげていけるように勝利で終わりたいです。