関東学生春季リーグ 5月5日 東京・日本大学八幡山体育館
開幕初勝利から一夜明け、気を引き締めて連勝を目指す早大は、第6戦・国士舘大戦に臨んだ。競った展開が続いた前半、ラスト5分から一気にリードを許した早大は、14―17の3点ビハインドで折り返す。しかし後半、堅実なディフェンスからの速攻や、確率高いサイドシュートなどで一気に試合をひっくり返し、30―29で1点差の接戦を勝ち切った。
試合前に円陣を組む早大
ディフェンスからのスタートとなった早大は、開始30秒、クロスを交えたミドルシュートを決められ、先制点を国士舘大に許す。しかし次の攻撃で、外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)が相手ディフェンスを引きつけると、パスを受けた村松涼雅(商3=岩手・不来方)が確実にゴールに押し込みすぐに試合を振り出しに戻す。国士舘大が強烈なミドルをゴールに突き刺すと、早大は所真大(社2=岡山・総社)の狭い角度からのサイドシュートや、鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)の1、2枚目間を割って放ったシュート、増井浩介(スポ1=愛知)の速攻でスピードに乗ったサイドシュートで応戦し、2点のリードを奪う。このままリードを保ちたい早大だったが、相手もカットインや強い当たりのディフェンスから展開する速攻を見せ、同点に追いつかれると、その後は両者一歩も譲らず均衡した時間が続く。試合が動いたのは前半25分、早大1点ビハインドの状況、国士舘大が取ったタイムアウト明けだった。国士舘大が鋭いミドルやこぼれ球を押し込むシュートを放ち、早大は一気に3点リードを与えてしまった。前半終了間際には、キーパー渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)が右足で相手のミドルを止め速攻に持ち込むも、相手のキーパーも負けじと好セーブを見せ、そのまま3点差の14―17で前半を終えた。
シュートを放つ所。圧倒的な決定率でこの試合12得点をマークした
3点を追いかける早大は後半1分半、相手オフェンスに中を割らせず苦しい体勢でシュートを打たせると、渡辺がしっかりとセーブし、尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)の速攻で先に得点を奪う。しかし一方の国士舘大も粘り強いオフェンスを展開し、後半5分には逆速攻からシュートを決め、両チームの点差は4点にまで広がる。苦しい展開かと思われたが、悔しい敗戦を経験してきた早大はここで落ちなかった。後半から左45にポシションを変えた白築琢磨主将(文構4=東京・早実)が、ディフェンスを引きつけてボールをサイドに回すと、左サイドの所が確実にシュートを決める。また白築の7メートルスローや所の速攻、尾上のカットインで早大は2点差まで詰め寄った。国士舘大は継続してクロスを交えつつ粘り強いオフェンスを展開するが、渡辺のキーピングも光り早大は失点を最小限に抑える。追いつきたい早大は16分半、組織的なディフェンスからボールを奪い、白築が速攻で同点ゴールを挙げると、そのまま一気に逆転を狙う。後半序盤から印象的だった、外への展開を意識したという白築と、相手キーパーとの駆け引きを得意とする所との連携がここでもはまり、所の左サイドシュートで早大はついに逆転に成功。その後外種子田が右サイドシュートをワンステップで決め切ると、国士舘大に2点差をつけた。リードを守りたい早大は足を動かし続け、積極的に牽制に出るシーンも多かった「持ち味は運動量」と語る守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)が、後半23分にはチャージを誘い相手オフェンスの得点を阻む。しかし対する国士舘大も意地を見せ、シュートフェイントからポストにパスを落としてのシュートや、強烈なミドルを放ち必死に粘る。相手を振り切りたい早大は、外種子田から白築へのスカイや、守屋のポストシュートで再び1点のリードを奪うと、試合時間残り15秒でタイムアウトを取った。簡単なミスはせずに時間を使って攻める意識を確認し合ったというワセダセブンは、狙い通り時間を使ってシュートまで持ち込み、そのまま1点を守り切った早大が30―29で接戦を制した。
豊富な運動量でディフェンスを組織する守屋(左)、村松(中央)、小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)
春季リーグ、これまで1点差で悔しい思いもしてきた早大。今試合は前半の3点ビハインドを後半でひっくり返し、全員で1点のリードを守り切った。「この結果はチームがうまくいっている証拠」と守屋が試合後に振り返ったように、開幕4連敗の悔しさからチーム力を高めてきた早大ハンドボール部。次戦の相手は、これまでリーグ6連勝と負けなしの日体大だ。成長を続ける今の彼らに怖いものはない。守って速攻に持ち込む、雰囲気を作る、足を動かし続ける、勝ち切る。所の意気込み通り、全員ハンドの「早稲田らしいプレー」で、3連勝を目指す。
(記事 片山和香、写真 芦刈れい)
結果
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | ○ | 30―29 | 国士舘大 | |
14―17 |
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スタメン | ||||
GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園) |
コメント
白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
――試合を終えて今の気持ちを聞かせてください
まずは1番に嬉しいという気持ちがあります。昨日の勢いのまま、今日こうやって結果を出すことができたのがすごく嬉しいですし、ほっとしています。
――トップが浮いてくる相手のディフェンスに対して、どんな風に攻めようと考えられていましたか
昨日と引き続き、外を狙う意識はずっと持ち続けようという話はしていました。僕はセンター入ったり45入ったりしていたんですけど、特に45に入った時は外攻めようということを意識はしていたので、その意識が結果的に左サイドシュートにつながって良かったかなと思います。
――昨日に引き続き2枚目も守られていましたが、どんな意識でディフェンスに入られましたか
僕の前(の相手オフェンス)が右利きだったので、中に持っていこうというのはチームでずっとやっていました。それが昨日に引き続き今日、アウトに割られた場面がゼロではなかったんですけど少なくできたことにつながって、キーパーもちゃんと取ってくれたので、2枚目としての役割は果たせたかなとは思っています。でもやっぱり2枚目入るからにはもっと頑張りたいなという気持ちもあります。
――試合終了間際1点リードの場面で早大がタイムアウトをとりましたが、その時はどのような話をされましたか
簡単なミスはやめようっていう話はしていて、審判の手が挙がるまで時間を使って、無理して攻めることはしないようにということを確認し合いました。最後シュートまで行けたことはすごく大きかったかなと思います。
――最後に、次戦の相手は日体大ですがどんな気持ちで臨まれますか
日体大はまだ負けてなくてすごく強いチームだとは思うんですけど、僕たちの強みが出せれば全然戦えない相手ではないし、この勢いのままディフェンス・オフェンスチーム全員で戦って勝ちたいです。
渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)
――今日の試合を振り返って、率直な感想をお願いします
もう、ばり嬉しいです。
――好セーブを連発していましたが、キーピングで意識していたことはありますか
前半は、昨日もそうだったのですが終わったなという感じで、ずっと上がりきれなかったのですが、後半で1本、2本と止めたタイミングでいけるなって思い始めて、そこからしっかり集中しました。意識していたのは、位置取りと早く飛ぶというところです。
――渡辺選手から見て今日のディフェンスはいかがでしたか
前半のディフェンスは、動いていたところの最後のきわを取りこぼしてしまっていました。自分も取りこぼしていたのですが。後半にかけては、今日も相手のふりについていって守って守って、最後取りこぼしたところとか速攻は自分が止められたかなと思います。総じて良かったなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
昨日勝ったのですが喜べなくて、今日連勝してやっと喜べたというところで、来週はもう1回挑戦する気持ちです。来週の相手の日体大は全勝していて、そんな日体大にしっかり挑みたいと思います。
守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)
――まず今日の試合振り返って率直な感想を聞かせてください
勝てて良かったです。4連敗から昨日勝って、でも順位的にはまだ9、8位あたりで、この後いくつも勝っていかないといけない状態だったんですけど、そこで2連勝できたことがすごく良かったかなと思います。あと前半の3点ビハインドから、後半粘ってひっくり返したのがすごくチームとしてもうまくいっている証拠なのかなと感じています。
――相手のチャージを誘うなど、ディフェンスでも活躍されていましたが意識していることはありますか
開幕4連戦はずっと3枚目を守っていたんですけど、3枚目にフィットしていない感覚がありました。今週の練習でもうまくフィットしなかったので、本当は昨日もスタートで行く予定だったんですけど、コーチ陣と相談して3枚目から外してもらって、昨日から2枚目をやりました。僕の持ち味は運動量、そこを出していきたいなと思って昨日もプレーして、今日は昨日の反省も踏まえてプレーした中で、ああいう形でチャージが取れたのはすごくうれしいなと思います。
――今日の試合を通してチームの雰囲気はいかがでしたか
すごく良かったと思います。アップから集中してやれていました。昨日はアップの開始がちょっとごたついてしまったんですけど、今日はごたつきもなくスムーズに入れました。あとベンチもコート外も一緒になって盛り上がれたことと、全員が今何をするべきなのかということをはっきり理解して試合に臨めたことが、良かったのかなと思っています。
――最後に次戦日体大戦への意気込みをお願いします
今(日体大は)全勝なのですごく厳しい戦いになるとは思うんですけど、向こうも走ってくるチームなので、走り負けないで走り勝てるように、守って走って、3連勝決めて気持ちよくなりたいです。
所真大(社2=岡山・総社)
――今日の試合振り返って率直な感想を聞かせてください
昨日から結構サイドシュート入っていて良いイメージはあったので、その勢いで今日もよく決められて良かったです。
――サイドシュートはどんな狙いで打っていましたか
僕はあんまり球が速い方ではないので、キーパーとの駆け引きという部分を結構大事にしていて、キーパーが動いた方の反対側に打とうっていう風に考えていました。今日の相手キーパーは結構動いてくるキーパーだったので相性が良かったなと思います。
――隣の白築選手との連携はいかがでしたか
練習の時からペアを組むことが多かったので、やっぱり琢磨さん(白築琢磨主将、文構4=東京・早実)にマークが密集する分、僕の方のサイドが結構空くので、日頃からパスを出してもらうようにお願いはしていました。そこが実際に形になったかなと思います。
――今日のチームの雰囲気はいかがでしたか
最初4連敗から始まって、昨日やっと初勝利できたということで、やっぱり雰囲気は良くなってきています。全員で試合に挑むという形がだんだん出来上がってきているので、これからも早稲田のハンドボールを続けて、このまま5連勝を目指して頑張っていきたいと思います。
――最後に次戦日体大戦への意気込みを聞かせてください
日体大は今5連勝中なのでやっぱり手強い部分はあるんですけど、今までの早稲田からさらにレベルアップして、早稲田らしいプレーを出していけたらいいかなと思います。