待望の開幕初勝利 中大相手に6点差の快勝

男子ハンドボール

関東学生春季リーグ 5月4日 東京・日本大学八幡山体育館

 開幕4連敗で迎えた第5戦。なんとしてでも勝利をつかみたい早大は、昨年度全日本学生選手権(インカレ)王者・中大との戦いに臨んだ。立ち上がりリードを奪われるも、積極的にゴールを狙い途中で逆転、その後再び追いつかれるといった一進一退の攻防で、16―16で前半を終える。同点で迎えた後半、前半から運動量は落ちることなく、堅いディフェンスから勢いのあるオフェンスを展開して流れをつかみ、33―27と中大相手に6点差をつけ快勝。開幕初勝利を挙げた。

 試合開始直後、中大に先制点を奪われた早大だったが、開幕初スタメンの村松涼雅(商3=岩手・不来方)がポストシュートを決めすぐさま追いつく。しかし中大も負けじと追加点を上げ、早大は2点のリードを許した。前半3分には退場者を出して、相手に7メートルスローを決められ点差を離される。だがその間の早大オフェンスは落ち着いていた。時間を使ってボールを回し、粘ってシュートまで持ち込んだ。白築琢磨主将(文構4=東京・早実)と村松がシュートをねじ込み、1人少ない時間帯に得点を上げて、中大に食らいつく。点差を縮めたい早大は、外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)のスピードに乗ったミドルや速攻で一気に追いつき、白築の体を張ったプレーからのペナルティーシュートで前半19分、ついに逆転した。そのまま突き放すかと思われたが、オフェンスのパスミスから速攻に持ち込まれるなど、相手も簡単には流れを渡してくれない。取って取られての展開が続き、16―16の同点で前半を折り返した。

ポストシュートを放つ村松

 後半、早大は順調な立ち上がりを見せる。前半途中からセンターに入った河原龍成(スポ1=福井・北陸)、そして後半からポストに入った守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)が苦しい体勢からシュートまで持ち込み、2点のリードを奪った。その後は両者一歩も譲らない攻防を繰り広げる。中大は強力なミドルで点を重ね、一方の早大は、鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)のスピードに乗ったシュートや所真大(社2=岡山・総社)の確率高いサイドシュートなどで応戦する。2点リードを維持する展開が続く中、流れを握って点差を広げたい早大は、ここで持ち味の「堅守速攻」を存分に発揮する。豊富な運動量のディフェンスは相手オフェンスを機能させず、守護神・渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)も好セーブでチームを支えた。交代などの影響で普段と違うフォーメーションがあった中でもうまく組織したこの堅いディフェンスで早大は、後半17分から24分まで約7分間相手の得点を阻み、その間に速攻を中心に6連続得点を上げ、一気に流れをつかんだ。相手を突き放すと、その後も堅い守りと積極的なオフェンスを続け、最後まで流れを渡さず33―27で快勝した。

得点後に声を上げる鍋島。コート内外からチームを鼓舞した

 今試合、走り勝つことを目標にしていた早大は、その目標通りディフェンスでもオフェンスでも最後まで足を動かして勝ち切った。これまで悔しい敗戦が続いた早大。ついにつかんだ勝利は、開幕前からポイントに掲げていた豊富な運動量が十分に発揮された結果ではないだろうか。しかし「まだ1勝目」と白築が語るように、ここで満足してはいられない。この勝利をきっかけにして、これから勝ち星を積み上げるのみ。意気込むワセダセブンは次戦、国士舘大に挑む。

(記事 片山和香、写真 芦刈れい)

結果

関東学生春季リーグ
早大 33―27 中大

16―16
17―11

スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
CP 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
CP 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
CP 小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)
CP 村松涼雅(商3=岩手・不来方)
CP 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
CP 増井浩介(スポ1=愛知)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――試合を振り返ってまず率直な気持ちを聞かせてください

 まずは4連敗からの1勝目、またこのチームでの公式戦1勝目ということで、すごくほっとはしています。でもまだ1勝目なので、明日も頑張ります。

――積極的に攻められていたと思いますが、オフェンスで意識していたことはありますか

 結構相手のディフェンスが高くて寄りも早かったので、さばこうさばこうとはしていたんですけど、思ったより前も空いている場面が結構あったので、攻めに行くところは行くし、さばくところはさばくというような使い分けはできていたのかなと思います。

――今日のディフェンスに関して、チームで共通の意識はありましたか

 今日は極端に言えば、囲うようなデェフェンスを意識していました。密集して密集して最後1枚目から端っこから寄せるというようなディフェンスをやろうと、試合前に話していたのでそれが体現できたなと思います。僕自身も左側の2枚目っていう、普段あまりやってなかったところも守ったんですけど、結構うまくフィットしたというか、自分なりに守ることができたので良かったなと思っています。

――今日の試合のチームの雰囲気はいかがでしたか。

 フラストレーション溜まる時間というのが、今日1試合通してあまりなかったということが、今日の勝因の1つだとは思います。ディフェンスからの速攻でどれだけシュート外しても、まずはディフェンスからというようにプレーした結果が、今日の雰囲気につながったのでそれは継続していきたいです。

――前半同点で終えて後半に点差を離した展開になりましたが、前半と後半で何か変えた部分などありましたか

 何か変えたというよりは、1試合通して走り続けようっていうような話はしていたので、後半も足止まらないようにだとか、もっと走ってディフェンスから走り勝とうというようなことは確認しあって、実際後半も足が止まっていなかったことがすごく良かったのかなと思います。

――最後に実戦への意気込みを聞かせてください

 さっきも言ったように、まだ1勝目というところでもあって、全勝しているチームもありますしまだまだ上に行くには勝ち点が足りないところなので、またこの勢いのまま、良いところはどんどん吸収して伸ばしていって、このまま最終戦まで全部勝てるように頑張ります。

村松涼雅(商3=岩手・不来方)

――今日試合を終えて率直な感想を聞かせてください

 素直に嬉しいです。

――今シーズン初スタメンでしたが、どんな気持ちで試合に臨まれましたか

 初めてスタメン出させてもらって、チームとしても4連敗が苦しかったので、自分が何か貢献できればいいなという気持ちでした。(試合)全部出なくていいから、とりあえず走り勝つというのをチームで話していたので、それができてよかったです。

――ディフェンスは、最後まで運動量も多くてうまく機能していた印象がありましたが、意識していたことはありますか

 相手のセンターは結構フェイントも切れるんですけど、そこで相手に合わせるのではなくて、自分たちが練習してきたことを最大限出すということを意識してディフェンスに入りました。

――後半、オフェンスでバックプレーヤーとコミュニケーションをとっている場面がありましたが、どんなこと話されていましたか

 相手のディフェンスが結構高かったので、上の人をおとりにして、自分がもう少し顔を出して(パスを)もらえるんじゃないかという話をしました。

――最後に実戦への意気込みを聞かせてください

 この勢いに乗ってまずは明日勝って、インカレ(全日本学生選手権)出場権獲得を目指して頑張りたいです。

鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)

――今日の試合終えて、率直な感想をお願いします

 今日の試合は5試合目で、今まで勝ちがなくてチームとしてもしんどい雰囲気でしたが、今日なんとか勝てて本当に自分自身ほっとしています。皆も同じだと思います。しんどかった分この勝ちはすごくうれしいです。

――オフェンスで積極的に間を狙われていましたが、どのような意識でオフェンスに入られていましたか

 特別な意識を持っていたわけではなかったです。ですが、中大には小学校、中学校、高校の同期や後輩もいるので負けられないなという思いで頑張りました。

――コート内外で声を積極的に出してチームを盛り上げる姿が印象的でしたが、試合中のチームの雰囲気はいかがでしたか

 しんどい時間帯もあったのですが、皆で声を出し続けたことで、いい流れに持って行けたかなと思います。

――明日の試合に向けての意気込みをお願いします

 明日も勝って、この勝利がまぐれと言われないように頑張ります。