再び1点差で悔しい敗戦 堅守速攻見せるも一歩及ばず

男子ハンドボール

関東学生春季リーグ 4月28日 東京・明治大学和泉体育館

 前日1点差で涙をのんだ早大は、第4戦・法大戦に臨んだ。早大は3敗、法大は2敗1分といういまだ勝ち星のない両チームの対戦は、意地と意地のぶつかり合いとなった。まずは前半、立ち上がりに3点先行されると、一度は追いつくが再び離され、12―15で折り返す。あとがない後半、早大は持ち味の「堅守速攻」で流れをつかみ一気に逆転する。初勝利が見えたものの、最後の5分で逆転を許してしまい29―30で試合終了となった。

 前半の立ち上がり、シュートを決めきれない、パスカットを許すなど、早大はオフェンスのミスから速攻に持ち込まれ、法大に3点リードを奪われる。早大の初得点は前半5分半。3枚目の守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)と小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)を中心としたディフェンスは、法大のセットオフェンスを機能させずオーバーステップを誘うと、速攻に走った所真大(社2=岡山・総社)がシュートを決めた。その後は互いに点を取り合う展開が続く。点差を縮めたい早大、前半16分に相手が退場者を出すと、外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)がインに切り込んでのシュートを、白築琢磨主将(文構4=東京・早実)が冷静にエンプティゴールを決め、前半18分、守屋の速攻でついに同点に追いつく。しかし法大も簡単には流れを渡さない。早大は相手にボールを回させるディフェンスを展開するも、法大・岩﨑琢未(4年)のミドルシュートなどで再び点差を離され、12―15の3点差で前半を終える。

同点ゴールを決めた守屋(右)とハイタッチをする鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)

 追いつきたい後半だったが、相手ポストにディフェンス裏を走られ、点差を4点に広げられる。厳しい展開の中、チームを救ったのは「全部止めてやるという気持ちで試合に臨んだ」と語るキーパー渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)だった。スピードに乗ったシュートに対し好セーブを連発し、法大に点差を広げさせない。なんとか応えたいオフェンスは、後半13分から反撃に出る。尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)が積極的にシュートに持ち込みミドルシュートをゴールに突き刺すと、西村悠吾(人3=千葉・市川)が2連続で左サイドから、外種子田が速攻でシュートを決め、再び同点に追いつく。流れに乗った早大は、村松涼雅(商3=岩手・不来方)が体を張ってルーズボールを取り、西村が速攻に走ると一気に勝ち越し点を挙げた。その後も堅いディフェンスからスピードに乗ったオフェンスを展開し、1点リードのまま、ラスト5分で早大がタイムアウトを取る。集中力を切らさずリードを守りたい早大。しかしタイムアウト明け、法大に1、2枚目間を割られ同点に追いつかれると、その後のプレーで退場者を出してしまう。「同点で耐えられずに、簡単に逆転をされてしまったのがもったいなかった」と渡辺が振り返ったように、1人少ない時間にパスミスからボールを奪われエンプティゴールを決められた。これが決勝点となり、29―30で試合終了の笛が吹かれた。

ガッツポーズをする村松

 得点後ガッツポーズを見せる場面が多く、試合にかける気持ちが目に見えた法大戦。両チームとも、チャージやオーバーステップなどオフェンスのミスを誘発する堅い守りを見せ、ディフェンスから勢いをつけたオフェンスをどれだけ展開できるかの勝負となった。「守って速攻」というワセダらしいプレーが続き、一時は完全に流れをつかんだものの、試合終了前5分間で逆転を許してしまい、勝ち切ることの難しさを痛感させられた。チームは開幕4連敗となったが、負けを経験するたびに勝利への執念は強くなっている。次戦の相手は全日本学生選手権(インカレ)優勝校の中大。強敵ではあるが、昨秋は早大が接戦を制している。悔しさを経てさらにレベルアップした姿で勝利を目指す。

(記事 片山和香、写真 芦刈れい)

結果

関東学生春季リーグ
早大 29−30   法大
   

12−15
17−15

   
スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)
CB 白築琢磨(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 増井浩介(スポ1=愛知)

 

コメント

渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)

――今の率直な感想を教えてください

 ばり悔しいです。

――好セーブが多く見られましたが、セービングで意識していたことはありますか

 3月の開幕前に良い練習ができたので、自信を持って入ることのできたリーグでした。自分は3戦目まで調子をつかむきっかけを持てなかったんですけど、その中でも蓮(大武蓮、社3=神奈川・川和)が頑張ってくれていたので、「今日こそは」「全部止めてやるぞ」という気持ちで試合に臨みました。

――良い練習ができたとおっしゃっていましたが、これまでと違う練習をされたのですか

 合宿でたくさん練習試合をこなしました。去年は塚本さん(智宇氏、スポ4=富山・高岡向陵)がいて2番手で出ていたんですけど、今年は頭から1人で出なきゃいけないなという意識があります。その上でしっかり止めて試合をつくることができた、また勝ちもたくさんあったことで、自信を持てた練習期間でした。

――後ろから見て、今日の早大のディフェンスはいかがでしたか

 昨日の試合はほぼ蓮に任していたんですけど、先週の2試合は、デェフェンスは約束通り守れなかったり、僕も止め切れなかったりという場面がありました。でも今日はここに来そうだなという勝負どころがはっきりしていたので、すごくいいディフェンスをしてくれていたと思います。

――決めていた約束事とは具体的にどういったことですか

 当たり前といえば当たり前なんですけど、2枚目と3枚目の間を簡単には割られないことや、簡単にサイドに飛ばれないことなどです。

――実際に試合中にはディフェンスに対してどのような声がけをしていましたか

 昨日から徐々に出場時間増やしてきている颯太(結城颯太、スポ2=千葉・昭和学院)と、今日はよく話しました。颯太とは3月ずっと一緒に練習してきたので、「この選手にはこう当たってこっちに打たせて」、「俺はこっち取りにいくから、颯太はここだけ当たって」というようなことを話し合っていました。

――良い流れをつかんだ時間もあったと思うのですが、最後勝ち切れなかった要因は何か考えられますか

 具体的に言えば、ラスト5分のところで(早大に)退場があって、同点のまま2分間乗り切れられれば良かったなと思います。僕の声がけ不足でしたし、(コートプレーヤーとの)交代のところをちゃんと交代しきれずに、簡単に1点献上してしまって逆転されてしまったのがもったいなかったです。もっとコミュニケーション取れたかなと思います。直前に少し間があったので、そこでもっと喋っていれば良かったなと、そういうところが具体的な反省点です。

――今年から副将となられて、意識など変わった部分はありますか

 もう全部です。やっぱり去年の4年生がどれだけ偉大だったかということも感じつつ戦っています。新チームは今4連敗ですけど、ここから巻き返していきたいです。今から優勝というのは難しいとは思うんですけど、なんとか順位を上げて一部に残留して、次につなげるような、そんな意識を持って春(関東学生春季リーグ)戦いたいなと思います。

――最後に次戦、中大戦に向けて意気込みをお願いします

 今日のようなキーピングを一生懸命やって、キーパー陣協力して、次こそ勝ちにつなげられるように頑張ります。

尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)

――試合を終えてまず率直な感想をお願いします

 途中リードしていたので勝ちたかったんですけど、勝ち切れなくて残念です。

――積極的にシュートを狙われていましたが、オフェンスで意識していたことはありますか

 初戦と2回戦目は、個人的に調子が悪くてあまりチームに貢献できてなかったなという気持ちがありました。そこでめげてネガティブな気持ちになってはいけないなと思って、今日は積極的に打ちに行くようにしていました。

――1試合通して、チームの雰囲気はどうでしたか

 初戦から今現在の試合にかけてどんどん良くはなってきているんですけど、やっぱりまだ勝ち切れていないので、もどかしい気持ちの雰囲気があります。

――勝ち切れなかった原因として何が考えられますか

 自分たちがリードした時に、もう1点、相手が無理だなと思うところまで点差を離せられなかったことが勝ち切れなかった原因かなと思います。

――最後に次戦への意気込みを聞かせてください

 個人的には今日の動きは良かったので、あのプレーを忘れずに次の試合でもチームに貢献できるように頑張りたいと思います。