筑波大相手に1点差の惜敗 粘り強く白熱した試合を繰り広げる

男子ハンドボール

関東学生春季リーグ 4月27日 東京・国士舘大学多摩体育館

 先週開幕した関東学生春季リーグ(春季リーグ)も第3戦を迎える。白星に恵まれない早大は、昨年の関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)優勝校・筑波大と対戦した。前半はお互い流れを渡さず競った試合展開が続き、1点差の17―18で折り返す。追いつき追い越したい後半、一度は同点に追いついたものの、再びリードを奪われその1点差を縮められずに、32―33で悔しい敗戦となった。

 立ち上がりから早大は、バックプレーヤー陣を中心に果敢に攻め込む。シュートまで持ち込むものの、筑波大のキーパー、大山翔伍(4年)に何度も得点を阻まれた。その隙に筑波大が反撃に出て、早大は先制点を奪われる。トップに1人浮いたディフェンスを展開する筑波大。それに対し早大は、両45が積極的にインに切り込み、トップディフェンス裏の空間をうまく活用するオフェンスを展開する。この形の攻撃が「相手の退場や自分たちのミドルシュートにつながった」と白築琢磨主将(文構4=東京・早実)が振り返るように、左45鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)のカットインでチーム初得点をあげ、相手の退場を誘う。相手の退場の間に、早大は組織的なディフェンスで相手オフェンスの勢いを止め、積極的にボールを奪いにいき、持ち味の堅守速攻を発揮する。外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)の体を張ったルーズボールの獲得や、鍋島のパスカットから速攻につなげると一気に逆転した。しかしそれも束の間、オフェンスのミスから3連続で失点し、再びリードを許してしまう。大浦和真(4年)の強力なミドルシュートなどで得点を重ねる筑波大に対し早大は、増井浩介(スポ1=愛知)のインコースを狙った右サイドシュートや、白築の力強いミドル、前半途中からセンターに入った1年生河原龍成(スポ1=福井・北陸)のスピードを生かしたカットインなどでなんとか食らいつき、17―18の1点差で前半を折り返す。

積極的にシュートを狙う鍋島

 リードを奪いたい後半だったが、前半と同様に一進一退の攻防が続く。後半7分以降のなかなか早大が得点を重ねられない時間帯、キーパー大武蓮(社3=神奈川・川和)がチームを支える。「自分を信じて止めにいった」と語る大武は、速攻でスピードに乗った筑波大のシュートに対し好セーブを連発する。両者一歩も譲らず点差が縮まらない中、あとがない早大。外種子田が1、2枚目間を割ってシュートを決めると、小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)が速攻で、白築がロングシュートでそれに続いた。畳み掛けるようにして、外種子田のミドルシュートがゴールに突き刺さり、残りあと4分で同点に追いつく。逆転が見えたかと思われたが、1点を争う試合展開でプレッシャーもあり、早大はシュートを決め切れない。その間に筑波大に再びリードを奪われ、32―33でゲームセットとなった。試合終了まで全力で戦った早大だったが、勝利にはあと一歩届かなかった。

気持ちの入った声がけでチームを盛り上げるベンチ

 今日こそ勝つ、と意気込んで臨んだ今回の筑波大戦。1点差が詰められず、またも悔しい結果となった。しかし「逆転ができる位置にずっといられたことは、チームとして良い収穫になった」と大武が振り返るように、粘り強くプレーし白熱した試合を繰り広げた早大。チームが流れに乗れている時はもちろん、得点を奪えず落ち込みそうになった時にも、コート内外問わずチーム全員が声を出して盛り上げるシーンが印象的だった。またルーズボールへの反応や、相手速攻に対するディフェンスの戻りなど、粘り強くまた泥臭く勝ちを目指す姿勢も見られた今試合。悔しい敗戦となったものの、勝利に向けてチーム力は確実に強くなっているだろう。次戦の相手は法大。今リーグいまだ勝ち星をつかめていない者同士、負けられない戦いになる。次戦も全員ハンドで、この悔しさを勝利につなげる。

(記事 片山和香、写真 丸山勝央)

結果

関東学生春季リーグ
早大 32―33 筑波大

17―18
15―15

スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)
CB 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 増井浩介(スポ1=愛知)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――試合を振り返っていかがですか

 先週の2試合から、チームとしてやりたいことを再確認して、退場しないなど細かいところをどんどん修正していこうという話をしていました。その中で前半の立ち上がりは、すごく悪いというわけではなかったんですけど、僕が退場してしまって流れを引き寄せられるところを相手に渡してしまったのかなという反省があります。前半を1点差で折り返して、比較的失点は多かったけれど、内容がそこまで悪いわけではなかったように感じています。その中で勝ちきれなかったのは、やっぱり最後の1点の重みというところで、詰めの甘さや1点を決めきる気持ちというのが、相手の方が1歩上回ったのかなというふうには思います。

――まずオフェンスについて、特に前半、1人浮いてきていた相手のディフェンスに対して、どう対応しようと考えていましたか

 トップの1人出ているディフェンスが、僕に対してすごく高めに浮いてきていたので、45にはその裏をえぐるような、インに切っていくような動きをしてほしいっていう声かけをしました。その動きが相手の退場を誘えたり、ミドルシュートにつながったりしていたので、そういう面では(相手のディフェンスに)うまく対応できていたのかなと思います。

――次にディフェンスに関して、前半から後半までルーズボールに反応したり、相手の速攻を走って止めたりするシーンが印象的でしたが、チームで共通の意識はありましたか

 ルーズボールを取ってから速攻まで行くところだったり、オフェンスからディフェンスに戻ってバックチェックをするところだったり、その切り替えの部分を大事にしようという話はしていました。実際に試合の中で、ルーズボールをマイボールにできたり、そこから速攻につなげられたりしたことは、チームとしてやりたかったことなので、これからも継続していきたいと思っています。

――1試合通してオフェンスでもディフェンスでも、隣のチームメイトとコミュニケーションを取っていた場面が多かったと思いますが、どういうことを話されていましたか

 オフェンスでは、特に1年生の河原龍成(スポ1=福井・北陸)とよく話をしていました。彼は本格的に長時間試合に出場するのは今日が初めてだったんですが、すごくのびのびプレーしてくれていました。その中でインでの展開が目立ったので、外の展開を増やそうという話を彼とはしました。ディフェンスでは、鍋島(弘樹、スポ2=福井・北陸)や豊田(創志、スポ2=千葉・市川)、西村(悠吾、人3=千葉・市川)との間で、どれだけ寄せるのか、ポストの裏をどう守るのかというようなことを確認していました。1試合通して具体的な声がけが意識できていたので良かったかなと感じています。

――声を出して盛り上げている場面が多く見られましたが、キャプテンとして意識していたことはありますか

 やっぱり1点を争っている場面や1、2点ビハインドの場面で、チームの雰囲気が落ちそうな時、相手に(得点差を)離されそうな時に、声をかけて鼓舞して引っ張るというのが、4年生としてキャプテンとしての役割だと思っていて、今日の試合ではそういったところを意識しようと思っていました。その意識がミドルシュートなり、攻撃が詰まった時に僕が攻めて点をもぎ取る姿勢につながったのではないかなと思います。

――最後に次戦への意気込みをお願いします

 毎回言っているように、負けてられないし落ち込んでいる暇もないので、みんなにはいち早く切り替えて準備してほしいし、明日の試合に120パーセントぶつけられるように全員で頑張っていきたいです。

大武蓮(社3=神奈川・川和)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 勝ちたかったです。でも大差をつけられた先週の2試合と比べたら、今週は粘って逆転ができる位置にずっといられたことは、チームとして良い収穫だったと思います。

――後ろから見ていて今日のディフェンス、オフェンスはいかがでしたか

 ディフェンスは、やっぱりポストの体格差で攻め込まれる場面がありました。そこの対策をしていたのですが、フィジカルでやられてしまって手も足も出ない部分があったので、そこを秋リーグ(関東学生秋季リーグ)までに対策できるようにしたいです。

――今日の試合すごく当たっていた印象がありますが、ご自身としても調子の良さは感じていますか

 そうですね、先週から調子良いなって感じです。

――大浦和真選手(4年)など強力なシューターが筑波大には多数いる中、セービングで意識していたことはありますか

 大浦選手や小坂井暸選手(2年)といった速いシューターはディフェンスと連動して止めにいって、それ以外の選手は自分を信じて止めにいきました。

――法大戦に向けて意気込みをお願いします

 チーム全員で勝ちたいです。勝って次以降のリーグ戦につなげていきたいです。

河原龍成(スポ1=福井・北陸)

――今日の試合を振り返ってください

 悔しいです。

――公式戦初得点を決めた時のお気持ちを聞かせてください

 気持ち良かったです(笑)。

――筑波大ディフェンスに対してどういった意識でセンターとして立ち回っていましたか

 僕は体が小さいのでスピードに乗りながら、周りを生かしつつ自分もシュートを狙っていきました。

――白築主将、外種子田崚汰選手(スポ3=鹿児島・国分)などといった上級生が両エースでしたが、お二方との連携はいかがでしたか

 下級生が意見を発しやすい環境を作ってくださっているので、のびのびとやらしてもらっています。

――高校の先輩にあたる鍋島弘樹選手(スポ2=福井・北陸)はどういった存在ですか

 声を出しているところや、プレー面でも見ていて心強い方です。

――法大戦に向けて意気込みをお願いします

 試合に出ても出ていなくても自分のできることをやっていこうと思います。