流れを取り戻せず悔しい敗戦 開幕初勝利は次戦へ持ち越し

男子ハンドボール

関東学生春季リーグ 4月21日 東京・国士舘大学多摩体育館

 関東学生春季リーグ(春季リーグ)第2戦。敗戦から一夜あけ、早大は再び開幕初勝利を目指して日大戦に臨んだ。前半は1、2点ビハインドの状況が続くも、終了間際に一気に攻め込み14―14の同点で折り返す。後半は順調な立ち上がりを見せたが、一度流れを失うと逆転から一気にリードを奪われ、差を詰められずに28―37で試合終了となった。

 試合開始直後、鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)が積極的にカットインで攻め込むと、こぼれ球を白築琢磨主将(文構4=東京・早実)が押し込み先制点を挙げる。このまま追加点が欲しい早大だったが、日大が放ったロングシュートが、外種子田峻汰(スポ3=鹿児島・国分)がブロックして勢いを殺したもののゴールに吸い込まれ、すぐに試合は振り出しに戻る。続けてポストとの連携プレーやディフェンスの間を突かれたカットインなどで攻め込まれ、日大にリードを許してしまう。ビハインドの状態で早大オフェンスは、「相手のマークミスを起こさせることができなかった」と白築が言うように、相手の3・3ディフェンスに攻めあぐねた。得点が重ねられない苦しい中、ワセダセブンは何度も日大のオフェンスを食い止める。守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)や小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)を中心に展開した、相手をスピードに乗らせないディフェンスで、日大に完全には流れを渡さなかった。そして前半終了間際、連続得点でなんとか同点に追いつき、14―14で折り返す。

苦しい体勢からシュートを放つ守屋

 後半、早大は順調な立ち上がりを見せる。先に日大がサイドから得点するも、すぐに速攻に持ち込み白築の得点で追いつく。続けて守屋がポストシュートを、後半に入って左サイドからセンターに移った所真大(社2=岡山・総社)がミドルシュートを決めリードを奪う。このままの勢いで早大が突き放すかのようにみえたが、流れが変わったのは前戦と同様に退場だった。後半4分半から11分までの間に早大は3人の退場者を出してしまう。その間に日大が得点を重ねると、「チーム全体の雰囲気が悪くなってしまい、相手の勢いに流されてしまう場面があった」と所が振り返るように、なかなか流れを取り戻せない。そのまま日大に7点差をつけられたところで早大はタイムアウトを取った。切り替えたい早大のタイムアウト明け、守屋がポストシュートを倒れながら決め、尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)が右45からブラインドシュートを放って、なんとか日大に食い下がる。最後まで走り戦いきったワセダセブンだったが、得点差を縮められず28―37で試合終了となった。

試合終了後、悔しい表情のワセダセブン

 前日の敗戦から切り替えて、チーム全員で勝利を目指した今回の日大戦。悔しさの残る試合となったが、体を張ったオフェンスや相手の速攻に食らいつくディフェンスなど、最後まで勝ちにこだわる姿勢が印象的だった。この姿勢がこれから、流れが悪く落ち込んだ時に、チームを盛り上げ支え合う、全員プレーにもつながるだろう。27日に迫る次戦は、昨年秋季リーグ優勝の筑波大が相手だ。「次こそ全員で勝ちたい」という白築の言葉通り、この悔しさをバネに成長する早大ハンドボール部の勝利に期待が懸かる。

(記事 片山和香、写真 丸山勝央)

結果

関東学生春季リーグ
早大 28ー37   日大
   

14ー14
14ー23

   
スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
LW 所真大(社2=岡山・総社)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)
CB 白築琢磨(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)

 

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――悔しい結果になりましたが、まず今の率直な感想を教えてください

 開幕2連敗で、僕らがやってきたことが間違ってはいないっていうのは信じているんですけど、それがちゃんと試合で出せないというか。チーム状況が悪いというわけではないと思ってはいるんですけど。あまり100パーセント、120パーセントの力が試合で出せていないというのが現状で。率直にすごい悔しいっていう気持ちです。

――今日の試合、最後まで勝利にこだわる姿勢が伝わってきたのですが、試合に臨む前のチームの雰囲気はいかがでしたか

 試合に臨む前は、昨日の敗戦から切り替えて、チームとして輪になってやってやろうという気持ちがありました。でもどうしても試合になるとそれが(プレーに)出せないというか。落ち込むべき時間帯じゃないのに、自分たちから雰囲気が落ちてしまうっていうことがあったので、そういったところから変えていきたいとは思っています。試合前は基本的にみんなやりたいことは明確になっていたので、試合前は結構雰囲気よく臨めていたのではないかと思います。

――やりたいことというのは、前戦でもおっしゃっていた、中を詰めてボールを回させるディフェンスですか

 そうですね。これは運動量がないと成立しないディフェンスで、運動量がないわけじゃないんですけど、やっぱり相手の相性とかもありますし、隣のディフェンスとのコミュニケーション不足っていうのも結構あったかなと思います。

――続いてオフェンス面に関して、相手の3・3ディフェンスにどう対応するかチーム内で共通の意識はありましたか

 結構立体のディフェンスに対しては、色々とサイドだったりポストだったりとかと絡んで攻めようっていう話はしていました。でもそれを実際にやっても形だけになってしまって、結局相手のマークミスを起こさせることができずに、ただポストが増えただけみたいな感じにはなってしまったように思います。オフェンスでもやりたいことは明確だったんですけど、それがちゃんと機能していたかって言われたらそうじゃなかったので、そこは反省です。

――前戦と同様、退場者が出て1人少ない状況が何度かあったと思うのですが、その時のディフェンス・オフェンスで意識していたことはありますか

 そもそも昨日の後半の出だしで退場が多かったっていうのは反省で、退場をやめようっていう話をしていました。今日も同じミスを繰り返してしまったっていうところは、そもそも反省するべき点ではあると思います。その中でもオフェンスは手が上がるまでじっくり攻めようって言っていました。でも飛ばしパスのミスとか、らしくないミスが出てしまったっていうところがあって、やっぱり気持ちの面から出たものもあると思います。ディフェンスはちゃんと外まで持っていって、サイドシュートまでやらせようという約束でした。その中で、何度も間を割られてしまうっていうのは、やっぱりやるべきことは明確なのに、それが徹底できてないっていうところかなと思います。

――最後に次戦への意気込みを聞かせてください

 もう悔しい気持ちはあるんですけど、ここで落ち込んでいる暇はないし、タラタラ過ごしていても明日は来るし、来週は来るし。時間は止まってくれないので、1分1秒早く切り替えて、次こそ全員で勝ちたいと思っています。

所真大(社2=岡山・総社)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 前半はサイドで出ていましたが、自分のイメージしている展開ができない中、チームのみんなが助けてくれたおかげで14―14で耐えれていた部分はあったんですけど、後半になって自分が(バックプレーヤーとして)動いていく中で、チーム全体の雰囲気が悪くなってしまい、相手の勢いに流されてしまう場面がありました。相手の流れを食い止めきれなかったので、チームの反省点として改善していければいいなと思います。

――試合後のミーティングでどのようなことを話し合いましたか

 最近チーム内でのコミュニケーションがうまくいってなくて、合う合わないで自分たちの判断で人に当たってしまう場面が今回の試合で多く見られたので、「自分に負けるな」というアドバイスをスタッフ陣から頂きました。

――今年のチームはディフェンスにおいて何失点以内に抑えたいですか

 去年と基本的には変わっていませんが、やっぱりこの春リーグ(関東学生春季リーグ)の2試合は大幅に失点が多くなってしまっていて、ディフェンスの改善点が多いですね。

――戦ってみて日大ディフェンスはいかがでしたか

 僕は個人的に日大のような立体ディフェンスがすごく得意で、去年も日大の立体ディフェンスに対していい動きができたので、悪い印象は全然なくて。自分はスピードがある方だと思うので、そこまで苦手意識なく戦えたのがすごく良かったと思います。

――今年から「11」番のユニフォームを着用していますが、ご自身の兄(所凌央、筑波大4年)の影響もありますか

 それもあるんですけど、やっぱり小学校の時からお兄ちゃんの背中を追っかけて11番つけてきていて、自分の中にも11番に愛着があります。自分は総社高校出身なんですけど、総社高校ではキープレーヤーが11番つけるというのが少し前から伝統になっていて、だから僕もキープレーヤーになれるように11番をつけようと思いました。

――次戦筑波大戦への意気込みをお願いします

 筑波大学には僕のお兄ちゃんがいるので、やっぱり負けたくないっていう思いがあって。早稲田大学を選んだ理由もお兄ちゃんと同じところには行きたくないっていうのと、お兄ちゃんに今まで1回も勝ったことないので、来週の直接対決で絶対に勝ちたいです。試合に出ることができたら、自分のやれること全部やって全力を尽くしたいなって思っています。