関東学生春季リーグ展望

男子ハンドボール/女子ハンドボール

3月28日・29日 東京・東伏見体育館

 関東学生春季リーグ(春季リーグ)の開幕が目の前に迫る。男子部は4月20日(対順大戦)、女子部は4月13日(対国士舘大戦)に初戦を控える。今年も早大ハンドボール部の熱い戦いから目が離せない。

 2024年度男子部は、昨年に引き続き全日本学生選手権(インカレ)優勝を目標に掲げた。昨年は熱戦を制し3回戦まで勝ち進んだものの、優勝チーム中央大学にベスト4進出を阻まれ、目標達成とはならなかった。今年は白築琢磨主将(文構4=東京・早実)がチームを率い、春季リーグ、秋季リーグと勢いをつけてインカレに臨み、三冠達成を目指す。比較的小柄な新チームは春季リーグ開幕に向けて、「守って速攻」というワセダのハンドボールに必要不可欠な体づくりやディフェンスの運動量を強化してきた。ディフェンス面、1人目のキープレーヤーとして白築主将が挙げたのは、キーパー渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)だ。チームメイトとの信頼関係のもと、守護神としての活躍に期待がかかる。今年度副将を務める守屋雄司(スポ3=神奈川・法政二)にも注目だ。ディフェンスの要3枚目を守り、視野の広さと運動量でチームを引っ張る。一方オフェンス面でまず注目したいのは、センター白築主将、左45鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)、右45外種子田崚汰(スポ3=千葉・国分)のバックプレーヤー陣だ。白築主将は、司令塔としてのチャンスメイクに加えて、昨年度の春・秋両リーグで得点王に輝いたその得点力でチームを引っ張る。鍋島はその技術はもちろん、パッション溢れるプレーでチームを鼓舞する姿に注目だ。外種子田はキレがあるフェイントや左利きを生かしたプレーで相手を翻弄(ほんろう)する。またサイド陣にも期待がかかる。西村悠吾(人3=千葉・市川)や田中奨三(創理3=東京・早大学院)が、確率高いシュート力でチームを支えていく。期待の新入生も多く入部し、勢力に加わった。特に河原龍成(スポ1=福井・北陸)は、1年生ながら堂々としたプレーでセンターを務め上げる。1年生から4年生まで総力戦で、一戦一戦勝利を目指す。まずは初戦の順大戦。ここで勝利し勢いをつけて春リーグ制覇に挑みたい。

ディフェンスをする守屋

 2024年、女子部の目標は春季・秋季リーグ上位進出、インカレでのメダル獲得だ。練習中は全員が声を出し、時には笑顔でプレーする様子も見られ、雰囲気の良さが感じられた。昨年を「いちばん完成度の高いチーム」と木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)が語るように、女子部はインカレベスト8、春季リーグ4位という好成績を残した。しかし、前年とほとんどメンバーが変わることなくチームの完成度が高かった昨シーズンに比べて、今シーズンはフローターのメンバーが総入れ替えするなど、チームの変化が大きい。そして木村は、これまで同様部員数の少なさによって「60分間フルで出るメンバーのパフォーマンスが最後に落ちてしまう」という不安も明かした。ただ、昨年からの発展もある。「ディフェンスがすごく上手くなっていて強い」と木村が期待する新2年生の大野蒔絵(スポ2=埼玉・市立浦和)をはじめ、昨年出場機会の少なかった低学年の選手の成長が見られる。さらに、4年生で左利きプレーヤーの鶴田文乃副将(スポ4=山梨・日川)や、冷静な分析、プレーが武器の山田梨央副将(スポ3=千葉・昭和学院)など昨年から最前線で活躍していた選手がスタメンとなり、チームにさらなる勢いをつける。そして何よりも今年のチームに欠かせないのは、けがからの復帰を待つ木村だ。膝のけがの再発により春リーグ途中からの参戦とはなるが、持ち前の身体能力が生み出すダイナミックなシュートは木村の真骨頂だ。試合に出ないリーグ戦前半については「(コートの)外からしか言えないこととかもある」と主将としての責任感をにじませる。最後のラントレでは、部員の誰よりも長く走り続ける木村の姿があった。「きつい時に頼りになる『精神的支柱』のような存在になりたい」という木村の言葉通り、4年生の鶴田と中心となりチームをまとめあげる。昨年惜しくも成し遂げられなかったインカレでのメダル獲得という目標に向けて、チーム早稲田の進歩が止まることはない。

シュートを決める鶴田

 昨年は男女ともにインカレベスト8という有終の美を飾った早大ハンドボール部。練習中に目立ったのは、学年の垣根を越えて全ての選手が切磋琢磨しながら練習する姿だ。新体制となり、まずは春リーグでそれぞれの選手がどんな姿を見せてくれるのか、選手の個性が輝く試合を期待したい。

(記事 片山和香、大村谷芳 写真 丸山勝央、渡辺詩乃、伊藤菜花、芦刈れい)

コメント

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

――今年のチームの目標を教えてください

 去年から引き続いて全国大会優勝を一番の目標にしています。それまでの春のリーグ戦、秋のリーグ戦でも優勝して、三冠達成するという目標も掲げています。

 ――春リーグの具体的な目標は何ですか

 1年生が合流して1カ月ほどなので、まず1年生から4年生まで分け隔てなく壁をなくして、チーム全員で戦いたいです。試合に出ている人、出てない人、学生スタッフ、コーチ陣、早スポの方々も含め、全員でチームをつくり上げて、最終的に優勝したいと思います。

――現時点での新チームの雰囲気はいかがですか

 僕の視点だと、1年生がのびのびやってくれているように感じます。本人たちがどう思っているかは分からないんですけど(笑)。1、2年生を萎縮させないようには意識して、のびのびやってもらえているので、意見が飛び交ういい雰囲気だと思います。

――プレー面からみた新チームの現状を教えてください

 左利きの選手が増えたことによって、プレーの幅が広がったように感じます。やりたいことが明確になってきている状態で、それがどのくらい通用するかは未知数でこれからというところです。

――具体的にチームとしてやりたいこととは何ですか

 去年からずっと早稲田のハンドボールとして、守って速攻というところは変わらずまずベースとしてあります。その中で特にディフェンスは運動量を意識しています。身長的にみると平均身長175(センチメートル)くらいで、他大学と比べるとそこまで高くないチームなので、体格のいいチームとどう戦うかを考えた時に、運動量でカバーすることが大事だと考えています。誰よりも動く、一人で1.5人分動くということをディフェンスで意識しているので、やはり運動量はポイントかなと思っています。

――冬休みや春休み中に強化した点はありますか

 運動量を増やした練習はもちろんなのですが、先ほど言ったように小柄なチームなので、新チームになってから特に1月2月はウエイトトレーニングを週に4回ほど行うようにしました。体重を増やしたりパワーをつけたりスピードをつけたり、体づくりを重点的にやりました。

――早大のキャプテンになっての心境の変化はありますか

 中高でもキャプテンはやっていたんですけど、まだ中学生高校生だったので今よりも未熟でしたし、顧問の先生の存在もあったので、大学のキャプテンとはやはり違いを感じます。大学は、特に早稲田は学生主体でやるスタンスなので、練習メニューを組む時など、こういったことを意図してこのプレーをしてほしいなということを考えて、全体を俯瞰してみることを意識するようにしています。

――白築選手個人の目標などあれば教えてください

 まずは一戦一戦全力でプレーして、チームが勝つことを最優先していきたいです。その先に得点王とか最優秀選手が見えてきたらいいなとは思います。でもやはり最初からそこを狙うのではなくて、まずチームの勝利に重きをおきたいと思っています。

――チームのディフェンスでのキープレーヤーを教えてください

 ディフェンスではまずキーパーで僕と同期の渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)です。彼は3年生の時から徐々に試合に出始めてから、安定感が増して信頼感が強くなっている印象があります。安心して彼にゴールを任せられるので、まず一人目のキープレーヤーとしてあげたいです。次にディフェンスで3枚目を守る新3年生の守屋雄司(スポ3=神奈川・法政二)です。彼はディフェンスにおいて、全体を見てこうした方がいいああした方がいいと意見してくれるし、ディフェンスの運動量という面でもキープレーヤーだと思います。

――次にオフェンスでのキープレーヤを教えてください

 オフェンスは基本的に僕がセンターの形なんですけど、エースポジションの左45鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)の力強いプレーに注目してほしいです。彼は去年の春リーグから少しずつ試合に出ていて、フレッシュで力強いパッションのある選手です。あとは右45で左利きの外種子田崚汰(スポ3=千葉・国分)。去年は基本的に右サイドでプレーしていたんですが、今年からはバックプレーヤーを中心にやってもらいます。彼はフェイント上手かったりジャンプ高かったり、さらに左利きということもあってチームのプレーの幅を広げてくれています。この二人にはもちろん特に注目してほしいんですが、1年生の河原龍成(スポ1=福井・北陸)にも期待しています。彼は鍋島の後輩で、1年生ながら物おじせず堂々とプレーしてくれています。またサイドまで繋いでサイドシュートを増やそうという意識があるので、サイド陣にも期待しています。西村悠吾(人3=千葉・市川)もそうですし田中奨三(創理3=東京・早大学院)も確率高くシュートを決めてくれて安定感があるので、信頼しています。

――春リーグで意識しているチームや、勝ち進むためのポイントはありますか

 特別に意識しているチームはなくて、全チームに勝つことを目標にしています。その中で、去年春リーグ秋リーグ共に初戦を落としているので、初戦にまず重点をおきたいと思っています。そういう意味では初戦の順大戦は意識して、そこから流れに乗って勢いつけて春リーグ優勝したいです。

木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)

――昨シーズンをどう振り返りますか

 私が(大学に)入ってからは、いちばん完成度の高いチームだったと思います。そのひとつ前が4年生が2人だったので、それで経験もたくさん積めて完成度も高かったですし、リーダーシップを取れる4年生がすごく多かったのでチームとしてまとまっていたと思います。

――今シーズンの目標を教えてください

 インカレでもう一度メダルにチャレンジすることです。昨年はベスト8で終わって、いちばんメダルに近かったかなと思いますが、それでもやっぱり勝てなかったのでもう一度今年チャレンジしたいです。

――ご自身のけがの状態はいかがですか

 春リーグは最初間に合わなくて、2次リーグくらいからいけたら出ようかなと思っています。

――新チームの雰囲気はいかがですか

 いい意味で先輩後輩、上下の関係がないかなと思います。自分も含めて新4年生が2人しかいないというのもあるんですが、後輩の力がすごく必要なのでそこは昨年は4年生が中心に引っ張っていたんですが、自分たち(4年生)は試合に今は1人しか出ていなくて、それができないので。フラットな関係で、みんなで盛り上げていこうというチームにしようというのはあります。

――特に強化している部分はありますか

 ディフェンスから速攻は、この1年間かけてやっていこうかなと思っています。バックのメンバーが昨年から総入れ替えで、全員いなくなってしまったのでセットオフェンスとなると厳しいものがあって自分たちはアグレッシブなディフェンスから速攻までを強みにして今頑張っています。

――課題と感じている部分はありますか

 人数が少なくて替えがいないので、60分間フルで出るメンバーのパフォーマンスが最後に落ちてしまうのでそこは課題です。チーム内での実力差もまだあるので、そこをアップしていかないと課題になるかなと思います。

――注目選手を教えてください

 ディフェンスだと2年生の大野蒔絵(スポ2=埼玉・市立浦和)です。昨年は試合にもあまり出ていなかったんですが、ディフェンスがすごく上手くなっていて強いんです。そこはすごく期待しています。オフェンスは鶴田文乃(スポ4=山梨・日川)です。4年生としても最初の公式戦だと思いますし、左利きで結構点も取れるので、頑張って欲しいという期待を込めて注目しています。

――主将となり、心境の変化はありましたか

 これまでは下の学年でもあったり、けがで(試合に)出ていなかったりしたのでチームを直接引っ張っていくということをあまり経験していなかったんですが、そこで主将になって自分の1つの言動がすごく影響すると思っていて。一応主将というレッテルがあるので後輩に対して自分の言動に責任を持たないとというのはあります。

――理想の主将像を教えてください

 楓さん(村上楓、令6年卒=現ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)みたいにカリスマのような「引っ張る」という感じは自分にはできないので、みんなを連れていけるような、きつい時に頼りになる「精神的支柱」のような存在になりたいと思います。

――チームとして、個人としての目標をお願いします

 チームとしては、上位に進出することを目標としています。個人としては、途中から出られるか分かりませんが(コートの)外からしか言えないこととかもあると思うので、そこは主将としてもやっていかないといけないと思います。言葉掛けとかチームがきつい雰囲気になった時にどれだけ盛り上げられるかというのは自分にもかかっていると思うので、13試合長いですが、みんながモチベーションを保ちながらできるようにメンタルの部分などを頑張ろうと思っています。