関東学生秋季リーグ展望

男子ハンドボール/女子ハンドボール

8月29日 東京・東伏見体育館

 開幕が目前に迫った関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)。台風10号の影響で延期となった初戦は、男子部は9月4日、女子部は5日に行われる。新チーム発足から関東学生春季リーグ(春季リーグ)、定期戦、そして夏の鍛錬期を経て着実に成長を遂げている早大ハンドボール部は、全日本学生選手権(インカレ)の布石となるリーグ戦でどんな戦いを見せてくれるのだろうか。

 女子部の秋季リーグの目標は3位以上だ。春季リーグでは、強豪・筑波大に見事な逆転勝利をあげるなど限られた人数の中でチームは躍進を遂げ、目標としていた上位リーグに進出、4位という結果で幕を閉じた。しかし春季リーグと早関定期戦を通して、スタメン起用されていた鶴田文乃副将(スポ4=山梨・日川)はじめ3人がケガによって離脱するなどチームは危機的状況に陥った。そのような苦しい中でも6月に行われた早関定期戦では一筋の光もあった。2年生の途中でチームを離脱し、さらにケガの再発を乗り越えた木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)の待望の復帰だ。木村は途中出場ではあったものの、停滞していたチームの流れを一瞬で変え、まさに完全復活した姿を見せてくれた。チームを外側から支えていた春季リーグとは違い、秋季リーグでは周囲を圧倒させるようなプレーに期待したい。そんな木村が期待を寄せるのは、2年生のサイドプレーヤー江頭理沙(スポ2=東京・ICU)。春季リーグでは、鶴田に代わりスタメン出場を果たし、バック勢へのマークが集中するチームが苦しい中で安定感のあるサイドシュートを連発した。コートの中で見せる集中した表情とは打って変わり、普段の穏やかな表情も江頭の魅力の一つだ。さらに、昨年度から輝きを放つ杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)や井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)らのプレーからも目が離せない。フローターを生かしながらも自身でも得点を生み出す杉浦、隙をついたステップシュートが強みの井橋によるオフェンスは秋季リーグでも活躍すること間違いない。そして、この夏強化したというアグレッシブなディフェンスで、進化を続けるGK作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)と堀内雪羽(スポ1=千葉・昭和学院)の負担を少しでも軽減したい。チーム一丸となってまずは初戦勝利を狙う。

春季リーグでは敢闘賞を受賞した杉浦

 男子部が掲げる秋季リーグ目標は、優勝だ。春季リーグは開幕4連敗の苦しいスタートを切ったものの、その後は接戦を戦い抜いて最終順位は5位。リーグを通して、1点の重みやチームの勝てる雰囲気づくりの重要性を痛感した。そんな早大がこの夏強化したのは、昨季ハイスコアの試合が多かったことから課題として挙げられていたディフェンス面。約束事を明確にし連携を強めるとともに、変則的なディフェンスも鍛えてきた。要である3枚目は、村松涼雅(商3=岩手・不来方)、結城颯太(スポ2=千葉・昭和学院)、小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)が担う。特に小柴はその運動量や視野の広さ、対応力を生かして、立体ディフェンスを仕掛ける際には守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)と共にトップを張る。定期戦や合宿を通してレベルアップしたディフェンス陣に注目だ。一方のオフェンス面で要となるのはCB白築琢磨主将(文構4=東京・早実)。流れがつかめない時間帯に点をもぎ取る得点力などプレー面ではもちろん、キャプテンとして精神面でもチームを引っ張る姿に期待したい。また「ライン際のシュートを増やす」という方針から、ポスト陣そしてサイド陣に寄せる信頼が厚いこともうかがえる。特にサイド陣、春季リーグではLW所真大(社2=岡山・総社)やRW増井浩介(スポ1=愛知)といった下級生の活躍が目立ち、今秋も確率高いシュートで得点を量産してくれるだろう。来たる初戦は、昨季1点差で涙をのんだ対筑波大戦。夏の鍛錬期に磨いたプレーと早稲田らしさを見せつけ、リーグ制覇に勝利で勢いをもたらしたい。

3枚目を担う村松(右)と小柴

 強化の夏が終わり、勝負の秋が早くもやってくる。秋季リーグは、4年生最後の公式戦となるインカレへ弾みをつける重要なリーグ戦。選手それぞれが勝ちにこだわり、春から成長した姿を見せることができるか。最後の笛が鳴る一瞬まで諦めずに戦い抜く選手たちへ惜しみない声援を送りたい。

(記事・写真 片山和香、大村谷芳)

コメント

木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)

――今シーズン、チーム全体を振り返っていかがですか

 春季リーグ(関東学生春季リーグ)は私は出られなかったのですが、みんなの頑張りがあって4位という結果や筑波大に勝てたことなどすごくチームにとってプラスなことはたくさんあったなと思います。その分ケガ人が出てしまって、早関定期戦(早関戦)も通して、バックの3人ともみんなケガで離脱となってしまったのでみんなの精神的にも結構来たなって思っていましたが、それでもやるしかなくて。自分も復帰できて、そこから夏を通して合宿などで結構体力的にもきつかったと思うのですが、チーム全員で頑張ろうという意識を持ってやってこれたので底上げみたいなことはできているかなと思います。

――早関戦でのご自身のプレーを振り返って

 自分的にもコンディション良く早関戦に臨めて、みんなも結構私に打たせようとしてくれたというか、打つボールも結構多くて、それをしっかり決めきれたのは良かったかなと思っています。今までプレーで貢献できなかった分、これからプレーでもチームを引っ張れるように頑張りたいなと思った試合でした。

――秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)でのチーム目標を教えてください

 秋リーグの目標は3位以上です。この間春季リーグで4位になれたので、結構チーム状況的には厳しい部分はありますが「現状維持は後退だよね」という話をして、目指すべきところは上だということで3位以上を全員で目指したいなと思っています。

――課題や現在特に強化している部分はありますか

 課題は交代がいない分、みんなのゲーム体力というところを上げていかないといけないなと思ったので、ラントレというのはすごく意識してやっていて、普段の練習でも毎日のように走ったりしている時期があって。あとバック3人がいなくなってしまってオフェンスが全然合わせられなかったので、ディフェンスだけは強化しようというところで、自分たちの強みのアグレッシブなディフェンスをやっていて、それからの速攻までというのは強みにして頑張っています。

――チームの注目選手を教えてください

 みんな注目してほしいですが、理沙(江頭理沙、スポ2=東京・ICU)かなと思います。左利きで、文乃(鶴田文乃副将、スポ4=山梨・日川)がケガしてしまってからフルで出るようになって、本当によく頑張ってくれて、自主練とかもよく1人でやっているので、シュートもすごくうまくなって。左腕から出るシュートを見てほしいです。あとケガから復帰する予定の山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)もすごく頑張ってくれていて、予定より早く復帰できるみたいなので注目してほしいです。

――自身の目標、主将としての目標を教えてください

 私自身としては、リーグ戦自体に出るのは2年半ぶりぐらいなので、個人的にはすごく楽しみで、ケガだけはしないようにというのと、サイドと45もやると思うのでシュートはたくさん決めて、あわよくば得点王になりたいなと思っています。主将としては、チームの下級性が多い分、引っ張らなければいけない場面がたくさんあると思うので。あとはみんなを頼りにしているので、自由にやってもらってその後押しができたらいいかなと思っていて、そういうチームにしたいです。

――初戦に向けて意気込みをお願いします

 ここは結構山場になるかなと思っていて、ここで勝つか勝たないかでその後の状況変わると思うので、まずは初戦に全部出し切って、出だしからマックスで勝てるようにしたいです。絶対勝ちます!


白築琢磨主将(文構4=早実・東京)

――最初に秋季リーグのチーム目標を聞かせてください

 秋リーグの目標は春と変わらず優勝ということは目指しています。上位4チームに入るとインカレのシード権を獲得できる大事なリーグ戦になってくるので、より一層優勝にはこだわっていきたいです。

――開幕を控えて、現時点のチームの状態や雰囲気はいかがですか

 国体(国民体育大会)があって、僕自身も先週は練習に参加できなかったですし、地方で(国体に参加していて)練習に参加できなかった子たちもいたんですけど、それでも彼らなりにパワーアップしてくれていると信じていますし、チームとしては合宿も経て、不安要素が1個ずつ少しずつだけど改善していけているのかなという風には思っています。

――解消できていると感じる不安要素は具体的にどんな部分ですか

 不安があったのはディフェンス3枚目の守り方で、どっち側に抜かせるのかといった約束事や、2枚目がどれだけ寄れるか、どこで勝負させるのかというところがあまり定まってなくて明確ではなかったです。そこが合宿を経て、守り方が形になってきたという声はあったので、秋で(発揮)できたらなと思います。

―ディフェンスの他に、この夏強化したポイントがあれば教えてください

 オフェンス面ではクロスの展開を多くしていこうというところで、身長があまり大きくない分、上から打てる本数も多くないですし、クロスクロスで小さいずれを大きいずれにして、最後はアウトカットインだったり、ライン際でのシュートを増やそうというところは意識してやっています。

――春季リーグや定期戦を通じて、特に成長を感じられる選手はいますか

 もちろんみんな成長しているんですけど、特に3枚目を守ってくれている小柴(小柴創、スポ2=千葉・昭和学院)、結城(結城颯太、スポ2=千葉・昭和学院)、村松(村松涼雅、商3=岩手・不来方)だったり、あとは立体の時にトップする守屋(守屋雄司副将、スポ3=神奈川・法政二)、小柴もですけど、守り方の感覚をつかんできているんじゃないかなという風には感じます。

――オフェンスでのキープレーヤーを教えてください

 ライン際のシュートを増やすことを意識しているので、やっぱりポスト陣。あとはライン際というところでも、外の展開を作りたいという部分でも、サイドシュートの確率がキーになってくると思うので両サイド陣の所(所真大、社2=岡山・総社)や増井(増井浩介、スポ1=愛知)には期待しています。

――4年生にとっては最後のリーグ戦になりますが、個人的な目標があれば聞かせてください

 とりあえずチームが勝つことを一番に、その副産物として個人でも活躍できればうれしいなと思います。4年としてもそうですしキャプテンとしても、勝つために欠かせない存在にはなりたいなと思っています。

――最後に初戦の筑波大戦に向けて意気込みをお願いします

 最後のリーグ戦なので悔いなく終わりたい気持ちはもちろんあるんですけど、その中の大事な初戦なので人一倍気合入っていますし、負けないという気持ちはめちゃくちゃ強いので、第1戦目にもう120パーセント注げるように準備していきたいです。