早大を包んだ“完全アウェー” 敵地で筑波大に連敗を喫する

男子ハンドボール

TSUKUBA LIVE! 8月3日 茨城・筑波大学中央体育館

 筑波大学体育スポーツ局主催によるホームゲーム「TSUKUBA LIVE!」。関東学生春季リーグ(春季リーグ)の雪辱を果たすべく、今年は早大が敵地に乗り込んだ。圧倒的アウェーの中行われた試合は出だしこそ好調だったものの、筑波大が徐々に本領を発揮。14ー17で折り返すと、後半も筑波大が大声援を追い風に30ー35で逃げ切りに成功し、早大は春季リーグに続いて連敗を喫した。

 試合は波乱の幕開けとなった。前半1分に筑波大がペナルティスローを獲得するが、GK渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)の顔面にシュートが当たってしまい、試合開始早々にレッドカードが飛び出す。早大はこの好機を逃すことなく外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)の連続得点で前半6分に4ー1と3点差に。しかしそれも束の間、今度は筑波大の3連続得点で追いつかれると、シュートミスから速攻を許し、前半9分に逆転されてしまう。裏のスペースを効果的に使った村松涼雅(商3=岩手・不来方)のポストシュートや鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)のスピードに乗ったロングシュートでゴールネットを激しく揺らすが、筑波大も大浦和真(4年)、坂本翔(4年)を中心としたフィジカルを生かしたプレーと速攻を織り交ぜて点差を広げる。早大は前半17分に豊田創志(スポ2=千葉・市川)、所真大(社2=岡山・総社)、尾上悠利(スポ1=大阪・大体大浪商)、河原龍成(スポ1=福井・北陸)を投入し、戦局を変えたいところだったが、GK大山翔伍主将(4年)の巧みなセービングにゴールを阻まれ、14―17で前半終了。勝負の行方は後半に託された。

 3点を追いかける後半、早大は3・3ディフェンスに陣形を変更し、ミドルシュートを封じることで先手を打つ。これに対し筑波大も後半から1・5ディフェンスに変更すると、相手の牽制に対して白築琢磨主将(文構4=東京・早実)も「際のミスが目立ってしまった」と得点が停滞。その間に筑波大はカットインを中心に得点を重ねると、後半7分で14―24の10点差となり、会場のボルテージも最高潮に。それでも後半14分には守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)がルーズボールに食らいつき、闘志あふれるプレーで速攻を決める。さらにコートを広く使った攻撃を展開し、「狙い所をバックプレーヤーと共有することを考えて」と守屋副将のポストシュートで完全アウェイの中、筑波大に一矢を報いた。その後も1・5や一線ディフェンスでの守屋副将と小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)による3枚目の守備が光り、筑波大の得点ペースを落とす。後半26分には3連続得点で点差を縮めるも、最大10点差をひっくり返す大逆転劇とはならず。後半最初の無得点の8分間が響き、30―35で筑波大に逃げ切りを許してしまった。

 これで春季リーグに続いて筑波大に連敗し、リベンジがかなわなかった早大。完全アウェーの雰囲気に飲まれ、流れを変えることはできなかった。それでも白築主将が「試したかった戦術、システムを60分通して試すことはできた」と振り返るように、さまざまなディフェンスを試して関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)への布石を投じた。白築主将、守屋副将が口をそろえる、オフェンスの完成度向上が秋季リーグに向けての至上命題だ。秋季リーグ開幕まで1ヶ月を切り、開幕戦は筑波大との対戦。次こそ雪辱を果たし、3度目の正直となるか。

(記事 丸山勝央、写真 片山和香)

TSUKUBA LIVE!
早大 30ー35   筑波大
   

14ー17
16ー18

   
スタメン

GK 渡辺航平(人4=神奈川・桐光学園)
LW 西村悠吾(人3=千葉・市川)
LB 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
PV 村松涼雅(商3=岩手・不来方)
CB 白築琢磨(文構4=東京・早実)
RB 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
RW 増井浩介(スポ1=愛知)

 

白築琢磨主将(文構4=東京・早実)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか。公式戦とは違うなか、試したことなどあれば教えてください

 今日の試合は観客の方々がたくさんいらっしゃって、中でもアウェーでの試合で、普段は経験できないような空間というか、貴重な経験ができて良かったなというのがまずあります。内容的には、春リーグが終わって出てきた課題や、試したかった戦術、システムを60分通して試すことはできたのですが、まだ完成度を高められるなと感じた試合でした。

ーー圧倒的なアウェーの試合でしたが、雰囲気はいかがでしたか

 普段の試合では経験できない雰囲気だったので、まずその場で試合できたことはうれしく思います。アウェーの空間の中でも、楽しんで試合しようとは思ってコートに入りました。

ーー後半最初得点が入らない時間帯が続きましたが、振り返っていかがですか

 後半の出だしはディフェンスよりオフェンスの方が課題かなと感じていて、ノーマークや数的有利の形を作ることができてもシュートが決まらないだとか、パスミスで終わってしまうなどといった際のミスが目立ってしまった結果、得点が入らない時間を招いてしまったのかなと思います。

ーー後半相手ディフェンスがワントップや牽制を入れてきた場面では、どのように指示を飛ばして動いていこうと考えていましたか

 ポストを有効的に使うことや外を広く使うことは意識していました。ただクロスの展開が少なく、パラレルの展開が多くなってしまったことは反省点かなと思います。

ーーディフェンスでは陣形を何回か変えていましたが、特にはまっていたものはありましたか

 3・3DFや1・5DFの中で1対1には強く当たったり、牽制をして相手のスピードを落とそうとコーチの方から話があったので、立体的なディフェンスで有効的な時間はあったのですが、相手のフィジカルで押し込まれたり、フリースローを取る回数が少なかったりしたことが失点の原因かなと思います。

ーーここから公式戦までどう練習に取り組んでいきますか

 セットオフェンスの質にはこだわりたいです。速攻で点を取れれば良いのですが、セットで安定して点を取ることができればディフェンスも安定し、良い速攻の展開につながると思うので。ディフェンスでは、様々なシステムの質を上げたり、1対1に対して受け身にならないように練習していきたいです。

 

守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政ニ)

ーーいつもと違う雰囲気の試合だったと思いますが、どんな気持ちで臨まれましたか

 今まで経験したことがない雰囲気だったのと、こんな経験はなかなかできないことなので楽しむことを第一にして取り組みましたし、すごく楽しかったです。

ーーディフェンスでは色々な形を試されていて、守屋選手も後ろから常に声出していた所が印象的でした。チームや個人でどんなことを意識していましたか

 秋に向けて色々と武器を増やしていきたいという意図の中で取り組んだので、良い感触を感じたかったのが大きいです。声を出すのはディフェンスの基本なので、基本を徹底しようという形ですね。

ーーオフェンスでは後半、相手がワントップや牽制を入れてくる中、どのように動こうと考えていましたか

 顔を出すことは意識しましたが、それ以外は特に普段と変わらずに、狙い所をバックプレイヤーと共有することを考えていました。

ーー途中ルーズボールからボールを奪った場面がとても印象的でした。振り返っていかがですか

 とれるかなと思って飛び込んだ感じですね。自分のところでマイボールにできなくて、崚汰(外種子田崚汰、スポ3=鹿児島・国分)が走り込んできてくれてマイボールにできたので結果オーライって感じです。

ーーこれから夏の期間で強化したいことがあれば教えてください

 オフェンスのミスがやはり目立つのでそこの完成度は上げていきたいです。ディフェンスもそれぞれの形の完成度を高めていきたいです。