早関定期戦は優勝奪還ならず 関西王者に悔しい敗戦

男子ハンドボール

早関定期戦 6月29日 東京・東伏見スポーツホール

 今年で77回目の開催となった早関定期戦。関学ハンドボール部は、関西学生1部リーグ所属、また今春にはリーグ優勝を果たしているチームだ。前半は立ち上がりにリードを許すと、サイドシュートや速攻などで一時は追い上げたものの、再び離され5点ビハインドで折り返す。後半は出だしと中盤に勢いに乗った攻守を見せたが、関西王者の攻撃を止められず、31―39で定期戦優勝とはならなかった。

 両チーム堅いディフェンスを繰り広げて、なかなか試合が動かない立ち上がりだったが、早大がディフェンスで退場者を出すと、ペナルティースローで関学に先制点を奪われた。その後早大は所真大(社2=岡山・総社)や増井浩介(スポ1=愛知)のサイドシュートで応戦するが、関学にポストシュートや速攻から連続でゴールを奪われると5点のリードを許す。流れを変えたい早大は前半15分、鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)が鮮やかなロングシュートを決めると、ディフェンス3枚目で活躍する小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)や、守備から攻撃への切り替えで素早い走り出しを見せた白築琢磨主将(文構4=東京・早実)が、立て続けに速攻に持ち込み、点差を1点にまで縮める。この勢いのまま逆転を狙う早大だったが、関学のエース勝木彪太郎(3年)のカットインなどで少しずつ点差を広げられ、14―19で前半を折り返した。

センターでプレーする所

 巻き返しを図る後半は、開始直後、関学に得点を奪われるが、それ以降は早大ペースの立ち上がりとなった。外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)がこぼれ球に反応し完璧なコースのシュートを決めると、キーパー大武蓮(社3=神奈川・川和)は相手のペナルティーシュートを右足で止める好セーブを見せた。また守屋雄司副将(スポ3=神奈川・法政二)がチャージを誘って奪ったボールを、河原龍成(スポ1=福井・北陸)が速攻に持ち込み確実にゴールに押し込むなど、早大はリズムに乗った攻守で2点差まで迫る。一気に逆転するかと思われたが、ここで関学が反撃に出た。速攻や早大ディフェンスの間を突いたカットインを中心に、再び早大を突き放す。食らいつきたい早大が再び流れをつかんだのは、後半17分を過ぎたあたりからだった。「後半は視野外からスピードをつけて割っていくことができた」と振り返った外種子田のシュートや、途中サイドからセンターへポジションを変えて起用された所のシュートなどで、なんとか点差を縮める。しかし関学も簡単には攻撃の手を緩めない。積極的な攻撃を継続し、縮まった点差をまたも大きく広げられた。早大は最後まで、白築のサイドからポストに走り込んだシュートや、鍋島のクロスカットからの速攻などで粘りを見せたが、31―39で試合終了となった。

シュートを決めガッツポーズを見せる外種子田

 優勝奪還とはならなかった今年の早関定期戦。試合を振り返って外種子田と所は、「春季リーグ(関東学生春季リーグ)が終わってから強化してきたことを生かせなかった」と口を揃えた。リーグ戦で得た課題や強みと向き合いながら練習に取り組んでいる早大にとって、異なるリーグで戦うチームとの熱戦は刺激的だったはずだ。この定期戦を経て再び、チームとしてまた個人としても、さらに成長した姿を見せてくれるだろう。

(記事 片山和香、写真 三浦佑亮)

結果

早大31―39関学
前半
早大14―19関学
後半
早大17―20関学

スタメン

GK 渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)
CP 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)
CP 鍋島弘樹(スポ2=福井・北陸)
CP 村松涼雅(商3=岩手・不来方)
CP 小柴創(スポ2=千葉・昭和学院)
CP 外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)
CP 増井浩介(スポ1=愛知)

コメント

外種子田崚汰(スポ3=鹿児島・国分)

――早関戦はどんな気持ちで臨みましたか

 実は3年目ですけど、出るのは初めてなんです。1年目はコロナにかかってしまって、2年目は捻挫してしまっていて出られなくて、今年やっと出ることができるので、個人的には結構楽しみにしていました。あと相手の7番で、たくさん点取っていたの(勝木選手)が高校の同期なんです。そういうのもあって、結構楽しみにしていた試合でした。

――試合を通してチーム全体の雰囲気はいかがでしたか

 春リーグ後に練習してきた速攻の形だったり、試合でやるべきことを決めていたんですけど、そもそもまず実行できてなかったので、やりたかったことをもっと積極的に取り入れるべきだったのかなと思います。

――外種子田選手は今日の試合フルで出場されていて、終盤まで攻め込む姿勢が印象的でしたが、オフェンスではどんなことを意識されていましたか

 前半は単調だったんですけど、後半からは視野外をとった位置から、相手の目の前をスピードつけて割っていくことができた場面はあったと思います。ただ(バック同士で)合わない場面もあって、クロスかクロスじゃないのか分からない時があったので、そこは突き詰めていかないといけないなと思っています。あとは個人的に、シュートまで行けたのは良かったんですけど、決めるべきところで決め切れなかったので、そこは反省点です。

――この試合を通して見えた、これから強化していきたい部分があれば教えてください

 今日は走り負けた試合だったかなと思っています。自分たちの攻撃が終わった後、相手が走ってくる時に結構攻め込まれて、7番の同期に好き勝手やられたので。まず攻撃をいい形で終えて、しっかり全員で戻って相手オフェンスを待ち受けるということができてなかったので、そこは改善点です。あとはシンプルにスタミナをよりつけていかないといけないなというところです。

所真大(社2=岡山・総社)

――試合を振り返っていかがですか

 前半のスタートからうまくいかない時間帯が続いていて、春リーグが終わってから走ることをテーマにラントレなどの練習をしてきたんですけど、そこが最後まで生かしきれなかったと思います。あとはやっぱりディフェンスでの修正点が多いのかなという印象です。

――ディフェンスでの修正点とは具体的にどんなところですか

 相手のセンターが去年からすごく活躍しているというのは知っていて、そこを抑えようという話は(試合前から)出ていた中で、結局そこにやられているというところが反省点です。あとは約束事にしていた、2・3間を割らせないことや、クロスアタックがほとんど試合でできていなくて、そこが修正点かなと思います。

――次に所選手個人のプレーを振り返って、サイドではシュートシーンが多く見られましたが、オフェンスで意識していたことはありますか

 チャンスがあったら絶対飛び込んで決めてやろうという気持ちはあったので、果敢に飛び込もうという意識はしていました。でも後半の1本目のシュートが結構個人的には悔いが残っています。前に出てきたキーパーに対して簡単にループを打って、相手に上から叩き落とされるシュートだったので、そこは甘かったというか、工夫が必要だったかなと思います。

――今日はサイドに加えてセンターでもプレーされていましたが、ご自身のセンターでのプレーを振り返っていかがですか

 去年まではセンターだったんですけど、今年はサイド起用が多くて。サイドばかり練習していた分、センターは久しぶりでどうなんだという気持ちはありました。もう少し練習したかったなという気持ちはあるんですけど、でもそこまでミスはなかったのと、やっぱり両45が(クロスに)入ってきてくれたしミドルを打てる選手なので、そっちを生かして自分もチャンスがあったらシュート狙おうという感じでした。

――最後に、今日の試合通して見えた、チームとしてまたは個人的に強化したいポイントがあれば教えてください

 チームとしては、まずディフェンスからの速攻を形にしていきたいです。日本一取れるチームを目指しているので、そこは早稲田の先輩方の特許にできるくらいのクオリティまで上げていきたいなと思います。個人としては、今日の悔いが残ったサイドシュートの改善と、センターで出ることもこれから増えてくると思うので、サイドとセンター、両方トップレベルにできるように練習していきたいと思います。