【連載】体操全日本インカレ直前特集『熟』第2回 鶴木康成×奥田健太

体操

 全日本学生体操競技選手権大会(全日本インカレ)の直前対談第2回は、男子個人1部での出場メンバーである鶴木康成(スポ2=埼玉)と奥田健太(スポ1=埼玉栄)の2人。両者共に初出場となる全日本インカレへの意気込みを伺った。

※この取材は8月13日に行われたものです。

「全日本インカレに出たいなと思っていた」(鶴木)

はきはきと答える鶴木

――お互いに他己紹介をお願いします

鶴木 奥田は真面目です。練習で周りに流されずに結構1人でやっていて真面目だなと思います。

奥田 ありがとうございます。確かに他の人にも真面目だねというのは小さい頃から言われるので、そう思ってもらえてうれしいです。

――鶴木選手についてはいかがですか

奥田 鶴木くんは自分を分かっているなと印象で、大事な場面で自分の調子がピークになるようにしっかり前々から練習を計算して合わせるということが上手だなと感じます。

鶴木 奥田と同じ高校なので、そんな感じだったかな、確かになと思いました。

――同じ高校ということですが、仲はいいですか

鶴木 ちょこちょこ話すような感じです。

――お二人は全日本インカレの個人戦メンバーとして選ばれましたが、今はどういった心境ですか

鶴木 東日本インカレ(東日本学生体操競技選手権大会)終わってから久しぶりに試合をして楽しかったので、全日本インカレ出たいなとその時から結構思っていました。出られると決まったので、結果がどうこうというよりは楽しむこと重視で頑張りたいと思っています。

奥田 個人で出るにあたり、出たくても出ることができなかった部員がいるわけで、そういう人たちの分もしっかり演技で、個人で選ばれた代表選手としての演技が試合でできればいいかなと思います。

――メンバーに選ばれるまでに何度か選考会があったと思いますが、その時の演技を振り返っていかがですか

鶴木 個人は全部で4回選考がありましたが、自分はその4回で大きなミス、大過失は一つもなかったので、もしこれでチームに入れなかったとしてもしょうがないなと思って、やり切れたという感じでした。結果的に入れたので良かったなと感じました。

奥田 自分は4回の中で波があり、最初の方はチームに入ることができるくらいの点数で、一時期チームとして一緒に練習している時もありましたが、調整がうまくいかなくて、その後(メンバーから)外れてしまいました。安定感が欠けているかなと思います。

――特に安定感に不安がある種目は何ですか

奥田 あん馬は落下のリスクもあるので、うまくいく時はすごくうまくいきますが、一つミスが出ると立て続けにという感じでした。

――お二人の今現在の調子はいかがですか

鶴木 今は正直そんなに良くないです。3回目くらいの時がピークだった感じがあって、その時に比べると調子が落ちています。残り1週間くらいしかないですが調整して調子を上げられたらなと思います。

奥田 同じくあまり調子は良くないです。練習はやってきたので、ここから1週間しっかり調整するだけかなと思います。

――現在の体操部の雰囲気はいかがですか

鶴木 最近チーム(団体戦のメンバー)と練習時間が違うので、チームが今どういう雰囲気でやっているのかあんまり分からないですが、チーム以外で練習している僕たちは、やるときはやるという雰囲気できちんとできているかなと思います。

奥田 体を休める時は休めて、ハードな練習内容の時はしっかりやってメリハリがしっかりしていると思います。

「どのくらい評価されるのかを知りたいので頑張ってやります」(奥田)

“真面目に”答える奥田

――今年の大会を全体的に振り返っていかがですか

鶴木 今年(自分の)試合があったのは5月の東日本インカレだけでした。東日本インカレは久しぶりの試合でミスがあったので、実際もう少し(点数を)出せたなという場面がありました。そこの取りこぼしを全日本インカレ(全日本学生体操競技選手権大会)でなくして、満足のいく演技ができたらなと思います。

――具体的にどの種目でしょうか

鶴木 あん馬でミスをしてしまって、その時に自分でも不安定な演技をしていたので、今回は技(の難易度)を落として安定感のある演技で東日本インカレよりは点を取れるかなと思います。

――早慶戦にも出場されていましたが、その時はいかがでしたか

鶴木 早慶戦もあん馬に出場し、東日本インカレと同じ構成で演技しました。不安なところはうまくいきましたが、その後にミスをして演技、構成自体に不安があると自分で実感しました。全日本インカレに出るためにも失敗しない構成をした方がいいのかなと思い、技(の難易度)を下げました。

――奥田選手は今年度を振り返っていかがでしたか

奥田 東日本インカレは最初にミスをしてしまい、そこから切り替えがあまりうまくいかなかったという感じだったので、全日本インカレは最初の種目が大事かなと思います。流れに乗ることができれば、自分でも最後までやり切れる自信があるので、東日本インカレ振り返ってみて最初が大事だなと感じます。早慶戦は2種目(ゆか、跳馬)の出場でしたが、2種目とも結構いい演技ができたのでそれは今回の試合につながるのかなと思います。

――お二人とも今回が初めての全日本学生体操競技選手権大会出場になりますが、どういった心境でしょうか

鶴木 昨年出場できなかった分も楽しめたらいいかなと思います。

奥田 大学入ってから初めての全国大会ですが、しっかり自分の演技をして、周りに流されないというか、楽しんでできたらいいなと思います。

――お二人の得意種目を教えてください

鶴木 僕はあん馬です。

奥田 僕はゆかです。

――今現在、力を入れている種目は何ですか

鶴木 最近は跳馬で調子が上がってきて、うまくいけば点を取れるのかなという感じです。

――跳馬で今までと何か変えたところはありますか

鶴木 特にないですが、夏になって身体が動くようになったという感じですかね(笑)。

――奥田選手はいかがですか

奥田 僕は特にゆかに力を入れているわけではなくて、6種目均一にやっています。

――ゆかで今までの構成と何か変えたところはありますか

奥田 足を痛めてしまい、その分ゆかにかける練習時間が減ってしまいました。同じ構成ではありますが新しい技は入れることができませんでした。

――他の種目で今までと変えたところや、ここに注目してほしいということがあったら教えてください

鶴木 つり輪で東日本インカレでやっていなかった力技を増やしたので、そこを頑張りたいですね。

――この技を入れた理由はありますか

鶴木 高校のころ一応やっていましたが、あまり姿勢が良くなくて大学入って減点が多くてやめていたんですけど。最近良くなってきたので、もう一回入れました。

――奥田選手はいかがですか

奥田 僕もつり輪の力技を変えたのでそこを頑張りたいです。新しく十字倒立っていう技を入れて。まだ練習段階ではありますが、一回試合でやってどのくらい評価されるかというのを知りたいので、頑張ってやります。

――苦手意識のある種目はありますか

鶴木 僕は高校の時からずっと鉄棒が苦手です。離れ技とかでバーンってやるのが苦手なので、違う技で補ってEスコアで点を取るかたちで苦手を補っています。

――今回もそういった苦手を補うような構成ですか

鶴木 そうですね、Eスコア重視の構成です。

――奥田選手の苦手な種目は何ですか

奥田 僕はあん馬が苦手な種目ですね。通し(練習)の数は増やしましたが、それでも毎日ちょっとした感覚のズレがあり、毎日安定してというのはまだできていないです。

「最後に笑顔で終わることができれば」(奥田)

鶴木に褒められ照れる奥田

――お二人とも今回は個人での出場になりましたが、団体戦での出場と気持ちの面で違いはありますか

鶴木 団体だとチーム戦なので仲間に迷惑かけられないという意識があり、また違ったプレッシャーがありますが、個人は自分との戦いなので、そういった面では自分の演技により集中できるのかなと思います。

奥田 チーム戦だと迷惑かけられないとか、そういったプレッシャーもあります。チームのために今まで自分がやってきた演技、構成を簡単にするというか、リスクのある技を抜くことも同時に考えないといけなくなりますが、個人であれば自分との戦いなので自分の判断で挑戦することができます。周りに影響されないでできるというのが一番大きいかなと思います。

――選考を勝ち抜いたことに関してどう考えられていますか

鶴木 早大はもともと人数が少なくて、試合に出られるチャンスは他大よりもあると思いますが、実力もそれなりの人たちが集まっている大学なので簡単には出られないだろうなと自分でも思っていました。出場したかった人もいると思うので、そういった人たちの分も頑張らないといけないと感じています。

奥田 実力が拮抗(きっこう)した中での選考会だったので、その選考会をしっかり勝ち切って個人で選ばれたということは大きいかなと思っています。選考会に向けて調子を合わせてくる段階で試合に似ている部分があったので、それを生かしていければいいかなと思います。

――団体戦メンバーには上級生が多く、個人戦メンバーには下級生が多いことに関してはどう捉えていますか

鶴木 今早大では3年生が強くて、僕たちの代は他の代に比べると少し劣る部分もあるのかなと思っています。チーム(団体戦メンバー)に同級生の蓮(向中野蓮、スポ2=千葉・市船橋)がいるので、蓮と一緒に頑張っていけたらなと思います。

奥田 今上級生が主力になっていて、いずれは僕たち1年生が来年、再来年は(主力に)なっていくと思うので、もっと頑張らないといけないというのが一番です。僕の学年は2人しかいないので、特に頑張らないといけないのかなと。2人とも(チームに)入れるようにしたいです。

――全日本インカレのそれぞれの目標を教えてください

鶴木 試合で大きなミスなく自己ベスト、自分の一番いい点数を取れるように頑張りたいです。

奥田 結果にこだわらないで、ミスが出ても最後に笑顔で終わることができればいいかなと思います。それが目標です。

――最後に、対談では毎回目標などを色紙に書いていただいています。今回はオンラインのためありませんが、もし色紙を書くとしたら何と書きますか

奥田 「初志貫徹」です。目標に向けてしっかりやり抜く、途中で投げ出さないという思いを込めました。

鶴木 「誠心誠意」です。演技自体に真面目に取り組んでいい結果を出せればなと思います。真面目に取り組んで、親も久しぶりに見に来られると思うので、誠意や感謝を見せられたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荒井結月 協力 堀内まさみ)

◆鶴木康成(つるき・こうせい)

埼玉栄出身。スポーツ科学部2年。ドラマ『ザ・ボーイズ』はまっているという鶴木選手。7月終わりには久しぶりにお祭りに行って楽しんだそうです! 

◆奥田健太(おくだ・けんた)

埼玉栄出身。スポーツ科学部1年。最近漫画『ONE PIECE』の映画を見に行ったという奥田選手。高校時代の友達と久々に会って楽しんだそうです!