決勝進出逃すも藤尾が種目別へ望みつなぐ 引退試合の山本は「出し切った」

体操

 2日目、全日本個人総合選手権(個人総合)の予選に藤尾拓海主将(スポ4=岡山・関西)、武井優介(スポ4=東京・松陰)が出場した。両者共に4日目の決勝に駒を進めることはかなわなかったが、藤尾は全日本種目別選手権(種目別)へと望みをつないだ。また、同日に行われた種目別男子トライアウトには、つり輪に山本泰己(スポ4=愛知・名城大付)、あん馬に向中野蓮(スポ2=千葉・市船橋)が出場。向中野の種目別への参加が予想される結果となった。
※個人総合:予選上位29人と、種目ごとの上位6人が4日目の決勝へと進出する。また、種目ごとの上位24人(トライアウト含む)は6月に行われる種目別の予選出場権を獲得する。予選・決勝の合計得点上位29人は、5月のNHK杯への出場権も獲得する。

 共に予選1班に振り分けられた藤尾と武井。藤尾は2組、武井は3組と隣合わせでローテーションを回ることになった。藤尾の第1種目はあん馬。ミスなく安定感のある演技を見せると、13.866点と高得点をたたき出した。続くつり輪、跳馬では着地に若干のふらつきが見られ、跳馬では本日初のペナルティー(-0.3点)を受ける。しかし平行棒からは調子を取り戻し、第5種目の鉄棒では冷静に、安定感のある演技を見せた。最後のゆかでは、前半少しよろめく場面も見られたが、最後まできちんと演技をまとめた。

鉄棒の演技を披露する藤尾

 武井は全体的に苦しい場面の多い大会となった。第1種目はつり輪。足先までぴんと伸びた美しい倒立を見せると、着地もぴたりと完璧に決めるなど、本人も満足のいく演技を披露した。しかし第2種目の跳馬から、暗雲が垂れ込める。着地で左後方へ倒れ、尻もちをつくかたちに。続く鉄棒では2度の落下もあり、10.100点となった。それでも得意とするゆかでは、ポーズもぶれることなく決め、13.466点と奮起。最終種目のあん馬は少し足が引っかかる場面も見られたが、終末技までやり抜いた。

つり輪の演技に挑む武井

 種目別男子トライアウトには、山本と向中野の2人が出場した。つり輪に挑んだ山本は、水平支持では全くぶれのない静止を見せると、続く倒立も確実に決める。全体を通して落ち着きを見せ、ミスのない演技を披露した。引退試合となった今大会にふさわしい、集大成の演技となった。

つり輪の演技をする山本

 向中野はあん馬に出場。緊張した面持ちで取っ手に手をかけると、大きく一息ついてから、慎重に演技を開始した。徐々にスピードに乗ると、中盤からはテンポ良く技を重ねる。華やかな旋回技も決め、着地も怖いところなく決めた向中野。高得点が見込まれる演技の出来に、大きなガッツポーズも飛び出した。

演技を終え、笑みがこぼれる向中野

 藤尾、武井共に4日目の決勝へ勝ち上がることはできなかったが、藤尾はあん馬での種目別出場に期待がかかる。男子トライアウトに出場した向中野も同じくあん馬で種目別への出場が予想される。まずは種目別の前に控える東日本学生選手権(東日本インカレ)に向け、さらに調子を上げていきたい。

(記事 荒井結月、写真 藤田珠江)

引退試合となった、客席へ向け挨拶をする山本

結果
男子個人総合 予選
選手名 ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点 順位
藤尾拓海主将(スポ4) 12.066 13.866 11.966 13.200 13.133 13.400 77.631 58位
武井優介(スポ4) 13.466 10.166 13.300 12.833 12.100 10.100 71.965 76位



種目別トライアウト つり輪
選手名 結果(順位)
山本泰己(スポ4) 13.000(65位)



種目別トライアウト あん馬
選手名 結果(順位)
向中野蓮(スポ2) 13.833(20位)


藤尾拓海主将(スポ4=岡山・関西)

――試合を終えて今の心境はいかがですか

  練習でやってきたことを全部出し切れなかったです。悪い試合ではなかったですが、すごく良い試合かと言われたら、そうではなかったと思います。

――今日は何を目標に試合に取り組みましたか

  一番の目標は個人総合で決勝に進むことでした。あん馬で決勝に進むこともできなかったので、今日の目標はクリアできませんでした。

――今回の演技はどのような構成で挑みましたか

  自分はDスコア(演技の難度を表す点、上限なし)ではなくEスコア(演技の出来栄え点、上限10点)で点数を稼ぐ体操をしているので、そうした良さが出せるように構成を組みましたが、うまく出し切れませんでした。

――今日の演技を振り返っていかがですか

  楽しく体操ができたと思います。今回の経験を次に生かしていきたいです。

――一番調子が良かった種目は何でしたか

  強いて言うなら鉄棒です。自分らしく技が全部出し切れたと思います。

――反省点が残った種目はありましたか

  跳馬とゆかですね。跳馬は試合で初めて使う技だったので、少し緊張と怖さがあって。そういった気持ちに負けてしまい、やり切れませんでした。ゆかは最後の種目だったので、シンプルに体力不足でした。

――最後に今後の目標を教えてください

 おそらく今回の結果であん馬は6月の種目別の選手権に進めると思うので、そこでしっかり自分の良さを出し切って、決勝に進めるように頑張りたいです。個人総合では次の東日本インカレで今回の反省点を生かして、良い試合ができるようにしたいです。

武井優介(スポ4=東京・松陰)

――試合を終えて今の心境はいかがですか

 まだ実力が足りていないとは思いましたが、いつかリベンジしたいです。

――今日は何を目標に試合に取り組みましたか

 NHK杯に出ることです。また、全種目失敗しないことはもちろん、アピールポイントのつり輪やゆかでしっかり良い点数を取れたらいいなと思っていました。

――今日の演技を振り返っていかがですか

 正直言って自分で覚えていないくらい失敗してしまって。今振り返ると失敗してたなっていうイメージと、何をしていたんだろうっていう気持ちだけがあります。

――今回の演技はどのような構成で挑みましたか

 自分が出せる難しい構成で挑んだつもりなのですが、こぼしてしまうところがあるとやっぱりその分(点が)取れないので。でも、やりたい技はやれたかなと思います。

――一番調子が良かった種目は何でしたか

 1種目目のつり輪です。出し切れたかなという気持ちです。倒立などもすごく意識してやっていたので、着地まで止められたのは良かったです。

――反省点が残った種目はありましたか

 特に反省が残るのは鉄棒です。練習でもそこまで完成度は高くなかったのですが、それでも「落ちるかな」という気持ちで臨んでいるわけではありませんでした。離れ技でいっぱい落ちたので、もっと練習を積まなきゃいけないなと思います。

――それぞれの種目を振り返っていかがですか

 他の選手を見て、練習から圧倒的に実力が足りていないなというのは感じていました。良い経験にはなったと思うのですが、それで終わらせるのも違うと思います。悔しい気持ちをばねに、東日本インカレや全日本インカレ(全日本学生選手権)に向けて頑張っていきたいなと思います。

――最後に今後の目標を教えてください

 東日本インカレがすぐにあるので、ここで落ち込んでいる時間はありません。しっかりチームを引っ張って、団体3位以内に絶対に入るということを目標に頑張っていきたいです。

山本泰己(スポ4=愛知・名城大付)

――演技を終えて今の心境はいかがですか

 点数はあまり伸びませんでしたが、引退試合だったので、ミスなく終われて良かったです。

――今日は何を目標に試合に取り組みましたか

 最後の試合に見合うかたちで終われたらなと思っていました。

――今回の演技はどのような構成で挑みましたか

  今のルールだとあまり技を入れない方が点数が入るのですが、点数よりもみんなが「おー!」って思ってくれるような構成にしたいと思い、技をたくさん入れました。

――今日の演技を振り返っていかがですか

  もう言うことはないです(笑)。出し切りました。

――最後に今後について教えてください

  スポーツに関しては、引退するのでありませんが、学業面では今資格の勉強をしているので、セカンドキャリアを歩み出せるように、頑張っていきたいです。

向中野蓮(スポ2=千葉・市船橋)

――演技を終えて今の心境はいかがですか

 次の種目別に進むことができたので、ほっとしています。

――今日は何を目標に試合に取り組みましたか

 演技自体に少し不安があったので、ちゃんと通し切ることを目標に頑張りました。

――今回の演技はどのような構成で挑みましたか

  元々もう少し難しい構成をやろうとしていたところを、安全にいくために技を一つ抜いたので、普段よりは安心してできました。

――今日の演技を振り返っていかがですか

  ところどころぶつけてしまうなど小さいミスがあったので、改善していきたいです。

――最後に今後の目標をお願いします

 種目別で自分が満足できるような演技をしたいです。また、夏に控えている全日本インカレに出場して、自分の良い演技を出せたらいいなと思います。