男子個人総合予選には唯一、山田元大(スポ4=千葉・市船橋)が出場した。故障の影響で長く試合に出場しておらず、本格的な復帰戦となった今大会。今後につなげたいと意気込んで臨んだものの、1種目目でのミスなど耐える場面が続き得点を伸ばせず。予選突破はならなかった。
今大会について「コンディションはばっちりで、割と自信満々で何の不満もなく臨んだ」という山田。しかし最初の種目であるつり輪で早くもつまずいてしまう。前半は一つ一つの技を確かめるようにうなづきながら、きれいに決めるも、中盤の倒立で大きく乱れる。その後の倒立も反りすぎてしまうなど、切り替えられず「頭が真っ白になったまま演技が最後までいってしまった」といい、着地でも大きくバランスを崩した。自信を持って臨んでいたにも関わらず、「現実を見て気分を落としてしまった」と幸先の悪いスタートとなった。
ミスが重なり幸先の悪いスタートとなってしまった
それでも、その後の種目では転倒や落下といった大過失なくこなす。大きなミスをした次の種目は気持ちを切り替えることが重要だが、跳馬は「そんなにミスをする種目でもなかった」といい、無難にまとめる。しかし着地でラインアウトしてしまい、僅かに減点されるなど「本当はもう少し点数を狙いたかった」と得点が伸び切らなかった。次の平行棒はその焦りからか、倒立など要所で技を決める時間が短く、悪い意味で流れるような演技に。途中でバーに当たってしまったこともあり、得意種目且つ難易度を下げた構成にしたが、ここでも点数につながらなかった。
後半、4種目目の鉄棒は「各技の完成度が低い」という大会前からの課題はあったものの、目立ったミスなく乗り切る。しかし続くゆかは2コース目の技で一つひねりをかけきれなかったことでまたしても動揺してしまう。そのミスをカバーすることなどを考えてしまい、着地に集中しきれなかった。結果、最後の着地で大きくよろめいてしまい、全体でもDスコアを0.5も落としてしまう。最終種目のあん馬でも落下こそしなかったものの、「正直何回も落ちそうなところがあった」と耐える演技に。最初から最後まで苦しい状況が続いた。
あん馬の演技を披露する山田
大会を終えて「良い演技が一つもなく、情けないし自分に自信をなくすような点数ばかりだった」と振り返った。自信を持って臨んだことで却って浮ついてしまったか、落ち着きを欠いた演技も多かった。さらに普段の練習で試合の緊張感を想定することができていなかった、と久しぶりの試合に備えきれていなかったという悔いも。今後も可能ならば競技を続行したいといい、この経験も昇華させていきたいところだ。
(記事 青柳香穂、写真 足立涼子)
※掲載が遅くなり、申し訳ございません
結果
男子個人総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
山田元大(スポ4) | 12.966 | 13.133 | 11.666 | 13.200 | 13.200 | 13.133 | 77.298 | 63位 |
コメント※このインタビューは後日リモートで行われたものです
山田元大(スポ4=千葉・市船橋)
――今大会のコンディションはいかがでしたか
コンディションはばっちりで、割と自信満々で何の不満もなく臨んだんですけど、現実を突きつけられたという感じです。
――構成に関してはどんな風にして臨んでいましたか
ミスが出て技が入れられなかったりして難度が下がっちゃったりとか、いくつかあったので、そういうところはやっぱり取りこぼしとかにはなるんですけど、そんなに悪くはなかったはずなんですよね。
――最初のつり輪では演技に乱れがありましたが、振り返ってみていかがでしたか
1種目目で緊張もあって、どうかなとは思っていたんですけど、全然力もちゃんと入って、前半はばっちりで。ただこっちに来てから器具とあまり合っていなくて、調整不足というのもあって。久しぶりの試合で緊張もすごくしていたので、一つミスが出たところでちゃんと切り替えられれば良かったんですけど、頭が真っ白になったまま演技が最後までいってしまって、ミスをあそこだけで2個してしまったようなものなので、もったいなかったと思います。
――次の種目の跳馬は切り替えて臨めましたか
跳馬は難度があまり高くなくて、そんなにミスをする種目でもなかったので、2種目目が跳馬で良かったというかギリギリで切り替えられて。技が技なのであまりミスする技じゃなくて、むしろもっと本当はもう少し点数を狙いたかったです。ラインを割ってしまったりもしているので。
――平行棒は振り返ってみていかがでしたか
平行棒も今までの構成からちょっと下げたんですけど、だからそんなに不安ではなくて割と自信を持ってやったつもりだったんですけど、1回バーに当たるシーンがあったり、あとは一つ一つの倒立というか技の決めが全部甘くて、結構審判が減点できてしまう演技だったのでもう少し落ち着いてやった方が良かったのかなと思います。
――普段だったらもう少し止まっているのかなという印象も受けました
本当に、そんな感じです。流れるような演技というのも良い時は良いんですけど、止めるときはしっかり止めないといけなかったりするので、そういうところがちゃんと決めきれずに次の技にいってしまっていたので、点数がちゃんと出なかったというか得意種目なのにとれなかったというのもショックではありました。
――鉄棒は振り返ってみていかがでしたか
鉄棒は不安ではなかったんですけど、やっぱり一つ一つの技がまだ自分のものになっていないというか。まだまだ各技の完成度が低くて、その減点の積み重ねで点数が伸び悩んでしまったというか。これは大会に来る前に直すべき点がもっとあったんじゃないかなと思います。
――ゆかに関してはいかがでしたか
ゆかは2コース目の時点でちょっと一つひねりがかからなくて難度を落としてしまって。臨機応変にこの技をやらなきゃとか、考えながらやっていた部分があって、結果的にDスコアを0.5くらい落としてしまったので、最後の技に集中できていなかったです。とにかく転ばないようにというのが頭にあって。その時点で負けていたかなというか。
――もう少し集中すべきだったと
集中というか、着地に集中できるくらい落ち着いていた方が良かったなと思います。
――あん馬は振り返ってみていかがでしたか
本当に今回は耐える試合というか、最初に大きいミスをしてしまっていたので最後まで絶対にミスしないと決めていたので、なんとか落ちないようにというか。落ちないように落ちないようにと思いすぎて、縮こまった演技になったというか。思い切ってできなくて、それこそ一つ一つの技は減点されてしまう部分が多かったと思うので、点数も全然出なくて本当にきつかったですね。
――終わった後セーフというそぶりを見せていましたね
落ちそうだったんですよ、正直何回も落ちそうなところがあって。最初の技も難度を落としてしまったのもあってビビりながらやっていたので、落ちなかったことに関してはセーフっていう感じです。
――全体としてはかなり耐える試合になりましたが、振り返ってどんな大会になりましたか
点数は全部取りきれていなかったり、良い演技が一つもなかったので、情けないし自分に自信をなくすような点数ばかりだったんですけど、試合運びとしては1種目目に2点をなくすような大きなミスをしたのにそのあとに引きずらず大きいミスを重ねないでできたことだけは良かったのかなと思っています。でも勝負の世界は点数なので、点数を取れていない時点で自分は弱いんだという自覚した大会でした。キツかったですね。
――やっぱり苦しい試合になってしまったのは、久しぶりの試合であったところも大きいと思いますか
久しぶりというのもあったと思うんですけど、変に今回は行く前に自信を持ちすぎていて、絶対にいけると思い込ませてやっていたので、逆に1種目目で現実を見て気分も落としてしまって。あとは普段の練習で試合の緊張感を自分で作り出せていないし、そこでギャップができてしまっていて、実際の試合では震えるくらい緊張するのに普段はそこまでの緊張感を出せていなかったかなとか、そういう細かいところを想定してやっていないといけなかったなと思います。
――今後についてはどんな予定ですか
肩を去年折ってしまったので復帰戦があるまで、体操やりたいですと言い出せなかったというか。復帰戦で力を発揮して自分をアピールできたらなと思っていたんですけど、今回あんまり良いところが全然なかったので、どこか頭を下げて体操をやらせてもらえる場所があったらという感じです。