戦後復活して以来、伝統の一戦として守られ続けた早慶対抗定期戦(早慶戦)。例年通りの時期に開催することこそ叶わなかったが、細心の注意を払い無事に第73回を迎えた。団体総合は、計12名のメンバーで約16点の差をつけ慶大に勝利。個人総合では、原田脩(スポ4=東京・帝京)が2位、4種目で2位以内に入る活躍を見せた。
早大はゆかの演技からスタート。トップバッターは齊藤 司(スポ3=愛知・名城大付)が務め、独特の緊張感の中ミスすることなくまとめあげ、安堵の表情を見せた。続くあん馬では、山田元大主将(スポ4=千葉・市船橋)、藤尾拓海(スポ2=岡山・関西)、渡邉向祥(スポ1=千葉・市船橋)が惜しくも落下。しかし3番目に演技を披露した原田は、不安要素があった技をミスなく決めると、流れを引き寄せスピード感のある演技でまとめあげた。圧巻の演技で14.50を叩き出し、笑顔を浮かべる場面も。3種目目に行われたつり輪では、全員が大きなミスなく演技を終えたが、スコアは全員12点台と伸び悩んだ。
原田はあん馬で会心の演技を披露
後半、4種目目の跳馬ではこれが引退試合となる役田真人(スポ4=埼玉・早大本庄)を含め、転倒などの大きなミスなく、全員が13点台に乗せる。その中で最も素晴らしい1本を披露したのがこの種目最後に登場した板倉子龍(スポ2=福井・鯖江)。非常に美しい着地を見せ、14.70の高得点を叩き出した。しかし良い流れは続かず、次の種目である平行棒では、1人目の竹端健太郎(スポ3=京都・洛南)が着地を失敗し後方に転倒。2人目の武井優介(スポ2=東京・松蔭)も身体をひねる際にコントロールしきれず落下する。いずれも12.00に止まったが、その後演技した3人が無難にまとめ得点面でカバーした。
跳馬で乱れのない着地を決めた板倉
そして最終種目は鉄棒。最初に演技した首藤匠(スポ1=三重・暁)こそ、離れ技での落下があったものの、板倉、藤尾、原田と目立ったミスなくこなす。最後は今大会が復帰戦となる山田が全く乱れのない着地で演技を締め、早大の優勝を手中に収めた。通算67勝目をあげた早大。個人の好プレーが光る場面もあったが、「チーム戦には勝ったが、雰囲気や流れは完全に負けた」と山田は苦い表情を浮かべた。
4年生は一つの節目となる今大会を終え、後輩にそれぞれの思いを託す。新体制の始動に向け、次期主将となる竹端は「みんなをまとめ上げていくことができたら」と意気込んだ。
(記事・写真 青柳香穂、足立涼子)
感染状況を踏まえ細心の注意を払って開催された
結果
男子団体 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
山田元大(スポ4) | – | 12.20 | 12.60 | – | 13.70 | 13.10 | – | –位 |
原田脩(スポ4) | 13.40 | 14.50 | 12.20 | 13.50 | 14.40 | 13.70 | 81.70 | 2位 |
役田真人(スポ4) | – | – | – | 13.40 | – | – | – | –位 |
齊藤司(スポ3) | 13.20 | – | – | – | – | – | – | –位 |
竹端健太郎(スポ3) | – | – | 12.80 | – | 12.00 | – | – | –位 |
板倉子龍(スポ2) | – | – | – | 14.70 | – | 12.60 | – | –位 |
武井優介(スポ2) | – | – | 12.80 | – | 12.00 | – | – | –位 |
藤尾拓海(スポ2) | 12.80 | 13.10 | – | – | – | 13.40 | – | –位 |
小長井倫(スポ1) | – | – | 12.40 | 13.60 | 14.00 | – | – | –位 |
首藤匠(スポ1) | 13.30 | – | – | 13.20 | – | 12.10 | – | –位 |
田口陸斗(スポ1) | – | 12.70 | – | – | – | – | – | –位 |
渡邉向祥(スポ1) | 13.20 | 11.60 | – | – | – | – | – | –位 |
ベスト4得点総合計 | 53.10 | 52.50 | 50.60 | 55.20 | 54.10 | 52.80 | 318.30 | 優勝 |
コメント
山田元大主将(スポ4=千葉・市船橋)
――調子はいかがでしたか
インカレの期間、僕は出れなくて。怪我をもともとしていて、それの大事を取ってというか。その期間練習できなくて、ちょっと急に調整した感じで、ちょっときつかったです。あんまり体は良くなかったです。
――全体を振り返っていかがでしたか
チーム戦には勝ったんですけど、雰囲気とか流れとかは完全に負けたなあと思っていて。いい演技に対してみんなで拍手をしたり、もしミスしちゃってもみんなで励ましたりするっていうのが、ちょっと少なかったというふうに感じたので、来年からはもっとみんなで盛り上げてやっていって欲しいなと思います。
――1番良かった演技は何ですか
つり輪は、Dスコアをちょっとあげて挑戦したので、そこに挑戦できたのは良かったなって感じです。
――12月に向けた意気込みを教えてください
4年間の目標で、ナショナルに入るというのがあるので、それをしっかり達成できるように、それに向けて練習をしっかり積んでやっていきたいなと思います。
――次の代に期待することはありますか
僕の代は、結構みんなの好き勝手にやらせてしまったので、まとめる力があると思うのでチームをしっかりまとめて、自分の目標とチームの目標が達成できるように頑張って欲しいなと思います。
原田脩(スポ4=東京・帝京)
――全体を振り返っていかがですか
インカレでは、練習してきたことを出せなかったんですけど、今回は、4年分の成果が出たと思うのでよかったです。
――あん馬では演技後に笑顔も見られました
そうですね、不安だった技がうまくいったので、それが嬉しかったです。
――反省点は何かありますか
つり輪ですかね。最後まで弱かったな。
――12月の種目別に向けて、意気込みを教えてください
最後1種目だけなんですけど、昔から好きな種目ではあったので、最後まで怪我せずに練習できたらいいなと思います。
竹端健太郎(スポ3=京都・洛南)
――今日は1種目しか出場していませんでしたが、コンディションなどが理由ですか
特にそういうことはないです。
――唯一出場した平行棒は途中まで良い演技をしていましたが、最後にまさかの転倒がありました
まさか、というのは自分でも思いました。あの辺りマットが破れているんですよ、それで後ろに動いた時に引っかかって、と耐えられずという感じでした。
――次期主将に決まったということですが、決まったのはいつ頃でしたか
最近です、インカレ前に決まって、早慶戦終わって交代という感じです。
――何か気持ちの面で変化はありましたか
いや、特にまだ変わっていないです。
――来年主将としてこうしていきたいという目標などがあれば教えてください
みんなをまとめ上げていくことができれば良いなと思っています。