日本のトップ選手が集い、世界選手権をはじめとする代表権が争われた今大会。早大からは4選手が出場。演技をまとめ安堵の表情を浮かべる選手がいる一方で、非情な結果に涙をこぼす選手も。新たな1年が幕を開けた。
実力者がまさかの予選落ちという衝撃的な結果を突きつけられた。五輪への出場経験もあり、代表入りへの期待も高かった内山由綺(スポ3=東京・帝京)。1種目目のゆかでは、体操選手としては長身の身体と、内山自身のミステリアスな魅力を引き出すに相応しいシルク・ド・ソレイユの『ラブダンス』にのせて演技を披露。7位とまずまずのスタートを切り、2種目目の跳馬も無難にこなした。しかし3種目目の段違い平行棒で悪夢が待っていた。序盤のの高棒への移動技こそ成功したものの、高棒から低棒への移動技で落下し、やり直し後も別の離れ技で再度落下。前回大会では14点台を出すなど得意なはずの段違い平行棒で11.233と本来の力を全く発揮できなかったことの影響は大きかった。上位争いに全く絡めなくなってしまい、動揺からか最後の平均台も落下が出るなど思うような演技ができず。結局総合41位で最終班入りはおろか、決勝にも進めないという信じられない結果に終わった。
ゆかの演技をする内山
一方男子の個人総合に出場した柏木寅冶主将(スポ4=千葉・市船橋)、南亜蘭(スポ4=大阪・太成学院大高)、山田元大(スポ3=千葉・市船橋)の3選手はいずれも個人総合は初出場。今季初戦の今大会、狙っていきたいインカレの表彰台に向けてまずまずの結果を残した。柏木は前半のゆか、あん馬、つり輪の3種目を耐える場面もあったものの大過失なく乗り切った。そしてこの日1番の見せ場となったのは跳馬。着地を小さな1歩でおさえ、Eスコアを9点台に乗せる完成度の高い演技を披露し3位に入った。しかし次の種目の平行棒は直前の練習での負傷が原因で大幅に技の難度を下げての演技となり、悔しい思いの残る試合になってしまった。一方この日南も柏木と同様に跳馬で高得点をマーク。「練習では不安もあった」そうだが、高さのある跳躍を見せた。着地こそ着地エリア外に1歩出てしまい減点を受けたが、Eスコアを9点台にのせた。喜びの一方、種目別にエントリーしていなかったため、得点や順位は十分であるにも関わらず全日本種目別選手権に進めないという誤算にも見舞われた。とはいえその他の演技も大過失なくやり切り、Eスコアの安定した高さが光った。1人Ⅱ班での出場となった山田は少し難度を上げた新しい演技構成に挑戦。特に平行棒は倒立を3本綺麗に決め、途中で頷くような素振りも見せた通り、新しい技も組み込んだ6.000の高いDスコアの演技をやりきった。その他あん馬で旋回中に落下するなどのミスもあったが全体としては落ち着いてまとめた。
つり輪の演技をする柏木
次の試合は東日本学生選手権となる。今大会では危機感を口にした選手が多かったが、経験を糧に次戦での飛躍を期待したいところ。今季も素晴らしい演技が1つでも多く見られることを楽しみにしたい。
(記事 青柳香穂、写真 脇田真悠子)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
男子個人総合 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
柏木寅冶(スポ4) | 13.500 | 13.100 | 11.900 | 14.766 | 3.733 | 13.733 | 70.732 | 67 位 |
南亜蘭(スポ4) | 13.433 | 12.400 | 13.600 | 14.566 | 13.333 | 12.500 | 79.832 | 41 位 |
山田元大(スポ3) | 13.033 | 12.266 | 13.000 | 13.100 | 13.533 | 14.066 | 78.988 | 47 位 |
女子個人総合 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
内山由綺(スポ3) | 13.433 | 11.233 | 11.700 | 13.100 | 49.466 | 41 位 |
コメント
柏木寅冶主将(スポ4=千葉・市船橋)
――全体として振り返るといかがでしたか
(直前にけがを負った)平行棒までは大過失もなかったんですけれども、練習より固くなってしまって動きがよくない部分などもありました。ただ耐える試合はできていたんじゃないかなと思います。
――固くなってしまったのは大会の規模や雰囲気が要因でしょうか
全日本の個人総合に出るのが初めてだったのと、練習で調子は良くて、だからこそミスができないなという緊張がありました。
――良かった種目として跳馬があげられると思いますが、振り返っていかがでしたか
練習通り自信を持ってできたかなと思います。
――次の目標としては
そうですね、全日本種目別選手権もそうですし、東インカレもあるのでチームを引っ張っていけるようにしたいです。
――インカレに向けて今季の状況はいかがですか
一応表彰台が目標なんですけどこのままだと今回出た3人あまり良くなかったのでここをもうちょっと引き上げていかないとインカレも厳しいなという現状です。
南亜蘭(スポ4=大阪・太成学院大高)
――全体を振り返っていかげでしたか
まずは大過失なくやりきるということが目標だったのでそれができたというのは良かったかなと思います。
――コンディションとしても良い状態で臨めていたのでしょうか
そんなに動きも悪くなくて、大丈夫だろうなとは思っていました。でもDスコアを下げてやっていたのでそこが課題かなと思います。
――1番良かった種目はなんですか
跳馬かなと思います。練習では結構不安もあったんですけど、本番良い形で跳べて点数も残ったので満足しています。
――つり輪も良い形で演技をしている様子が見られました
そうですね。つり輪はもともと得意でDスコアも落として演技をしたので自分でも余裕があったので、それで評価されたのかなと思います。
――今季の目標をお聞かせください
今はまだ僕も点数的に全然ダメでチームとしてもあまり出来上がっていない状態なので、次東インカレ、インカレって続いていく中で、まずは東までに身体もコンディションもしっかり仕上げていきたいです。一応副将なのでチームとしてもしっかりまとめてみんなのことも考えながら演技構成とかも組んでいきたいと考えています。
山田元大(スポ3=千葉・市船橋)
――昨日の演技全体を振り返っていかがでしたか
一言で言ったら練習不足かなと。しっかり自分の中ではやっていたつもりでもまだまだ練習が足りなかったなというかただ練習するのではなくて一本一本何を考えて飛ぶのかというのがまだ全然足りなかったのかなと。今の実力を知った感じです。
――大きな大会でしたが緊張等はありましたか
緊張はそんなになかったんですけど、気持ち的にはそんなに固まってっていう感じではなくて今回新しい技も結構入れてて挑戦って感じだったんですけど現状を知ったというか完成度を上げなければならないしまだまだですね。
――1番良かった種目はなんでしたか
点数が1番良かったのは鉄棒で、鉄棒はあまり構成が変わっていなかったのでそこはしっかり決められたのが良かったです。自分の中で収穫だなと思うのは平行棒とゆかで、平行棒は新しい技がギリギリですがなんとか決められたというのと、ゆかも新しい構成でなんとか通し切れたというのが良かったなと思います。
――今季の意気込みをお願いします
早稲田を引っ張らなければいけないと思っているので、このままだと正直まずいなという気持ちで自分が変わらなくてはいけないなという感じです。練習の仕方からしっかり見直して今年はもう2年目の大学選抜に確実に入らないといけないし、結果をちゃんと求めて強い選手にならなくてはいけないなと思います。
内山由綺(スポ3=東京・帝京)
――全体を振り返っていかがでしたか
結構ひどい試合だったなという風に思います。
――コンディションが悪かった等があったのでしょうか
そういうことはなかったんですけど、やっぱり試合の経験を積めていない状態で全日本に入ったというのが結構失敗に繋がってしまったのかなという感じです。
――緊張を感じてしまったのでしょうか
試合勘を上げずに試合に入ってしまったというか、一発目の試合だったのでそこがちょっと良くなかったなという感じです
――1つ良かったところをあげるとしたら何ですか
ゆかは良かったんじゃないかなと思います。
――今年1年どんな年にしたいですか
この試合がいろいろ決まってくる大切な試合だったんですけど、まあ試合の数ももう少なくなってしまったので1つ1つの試合を大切に結果を求めて楽しくできるように頑張りたいなと思います。