王者はやはり強かった。内村航平(リンガーハット)が逆転を果たし、大会10連覇で世界選手権の切符を勝ち取ったNHK杯。そんな激闘の個人総合の裏でひそかに、こちらも熱き戦いの種目別が繰り広げられていた。
早大、高橋一矢主将(スポ4=岐阜・中京)は種目別つり輪に出場した。全日本個人総合選手権(全日本)種目別決勝では全体の3位にはいるほど、彼にとってつり輪は得意種目の1つ。高橋は今大会、つり輪で日本一をとることを目標に掲げていた。迎えた本番、得意種目だけに前半、力技を完璧にこなしていく。しかし、このままの調子で演技をやり切れば日本一の座も見えたといった矢先、後半思わぬミスがでてしまう。倒立の場面ではなかなか綺麗な姿勢が取れず、最後の着地もギリギリとなってしまった。演技終了後、高橋の顔には苦い顔が浮かんでいた。この演技を受け「結構悔しかった」と高橋。結果は全体6位の14.300点で、全日本でマークした14.700点にはもう一歩及ばなかった。
つり輪の演技を披露する高橋
しかしながら、高橋は悔しさと共に自信も手にしていた。それは6月29日から開催される第72回全日本種目別選手権(種目別)へ向けた手ごたえだった。すでにこの大会への出場権を確保している高橋は、「今日の出来で6番というのは、次の種目別の試合に残れるのが8番までなので普通にやれば決勝にはまず残れる」(高橋)と冷静に状況を見つめ、今度こそ、『日本一のつり輪』へと舵を切る。
向かうは次の東インカレへ
早大の次なる戦いは、東日本学生選手権(東インカレ)。全日本学生選手権団体3位入賞を目標にその前哨戦の戦いに挑む。2度の試技会の結果から今大会の団体メンバーには、中村唯一(スポ2=愛知・名城)、原田脩(スポ2=東京・帝京)の2名が初選出された。主将、高橋は「今一番点が取れるメンバー。この構成に不安はない」(高橋)と強い言葉と共に、チーム一丸となって昨年の雪辱を誓う。強さは本物! 主将、高橋はチームを笑顔に導くか--。
(記事 脇田真悠子、写真 脇田真悠子)
つり輪 | ||||||||
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選手名 | 結果(順位) | |||||||
高橋一矢(スポ4) | 14.300(6位) |
コメント
ポジション名前(学部学年=所属)
――今日の目標を教えてください
今日は、全日本の決勝の14.700点を超えて、そのうえでつり輪で日本一になることが目標でした。
――今日のコンディションはいかがでしたか
コンディションは全然悪くなかったので準備の段階では大丈夫でした。
――14.300点の演技に悔しい表情も見られましたが
前半の力技はかなり良かったのでいい流れで来てるなとは思ったんですが、最後倒立の部分がなかなかはまらなかったというのと、着地で動いたり、結構ギリギリで着地も低い状態だったりしてしまったので、これではダメだなと感じて結構悔しかったです。
――6位という順位に対してはいかがですか
あまり自分の納得のいっていない今日の出来で6番というのは、次の種目別の試合に残れるのが8番までなので普通にやれば決勝にはまず残れるのかなという手ごたえをつかめたかなと思います。
――次からは東インカレが始まりますが
ここまでは個人戦だったんですが、これからは、チームに貢献するなり、チームを引っ張っていくなり、もう時間は残されていないので、自分の準備してきたものをチーム全員が出しやすい環境を作っていくのが僕の仕事かなと思います。
――最後に東インカレでの目標を教えてください
インカレ団体3位というのが僕たちの目標なので、その前哨戦として、まずしっかり3位に入ることと、できる限り雰囲気よく楽しんで回ることを目標にしています。