シーズン最大の山場・全日本学生選手権(インカレ)の団体戦。1チーム6人編成で演技を行い、各種目の上位5名の点数が団体戦に反映される。昨年、1部校の上位6チームからなる最終班から降格してしまったワセダ。そのため、最終班に返り咲きたいという思いは並ではない。しかし、終えてみると6位と0.3点差の7位。昨年の雪辱を惜しくも果たすことはできなかった。
最初の種目は跳馬。トップバッターの山田元大(スポ1=千葉・市船橋)がインカレに向けて難度を上げたという技を決めると、チームは一気に勢いづく。次の演技者が前の演技者よりも得点を上回っていく、まさに団体戦における理想のかたちで試合は進んでいった。しかし、最終演技者の高橋一矢(スポ3=岐阜・中京)がまさかの転倒。エースの失敗を受けたチームには焦りが生まれ、続く平行棒でも流れを変えられずにいた。そんな状況の中待ち受けていたのは、ワセダにとって鬼門の一つである鉄棒。一層緊張感が増す局面で、馬場亮輔監督(平18人卒=埼玉栄)はこのような言葉をかけた。「終わったことはもう忘れて、残り4種目をしっかりやろう」。すると、チームの動きが変わる。柏木寅冶(スポ2=千葉・市船橋)が安定感のある実施で一番手の役目を果たすと、南亜蘭(スポ2=大阪・太成学院大高)が高難度の離れ技を次々と決め着地ピタリ。好演技をメンバーは総立ちでたたえ、かつての明るい雰囲気を取り戻す。チームの苦手種目だったが、1部校12チーム中5位の成績で乗り切った。
チームに勢いをもたらした山田の跳馬
ゆかでも近藤宏紀(スポ4=福井・鯖江)が吸い付くような着地で演技をまとめ上げると、いよいよ最大の難所・あん馬を迎える。最初の演技者は、練習で失敗がほとんどなく安定感を買われた近藤。しかし、演技の最後で倒立に上げられず落下してしまう。「なんで失敗したのか分からない」(近藤)。予想外の出来事にメンバーは動揺し、気づけば落下者は3名。最終種目のつり輪を残しながらも、良い流れは断ち切られてしまった。そこで竹中貴一主将(スポ4=福井・鯖江)と高橋が執念を見せる。昨年度のU21代表であり国内外で場数を多く踏んできた二人は、悪い流れに臆することなく高得点を連発。しかしこの猛追も実らず、7位で団体戦を終えた。
流れを止めてしまったあん馬に挑むチーム
あん馬で失速し、最終班から降格してしまった昨年のインカレ。それ以来、練習量を増やし、例年以上に真剣に取り組んできたはずだった。馬場監督は「私生活や普段の練習から、どれだけ体操にかけているか。それが0.3に表れている」と振り返る。今、初心に立ち返る時期にあるのかもしれない。この結果を受けて、どれだけ体操と向き合えるかが成長のカギを握っている。ワセダは取り組み方や意識次第でもっと強くなれる、そんな可能性を秘めたチームだ。上位奪還へ、勝負の1年が始まる。
(記事 大浦帆乃佳、写真 村田華乃)
結果
男子団体総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
竹中貴一(スポ4) | 13.800 | 12.900 | 14.300 | 14.300 | 13.350 | 13.100 | 81.750 | 20位 | 近藤宏紀(スポ4) | 13.100 | 11.700 | 13.000 | 13.800 | 12.200 | 12.950 | 76.750 | 75位 |
高橋一矢(スポ3) | 13.550 | 12.200 | 13.950 | 13.150 | 13.800 | 12.950 | 79.600 | 40位 |
柏木寅冶(スポ2) | 13.550 | 13.150 | 12.550 | 14.450 | 12.450 | 13.100 | 79.250 | 46位 |
南亜蘭(スポ2) | 14.000 | 12.200 | 13.250 | 14.250 | 12.500 | 13.350 | 79.550 | 41位 |
山田元大(スポ1) | 13.500 | 12.250 | 13.350 | 13.700 | 12.750 | 13.650 | 79.200 | 47位 |
チーム得点 | 68.400 | 62.700 | 67.850 | 70.500 | 64.8550 | 66.150 | 400.450 | 7位 |
コメント
馬場亮輔監督(平18人卒=埼玉栄)
――団体メンバーの構成の意図をお聞かせください
今年のチームの目標としては、昨年B班に落ちてしまったので、最終班に返り咲こう、つまり6位以内のチームを目指していこうということでやってきました。体操は採点競技なので、試合の流れによって点数が変わっていくときもあるんですよ。6位のラインもその試合によって変わるので、この点数が取れるから間違いないっていう高いレベルまではうちはいってないんですね。なのでラインがすごくギリギリのところで。で、何回か試技会をやる中で、現時点ではこの組み合わせが一番点数が取れて安定もしていて、一番6位に近いんじゃないかっていう6人を最終的に8月2日に決めて、乗り込んできました。あと、佐藤と柏木のどっちを入れるかですごい迷いましたね。佐藤は安定しているんですけど、試合1週間前に右腕の二頭筋を痛めてしまって。佐藤は安定感が売りなんですけど、その選手がケガをしてしまったことは非常に致命的なんですね、というのも、あまり武器がない選手がケガをしてしまうと安定性が一気になくなるので、自分の売りがなくなるんですよ。一方柏木も全日本種目別のときに足首をケガしたんですけど、だんだんと良くなってちょうどインカレの前にやっと調子が戻って。佐藤よりも柏木の方が調子が良いし、跳馬、ゆか、あん馬っていう武器も持ってたので、柏木にしたっていう感じです。
――Dスコアを抑えてEスコアで勝負するという方針は今回も変わってないですか
僕の中でそういうチームでいきたい、いかなきゃいけないっていうのはあったんですけど、アンダー(U21)もうちとしては外せないんですよね。みんなが守っちゃうと、6番には入れたけどアンダーが一人もいないっていう状況も考えられるので、個人の選手も良い成績が取れてなおかつ6番以内に入れるという構成を作ってきたつもりなんです。みんながうまくいけばそれなりの結果は出たんですけど・・・。アンダーも懸かってたし、東インカレよりはDスコアは高くしたんですよ、それで気持ち的な余裕がちょっとつくれなかったんじゃないかなというのが僕の反省ですね。後は、インカレだから勝負しようっていう、6番にちゃんと入るには守ってるだけじゃ駄目だっていう気持ちもあったし、勝負をしてその中でどれだけ持ちこたえられるか、我慢比べですかね。だから高いEスコアをここに来るまでにつくり上げてきたつもりだったんですけど、それもちょっと緩かったですかね。もうちょっと厳しく事前の試技会でやってればもっといけたかな・・・。
――試技会では何点くらい取れていたのでしょうか
試技会のジャッジが身内なので、いつも見てる分頑張りを評価して少し甘めにつけちゃうんですけど、それを踏まえても405点くらいをちゃんととれる試合を目指してきたし、すごいはまって400後半にいければ最高だなっていうもくろみでした。
――今回その点数に及ばなかった原因は平行棒やあん馬のミスにあるのでしょうか
そうですね。あん馬で近藤が落ちたっていうことがすごく大きかったと思います。なぜかというと、近藤は試技会で落ちたことがほとんどなかったし、練習でもほとんど落ちてなかったので、落ちてないやつが試合で落ちてしまっていつもと違う空気感になってしまったんですよ。あそこで近藤がバンッと決めてくれればいつも通りにつなげられたんだけど、そこからもう失敗できないという状況が生まれたから。あん馬が得意じゃないやつじゃなくて、安定感のある近藤を一番手に行かせてまず流れをつくって、その後はあんまりあん馬が得意じゃない南がそれにつられて通す、そしてだんだん得点アップっていう目論見だったんですけどね。そこが崩れちゃったから。でも南は頑張って持ちこたえたからそれはそれでよかったですね。
――試合中のチームの雰囲気はいかがでしたか
跳馬の最初の演技者が山田で、彼は東インカレの時はカサマツハーフだったんですけど、アンダー狙うにしても、うちは跳馬が手薄になるかなっていうところがあったのでチームとしても、絶対アカピアン跳んでくれ、インカレまでに間に合わせてくれっていう期待には応えてくれました。だから山田が1本バシッといって、あれで波乗ったんですよ。その後もすごい良かったんだけど、エースの高橋が、試技会でも良いの跳んでたから絶対立てるって周りは見てたけど、思い切りバーンッって調子良すぎていったんでしょうね。その時にエースがいつもと違うなっていう空気があったんですけど。平行棒では1番手の柏木がちゃんとやって、2番手の近藤がやっちゃったので、さらにいつもと違う雰囲気になって。僕は平行棒でその空気を止めたかったからみんなに話をしたんですよね。後で応援席から見たら暗かったって言われたんですけど、選手間があんまり盛り上がるタイプじゃないんですよね、淡々と自分の仕事をやっていくっていう感じで。試技会の時は結構声出てたんですけど、試合の時は黙りぎみになっちゃいましたね。もうちょっと普段から4年生がそういう雰囲気をつくって、うるさいくらいのことをしてもよかったかなという反省はあります。
――鬼門の一つであった鉄棒はうまく突破できたと思いますが振り返って
鉄棒は・・・また近藤がいつもと違うんですよね(笑)。落ちなかったからまだよかったんですけど。平行棒が崩れたので技を抜かしたんですよ、本当はモズニクやる予定だったんだけど、鉄棒で試合決まっちゃうから、2連続で落としたらもうさよならだから。ここは守りじゃないけど堅い種目でいこうということで、近藤は落下はなく終えましたね。貴一もよかったし、山田もよかったし。あとは南が頑張ってくれましたね。プロテクター取れかかってたので止めようかなとも思ったんですけど、本当に頑張ってくれました。きょねんと同じことが起きてたんですよ、ヤマワキやった後に上で止まったんです。そこから蹴上がり移行とかの練習して、詰まったときはそういう対処をしろよっていう練習が生きたので、それは収穫かな。鉄棒乗り切れたのはよかったですね、ちょっと明るくなったというか。
――あん馬は落下者3人ということでしたが振り返って
試技会では結構良かったんですよ。良かったから、特別やらせると苦手なんだっていう意識を持たせちゃうから、できあがっているものはそのまま試合行こうっていうスタンスだったから、そこまでやらせなかったんです。山田は通さないといけなかったですね、あそこで落ちるなんて誰も思ってなかったので。弱いなと思いましたね。すごい練習してきたんですよ、誰よりも通しも練習もしてきたんですけど、あそこで落ちるっていうことは練習の時の心構えとか気持ちの面がまだまだ甘いなっていうことを、あの失敗で感じましたね。
――早大が特にあん馬で失敗が出る理由は何だと思いますか
後半に来ていて疲れもあるんですよ、でもそのために練習しているので言い訳になっちゃいますね。基本となる旋回だとかをもう一度見つめ直して、落ちない動きをしないといけないですね。落ちるような旋回をしているというか。そもそもの動きを落ちないような旋回にする必要があると思います。
――今回最終班に上がれる可能性はどのくらいだと考えていましたか
筑波、鹿屋、福大、早大、日大は東、西インカレが終わった時点でほとんど五分五分だったから、何とも言えないですね。でもうちがちゃんとやればどっかが落ちてくるから、今回の仙台みたいに。だからそれを狙って、そこまでDスコアを高くも低くもしないでその間をとって、アンダーも狙えるっていうそういう状態で行ったんですよね。だから何割って言うのは難しいですね。100%いけるっていう自信もなかったかな。そりゃ行く気はありますけど。自分たちの試合をしたら上がれるっていう自信は当然ありましたね。
――上位6チームと早大の差はどこにあると思いますか
やっぱ強さじゃないかな。ちゃんとつなげていく強さ。失敗してるから7位なわけで、失敗しなかったら6番だったんです。それがシンプルじゃないですか、失敗しないこと。失敗しちゃうから、それが弱さ。でも、それは私生活とか普段の練習とかから、情熱とか、どれだけ体操にかけてるの、っていうところかな。それが0.3に表れていると思う。365日、また明日から始まりますけど、どれだけ来年の今日という日のために過ごせたかが足りなかったです。僕はそれに尽きると思いますね。
――今シーズン一番のヤマ場を越えた選手たちに何か言葉はかけられましたか
とりあえずきょう何でこんな結果になったのかっていうのを考えてみよう、全部が悪かったわけじゃないよね、良いところもあったし、でも駄目なところもあった。両方考えないといけないんですよね、なんで良かったのか絶対理由があるから。こういう練習をしてきてこういうことに気を付けてきた、だから良い結果、良い種目があった。じゃあ駄目な種目はなんで駄目だったのか、こういう練習ができなかったからだよね、とか。そういったことを自分自身で考えてみようか、それを次につなげようっていう感じです。
――チームが来年に向けて取り組むべき課題は何だと考えていますか
1位から6位の体操と、7位から12位の体操は、やっぱりレベルが違うんですよ、質も、失敗しない強さもそうだし。今回の400.45の試合で6番になっても、またすぐ落ちますよ。なのである意味よかったと思います。ただ、この班に慣れたらおしまいで、俺らの居場所はここじゃない、最終班だっていうスタンスじゃないと、いつまでたってもここから抜け出せない。1つは慣れないこと。体操にかける思いもそうだし。やっぱり体操を変えなきゃいけないと思います。今の体操じゃ通用しない。たとえ最終班になっても何かの拍子で簡単に落ちる、そういう体操を今はしている。B班が終わった時点でこんな点数取れないでしょって最終班に思わせるくらいじゃないと、最終班に行ってもまた戻ってきますよ。勝つんだったらそういう試合をしないといけないと思いますよ。今回そういう試合をできなかったのが非常に悔しいし、そこを目指してなかったっていう部分もありますけど、チームの戦力もそこまで強くなかったので。6番は来年も当然目指していかないといけないんですけど、1部で戦っていけるだけの体操と実力、強さ、気持ち、そういったものを身に付けていかないとその上も狙えないと思います。まずはB班から最終班に必ず行く。そうすると点数も出てくると思うんですよね、最終班って点数出るので。体操の質を上げていかないといけないですね。
竹中貴一主将(スポ4=福井・鯖江)
――主将として臨んだ団体戦はいかがでしたか
泣きそうでした。スタートはよかったんですけどやってしまいましたね。あまり他の人の演技は見ずに、いつも通り自分のことに集中していました。前の演技で何が起ころうともやってやりますよ、って感じです。
――試合後のチームの雰囲気は
ずーんとなっていましたね。僕はもう開き直ってしまいました。
――早大と上位6チームとの差はどこにあると思いますか
気持ちの問題じゃないですかね。やるかやられるか、っていうところでやれないところじゃないですか。
――課題だったあん馬で点を落としてしまいました
練習量増やしたはずなんですけどね(笑)。本番と練習ではやっぱり違うんじゃないかなと。僕も降りの部分が危なかったんですけど、たまにはミスったっていいじゃないですか(笑)。今まで頑張って大過失なくやってきたんですよ(笑)。
――あん馬の降り技では珍しく危ない場面が見られましたが
チームの雰囲気にちょっとやられてましたね。試合の途中で帰りたくなっちゃいました(笑)。
――団体戦全体の最終演技者となったつり輪を確実に決めましたね
頑張りましたよ。最後の最後ですし、見せつけてやる、くらいの気持ちで臨みました。
――最後のインカレは、総じていかがでしたか
よかったんじゃないですかね。「悪い」と「良い」を足して割ってみたら、結果良かったんじゃないかと思います。みんなで頑張ってくれました。
近藤宏紀(スポ4=福井・鯖江)
――最後のインカレとなりましたが、いかかでしたか
めっちゃ練習してきたんですけど、あんまり生かせなかったのが悔しかったです。
――緊張はされましたか
いえ、全然。いつも通りな感じで、なんで失敗したのか、1日経っても分からないです。
――演技内容を振り返っていかがでしたか
あん馬と平行棒以外は耐えられたんですけど・・・。平行棒も、ずっと調子が良くて、普段の通し練習でも失敗しなかったし。あん馬もほとんど落ちたことなかったし。やっぱり試合は違うなと思いました。気持ちや身体の調子は普段通りだったので、やっぱり難しいですね、試合って。
――平行棒のチッペルトで、演技の流れが崩れてしまったのでは
たしかに、あれで崩れて・・・。でも鉄棒でなんとか、ばっちりじゃないけどそつなくできました。ゆかも一番手で通ったのでよかったし、あん馬も通ると思ってたんですけど、あんな失敗をしたことはなかったので。なんで失敗したのか分からないです。
――本番の空気はやはり違うのですね
そうですね。あんまり本番に弱いタイプじゃなかったし、ずっと強かったんですけど、大学に来てからは普段の練習よりも下がっちゃってる気がしますね。
――インカレでの最後の演技になったつり輪の演技前はどんなことを考えていましたか
あん馬で失敗してしまっていたので、切り替えなきゃ、と。「最後の演技だから」と考えてしまうと支障が出るというのは試合前から思っていたので。
――試合中に監督から何か声をかけられましたか
あん馬の前には「練習してきたんだから落ちるわけがない」というようなことを言ってくださって。自分でも、通しでもほぼ失敗なしでできていたしコンディションは全て整っていたと思っていました。
――来月の早慶戦が競技人生最後になると思いますが
もう本当に、早慶戦は(笑)。チームのために演技をするというのは大事なんですけど、最後は自分のために、楽しく試合ができたらいいなと思います。
――観客にはどんな演技を見せたいですか
普段は集中が切れるのでガッツポーズとかはあんまりしないんですけど(笑)。これまで、自分一人で体操をやってきたわけじゃないので、僕が成功して喜んでくれる人たちに向けて良い演技ができたらなと思います。
高橋一矢(スポ3=岐阜・中京)
――団体戦を振り返って、いかがでしたか
0点の試合でしたね。何も良いところがない、かなりひどい試合でした。悔しい、というよりは訳が分からなかったです。今でも頭で整理できていないような。点数どうこうというよりも、チームに迷惑をかけたという点が悔しいです。跳馬で5人目までがかなり良い実施でつないでくれたんですけど、自分が失敗してしまって。そこで流れを完全に切ってしまって、チームに動揺とかもあって次の平行棒もそのままズルズルいってしまったなと自分では思います。6位という目標だったのに7位で終わってしまったのは、完全に、全て自分の責任だと思っています。
――跳馬の次の平行棒では良い実施ができていたのではないかと思います
そうですね。自分は平行棒はよくて耐えられたんですけど、チーム全体として、僕の跳馬の失敗を引きずってしまったかなと。
――それほどに雰囲気が左右されるのですね
チームが自分にかなり信用を寄せてくれているので。「やってくれるだろう」と思ってくれていたところで失敗してしまって、「あれ、調子悪いのかな」って思わせてしまいました。それで他のメンバーも、失敗してはいけないっていう思いが必ず出てきてしまうので、それが動きを固くしたり緊張させてしまったんじゃないかと。なので、最初に失敗したのはかなり責任が重いなと思います。
――あん馬では落下してしまいました
跳馬で失敗しているので、これ以上の失敗は許されないと思っていて、自分を追い込んでいました。その「失敗したくない」という思いが、普段通りではない動きをさせたんじゃないかなと思います。ブスナリに入るところでも、もう逃げてしまって。なんとか立て直そうとしたんですけど、力を使っている分、失敗してしまいました。
――最終種目のつり輪では、疲労もたまる中さすがの実施でした
自分でも自信のある種目ですし、それまでの種目がよくなかったので、なんとかつり輪だけでも、少しでもチームに貢献できたらなと思っていたので、「やるしかない」と。腹くくってやりました。
――チームの雰囲気が怪しいなと感じたところはどこからでしょうか
やっぱり平行棒からですね。平行棒で失敗が続いたので、ちょっとまずいかなと。でも鉄棒で立て直して、ゆかもよくて。でもあん馬で3人くらい失敗してしまうと雰囲気も悪くなってしまいました。
――あん馬の練習量をチーム全体で増やしたと伺いました
その練習の仕方が悪かったんじゃないですかね。どこまで自分を追い込んで、プレッシャーをかけて練習できたかどうかっていう。試合を想定した気持ちの作り方というのを練習の段階でできていなかったんじゃないかなと思います。
――来年に向けて、チームで大事にするべきことは何でしょうか
まずは、自分がしっかりした演技をしないと(笑)。自分は、声を出したり雰囲気をつくったりするのがそこまで得意なほうではないので、練習の姿勢とか、演技面で。最高学年も、エースとしても、演技の部分でもっと引っ張っていかなきゃいけないと思います。あとは、崇太(佐藤崇太、スポ3=福井・鯖江)とかもいるので、一緒に雰囲気もつくっていけたらいいなと思います。
南亜蘭(スポ2=大阪・太成学院大高)
――団体戦を振り返っていかがですか
跳馬はベスト5がきちんとそろってかなりいい感じにスタートしたんですが、平行棒で1人目のミスが出てから僕にもミスが出て、後もミスが続いてしまってと、そういう負の連鎖が起きてしまいました。次の鉄棒では、チームが全体的に少し難度を落として確実にまとめることができたし、ゆかもみんなばっちりで良かったと思います。そして最後のあん馬ではこのいい流れでスタートがきれると思ってたんですが、ミスが続いてしまって結果的には7位になってしまいました。なので、上位の6校にはいるにはまだワセダに何かが足りないなと思いました。
――その早大に足りない何かは何だと思いますか
ここ2週間くらいみんなかなり練習をしてきていて、調子もすごく良かったので、今回はうまくいくと思ったんですけど、全くうまくいかなかったので、何が悪かったのかは今は正直少し分からないです。
――個人としては好調のように見えました
種目にもよりますが、特にゆかでは今までで一番良い演技ができて、とてもうれしくてガッツポーズしました。
――早大は鉄棒を苦手としていますが、鉄棒にはどんな気持ちで臨みましたか
平行棒で落下が続いていたので、技の難度を落としてうまくまとめるという策もありましたが、自分としては、今までずっと練習してきた技で挑んで、成功させたかったので、カッシーナとかコールマンとかを全部入れて演技しました。本番ではしっかりと通し切ることができて、結果的には良かったと思います。
――監督からどんな言葉がありましたか
「今回は結果的には悪かったけど、良いところもあったし、自分自身を見つめ直す良い機会になったのでは」という言葉をもらいました。これを受けてよくよく考えてみると新しく入れた技は試合で成功させることができたし、あん馬も絶対試合で通したいという気持ちで練習してきて、本番は落ちそうになったけどしっかり耐えて、最後まで通し切れたので、良い試合になったかなと思います。
山田元大(スポ1=千葉・市船橋)
――初めてのインカレはいかがでしたか
雰囲気にのまれてしまって今までで一番緊張した試合でした。ミスも出てしまって全く満足がいきませんでした。
――最初の種目の跳馬はトップバッターでした
跳馬は最初だったので自分の流れで臨めたんですが、跳馬くらいしか良かった種目がないですね。
――平行棒では最終演技者でしたがいかがでしたか
前の選手で少しミスがあったので本当だったら最終演技者としてきちんと決めて悪い流れを断ち切らないといけなかったんですが、雰囲気にのまれてしまったこともあって、守りに入った演技になってしまい、ミスが出てしまいました。
――あん馬では落下もありましたが
あん馬では少し気が緩んで1つ1つの技に気持ちが入りきらず演技してしまいました。
――チームが沈んでいる時も明るく振舞っていました
練習は明るくできていますが、やはり試合となると失敗が出たときとか顔が下がって雰囲気が暗くなってしまうので、それではいけないと思ってできるだけ声を出すようにしていましたし、その声で自分自身も暗くならないように励ますことを頑張りました。
――来年もチームの欠かせない存在となると思いますが
今年はまだ1年生でみんなにくっついている感じがあるので、来年は先輩もいますがその先輩たちを超すくらいの気持ちで、チームを引っ張っていけるような存在にならないといけないと思っています。
――今後の目標は
今は悔しい気持ちでいっぱいであまり気持ちがまとまっていませんが、今から来年のインカレを見据えた練習をしていきたいと思います。そして来年のインカレでは良い結果をきちんと残したいです。