一生に一度しか出場することができない関東学生新人選手権(新人戦)。早大からは柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)と南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)が出場した。南は個人総合3位、4種目で入賞を果たす好成績を収める。柏木はミスを出してしまうものの、得意種目でカバー。粘りの演技を貫き個人総合10位と健闘した。
85点超えを目標に練習を積んできた南。最初の種目は、いきなり見せ場の鉄棒。高難度の離れ技を見事に決め、「(大学に入ってから)初めて通った。めっちゃうれしい」(南)と喜びをかみしめた。鉄棒同様に落下というリスクがつきまとうあん馬では挑戦的な構成で果敢に挑み、成功。「これはいけるやろ」(南)と好調は止まるところを知らない。中でも、特に良かったと振り返るのは跳馬。高さが十分に出た放物線はセンターラインに吸い込まれた。そして得意の平行棒では、倒立のキメや技の正確さで審判にアピール。微動だにしない着地で全6種目をノーミスで締め、個人総合で堂々の3位に輝いた。
南は全種目ノーミスで終えた
柏木は鉄棒で、今大会のアピールポイントに挙げていた伸身トカチェフを決める。あん馬とつり輪ではミスが出てしまったが、跳馬では大技ロペス(技術点6.0)を成功させ大きくガッツポーズ。得点は15点の大台に乗り、種目別で2位に入った。この日の最終演技者、大トリとなった平行棒では力を使う場面も見られたが、「いつもなら失敗した後もグダグダしてしまうが、立て直せたのはよかった」(柏木)と粘り強さを発揮。課題も収穫も得た大会となった。
ロペスを跳ぶ柏木
南が次に控えるのは全日本個人総合選手権トライアル(トライアル)。来春に行われる本戦の出場権を懸け、「絶対に通過する」(南)と気合十分だ。そして、トライアルの2日後に待ち受けているのは全日本団体選手権。現段階で、柏木も南も団体メンバーに名を連ねている。新人戦での好演技で存在感を示した南と、得意の跳馬で高評価を得た柏木。ルーキーたちの活躍はチームを鼓舞したに違いない。早大体操部は若い力を武器に、全日本学生選手権で味わった雪辱を果たしてみせる。
(記事 大浦帆乃佳、写真 中村ちひろ)
賞状を持って笑顔を見せる柏木(写真左)と南
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結果
新人男子個人総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
柏木寅冶(スポ1) | 14.300 | 13.050 | 12.750 | 15.150 | 12.650 | 13.950 | 81.850 | 10位 |
南亜蘭(スポ1) | 14.500 | 13.300 | 13.500 | 14.750 | 14.500 | 14.500 | 85.050 | 3位 |
コメント
柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)
――きょうの演技を振り返って
ミスが出たところは練習からミスしていたところなので、練習通りといえば練習通りだったんですけど。練習から詰めていかなきゃなと思いました。
――練習から不安があったところが試合でも出てしまったと
そうですね、種目によっては。あん馬は不安だったんですけど、練習でも少しずつできてきていたので自信もありました。
――鉄棒では、新しく取り入れた技も成功させましたね
新しく入れた伸身トカチェフは、練習でも失敗があって成功するか不安だったんですけど、会場に来てからは結構(手を離すタイミングも)合わせられていて。自信はあったので、それが演技に出たと思います。怖かったんですけど(笑)。
――全日本学生選手権(インカレ)から難度を上げたあん馬の演技はいかがでしたか
試合になると、旋回が小さくなってしまって、いつも自分ができている旋回ができなくて。そこが今後の課題かなと思います。(難度を)上げられたのはよかったですけど、それを通せないと意味がないので。
――跳馬ではロペスを成功させましたね
いけると思っていたので、あとは思い切っていくしかないと思って臨みました。跳馬に手を着いたときに、いい感じだなと思ったのでそのままいけました。
――15.150という点数はどう捉えますか
ラインオーバーがあっても15点に乗せることができたので満足です。
――平行棒は試合全体の最終演技者となりましたが
大トリでしたね(笑)。(ミスしてしまったところは)練習から安定していなかったので、そこが詰めの甘さですね。でも、いつもならあそこで失敗した後もグダグダしてしまうんですけど、そこで立て直せたのはよかったかなと思います。
――次の試合は何でしょうか
全日本団体選手権(全日本団体)に出ます。
――全日本団体に向けて、修正していきたい点は
ロペスがきょう良かったので、この自信を維持したいです。ゆかもこのままの調子で。あん馬は安定感を生かせるように練習して、全日本団体で実施したいです。
南亜蘭(スポ1=太成学院大高)
――ノーミスで試合を終えましたが、振り返っていかがでしたか
最初の鉄棒で少し危ないところとかあったんですけど耐えることができて。その次のゆかは、まあ通るだろうと思っていました。あん馬がどうなるかなって不安があったんですけど、通し切った後に「これはいけるやろ」っていう流れができました。なので最後までミスなくいけたんだと思います。
――鉄棒は大学生になってから初めて通ったと思うのですが
そうなんです!初めて通りました。めっちゃうれしかったです。
――目標としていた85点、達成されましたね
自己ベスト更新です。最高です。
――インカレから難度を上げた2種目(あん馬、つり輪)をそれぞれ振り返って
体力的にきつくなった、というのはあんまりなかったです。練習から通せていたので大丈夫やろと思っていました。
――良い練習ができていたのですね
練習から85点取れていたので、自信持ってできました。
――この試合に向けたコンディションはいかがでしたか
いつも通り、ですね。普段から寝るのはあまり早くなくて。なのできのうも早く寝ようと意識せずにいつも通り12時過ぎくらいまで起きていました。「試合だから」って思い込みすぎないのが良かったです。
――特に良かった種目は
跳馬ですかね。いつも以上に高さが出て、跳んでる最中に自分でも「やばい」と思ってました(笑)。
――次の試合は
トライアル(全日本個人総合選手権トライアル)と全日本団体選手権です。
――それらの試合に向けて、ここからさらに伸ばしていきたいことはありますか
難度を上げていけそうな種目は上げていきたいですね。平行棒とつり輪あたりで。
――今シーズン最後の試合に向けての意気込みをお聞かせください
トライアルは、もう絶対に通過します。