河崎、「夢の舞台」でステップアップ

体操

 世界選手権、ヨーロッパ選手権と並び『世界三大選手権』の一つであるイオンカップは、国内で行われる貴重な国際大会。それぞれのクラブチームのジュニア選手1名、シニア選手2名の合計点で順位を競うクラブ対抗である。河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)は所属先イオンのシニア選手として出場。リオ五輪メダリストもエントリーしているこの豪華な大会でも堂々とした演技を披露し、3連覇を狙う全日本選手権に向けて弾みをつけた。

 1種目目はクラブ。出だしは好調で手具の投げも確実に成功させ勢いに乗る。しかし、フェッテの最中に投げたクラブを取り損ねるという痛恨のミス。「普段失敗しないところで失敗してしまった」と反省するが、その後は一転して遅れを取り戻すかのような気迫にあふれた実施を披露した。続くリボンはクラブから気持ちをしっかり切り替え、ローテーションやフェッテを鮮やかに決める。また、軸がまっすぐに通った片足キープでは安定感を十分にアピール。失敗を引きずらない強さを発揮した。

ミスがあってもその後の演技に響かせない

 大会2日目のフープでは序盤で足を滑らせるアクシデントに見舞われる。しかしここでも最後まで慌てることなく演じ切った。そして、河崎のプログラムの中では異色とも言えるボール。比較的テンポが速い他の3種目とは違い、繊細なピアノとバイオリンの音色に合わせたスローテンポの曲で挑む。国内外のさまざまな大会を経験し磨きをかけた表現力で、会場を河崎の世界に引き込んだ。得点は今シーズンで自身最高点の16.966。「楽しんで悔いの残らないようにしようと思って臨んだ。成功してうれしい」と笑顔で大会を終えた。

試合ごとに磨かれていく表現力

 イオンカップは「夢の舞台」と語った河崎。大舞台でトップレベルの選手と競演したことで世界との差を肌で感じ、さらなるステップアップの機会となったに違いない。そして次はいよいよ全日本選手権。3連覇が懸かった大一番である。今回得た課題や収穫を生かして、シーズン最後の大会を全種目納得の出来で終えられるように――。河崎は、ここから強くなる。

(記事 大浦帆乃佳、写真 久野映、大浦帆乃佳)

結果

※個人総合の結果のみ掲載

        

          

          

シニア個人総合
選手名 フープ ボール クラブ リボン 合計点 総合順位
河崎羽珠愛(スポ1) 16.583 16.966 15.533 16.400 65.482 13位
コメント

※試合後の記者会見より抜粋

河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)

――4種目踊り切った今のお気持ちは

きょうは、自分のできることを精いっぱい出し切ることができたので、次の試合に向けて課題が見つかったのでそれを修正していきたいです。

――課題というのは

投げの安定とか、技の安定感がまだ足りていないと思うので、そこを練習で積み上げていきたいです。

――4種目それぞれを振り返っていかがでしたか

1日目(クラブ・リボン)は緊張もあって、普段は失敗しないところで失敗してしまったので悔しい思いをしました。でも、きょうの2種目(フープ・ボール)でもまだできないところはあったんですけど、身体難度の回転数が入ったり、(手具の)投げも成功したので満足しています。

――ボールの演技にはどのような意気込みで臨みましたか

(今大会)最後の演技なので、楽しんで悔いの残らないようにしようと思っていました。成功してうれしかったです。

――日本で行われる世界大会ということで注目も集まっていますが、日本での試合はいかがでしたか

イオンカップは夢の舞台だったので、すごく楽しんで踊ることができました。けど、世界では素晴らしい選手がたくさんいるので、憧れている選手に向けて頑張っていきたいと思います。

――この経験を踏まえて、今後どのような選手になりたいですか

今回は課題をたくさん見つけることができました。1種目目から自分のベストが出せるように日々の練習で積み上げていきたいと思います。

――今後の具体的な目標は

現在の目標は11月の全日本選手権で三連覇をすることで、将来は2020年の東京五輪に出場することです。