ワセダの妖精が全日本学生選手権(インカレ)の舞台を舞った。普段は所属チームの選手として大会に出場している河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)が、初めて早大の名を背負って挑む大舞台。ケガを抱えベストコンディションとはいえない中、3日間で8演技というハードスケジュールを笑顔で踊り切った。個人総合では全ての演技を高得点で終え2位。全種目で3日目の種目別決勝に進む。種目別決勝では全ての種目を16点の大台に乗せ上位入賞を果たし、中でもリボンでは今大会最高得点の16.850をマークし優勝。本人も「最後まで楽しんでできた」と振り返る試合となった。
個人総合初日はインカレ独特の雰囲気に「緊張した」と言うが、それを感じさせない堂々とした演技を披露した。最初の種目のボールでは、しっとりとした曲にのせた妖艶な演技で観客を魅了し全体での最高得点をマーク。順調な滑り出しとなった。次に臨んだフープでは、アップテンポな曲で長い手足を生かしたダイナミックな演技を見せる。初日と違って「雰囲気になじんで楽しく踊れた」と言う2日目のプログラムはリボンとクラブ。リボンでは大技を次々に決め抜群の存在感を示し、得意のクラブでは巧みな手具操作が光る演技で高得点をたたき出した。総合2位の得点で全ての演目で決勝進出を決め、「1種目1種目テーマが違うので、それぞれ楽しんで表現できるように頑張りたい」と、好感触を手に翌日に控える種目別決勝に臨む。
全体の1位で種目別決勝に臨んだボール
そして迎えた最終日、種目別決勝。フープの演技は伸び伸びと、笑顔を見せながらノーミスで終える。しかし次の種目でボールを取りこぼしてしまう場面も見られた。インカレは個人総合、種目別決勝が続き、3日間で8種目という怒涛(どとう)の日程。そのすべてをこなす河崎には確実に疲れがたまっていた。3種目目、得意のクラブでは表情で会場内の視線を独り占めし、伸びやかに舞う。だが手元がおぼつかず、不安定な状態だったと振り返った。大会を締めくくる最終種目はリボン。苦手意識はあるものの「最後まで楽しんでやろうと思った」と語った河崎はダイナミックかつ美しく、開脚ジャンプなど次々と技を決めていく。16.850と今大会最高得点をマークし、見事表彰台の頂を射止めた。
種目別決勝で優勝したリボン
個人総合2位、種目別でも4種目全てで表彰台に乗るという好成績を収め、「楽しんでできてよかった」と安堵(あんど)の笑みを浮かべて閉幕したインカレ。しかし、更に上を目指す河崎にとっては課題も浮き彫りになった。次の大会はイオンカップ。世界の強豪クラブチームと美しさを競い合う大舞台だ。大学生トップレベルであるという自信とインカレで得た経験を糧に、次々とステップアップを果たす河崎。ワセダの妖精が織りなす華麗な演技に目を奪われること間違いなしだ。
(記事 久野映、榎本透子 写真 大浦帆乃佳)
個人総合2位のメダルと楯を手に笑顔を見せる河崎
結果
個人総合決勝兼種目別予選 | ||||||
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選手名 | ボール | フープ | リボン | クラブ | 合計点 | 順位 |
河崎羽珠愛(スポ1) | 16.800 | 15.800 | 15.600 | 16.500 | 64.700 | 2位 |
種目別決勝フープ | ||||||||
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選手名 | 結果(順位) | |||||||
河崎羽珠愛(スポ1) | 16.450(2位) |
種目別決勝ボール | ||||||||
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選手名 | 結果 | |||||||
河崎羽珠愛(スポ1) | 16.300(3位) |
種目別決勝クラブ | ||||||||
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選手名 | 結果 | |||||||
河崎羽珠愛(スポ1) | 16.350(3位) |
種目別決勝リボン | ||||||||
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選手名 | 結果 | |||||||
河崎羽珠愛(スポ1) | 16.850(1位) |
コメント
※8月26日時点
河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)
――本大会にはどのような意気込みで臨みましたか
初めての大学生としての試合ですごく緊張したんですけど、「少しミスはあってもすぐ切り替えて次」っていう意気込みが良かったのかなと思います。
――4種目を振り返ってそれぞれいかがですか
前半の2種目は気持ちが高ぶってしまってちょっと動きが固かったんですけど、きょうの2種目では試合の雰囲気にもなじんできて楽しく踊ることができました。
――初日は動きが固かったとのことですが、その中でもボールでは16点を超える高得点でした
ボールはまあまずまずという出来でした。きのうのフープではちょっとぽろっていうミスがあったんですけど、そこも明日につなげられたらいいなと思います。
――初めてインカレに出場して、実際の雰囲気はいかがでしたか
今までとはまた違った独特の声援や雰囲気があって初めての経験ばかりでしたが、ここまで集中力を切らさずやってくることができたと思います。
――早大からは一名のみの出場ですが、他校の選手からの声援もありましたね
そうですね、すごく嬉しかったですし、応援が励みになりました。
――きのう1日目の2種目が終わって2位という順位でしたが、きのうから今日に向けてどのような調整を行いましたか
いつも通りっていうことを一番意識していて、そのおかげで最後まで落下もなく楽しく踊り切ることができて良かったです。
――4種目を終えて、今の点数をどのように受け止めていますか
いつも通りかなっていうところなので、あすはよりいい結果を出せるように頑張りたいです。
――明日の種目別決勝への意気込みを聞かせて下さい
1種目1種目テーマが違うので、それぞれ楽しんで表現できるように頑張りたいです。
※8月27日時点
――3日間を戦い抜いた率直な感想は
けがをしていて、最後までもつか心配だったんですけど、最後まで集中力を保つことができたし、楽しく終われてよかったです。
――きょうのコンディションは
三角骨のけがが元々あって、それが最近ひどくなってしまったので、万全とは言えなかったです。
――きょうの種目別決勝全体を振り返って
楽しく終われたのもあり、ハラハラドキドキする種目もあり、波があったんですけどこれも良い経験だと思います。また次の試合にも生かしていきます。
――ご自身ではどの種目が1番危ういと思いましたか
クラブですね。ちゃんとクラブがつかめていなくて、お手玉みたいな感じになってしまいました。
――1位を獲得したリボンについてはいかがでしたか
最後の演技なので伸び伸び踊ってこようと思って、最後まで楽しんでできました。
――3日間で8演技の疲労は大きかったですか
そうですね。でも何試合かで8種目することはあるのでそこまでは疲労はなかったんですけど、今回はちょっとありました。
――今大会で得た課題や収穫は
小さなミスが少しあったのでそれを修正するのと、身体難度がとれないものがあったのでそれをとれるようにしたいです。
――次の大会に向けての意気込みは
(イオンカップは)世界の新体操選手が集まって演技をするので、負けないように、また楽しんで頑張りたいと思います。