激闘閉幕。悔しさを糧に次のステージへ

体操

 3日間に渡って熱戦が繰り広げられた全日本学生選手権(インカレ)。最終日は種目別決勝が行われた。各種目の上位12名が立つことができるこの舞台に、早大からはゆか、跳馬、鉄棒の3種目に浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)、つり輪に竹中貴一(スポ3=福井・鯖江)と高橋一矢(スポ2=岐阜・中京)が出場。団体決勝の疲労も残る中での演技で苦しい場面も多く見られたが、選手たちは持てる力をすべて発揮し、各大学のスペシャリストたちと競演する。予選から順位は落としたものの、次へつながる収穫を得た。

 前日の団体戦で安定感のある演技を見せた浅野主将。得意の3種目で決勝進出を果たした。最初のゆかではダイナミックで切れ味抜群の演技を披露する。「着地を止められて、団体よりも得点が伸びた」と、ガッツポーズを見せた。幸先のいいスタートを切ったが、「疲れがたまっていて普段しないようなミスが出た」と、けがを回避するため、また次の種目である鉄棒に集中するため出場を見送った。全ての思いを込めたのが最終種目の鉄棒。離れ技をすべて決めたものの着地の乱れなどもあり思うように得点が伸びず、悔しい結果となった。しかし「これが自分の実力」と言い切った浅野主将。これからに向けて課題の克服に期待がかかる。

着地にこだわった浅野のゆか

 つり輪には2名の選手が登場。竹中は着地を決めるという目標を掲げて挑んだ。持ち味の力強い演技を見せたが、着地が1歩前にずれてしまう。演技全体を振り返り「悪くはなかった」と評する一方、「クオリティーを上げたい」と今後に向けての自身の課題も口にした。6位に入賞し、前日の個人総合の結果によってU-21代表入りも果たした竹中。更なるステップアップに期待がかかる。続いて登場したのは高橋。「疲労が残っていた」と語る一方、勝利への執念から技の難度は落とさず攻めの演技を見せる。だが、前日の影響は色濃く残り、着地の際も後ろに大きく動いてしまった。得点もふるわず、結果は10位。悔しさをかみしめた。

疲労を残しながらも高難度の構成で挑んだ高橋

 1年間をかけて挑んだものの、全体を通して悔しさがにじんだ今大会。しかし、各々の課題が明確に表れ、更なる成長のチャンスをつかんだ。ここで終わるわけにはいかない。鍛錬は、続く。

(記事 榎本透子、写真 中村ちひろ、村田華乃)

結果
ゆか
選手名 結果(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.600(6位)
つり輪
選手名 結果(順位)
竹中貴一(スポ3) 14.430(6位)
高橋一矢(スポ2) 13.650(10位)
鉄棒
選手名 結果(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.450(10位)
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コメント

浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)

――きょうの種目別へは気持ちはうまく切り替えられましたか

きのう良かった種目が(種目別に)出れているので、出れているというよりは自分の演技ってどうなるんだろうっていうわくわく感というか、結構楽しめている自分がいました。

――きょうはどのような目標をもって試合に臨んだのですか

ゆかが(他の選手が)ハイレベル過ぎるので、まずは自分の得点を上げることを目標にしていました。前回14.450を取ったので、それだけを超えようと目指していました。一つでも多く着地が止まれば自分の点数を超えられると信じていたので、きょうはそれが達成できたので良かったです。

――鉄棒はいかがですか

鉄棒も周りのレベルが高かったので、正直(予選が)2番通過でうれしかったんですけど、そんな甘くないだろうなって思っていました。2日間(連続して試合を)やる練習っていうのをしていなかったので、やっぱり通し切って粘って粘って今まで頑張ってきた鉄棒を何とか成功して終わろうという気持ちでやっていました。

――納得のいく演技はできましたか

納得いくかどうかでいったら、まあ悔しいですね(笑)。もっと点数取れただろうなって思ったんですけど。これが2日間やった自分の実力だろうな、と。土屋先生(土屋純、昭61教卒=県長野)にも体力不足だと言われたのでそこを克服して、もっと技を磨きたいです。

――跳馬を棄権した理由はなんだったのでしょうか

2日間やっていたら足も疲れていたみたいで。蹴った感じやか振り上げの感じとかつき手の感じとかがちょっとずつが狂って。ウォーミングアップのときに普段出ないような失敗が出てしまっていて、馬場先生(馬場亮輔監督、平18人卒=埼玉栄)から「感覚がずれているときはけがが起こりやすいから身を守ることが大事だ」と言われたのと、「お前には鉄棒が残っているからそっちで結果を残して締めくくろう」と言われたので、僕はそれを受け止めて跳馬の棄権を選択しました。

――今回のインカレは浅野選手にとってどのような試合になりましたか

やっぱりひとつの節目というか。本当にここまでいろんなことを調整してきたりしたので、締めくくりの大会になったのではないかなと思います。

――今後体操部の主将としてどのようにしていきたいですか

全日本団体選手権に出られるかまだ把握していないんですけど、出られることが決定したらそれに向かっていきたいです。今回みんな悔しい気持ちで、本当に今までにないくらい真剣に体操を考えるきっかけになったと思う試合になったと思うので、この機会に部員としっかり話し合ってどうやったら点数が取れるかとか、どうやったら勝ちに行ける試合ができるかとかを僕自身もしっかり学んで、それを体操部というかたちで成長させたいなと思います。

竹中貴一(スポ3=福井・鯖江)

――きょうは種目別でつり輪に出場していましたが、目標は何でしたか

きょうは着地だけです。やっちゃいましたね。つり輪はアップしないで、ぶっつけ本番で。(練習を)やればやるほど疲れていっちゃうので、アップせずに一発勝負という感じでした。80点の出来です。着地で20点マイナスです。

――納得はいかなかったのですか

悪くはなかったんですけど。でももう少しクオリティーを上げて頑張っていきたいと思います。

――U―21代表に選出されました。お気持ちはいかがですか

また滑り込みで、相当悔しいです。今回は頑張って上位で入ろうかなと思っていたのですが、入れるか入れないかっていうギリギリになってしまって。

――ギリギリで入れてしまったことへの悔しさが強いのでしょうか

はい。もう少し上に入れば他の海外試合にも派遣されたと思うので。

――去年の経験を踏まえて、ことしのU-21代表としての目標はありますか

学べることだけもらってきます。

――このインカレの経験を次にどうやって生かしていきたいですか

チームとしてじゃなくて自分がまず頑張んなきゃな、と。チームを考える前に自分で自分をなんとかしなきゃなと思いました。

高橋一矢(スポ2=岐阜・中京)

――試合を振り返っていかがですか

良くなかったですね、単純に。前日に6種目やって、体の疲労も残っていたので力の入り方も違いました。

――それでも難度は落としませんでしたね

つらかったんですけど、当然勝ちにも行きたかったので。そこで難度を下げてしまったら勝つものも勝てなくなってしまうし。自分が持っている最高難度の構成で最高の演技をしなきゃ勝てないのは分かっていたので、ここは攻めなきゃと思ってやりました。

――団体戦、種目別決勝を総括すると、このインカレはどんな大会でしたか

素直に喜べないのが一番ですかね。自分はどちらかというとそこまで団体戦にこだわっている意識はなくて。自分ができればそれでいいやっていうくらいの気持ちでやってたんです。けど、実際にそういう気持ちでインカレに臨んでみて、自分だけは良かった。のに、こんなに喜べないんだって。ということは、それだけ団体戦というのは自分の中で大きいものだったんだなって自覚しました。団体戦で勝ちたいっていう気持ちがさらに強くなった試合でした。