学生最高峰の大会・全日本学生選手権(インカレ)が8月19日から3日間行われる。早大は2002年に1部校に復帰して以降、『団体3位』を目標に掲げ、その大きな目標の前に何度も屈してきた。ことしは、全日本個人総合・種目別選手権の決勝に進めるほどの大物はいない。しかし、例年以上に雰囲気が明るいことが特徴であり、最大の武器だ。ひとりひとりが次の演技者に良い演技をつなぎ、ミスなく全ての演技を終えたとき、初めて見える景色が目前に広がっているだろう。福井の地で、ことしはどんなドラマが生まれるのだろうか。
現段階での団体戦メンバーを紹介したい。まずは、ことし主将を務めている浅野佑樹(スポ4=東京・明星)。ゆか・跳馬・鉄棒の得点源であるうえ、その他の種目においての安定性でもチームメートに与える安心感は大きい。副将の岸本邦秀(スポ4=兵庫・市尼崎)は体のラインを生かした美しい体操が持ち味。今大会が引退試合となるため、団体3位に懸ける思いは人一倍強い。ムードメーカーである近藤宏紀(スポ3=福井・鯖江)は、完成度重視の演技で雰囲気を盛り上げる。基礎力の高さはチーム一。竹中貴一(スポ3=福井・鯖江)は昨年U-21代表に選ばれた実力派。前の演技者にミスがあっても流されない、マイペースな体操でチームを引っ張る。今最も勢いがあるのは高橋一矢(スポ2=岐阜・中京)。5月の東日本学生選手権では個人総合7位、種目別つり輪3位という好成績を収め、インカレでも活躍が期待される。ダイナミックな演技が特徴である南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)。1年生ながら、大きな大会でも物おじしない強いメンタルでチームを勢いに乗せる。以上の個性豊かな6名で、全国の強豪に挑む。団体戦の最初の種目はつり輪。早大が得意とするこの種目で点数を稼ぐことと、最終種目のあん馬でいかにミスを出さないかが重要だ。
浅野の安定感はチームに欠かせない
個人戦には八木暁己(政経3=京都・洛南)、佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)、柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)の3名が出場予定だ。1か月前の早慶対抗定期戦で鉄棒の大技コールマンを成功させ順調な仕上がりを見せている八木、繊細な実施に磨きをかけた佐藤、得意種目である跳馬で種目別決勝進出を狙う柏木。個人戦は団体戦の前日に行われる。チームに勢いをもたらすような演技に期待したい。また、早大女子体操部からは長沼園佳(スポ3=群馬・中央中教校)が2度目のインカレに挑む。昨年はインカレの出場権を持っていながらも、直前のけがで断念。しかし、4月に行われた東日本学生グループ選手権ではリハビリ後一回り成長した姿を披露し、見事復活を遂げた。平均台の入り技、ゆかの表現力に注目してほしい。
団体・個人関係なく、早大体操部が一丸となってインカレに挑む
昨年は藤原昇平前主将(平28スポ卒=現相好体操クラブ)がけがで不在ということもあり、不本意な結果で終わってしまったインカレ。それゆえに、ことしに懸ける思いは並ではない。それぞれが自分に与えられた仕事をこなし、全員の演技がつながったとき、早大の強さは証明される。今、色あせることのない『永遠の輝き』を放て――。
(記事 大浦帆乃佳、写真 中村ちひろ)