【連載】2016年度インカレ直前特集『Everglow』 第2回 佐藤崇太×高橋一矢

体操

 互いに2度目の全日本学生選手権(インカレ)を迎える佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)と高橋一矢(スポ2=岐阜・中京)。1年前のインカレで何を思い、何を得たのか――。昨年から成長を遂げたであろう今、二人はどのような姿を見せてくれるのだろう。二人が胸に秘めている思いをうかがった。

※この取材は8月4日に行われたものです。

「良い雰囲気で練習に取り組めている」(佐藤)

ことしのチームの雰囲気を語る佐藤

――今シーズンを振り返っていかがですか

佐藤 ことしはDスコア(技術点)を上げるということを目標に去年の冬の間ずっと練習してきて、多くの種目で新しい技を入れてきました。ここまで平行棒のトライアル(全日本種目別選手権トライアル)とか東インカレ(東日本学生選手権)でやって成功させてきたということは良い経験になりました。このままインカレ(全日本学生選手権)もいきたいなと思っています。

高橋 去年インカレで悔しい思いをした分、ことしに懸けていて、ことしは絶対目標を達成しようという意気込みでやってきています。自分は体が結構弱くてけがも持っていてすぐ駄目になっちゃうので、一番気をつかっているのがコンディションづくりです。ことしは種目別(全日本種目別選手権)とかも一切出ずに全部東インカレとインカレにかけるという方針でやってきました。東インカレでかなり良い成績が出て演技内容も良かったのでそれは自信にして、インカレではさらにその上を目指すように東インカレが終わってから何か月間かやってきました。だいぶ仕上がりつつあるので、インカレはなんとかやれるかなと思います。

――ことしの浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)率いるチームの雰囲気はいかがですか

佐藤 正直言うと、すごく明るいというか、声を出すというか、盛り上げ役がいっぱいいるという感じですね。浅野さんもそうなんですけど、3年生の近藤さん(近藤宏紀、スポ3=福井・鯖江)は、失敗しても雰囲気を盛り上げてくれたりとか、ムードメーカー的な存在なので、それに乗っかって周りも雰囲気を明るくしようとみんなが良い雰囲気で練習に取り組めているので、僕はすごく楽しく練習に取り組めているかなと思いますね。

高橋 雰囲気はかなり良いと思いますね。やっぱり仲が良い。人数が少ないしその分上と下とのつながりもあるし、仲良く和気あいあいと。でも目指すところは目指してしっかりやっているので、目標だけは見失わないようにっていう感じで。雰囲気としてはすごく良いチームだなと思います。

――インカレの前哨戦となった東インカレを振り返ってみていかがですか

佐藤 僕は初めて団体というかたちで出してもらいました。大学に来て初めての団体戦ですごく緊張したのと、ほとんどの種目でトップバッターということがあって大きい失敗ができないという緊張があった中、あん馬はミスが出てしまったのですが、それ以外の種目ではトップバッターとして大きなミスなくやれたというのは自分の中では良い演技ができたのかなと思っています。

高橋 チーム的な結果を見たらあんまり良くない状態で、失敗も何個か出ていましたしまだまだ課題は残るのかな、とは思いました。個人的な面で言えばかなり良い試合ができて、大きい失敗もほとんどなかったですし結果も出ていたのでそれは自信になったかなと思います。

――2年生になって心境の変化はありましたか

佐藤 1年生が2人入ってきて後輩の見本になる立場になると思うので、いろいろ指示を出したりとか、人から信頼される行動を取るようにという意識はするようになりましたね。

高橋 後輩が入ってきて自分もしっかりしなきゃいけないという面でちょっと落ち着いたかなと思います。でも、そこまで今までの自分と変わったなという感じはないですね。

――1年生の印象はいかがですか

高橋 アホです(笑)。

一同 (笑)。

佐藤 よく言えばフレンドリーで人懐っこい感じですかね。いい意味で雰囲気を明るくしてくれるので、いい感じでみんなで和気あいあいと練習できています。そういう意味でいいなというのはあります。

「体操をしているときが一番楽しい」(高橋)

顔に充実感をにじませながら話す高橋

――それぞれの他己紹介をお願いします

高橋 佐藤崇太くんは、結構真面目できっちりした性格で、演技にもそれが出てきている気がしますね。きちっとして一個一個ちゃんとやっている感じで、私生活もそんな感じです。真面目できっちりして時間を守って、食事やトレーニングも自分に厳しくストイックにやっている子なので。ね?

佐藤 あざっす(笑)!

高橋 それがもっと演技に出てきてくれたらさらにもっとすごい選手になると思います。

――では、佐藤選手から高橋選手の紹介をお願いします

佐藤 一矢は私生活でも体操でもそうなんですけど、しっかりしているというのがあって。

高橋 やめてくれ!恥ずかしい(笑)!

一同 (笑)。

佐藤 すごくしっかりしているので自分はそれにくっついていくような感じですね。私生活でもすごくしっかりしていて、はじけるところははじけて(笑)、自分の体調管理だったり体のケアっていうもしっかりしていて。まとめると、しっかりしていていいなと思います。

――それを聞いていかがですか

高橋しっかりしているとは思わないですけど、自分も逆に崇太がしっかりしていると思うのでついていこうという感じで。お互いそんな感じで思ってるんだ(笑)。

――お二人の出会いはいつですか

佐藤 インターハイ(高校総体)が終わってから高校生の試合(全日本ジュニア選手権)がお盆にあるんですけど、初めて話したのがそこです。大会が終わるころに一矢が僕に声を掛けてくれて。すごく人見知りなので僕から話し掛けるとかあまりできなくて、話し掛けてくれました。

――当時に抱いた印象と今とでは変わりますか

高橋 演技とかを見ていて、やっぱり平行棒に関しては(当時から)すごくうまいなと思っていたし、器用な体操をする子だなと思っていたので。実際見てみても平行棒上手だし器用だし真面目でしっかりした子だなと。第一印象とそんなに変わりはないですね。

佐藤 僕もそのときの試合はそんなに(高橋選手の)演技を見れなかったんですけど、(早大の)入試のときに「一矢の体操を見れるな」って思って期待していたら、本人はけがをしていて何もやっていなくて、チューブをずっと引っ張っていて…。

高橋 チューブをずっと引っ張って(練習を)見ているだけという(笑)。

佐藤 (笑)。全然(高橋選手の演技が)分からなかったんですけど、いざ入学して体操を一緒にやるようになったら力強い体操をしていて、本当にすごいなと思いました。

――部内の推しメンはどなたですか

高橋 岸本さん(岸本邦秀、スポ4=兵庫・市尼崎)あたりを入れようかな。

一同 (笑)。

高橋 岸本さんは結構おちゃらけているように見えて実はしっかり考えてくれていて。浅野さんはどちらかというときっちりしていて真面目なタイプなんですけど、そこを固くなりすぎないようにしているのが岸本さんなのかなと。丸く柔らかく部内の雰囲気を盛り上げてくれるのが岸本さんなのかなと思っています。そうですね、好きです。

一同 (笑)。

佐藤 僕は佑樹さんですかね。今まで見てきた選手の中で一番きっちりしているというか自分に厳しく、周りにも気を使えてというか。今主将ですごく頑張っていて、部のことを常に考えてくれています。練習中も声を出したりとか自分で盛り上げたりとか、すごくいい人で頼りになる存在だと思います。

――彼氏にするなら誰がいいですか

佐藤 男らしさで言ったら佑樹さんですかね。本当に「男らしい!」という感じです。

高橋 岸本さんですかね、やっぱり。一緒にいてすごく楽しいです。

――サークルに入るなら何をしたかったですか

佐藤 サークルか…。ちょっと体操以外のことは考えられないです。

高橋 分かるよ、それは。体操しかしてこなかったというのはあるんですけど。「サークル楽しそうだなあ、人生楽しんでいるなあ」とは思いますけど、今の自分が楽しくないなとか言われるとそんなことはないし、体操をしているときが一番楽しい時間だし。これ以上はないかなって思います。

佐藤 僕も一矢が言っているのと同じです。今まで体操しかしてこなかったというのもあって他のスポーツに打ち込める自信がなくて。スポーツ自体は好きなんですけど、サークルに入ってもあんまり楽しめなそうというのはありますね。

――最近面白かったエピソードや楽しかったことはありますか

高橋 ざっくり(笑)。おもしろかったエピソード…。

佐藤 何があるかなあ。

高橋 どんな人生過ごしてんだよ、こんなに思い浮かばないなんて(笑)。

一同 (笑)。

佐藤 エピソード…。

高橋 エピソードか…。あ、でもドラマを見てましたね、ずっと。

――何のドラマを見てらしたんですか

高橋 「僕のヤバイ妻」を。録画しててためてあったのを一気にダーっと見て、まあそれも岸本さんと見てたんですけど(笑)。ずっと二人で騒いでましたね。

佐藤 いや、僕日常しょうもないことで笑うので、たぶん笑いのつぼが他の人と違うんですよね。ちょっと前に、本当にしょうもないんですけど、玄関があって、その扉を開けるべきなのに、右側にあった非常口の扉をゴンゴンってやって。

高橋 奇跡かよ(笑)。

佐藤 僕と先輩が側にいたんですけど、その先輩も笑いのつぼがおかしいのか分からないんですけど、その二人だけ爆笑してて、周りの人はしれっとしてて(笑)。

高橋 ドアノブで思い出したけどこの間ゴキブリが部屋に出て。ドアノブ触った瞬間にゴキブリ出て、寮でギャー!って叫んで(笑)。そしたら隣りの部屋入っていっちゃって、隣の部屋は柏木(寅冶、スポ1=千葉・市船橋)とかの部屋だったんですけど、「とらじ(柏木選手のあだ名)、ゴキブリ入ってった!」って言って、みんなで騒いで退治して。みんな臆病だから動くたびにギャー!って言ってました(笑)。

――どなたが退治したんですか

高橋 最終的に自分がやったんですけど、気持ち悪かったです。

――その後は現れていませんか

高橋 今のところは大丈夫です(笑)。

――では、最近ハマっていることはありますか

佐藤 僕は最近読書をするようになって、電車の中とかで空き時間とか暇な時間とかに読むようになりましたね。最初はけっこう携帯をいじって、携帯のゲームとかいろいろやってたんですけど、時間がもったいないなと思って、今までにないことをしようと思って、本に辿り着きました。

高橋 ポケモンGOにハマりかけて飽きましたね、もう(笑)。

――何日ぐらいで飽きてしまったんですか

高橋 1週間ぐらいですね。2週間持たなかったぐらい。

――好きなポケモンは何ですか

高橋 好きなポケモンか…ポッポとか(笑)。ポケモンGOしてるとやたらポッポが出るじゃないですか。ちょっと愛着湧いちゃって(笑)。

佐藤 僕ポケモンGOやってないんですよね。本当に有名なやつ、ピカチュウとかしか知らないんですよね(笑)。

「雰囲気良く団体3位を」(高橋)

去年味わった悔しさをバネに、ことしのインカレでの躍動を誓う佐藤(左)と高橋

――ここからはインカレの話に移っていきたいと思います。去年のインカレを振り返っていかがですか

佐藤 去年のインカレはワセダとして参加する初めての試合で、緊張で頭が回らない状態で試合に参加したので、落ち着きがないまま演技を終えてしまって。あまりぱっとしない自分を悔しく思いました。

高橋 自分もそれがワセダの団体として出る初めての試合で、種目別とかは出てたんですけど、個人総合で出るのは初めてでした。やっぱり大学生の試合の雰囲気っていうのをあんまりつかめていなくて、試合や応援の感じもつかめてなくて。不安がある中で演技してみたら、多少チームメートの失敗はあったんですけど、実際、てつぼうで一番大きい落下というミスをしたのが自分が一番初めでした。そこから落下が続いたり失敗が続いたりして、1年生で団体に入れてもらえたのに、そうやって自分がきっかけでチームの悪い雰囲気をつくってしまって、何してんだろうなって思いながら(ローテーションを)回って。結構あっという間で、訳分かんないまま終わったっていう感じですかね。

――お二人の現在の調子はいかがですか

佐藤 僕は大過失を出さないように我慢して演技を通すっていうのを自分の目標としてやっています。一応大過失っていうのは減ってきてるんですけど、演技の細かいところっていうのが拾い切れてないかなっていう印象がまだあって。インカレまで残り短い期間なんですけど、限られた時間の中で細かい部分まで集中して修正していきたいなと思っています。

高橋 だいぶ調子は上がってきていて、演技もだいぶかたちになりつつはあるんですけど、まだまだ詰め切れてないかなというか。自分の理想の状態にはなってないので、あと2週間あるかないかで時間はないんですけど、ここから詰めていけばインカレで十分良い演技はできると思うので、細かいところをしっかり詰めて、ミスなく終えられたらいいなと思います。

――今強化している部分はありますか

高橋 自分は鉄棒が苦手種目でミスも出やすくて。離れ技とかあまり上手じゃないけど、そこをうまく乗り切れたら試合も良い流れをつかめるんじゃないかなと思うので、そこは重点的にやっています。あとは、つり輪に自信を持っているので、まだまだ力技とかはもっと良い姿勢でできたり、もっと点を伸ばせると思うので、その辺は結構こだわってやってます。

佐藤 僕は突出して得点を取れる種目が平行棒ぐらいしかないので、その唯一得点が取れる平行棒を重点的にやっています。あと、あん馬はミスが出やすい種目なので、普段の練習の中でも時間を掛けてやって、安定して通し切るっていうことを目標にやっています。

――今回のインカレで注目してほしいところはどこですか

高橋 基本的に全部見てほしいんですけど、やっぱり自分はつり輪っていうイメージが強いので、当然そこは注目してもらいたいです。6種目通しても力をつけてきてるし、6種目通しての点数もかなり取れるようになってきているので、その総合力も少し見てもらいたいなと思います。

佐藤 僕は冬の間に単棒ヒーリーっていう、ちょっと技名言うと難しいと思うんですけど、日本人の選手があんまりやってない技を馬場先生(馬場亮輔監督、平18年人卒=埼玉栄)からいろいろ教えていただきました。冬の間ずっとその技を練習してきたので、あんまり(この技を)やってる人はいないんですけど、その技に注目してほしいです。

――具体的な目標を教えてください

高橋 まず絶対団体3位に入るっていうところだけは外せないところです。個人的な面で言えば87点をまだ取ったことがなくて、そこまで(点数を)乗せたいっていうのと、87点取れればU-21代表にも入れますし、来年の全日本個人総合選手権の出場権利も得られるので、それを目標にしたいと思います。

佐藤 目標としては、Dスコアのことを考えるとまだU-21代表っていうのは難しいと思うんですけど、今やれる演技っていうのをミスなくやるっていうことがまず第一の目標です。試合でミスなく演技できるっていうことを自信にして、来年、再来年と徐々にDスコアを上げて団体3位に貢献できるような選手になりたいなと思います。

――最後に意気込みをお願いします

高橋 インカレでは自分の持ってる力を全部出し切って、雰囲気良くチームで団体3位を取ります。

佐藤 ノーミスでやりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 田中佑茉、中村ちひろ)

今回の色紙のテーマは「自分の体操を一言で表すと?」

◆佐藤崇太(さとう・そうた)(※写真左)

1997(平9)年1月19日生まれ。159センチ、52キロ。福井・鯖江高出身。スポーツ科学部2年。色紙に書く言葉を悩んでいた佐藤選手。最後は自分の体操を『必死さ』と表現してくださいました。インカレでもがむしゃらに戦う姿に期待です!

◆高橋一矢(たかはし・かずや)(※写真右)

1996(平8)年10月9日生まれ。158センチ、53キロ。岐阜・中京高出身。スポーツ科学部2年。対談中は積極的に対談を盛り上げてくれた高橋選手。佐藤選手と仲の良さが伝わってきました。体操の話になると真剣な表情に。ことしのインカレに懸ける強い気持ちを語ってくれました。演技終了後のはじける笑顔とガッツポーズは必見です!