浅野と柏木が健闘!予選通過ならずも得意種目で見せる

体操

 種目ごとで日本一を決める全日本種目別選手権(全日本種目別)。リオ五輪の代表最終選考会も兼ねており、いつも以上に緊迫した空気が漂う中で行われたこの大会に、浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)と柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)が挑んだ。決勝で演技できるのはシード選手を含めた上位8名のみ。両選手ともに予選通過とはならなかったが、それぞれの得意種目で持ち味を存分に発揮した。

 「満足のいく演技ができた」と語ったのは、今季の主将・浅野だ。まず出場したのが、トップバッターを務めた跳馬。不安があった中臨んだ1本目のドリックス(技術点5.6)は、片足ラインオーバーとなる。しかし、2本目に挑んだローチェ(技術点5.6)では着地をピタリと止め、ガッツポーズを披露した。続いて臨んだのは自信があったという鉄棒。ダイナミックな離れ技を次々に成功させ、自身が持つ最高難度の演技を危なげなく通す。全日本種目別という大舞台で14.800というハイスコアをマークし、決勝進出まであと0.05と健闘した。

雄大な実施を披露した浅野の鉄棒

 予選通過を目標に柏木は跳馬に臨んだ。1本目の跳躍で、東日本学生選手権(東インカレ)で決めることのできなかった高難度の技ロペス(技術点6.0)を見事に成功させ、15.200という得点を叩き出す。しかし続く2本目の着地の際に、踏ん張り切れず手を付いてしまうという痛恨のミス。こちらは13.450と伸び悩む。練習を重ね、不安要素がなかっただけに苦い実施となった。2本の平均である最終得点は14.325にとどまり、全体順位17位と決勝進出を逃してしまう。「まだ詰めが甘い」と柏木は自身の演技を振り返った。

東インカレでのリベンジを果たした柏木のロペス

 「ロペスを立てたのは自信につながった」(柏木)。ともに悔しい結果に終わったものの、大きな手応えと収穫を得た試合となった。今大会に出場した2名に刺激を受け、早大体操部は一回りも二回りも成長するだろう。確かな存在感を示した浅野と柏木を中心に、進化を続ける選手たちの今後の活躍が楽しみだ。

(記事 中村ちひろ、田々楽智理、写真 大森葵、田中佑茉)

結果
跳馬
選手名 1回目 2回目 平均(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.600 14.650 14.625(10位)
柏木寅冶(スポ1) 15.200 13.450 14.325(17位)
鉄棒
選手名 結果(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.800(7位)
コメント

浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)

――演技を振り返っていかがでしたか

結構満足のいく演技ができましたね。跳馬も直前まで足首を痛めてたり不調だったりで不安だったんですけど、やるしかないって気持ちでやりました。鉄棒は、なんとなくきょういけるんじゃないかなというくらいの感じでやって、うまくいったので、次につながる試合ができたと思います。

――この大会に向けては、どのような意気込みで臨みましたか

実力が伴っていないんで、優勝しなきゃっていうプレッシャーはないんですけど、決勝に進出して、優勝目指して頑張ってきたので、できる限り自分のいい演技して、いい点数を出そうっていう意気込みでした。

――具体的にどのような練習をされたのでしょうか

やるしかなかったし、前からやってる技ばっかりだったので何回も演技を通したり、いつでもできるようにウォームアップなしでやってみたりとか、ここまでにどうするとか、細かく決めて練習してきました。

――冬場にロペスを練習されたと伺ったのですが、今大会での挑戦というのは

(ロペスを)やりたかったんですけど、全然間に合わなかったです。本来東インカレで挑戦するべきだったんですけど、そこに間に合わなくて、(難度が1つ下の)ドリックスにしてみたら、それもちょっとかみ合わなくなったので、今回はまずドリックスをしっかり直して、インカレ(全日本学生選手権)に向けていい流れをつくっていかなければならないなということで、ドリックスにしました。

――2本目は、着地もしっかり決まって、笑顔やガッツポーズが見られました

めちゃくちゃうれしくて、思わずガッツポーズしちゃったんですけど、普段あまり練習してなかったし、試合だけのところがあったので、そこはちょっと反省しています。今回はラッキーという感じで(笑)。

――鉄棒の演技後もガッツポーズされていましたね

鉄棒は、きょうならできるなという自信があったので直前のウォームアップもいつも通りできたし、何か特別これといった不安もなくやれました。

――スペシャリストが大勢いる、種目別の大会ということで他の試合とはまた違った緊張感はありましたか

どちらかというと緊張感というよりは、2種目しかないから、空回っちゃったらどうしようっていう不安がありました。なので、いつもやってることをなるべく同じようにやろうっていう風に考えていました。緊張感は本当になかったですね。どちらかというと緊張感を高めていかなきゃなっていう感じでした。

――次の試合に向けた収穫や課題はありましたか

鉄棒は14.800という点数がちゃんと出せると分かったので、Dスコア(技術点)を維持するか下げるか迷ってたんですけど、このまま6.5で通せるように、インカレまで仕上げていきたいと思います。跳馬のドリックスは、まだ着地が止まらないので、止まるまで練習していきたいです。

柏木寅治(スポ1=千葉・市船橋)

――この試合にはどのような意気込みで臨みましたか

自分の精一杯の演技をして、予選を通過するというのが目標でした。

――全日本種目別に向けてどのような練習をしましたか

ロペスは練習からしっかり立つというのを心がけました。(2本目の)前方の技も練習の時は特に不安もなく跳べていたのですが、試合ではやろうやろうと思ってしまい失敗しちゃいました。

――きょうの演技を振り返っていかがですか

ロペスが立てたというのは大きな収穫です。ですが、2本目で手をついてしまったというのは、まだ詰めが甘いなと思います。

――東インカレではロペスを失敗してしまいましたが、きょう成功した時のお気持ちは

正直、うれしかったです。でも、2本目のことがあるので喜べないです。

――2本目の着地の失敗は緊張からですか

緊張というよりは、ロペスを成功したから、あとはやるしかないと思い、いきすぎてしまいました。

――この大会で何か収穫は得られましたか

ロペスが立てたことは自信につながりました。