それぞれが自身の課題と向き合う

体操

 毎年恒例の関学大との早関対抗体操競技定期戦。59回目を迎えることしはホームである早大第二体育館で開催された。早大からは今回が大学デビュー戦となる藤原康平(スポ1=愛媛・新田)を含む9名の選手がエントリー。団体総合では早大が331.950点で優勝し、6種目の合計で競う個人総合では84.650点の浅野佑樹(スポ3=東京・明星)が全体のトップに立った。

 今季初試合に挑んだのは宮田雅博(創理3=神奈川・山手学院)と藤原康だ。「ミスをしないこと」を目標にしていた宮田は、ゆかで尻もちをついてしまう場面があったものの、気持ちをしっかり切り替え最終種目の鉄棒の着地まで集中を切らさずに行う。得意種目であるあん馬のみに出場した藤原康は、序盤から手脚の長さを活かした大きな旋回を披露。しかし、その後器具に脚をぶつけて落下してしまう。悔しさの残るデビュー戦となった。宮田と藤原は今回の反省点を修正し、10月末に控える関東学生新人・交流選手権に臨む。

最終種目まで集中して試合に臨んだ宮田

 チームの中で5人が選抜され演技を行う団体戦ながらも、全種目に出場した浅野佑樹(スポ3=東京・明星)と岸本邦秀(スポ3=兵庫・市尼崎)。「お互い切磋琢磨してやっていこう」(浅野)との言葉通り、両者の演技がチームの雰囲気を盛り上げる。つり輪の終末技で大きなミスが出てしまった岸本だが、鉄棒では高さのある離れ技を次々と決め着地を止めるなど、粘りの実施を披露。浅野はあん馬以外の5種目で14点台をマークし、インカレでの雪辱を果たした。松田裕太(スポ4=埼玉栄)、竹中貴一(スポ2=福井・鯖江)、近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)、佐藤崇太(スポ1=福井・鯖江)は見せ場で確実な演技を行うが、要所でミスが出てしまう種目もあった。そんな中、八木暁己(政経2=京都・洛南)はゆかと平行棒で安定感ある着地を見せる。それぞれが次戦に向けての収穫や課題を得た試合となった。

関学大の選手とハイタッチをする浅野

 「みんなで試合をしている感じがしてよかった」と浅野が振り返るように、互いに相手チームの選手の演技中にも声を掛け応援する姿が印象的だった今回の定期戦。いい演技にはチーム関係なく惜しみない拍手を送り、ミスがあった選手には「次しっかり」と励ましの言葉を掛ける。体操競技の良さが垣間見える温かい空間であった。早大体操部が次に控えるのは早慶対抗定期戦。今回の課題を各選手が克服し、成長した姿に期待したい。

(記事 大浦帆乃佳、写真 寺脇知佳)

男子団体総合
選手名 ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点 順位
松田 祐太(スポ4) 12.600 13.600 26.200
浅野 佑樹(スポ3) 14.850 12.400 14.050 14.600 14.250 14.500 84.650 1位
岸本 邦秀(スポ3) 14.250 13.200 13.200 14.100 14.050 14.600 83.400 2位
宮田 雅博(創理3) 9.950 9.550 11.000 3.300 33.800
近藤 宏紀(スポ2) 12.600 14.350 14.200 13.600 54.750
竹中 貴一(スポ2) 14.800 11.800 14.200 40.800
八木 暁己(政経2) 13.300 13.850 27.150
佐藤 崇太(スポ1) 13.500 13.300 26.800
藤原 康平(スポ1) 11.100 11.100
チーム得点 55.900 50.800 55.200 56.800 56.350 56.900 331.950 優勝
コメント

浅野佑樹(スポ3=東京・明星)

――きょうの試合を振り返って

今回6種目合計で84.500点という目標を達成できたので嬉しいです。ただ、細かいところを練習してきたつもりが、つり輪でぐらついたり、平行棒で自分の思うように(技が)はまったりというのがなかったので、もっと練習を詰めて、Eスコア(出来栄え点)が高い演技ができたらいいなと思います。

――なぜ全種目に出場されたのでしょうか

インカレで情けない試合をしてしまったので。(全種目は)自分としても出たかったんですけど、馬場先生(亮輔、平18人卒=埼玉栄)から「6種目は浅野と岸本」と任されました。

――全種目に出られたお二人はお互い意識し合っていたのでしょうか

かなり意識していました。(全種目出るということは)2週間くらい前に発表されたんですけど、いい雰囲気作りというか、お互い切磋琢磨してやっていこうということで練習していました。

――ゆかではほとんどの着地が止まっている印象がありましたが、振り返ってみていかがですか

思ったよりも「止まっちゃったな」という感じで。狙いにいった着地ではなかったので、まだまだ課題の残る演技でした。でも試合という形で(自分の力が)出せたので、こういう演技を何回も重ねていって、成功する癖をつけていきたいです。

――最終演技者となった鉄棒の演技前の心境は

めちゃくちゃ緊張しました。僕は一回固まってしまうと失敗する流れができてしまうので、危ないかなって思ってたんですけど。応援してくれる選手の距離も近くて、声がよく聞こえたので励みになったというか、力が出ました。

――インカレ以降力を入れて練習してきたことは

力技を重点的にやっていました。あとは力技ではないのですが、平行棒の倒立やあん馬のぐらつきを力でねじ込むっていう練習を、自分なりに補強を考えたりしてやっていました。

――試合の雰囲気はいかがでしたか

すごく楽しかったです。両校お互いに応援し合って、みんなで試合をしている感じがしてよかったです。

――きょう良かった種目は

ゆかですかね。着地が決まって演技が進んでいくときはすっきりした気持ちのままいけるので、楽しかったです。

――ケガの具合は

念のためまたケガしないようにテーピングをしていますが、かなり良くなってきたので全日本団体選手権(全日本)の時にはテーピングせずにできたらいいなと思います。

――今後の試合への意気込みをお願いします

まだ何種目出るか決まっていないのですが、技を増やせる種目は増やして、増やさない種目はきょう出たミスだったり0.3の減点を0.2に、0.2を0.1に減らしていけるような練習をしていこうと思います。早慶戦に出るからには勝って、全日本に向けての前哨戦にしたいです。全日本では260点を取れるようにチーム全体で盛り上げて頑張っていけたらな、と思います。

宮田雅博(創理3=神奈川・山手学院)

――この試合に向けてどういった調整を進めてきましたか

僕は4週間後に交流戦(関東学生新人・交流選手権)が控えているのですが、それに向けてミスのない演技でいい試合ができるように心掛けてきました。

――具体的な目標はありましたか

この試合はミスをしないというのが目標だったのですが、ゆかで一つミスが出てしまったのでそこが心残りです。

――そのゆかの演技を振り返ってみていかがですか

ミスをしてしまった部分がもともと不安があったところなので、今後練習していつでもミスをしないことができるように頑張りたいと思います。

――他に力を入れていた種目はありますか

鉄棒が好きで頑張っているのですが、なかなか技が増えなくて大変でした。でもきょうはあまりミスなくできて良かったと思います。

――つり輪の演技を振り返って

つり輪はまずまずだったと思います。

――跳馬に関してはいかがですか

跳馬も70点くらいの演技だったと思います。

――残りの30点とは

あまり難しい技ではないので着地をしっかり止めたかったのですが、大きく1歩出てしまったのでそこが少し心残りです。

――交流戦に向けて技を増やしていく予定の種目はありますか

きょう出場しなかったあん馬と平行棒はもう少し技を増やして、鉄棒もあと一つ二つ技を増やそうと思っています。

――交流戦に向けた収穫は得られましたか

僕は試合経験が少ないので試合前の過ごし方などがあまり分からなかったのですが、きょうの反省を生かして交流戦ではもう少し落ち着いた心境で試合を迎えられたらいいなと思います。

――交流戦に向けた意気込みをお願いします

6種目ミスなく演技をすることと、ことしの目標は個人総合で54点を取ることなので、54点を取れるように頑張りたいと思います。