【連載】2015年度インカレ開幕特集『舞い上がれ』 最終回 藤原昇平×松田祐太

体操

 連載最後を飾るのは、ことしの早大体操部を支える藤原昇平主将(スポ4=埼玉栄)、松田祐太副将(スポ4=埼玉栄)。高校、大学と同じ道を進み、いつでも苦楽を共にしてきた二人。4年生になり、最後となる全日本学生選手権(インカレ)ではどのような姿を見せてくれるのだろうか。

※この取材は7月29日に行われたものです。

「目標を達成してこそ悔いが残らない」(藤原)

藤原

――まず、今シーズンを振り返ってみていかがですか

藤原 全日本個人総合選手権(全日本)から始まって、NHK杯でいい成績を残す予定だったんですけど、そう簡単にはいかず。(予選を通過できず)全日本で終わってしまい、悔しい思いをして。でも、終わったことだからしょうがないと思い、次に控えている東インカレ(東日本学生選手権)に気持ちを切り替えました。東インカレでは全日本であった悔しさを晴らすような演技ができて、今に至っているという感じです。インカレに向けてまた今調子を上げているので、このままいい調子でインカレに臨みたいと思っています。

松田 僕は4月のトライアル(全日本種目別選手権トライアル)から始まって、東インカレに出させていただきました。特別に良い成績を残せているわけではないですが、練習でやってきたことは出せているのでこのままインカレに向けて調子を上げていって、しっかりやり切れたらいいなと思います。

――インカレまでに個人的に強化したいところは

藤原 インカレに向けて現時点では完成度が100パーセントではない状態なので、これから技を増やすとかそういうところではありませんが、一個一個質の良いものを演技で出せればいいなと思います。

松田 ベースはしっかりできてきているので、あとは細かい部分の0.1点を着地などで詰めていきたいです。その積み重ねでもう少し点数を伸ばしていければいいな、というより伸ばしていかなければいけないと思います。

――4年生になって心境の変化はありましたか

藤原 主将として活動する上で、自分できちんと考えて行動するように、とは考えています。でも、自分だけ考えていても務まらないので、周りを良く見なければならないというのがあって…。そこが大変です。

松田 副将ということで、チームをしっかり引っ張っていける存在になれるように考えてやっています。

――こういうチームにしたいなという目標はありますか

藤原 一人一人が、言われなくても活動できるような組織にしたいですね。

松田 選手、マネージャ、個人も団体も関係なく全員が目標に向かっていけるチームにしたいと思っているし、そうしないといけないと思っているのでつながりを深めていくというのを心がけています。

――何か新しく始めた試みはありますか

藤原 雰囲気作りですね。あとはチームの連携を図るために教えあったり。そういうことは今まであんまりなかったので。

――1年生も入りましたが、チームの雰囲気はいかがですか

藤原 それぞれ個性があって…。いいと思います(笑)。

松田 雰囲気は悪くないですし、むしろ(自分が早大体操部にいた)4年間で1番いいんじゃないかなって思います。

――インカレ前での緊張感もあると思いますが

松田 練習の時は、和やかな感じではできないですね。やるときはやる、というスイッチのオンオフで、しっかりメリハリを持ってやっていると思います。

――藤原選手は、今まで背中で魅せるタイプの主将だったのが、インカレ前のこの時期から積極的に声掛けをするようになったとうかがいました。何か意識していることがあったのでしょうか

藤原 今までの状態だと部としても良い方向に進まないのかなと思ったので。それなら、こっちから(部員に)積極的に声を掛けていくようにと思い始めました。

――松田選手は後輩の指導という面で何か意識していることはありますか

松田 僕は仲良くやっちゃうんで、そこが甘いってよく言われていて。でも、昇平が主将として頑張ってくれているので僕はそれでいいかなと思います。

「全員が目標に向かっていけるチーム」(松田)

松田

――お二人は高校の同級生ということで仲が良いとお聞きしましたが

松田 仲良いです。

――よく遊んでいるとうかがいました

藤原 二人でということはあまりないですが、なにかと一緒になることが多いです(笑)。

松田 そうっすね(笑)。

――初めてあったのは高校時代ですか

松田 高1じゃない?

藤原 それまで面識なかったからね。

――7年間一緒にいて感じる、お互いの良いところを教えてください

松田 恥ずかしくないですか(笑)。昇平は体操がめちゃくちゃ好きなので、体操の試合の動画とかもずっと見ているし。体操に対する姿勢とか、そういう面で尊敬しています。

藤原 高校時代は僕の方が(実力が)下で。祐太がチームを引っ張っていて。高校の時は目指すというか、越えなければいけない存在だなと思ってやっていました。あとは、僕も言われるんですけど、最初は後輩から怖いといわれるのですが、後輩とフレンドリーに接するところが…。いいですね(笑)。

――お二人ともレゲエが好きとお聞きしました

藤原 そんなことないです。

松田 それは間違った情報です(笑)。

一同 (笑)。

――では、お二人の趣味は

藤原 音楽とか服とかが好きです。

――音楽が、レゲエではないと

藤原 レゲエではない(笑)。ヒップホップとか。おしい(笑)!

――はまっていることはありますか

松田 最近はないですね…。旅に行きたいです!来週みんなでBBQに行きますね。わくわくしています。

――寮生活はいかがですか

松田 楽しいっすよ!

藤原 いろんな部活がいて、体操部は体操部で一角に集まって話したりとかしてますね。

――他の部から刺激を受けることはありますか

藤原 他の部からよりは、他の大学で同期で活躍している体操選手からは刺激をもらいますね。

――埼玉栄時代の面白かったエピソードはありますか

松田 僕は自宅からの通い生だったんですけど、昇平は寮だったんでいっぱいあると思います。

藤原 毎日楽しかったです(笑)。

――お二人はどうして早大に進まれたのですか

藤原 練習環境が整っていて、部員も少なく1年生から試合に出ることができると聞いていて、他の大学だと強くても1年生から出るのは難しいことなので、そういった点が大きかったです。

松田 入学するとき、日体大、順大は1、2番争いをしていて。そのとき早大は5、6番争いをしていて、これからって位置にいて。5、6番から上がっていっていずれは1番争いをする、挑戦する大学だと思ったので入学を決めました。

――同期の小倉選手(佳祐、スポ4=千葉・習志野)の活躍を見ていかがですか

松田 すごいですね。

――練習でもロペスハーフを跳んでいるのですか

松田 あんまり出さないんですよ。ロペスハーフを練習で。試合で決めるところで決めるのでそういう力が本当にすごいなと思います。

――体操というのは、練習でたくさんやったからといって本番でできるわけではないのですね

藤原 練習の時点で試合を想定して、どこまでできるかという状況を作り上げて試合に臨んだときは、おそらく練習通りの結果が出ると思うのですが…。小倉はちょっと特殊です(笑)。試合に強い選手ですね。

松田 体操は、ここぞというところで決める力もすごく大事だと思います。

――体操選手は常にケガとの戦いがあると思いますが、気を付けていることなどはありますか

藤原 体操選手の中で僕は体が硬い方なので、ストレッチはきちんとやって、ケガ予防の対策として練習前と練習後は行っています。

松田 僕は体質的にケガをしなくて、慢性的なケガもあまりないです。でも疲れは溜まってきくるので、そのときはちゃんと体を休ませることを心掛けています。

――メンタル面も大切なスポーツだと思いますが、その辺りの対策は

藤原 僕は試合形式をそのまま通したりチェックを行う日の電車の中で、試合を想定して、会場に向かうイメージだったりそのときの演技をイメージしながら体育館に向かいます。あとは、一種目一種目を演技する前に呼吸を特に意識してやっていて。それを行うことで気持ち的にも落ち着くし、集中して演技に臨めるのでこれを3年間続けています。

――その方法はご自身で見つけたものなのでしょうか

藤原 そうですね。自分にあったのがそれだと分かったので。それをずっと、どこに行ってもやっています。

――松田選手はいかがですか

松田 僕はちょっと前まで、練習の一時間前に来て、何分の電車に乗ってっていうルーティ―ンをきっちり作ってやっていたんですけど、自分に合ってなかったみたいで疲れちゃって(笑)。どんどんパフォーマンスが下がっていって、これはもう駄目だと思ってやめました。試合の時とかもずっと集中しているのが無理なので、試合に入る前や試合形式の練習が入るぎりぎりまでできるだけラフな気持ちで持っていって、やるときにしっかり集中するというオンとオフをつけるようになりました。だからぎりぎりまでリラックスしていることを最近心掛けています。

――リラックスしながら演技をした方が自分に合っていたのですね

松田 一番楽な状態で練習できたときに、僕は一番いいパフォーマンスができるので、練習の時と同じ感覚でできるように合わせるということを最近心掛けています。

「ことしこそ団体3位」

ことしの早大を引っ張っている二人

――インカレでの目標を教えてください

藤原 毎回3日目(個人戦決勝)は、2日目の試合の疲れもあって、初日よりも順位を下げて結果を残せてなかったんで。2、3年と入ってきたU-21日本代表はことしはもうないので、個人のタイトルを狙っていきたいです。団体は3位とみんな言っていると思いますが、そこはもう絶対に取りに行きたいですね。

松田 個人は団体の前に演技するので、団体3位のためにも、個人の僕たちが勢いづけることが大切だと思っています。個人としては予選を通って最終日の決勝に行くのが目標です。

――インカレへ向けての雰囲気はいかがですか

藤原 最近はまとまってきていてすごくいいのですが、全体的に見ると完成度はまだ70パーセントぐらいです。

――団体戦のローテーション(※早大は跳馬、平行棒、鉄棒、ゆか、あん馬、つり輪の順)が発表されました。カギとなるあん馬が5種目目にありますが、ご覧になっていかがですか

藤原 あん馬はメンタルが演技に現れやすい種目なので1種目目にあん馬をやるよりも、流れに乗ってきている後半にあった方がやりやすいですね。

――ここまで、あと一歩で団体3位を逃す結果が続いていますが、その点についてはいかがですか

藤原 毎年チームのカラーが違うので何ともいえないですけど、やり方が間違っていることもないし。でも本気で(団体3位を)全員が思っているチームが一番そこに近く、3位を取りに行けるんじゃないかなと思っていて。もちろん今までも思っていたとは思うんですけど…。気持ちの問題ですかね。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

藤原 インカレが僕としても最後で、悔いが残らないようにしたいです。目標を達成してこそ悔いが残らないと思うので。絶対に団体3位を取りに行きたいですね。

松田 僕も悔いが残らないように。守りに入って負けると悔いが残るので、しっかり攻めの姿勢を貫きたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 久保田有紀)

笑顔で集大成を飾ってください!

◆藤原昇平(ふじわら・しょうへい)(※写真左)

1994(平6)年1月1日生まれ。161センチ、58キロ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部4年。高い実績を持ち、選手からも絶大な信頼を置かれている藤原選手。色紙には「ドヤ顔」の3文字を書いてくださりました。インカレの大舞台で着地を止め「ドヤ顔」をする藤原選手に期待です!

◆松田祐太(まつだ・ゆうた)(※写真右)

1993(平5)年5月11日生まれ。165センチ、61キロ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部4年。体操部のTシャツデザインを任されるなど、意外なセンスも持ち合わせる松田選手。集大成となるインカレでは、得意種目である鉄棒の演技に注目です!