連載2回目は、小中高にわたりライバルとして、また仲間として一緒に成長してきた近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)と竹中貴一(スポ2=福井・鯖江)の2年生コンビが登場。昨年のインカレ(全日本学生選手権)からの成長を遂げたであろう今、二人はどのような姿を今回のインカレでは見せてくれるのだろう。普段から仲が良い二人に体操への思いやインカレに懸ける意気込みをうかがった。
※この取材は7月31日に行われたものです。
「雰囲気を盛り上げられたら」(近藤)
近藤
――今シーズンを振り返ってみていかがですか
近藤 昨年に比べたら成長できてきているかな、とは思います。昨年は自分の実力を出せなかったので、ことしは昨年より仕上がってきているとは思います。
竹中 ことしはまだ6種目そろっていい演技ができていないので、インカレでは絶対に失敗しないようにしたいです。6月から7月にかけてずっと調子が悪く、いつもは失敗しないところでも失敗する、という感じだったのでここから調子を上げていきたいです。
――藤原主将(昇平、スポ4=埼玉栄)率いることしの体操部の印象はいかがですか
近藤 すごく楽しいですね。藤原さんはやるときはやって、やらないときはやらない、みたいな感じなんですけれど、寮とかでもすごく仲良くしてくれて。一方で部ではみんなを引っ張っていってくれるというか、前の人が失敗してもちゃんと演技を通してくれるので頼もしいです。
竹中 主将は失敗も全然見せなくて、みんなが失敗しても自分はやり通す、というように最後しっかり止めてくれるので頼りになりますね。
――主将とは普段どのようなお話をするのですか
近藤 体操のことだったりとか。勉強の話はあまりしないですね(笑)。昇平さんはおしゃれなので服のこととか聞いたりします。
竹中 結構体操に関してのことが多いですね。
――後輩が入ってきましたが、昨年との違いは感じますか
近藤 そうですね。仕事が減ったので、1年生の時より楽になりましたね。
竹中 特に変わったことはないです。
――普段、後輩とはどういったお話をされますか
近藤 後輩はみんな勉強ができるので、勉強のことを聞いたりします。
――同じ鯖江高校出身の佐藤選手(崇太、スポ1=福井・鯖江)の印象はいかがですか
近藤 真面目ですね。勉強もちゃんとするし、練習もちゃんとするし。頑張りすぎるところがあるのでもう少し力を抜いた方がいいのかな、とは思います。
――インカレが近づいてきて、チームの練習の雰囲気などはいかがですか
近藤 声をかけ合って、失敗したら前の人がカバーして、というような感じです。
竹中 最近はまとまってチームっぽくなってきたな、というのはあります。
――どういった声かけをされるのですか
竹中 失敗しても盛り上げようみたいな。空気重くせず。
近藤 「しっかり行けよ!」とか「ここ大事だぞ!」とかね。
――ご自身の調子はいかがですか
近藤 僕、先週肩をケガしちゃって、今1週間ほど練習してなくてちょっときついですけど、インカレまでには間に合わせたいです。
竹中 最近はぼちぼち調子が上がってきているので、このまま上げていこうと思っています。
――強化している部分は何かありますか
近藤 昨年に比べてDスコア(技術点)を結構上げたので、難しい技を多く入れていけるようにしています。
竹中 ただやるだけじゃなくて、質上げもしていきたいです。
――現時点ではお二人は団体メンバー入りをされていますが、変更の可能性もあるとうかがいました。何か意識していることはありますか
近藤 昨年U―21日本代表に入った浅野さん(佑樹、スポ3=東京・明星)が補欠で、実力を持っている方で、いつチェンジされるか分からないので冷や冷やしています。
竹中 昨年も(団体メンバーに)残ったのでどうやってでも(団体メンバーから)落とされないようにしていこうと思います。
――インカレではどういった点でチームに貢献していこうという思いがありますか
近藤 チームの雰囲気を盛り上げられたら、というのはありますね。落ち込まないように。
竹中 雰囲気を壊さないことと、種目ごとに点数が取れない人が一人はいるはずなので、そこを自分がカバーしていきたいです。
――近藤選手はチームのムードメーカーだとうかがいました。具体的にどのような盛り上げ方をなさっているのですか
近藤 とりあえず大きな声を出すことを意識しています。演技が一人うまくいったら「オッケー!」とか「よっしゃ!」とか声をかけるようにしています。
――竹中さんから見てその姿はいかがですか
竹中 いい感じです(笑)。
近藤 あ、ありがとうございます(笑)。
「回ってきた流れを止めないように」(竹中)
竹中
――ワセダを志した理由を教えてください
近藤 高校の先輩である山岸さん(拓十、スポ4=福井・鯖江)に話を聞いていて。人数が少なくてみんなで楽しくやっている、という話を聞いていいな、と思って志しました。大人数だと試合に出られなかったりするんですけど、少人数なので試合に出られると聞いて、いいなと思いました。
竹中 試合の結果を見てトップ2校は変わらなかったんですけど、ワセダのまわりの筑波大などとはいい勝負だったのでちょっとすれば抜け出せるかな、勝てるかな、と思いそこで頑張ってみたいなと思ってワセダを志しました。
――お二人の体操の出会いについて教えてください
近藤 保育園の時に体操クラブに通っていて。バク転を見てかっこいいな、と思ったのがきっかけです。
竹中 小学生の時に体操クラブに連れて行ってもらって楽しいレベルで遊びみたいな感覚で通い始めました。
――挫折は経験されましたか
近藤 しましたね。何回もケガをしちゃって。ジュニアの時は結構実力があったんですけど、ケガをして自分よりレベルが下だった人にどんどん抜かされて。そのときはちょっと体操がつらかったですね。やめようとは思っていなかったんですけど、早く終わりたいなとは思いましたね。
竹中 高3が始まる直前に手を骨折しちゃって手術することになって。1年間どうにもならなくなってしまいました。高校生最後なのでインターハイ(全国高等学校総合体育大会)などに出て絶対勝ちたいなと思っていたのに、出場することもかなわなくて。体操すら出来ない状態になってしまったのはつらかったです。
――お二人が考える体操の魅力を教えてください
竹中 他の人から見てすごいと思われるようなところですね。
近藤 貴一と一緒ですが、普通の人だったらできないので、すごいな、かっこいいなと思われたいし、やっている自分も体操ってかっこいいなと思います。かっこいいところをみんなに見せられるようにやっています。
――2年生同士の仲はいかがですか
近藤 いいよね。
竹中 いいですよ。
――オフはみんなで遊びに行かれますか
近藤 オフの日は授業が(笑)。
竹中 そうですね、結構授業と被っていてあまり行けていないです。
――2年生同士でしか話さないことはありますか
近藤 2年生同士…。なんかあるっけ(笑)。
竹中 部全体で仲いいし人数が少ないので何でも話します。
――お二人はいつから知り合いなのですか
近藤 結構前からです。クラブチームは小中一緒で。
竹中 高校、大学も一緒なのでずっと一緒です(笑)。
――第一印象は覚えていますか
竹中 強いな、と。最初めちゃくちゃ強かったので。
近藤 パワーがすごいな、と思いました。自分にはないものを持っていましたね。
――ワセダの先輩の印象はいかがですか
近藤 みんな優しくていい人で、恵まれた環境にいるなと思っています。
竹中 みんな優しいです。
――女子部の印象はいかがですか
近藤 園佳(長沼、スポ2=群馬・中央中教校)はストイックに練習を頑張っていると思います。
竹中 大学生から入ってきた人たちも結構練習を頑張っていてレベルアップしていてすごいなと思っています。
――他の部活との交流はありますか
近藤 紺碧寮に住んでいるので、そこに住んでいる部活とは仲がいいです。ウエイトリフティング部とか。
――どのようなことを話すのですか
近藤 基本しょうもない話(笑)。
竹中 そうですね(笑)。
――趣味などはありますか
近藤 体操のビデオを見ることです。オフの日とかはずっと見ています。撮ってきた今までの試合だったり、世界選手権とかを見ています。携帯にも入れているし、DVDプレイヤーとかで見て競技の参考にしています。
竹中 何気ないことを話して、楽しく過ごすことです(笑)。
――音楽は何か聴きますか
近藤 音楽は聴きますね。RADWIMPSとか。試合前は必ず聞くようにしていますね。音楽を聴かないとリズムが狂っちゃいます。音楽を聴くと周りの音が聞こえないので、周りに流されないように自分のモードに入って無言になります。
――竹中選手は音楽を聴いて精神統一をされますか
竹中 そういうことはしないです。音楽はmiwaとかを聴きますね。
――他にはまっていることはありますか
近藤 難しいっすね(笑)。あ、アイス(笑)。スーパーカップのクッキーバニラ味が好きです。
竹中 最近はお昼寝ばっかりしていますね。昼に寝るんじゃなくて、夕方くらいから何時間か寝るのがいいんです(笑)。
――夜は寝れなくなりませんか
竹中 そこはならないですね(笑)。一度起きた後、夜も早く寝ます。
――生活のルーティンなどは決まっていますか
近藤 あまりないですけど次の日が練習がある日は基本早く寝ますね。ない日はたまに夜更かししたりしますけど。
竹中 練習に支障が出ないようにしています。
――寮の食事で好きなメニューなどはありますか
近藤 魚が苦手なので、肉料理が好きですね。
竹中 そんなにこれといったものはないですかね(笑)。
――好きな食べ物は
近藤 ピザ!
竹中 あまりないです。食に対するこだわりとかがあまりないんです(笑)。
――オフの時はどこに遊びに行きますか
近藤 最近は寝ています(笑)。あとはずっと肩の治療に行っています。カラオケに行ったり買い物に行ったりすることもあります。
――体操部全体でカラオケにいくことはありますか
近藤 あんまりないですね。少人数で。
竹中 たまに大勢で行く感じです。
――部内の面白いエピソードはありますか
近藤 僕らのもう1人の同期が調子いいみたいです(笑)。
竹中 そのまま書いておいてください(笑)。
――寮生活で大変なことはありますか
近藤・竹中 ないです。
――もう慣れていらっしゃるのですね。一人になりたいときはないのですか
竹中 そんなにないですね。
近藤 僕もあまりないですね。松田さん(祐太、スポ4=埼玉栄)と一緒なんですけど、就活とか忙しそうで、結構部屋にいないので一人でいることは最近多いです。TVとかYouTubeとかで体操を見たり、昔の体操のビデオも持ってるのでそれ見たりしていますね。
――憧れの選手はいますか
近藤 自分はパワーがないので、パワー型の選手よりも繊細な体操をする選手が好きなので、田中佑典さん(コナミ)とかがすごく好きです。オシャレだし。ああいう体操をしたいなと思っています。
竹中 そんなに考えたことはないです。
――お二人はどういった授業を取っているのですか
近藤 教職を取っています。
竹中 僕も教職を取っています。
――スポーツの授業は取っていますか
近藤 いや、自分は取っていないですね。体操のTAくらいです。取らないといけないんですけど…。逃げてます(笑)。
竹中 ラグビーを取っていて結構楽しかったです。
ことしこそU-21日本代表に
仲の良さがうかがえた近藤(写真右)と竹中
――インカレに向けて、それぞれの個人的な目標を教えてください
近藤 個人的な目標だとU-21日本代表に入ることです。昨年は全く届かなかったですけど、今はチャンスがあるのでチャンスをつかめるよう頑張りたいです。
竹中 僕もことしこそU―21日本代表に入ることです。
――個人のアピールポイントはありますか
近藤 技と技の間に車輪とかそういう休憩をはさまないで、すぐ次の技を続けていけるようにするところを見てほしいです。
竹中 得意な種目とかがあまりないので、全体を見てこれが自分だ、というのを見てもらいたいです。
――団体3位に向けて改めて意気込みをお願いします
近藤 自分はあまりエースとかそういう立場ではなく演技順も結構最初の方にあるので、自分の演技で後ろの人にいい流れを作れるようにできたらいいなと思っています。
竹中 回ってきた流れを止めないように、必死で頑張ってやっていこうと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 寺脇知佳)
竹中選手が手で(笑)を作ってくださりました!(笑)
◆近藤宏紀(こんどう・ひろき)(※写真右)
1995年(平7)7月6日生まれ。身長170センチ、体重60キロ。福井・鯖江高出身。スポーツ科学部2年。練習でも常に大きな声を出し、ムードメーカーとしてチームを大きく盛り上げているという近藤選手。インタビューにも積極的に、ユーモアも交えつつ答えてくださいました。Dスコアを上げたという今回のインカレ。納得の演技でチームにいい流れを作る姿、期待しています!
◆竹中貴一(たけなか・きいち)(※写真左)
1995年(平7)5月16日生まれ。身長162センチ、体重61キロ。福井・鯖江高出身。スポーツ科学部2年。終始笑顔でインタビューに答えてくださった竹中選手。色紙にも自身のチャームポイント、「笑」の一文字を書いてくださいました。試合になると一転し、真剣な眼差しになる竹中選手ですが、インカレでは力を出し切った後に素敵な笑顔を見せてください!