ルーキーが躍動!収穫と課題を得た大会に

体操

 6月に行われる全日本種目別選手権(種目別)への出場を懸け、全日本種目別選手権トライアル(トライアル)が行われた。本選に出場できるのは、4月24日の全日本選手権個人総合の予選で演技をした選手を合わせた上位24人まで。各種目トップ24を目指し、早大からは5名が登場した。多くの選手が得意の種目でミスのない実施を披露し、早大体操部の層の厚さがうかがえる大会となった。

 鉄棒での予選通過を狙ったのは、今回6種目全てにエントリーをした岸本邦秀(スポ3=兵庫・市尼崎)と松田祐太(スポ4=埼玉栄)だ。「鉄棒はなんとしてでも通過してやるという気持ちで挑んだ」(岸本)。その言葉通り岸本は離れ技を次々と成功させると、着地もピタリと止め14.550という得点で23位。上位に食い込んだ。一方、昨年の種目別に鉄棒で出場している松田は、F難度のコールマンを鮮やかに決めたものの着地で乱れ、思うように得点が伸びず。31位で惜しくも目標には届かなかった。また、岸本と松田は今回トライアルながらも全種目に挑戦。「疲れが出てしまった」と岸本が語るように、後半の種目でミスが目立った。松田も「集中力が欠けてしまった」と振り返る。両者共に改善点を次に生かしていきたい。代々木体育館での演技が初めてとなった山岸拓十(スポ4=福井・鯖江)は平行棒とあん馬に出場。しかし2種目とも落下というミスが響き、悔しい結果となってしまった。

離れ技を次々と成功させた岸本

 下級生の活躍も目立った。今大会が大学デビュー戦となった高橋は、つり輪の高校チャンピオン。「つり輪には自信を持っている」と語る通り、注目のルーキーが力を見せつけた。難易度の高い構成で臨むと、静と動の変化を持たせた実施を披露する。着地も確実に決め、チームメイトに向かってガッツポーズ。名だたる選手が上位に名を連ねる中、12位という好成績を残し、種目別出場を見事に決めた。また今大会、最も成長を見せたのは6種目全てに出場した近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)だ。本選にこそ駒を進めることはできなかったが、全種目で安定感のある演技を見せた。特に平行棒と跳馬では高いEスコア(出来栄え点)をマーク。近藤は「ことしは得点も狙っていきたい」と語っており、これからの躍進に期待がかかる。

得意なつり輪で納得の演技をした期待のルーキー・高橋

 今季初戦となった5名の選手。おのおのが課題と収穫を得た大会となった。「ミスがあったところはしっかりと修正をして次の試合に臨みたい」(松田)。修正点を改善し、次の試合に挑む。トライアルで良い演技を見せた高橋は、「U-21に入ることができるように頑張りたい」と向上心をのぞかせた。また岸本も「審判や他大学にアピールしていきたい」と語る。自身の得意種目にさらなる磨きをかけ、納得のいく演技を追い求めていく。

(記事 大森葵、写真 久保田有紀)

結果

鉄棒
選手名 結果(順位)
岸本邦秀(スポ3) 14.550(23位)
松田祐太(スポ4) 14.400(31位)
近藤宏紀(スポ2) 14.350(34位)
平行棒
選手名 結果(順位)
近藤宏紀(スポ2) 14.700(37位)
松田祐太(スポ4) 14.350(54位)
岸本邦秀(スポ3) 13.650(78位)
山岸拓十(スポ4) 11.500(103位)
跳馬
選手名 結果(順位)
岸本邦秀(スポ3) 14.250(43位)
近藤宏紀(スポ2) 14.100(60位)
松田祐太(スポ4) 12.700(99位)
つり輪
選手名 結果(順位)
高橋一矢(スポ1) 14.750(12位)
岸本邦秀(スポ3) 13.400(91位)
近藤宏紀(スポ2) 13.250(95位)
松田祐太(スポ4) 12.050(111位)
あん馬
選手名 結果(順位)
高橋一矢(スポ1) 13.250(81位)
岸本邦秀(スポ3) 12.850(98位)
山岸拓十(スポ4) 12.750(101位)
松田祐太(スポ4) 12.750(101位)
近藤宏紀(スポ2) 12.500(108位)
ゆか
選手名 結果(順位)
松田祐太(スポ4) 13.950(81位)
近藤宏紀(スポ2) 13.850(84位)
岸本邦秀(スポ3) 13.700(94位)
コメント

松田祐太(スポ4=埼玉栄)

――シーズン初戦となりましたが試合を振り返っていかがですか

練習してきたことは出せたと思いますが、まだまだ課題は残ってますね。

――きょうはどのような意気込みで試合に臨みましたか

種目別なのに6種目に出るということがワセダだけだったので色々な意味で注目されていたと思うのですが、あまりプレッシャーとかは気にせずに練習してきたことを出そうと思って取り組みました。

――鉄棒ではコールマンが決まっていましたが鉄棒の演技を振り返って

そうですね。中身は良かったですけど、あと着地をまとめられたらもっと高い得点をもらえるのではないかなと思います。

――14.400という得点に関しては

そんなものかなという感じですね。妥当かなと思います。

――平行棒では着地もきれいに決まっていましたがいかがでしたか

普段あまり練習で着地を止められないのですが、本番に強いという感じですね。

――きょうは6種目に出場ということで全体を振り返って

前半の4種目はきっちりできたのですが、後半2種目で少し時間が空いてしまってバテていたのもあって集中力が欠けていたところがありました。長い試合にも対応できる練習をしていかなければいけないなと思いました。

――きょうの試合での収穫と課題を教えてください

最近あまり調子が良くなかったのですが、試合でやればできるということが分かりました。良かったところはしっかりと次につなげて、ミスがあったところはしっかりと修正をして次の試合に臨みたいです。

――次の大会への抱負をお願いします

もう僕も4年生で、残りの試合も限られているので一つ一つ悔いのないようにやっていきたいです。

山岸拓十(スポ4=福井・鯖江)

――トップバッターでの平行棒は緊張しましたか

自分ではあまりしていないと思っていたのですが、頭が働いていなくて、自分でも何をやっているのかが分からなくなってしまっていたので、緊張していたのだと思います。

――山岸選手にとって、今大会はどのような試合になりましたか

結果的には出場した2種目とも失敗してしまってとても悔しい結果になったのですが、代々木体育館で試合に出場するのが初めてだったので、このような経験ができたということは良いことだと思って、反省をしっかり生かして、今後の練習も励んでいきたいです。

――平行棒からあん馬の演技まで時間が空いていましたが、どのように過ごしていましたか

1回気持ちを切り替えるために、一度2階の応援席に上がってきてお昼ご飯を食べて、他の選手を応援して、あん馬の演技の1時間前に下に降りてアップをしていました。

――1時間も前からアップをされるのですね

そうですね。ストレッチからして、どんどん体を動かしていかないといけないので。

――今大会のために、どのような練習をしてきましたか

1か月後に東日本学生選手権(東インカレ)があるので、6種目を通す練習はしていたのですが、特にあん馬と平行棒はDスコアを上げて、良い実施で通せるように練習していました。

――ことしの目標を教えてください

4年生なので、全日本学生選手権(インカレ)でチームの6人に入って試合をするのが1番の目標です。

――1か月後の東インカレへの意気込みを教えてください

今のところ団体戦の前日に行われる個人枠で出場することになっていて、早大の選手として今年の早大の強さを示す演技になると思うので、6種目とも良い演技をしたいと思います。今回のようなことは絶対しないようにします。

――今大会で学んだことはありますか

アップから結構調子が良くて「いける」と思い、本番は力が入ると思って楽にいこうとしたのですが、それにより集中しきれていなかった結果失敗してしまったので、よほど調子が良くてもしっかり本番前は技のポイントを確認して、集中して演技に臨む、ということをこれから意識してやっていきたいです。

岸本邦秀(スポ3=兵庫・市尼崎)

――きょうに向けての意気込みは

6種目すべてにエントリーしていたので、全種目をミスなく終えることを目標としていました。鉄棒はなんとしてでも通過してやるという気持ちで挑みました。

――その鉄棒では14.550という結果でした

新しく取り入れた技がしっくりこない演技で、減点されてしまったかなと思います。ですが、着地も止めることができ、ミスなく課題も見つけることができたので良かったと思います。

――全種目を振り返って

前半は調子が良かったのですが、平行棒でミスが出てから一気に疲れが出てしまって、良い演技ができていなかったように思います。

――平行棒では疲れも出たとおっしゃられていましたが

終末技が会場に来てから思うような演技ができていない中での演技でした。疲れもあり、調整することができませんでした。もっと点数が出る種目なので悔しいです。

――あん馬での落下も疲れが原因としてあげられますか

あん馬は一番不安な種目でした。これももっと点数が出る種目なので悔しいです。

――全種目の合計点は82点台と2度の落下があるなかで、かなり高い点数だと思いますが

失敗したことに変わりはないので、これが実力です。目標としている84点という目標に届かなかったことが悔しかったです。

――ことし1年はどのような年にしたいですか

ことしは団体のメンバーとしてまずは東インカレ、そしてインカレに全部出場して、その中で自分の実力を十分に発揮しチームに貢献していきたいと思います。

――東インカレでの抱負は

東インカレでは今回失敗した、平行棒、あん馬、ゆかをしっかり苦手克服をして、84点を狙い、審判や他大学にアピールしていきたいと思います。

――

近藤宏紀(スポ2=福井・鯖江)

――安定した演技をされていました。ご自身で振り返っていかがですか

最初の3つは良かったかなと思うのですが、後半3つは良くなかったですね。

――特に平行棒は高得点でしたが、手ごたえはありましたか

1番良かったかなと思います。少し前までは指をケガしていてあまり練習ができなかったのですが、きょうは良かったです。

――ゆかではラインオーバーもありました。課題は見つかりましたか

ゆかは悪くなかったのですが、着地が甘かったです。これから練習して狙っていきたいです。

――得点は83点台と高得点が出ました。得点については

本当ですか(笑)。相当良いです。後半ミスしていなければもっと取れていると考えるとまだまだですね。

――今年の目標は

U-21日本代表メンバーに入ることです。

――きょねんに比べ、力を入れていきたいところはありますか

きょねんは大学に入ったばっかりで慣れていなかったのですが、ことしは慣れてきたので得点も狙っていきたいですね。

――後輩も入ってきました。2年生として、求められているものは何だと思いますか

1年目はそんなに上手くいかないと思うので、頑張ってその後輩たちをサポートしてあげられたらいいなと思います。

高橋一矢(スポ1=岐阜・中京)

――トライアルの舞台はいかがでしたか

思ったより緊張はありませんでした。きょねん、全日本に出場していたので、慣れているとは言い過ぎですが、経験しているので、その分余裕を持つことができました。

――1種目目はあん馬でしたが振り返っていかがですか

あん馬はうまくいきませんでした。大きなミスは無かったので良かったのかなとも思いますが、反省点はありました。

――腰が浮いた旋回のように感じました

まさにそうでした。1種目目ということで緊張や体も硬くなっていたこともあったと思います。その点を最後まで修正できませんでした。

――続いては、得意のつり輪の演技でしたが

あん馬で良い演技ができなかったので、なんとか取り返そうと思って演技しました。よくできたと思います。

――どのような点が良かったですか

倒立などの力技の姿勢の静止時間を長くできたことと、着地まで止めることができたことです。

――高校時代はつり輪王者にも輝いていましたが、プレッシャーはありましたか

多少感じることはありますが、つり輪には自信を持っているので、自分の演技ができれば良いと考えていました。

――エンジのユニフォームを初めて着ての演技でした

大学初めての試合でしたが、これからもっと早大体操部に貢献して、活躍していきたいと思います。

――ことし1年の抱負を教えてください

インカレに出場して84.500以上を出して、U―21日本代表に入ることができるように頑張っていきたいと思います。