ことしで67回目となる早慶対抗定期戦(早慶戦)が行われた。両校応援部による熱い声援が花を添え、伝統の一戦の名にふさわしい盛り上がりを見せた。昨年に引き続き、団体総合では422.25対395.85と圧勝。優勝こそしたが、要所で演技の精細を欠き、悔いの残る試合となった。個人総合ではエースの藤原昇平(スポ3=埼玉栄)を含む全種目実施した早大3名が上位を占め、個々の実力の高さを見せつけた。
各校のOBや観衆が見守る緊迫した雰囲気の元、先陣を切ったのは公式戦初出場となる八木暁己(政経1=京都・洛南)。スタート種目の鉄棒で着地のミスがあったものの、全体を通してまとまった実技を見せ、今後の活躍を期待させるデビューとなった。勢いに乗りたい早大だが、上級生の演技が安定せず不安の残る幕開けに。そんな中、浅野佑樹(スポ2=東京・明星)の活躍が光る。「雰囲気を楽しみながら、リラックスしてできた」と話すように2種目目のゆかでは内容、着地ともに完璧に締めくくると、15.100.という高得点をたたき出し2年生ながらも頼もしい一面を見せた。
ゆかでは15点台、出場種目すべてで力を発揮した浅野
3種目目のあん馬では2回の落下で佐藤紘翔主将(スポ4=岡山・関西)が不調に苦しむなか、嶋津尚弥(スポ4=和歌山・田辺工)が見せる。全日本学生選手権(インカレ)では苦戦を強いられた得意種目のあん馬であったが、今大会では足のつま先まで意識の通った落ち着いた演技でフィニッシュ。最後の早慶戦にふさわしい強さを存分に発揮した。続く4種目目のつり輪で藤原が中水平で確実に静止する力技を披露すると会場がどよめく。2種目を残してケイオーに大きく差をつけ、チームに貢献した。最終演目の平行棒ではついに佐藤が決める。あん馬での失敗から一転、流れるような構成からの着地。ことしも危なげなく早慶戦を制す。しかし、普段の早大らしくない終盤の実施や着地の細かい減点が積み重なり、悔しさと課題の残る試合となった。
ついにあん馬を成功させた嶋津
「みんなで失敗なく1つ1つつなげていけたらいいなと思います」(佐藤)。早慶戦を見る限り、チーム力は申し分ない。もちろん実力も同様である。全日本団体選手権までにいかに完璧に仕上げられるか――。また、引退となる4年生の最後の演技にも注目したい。どこまで突き詰めていけるのか。ワセダののびしろに期待が高まる。
(記事 八木美織、写真 中村ちひろ)
男子団体総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
佐藤 紘翔(スポ4) | 13.900 | 10.850 | 13.350 | 14.750 | 14.750 | 13.250 | 80.850 | 3位 |
嶋津 尚弥(スポ4) | 13.300 | 14.600 | 14.650 | 13.100 | 14.850 | – | – | – |
藤原 昇平(スポ3) | 14.150 | 14.700 | 13.750 | 13.600 | 14.400 | 14.100 | 84.700 | 優勝 |
松田 祐太(スポ3) | – | 13.100 | – | – | – | 13.150 | – | – |
浅野 佑樹(スポ2) | 15.100 | – | 14.700 | 14.900 | 14.200 | 14.700 | – | – |
近藤 宏紀(スポ1) | 14.150 | – | 13.900 | 13.500 | – | – | – | – |
竹中 貴一(スポ1) | 14.500 | 13.950 | 14.450 | 13.600 | 14.300 | 13.750 | 84.550 | 2位 |
八木 暁己(政経1) | – | 10.650 | – | – | 13.000 | 13.050 | – | – |
チーム得点 | 71.800 | 67.200 | 71.450 | 70.350 | 72.500 | 68.950 | 422.250 | 優勝 |
コメント
佐藤紘翔主将(スポ4=岡山・関西)
――最後の早慶戦となりましたが、どのような意気込みで臨みましたか
最後とかそういうことは意識せずに、目の前の試合を1つ1つ全力でこなそうという感じなので、特別気合を入れて臨んだというわけではないですね。
――きょうは応援部の声援の中での演技となりました
とても盛り上げてくれて、非常に楽しい雰囲気で試合ができて良かったです。
――ご自身の演技を振り返って
あまり良くなかったです。
――特にどのような点が良くなかったですか
前半の4種目で新しい技を入れた演技構成で臨んだので、そこがあまり上手くいかず、良くなかったです。
――しかし最終演技の平行棒は素晴らしい演技でしたが、振り返っていかがですか
前半4つは演技構成を変えましたが、後半の跳馬と平行棒は今まで通りの演技構成だったので、そこは自信を持っていつも通りできました。やはり練習したことは、ちゃんと試合でもできるんだなということを改めて感じることができました。
――きょうのチーム全体の出来はいかがでしたか
関東学生新人選手権(新人戦)に出る人たちは残り1週間、全日本団体選手権(全日本)に出る人たちはもう少しありますけど、それぞれが課題を見つけて、それぞれの試合に生かしていけたらいいなと思います。
――11月の全日本に向け、個人としてそしてチームとしてどのように挑んでいきますか
チーム戦なので失敗はできません。まず予選通過を目指して、みんなで失敗なく1つ1つつなげていけたらいいなと思います。
――最後に、主将として臨む次の試合への意気込みをお願いします
仲間たちはみんな、体操に真面目で才能のあるやつらばかりなので、みんなを信じて、自分を信じて、演技をしていきたいです。
嶋津尚弥(スポ4=和歌山・田辺工)
――最後の早慶戦をどのような気持ちで臨みましたか
1、2年生ではけがで出場できなかったので、今回2回目の早慶戦ということですごく新鮮な感じがしました。
――不調の続いていたあん馬を成功させたことについては
最近は調子も上がってきていますが、試合では通ったんですが、残念な部分が1か所あって、まだ100パーセントの力は出せていないように思います。全日本では突き詰められたらいいなと思っています。
――同期の佐藤さんの不調を受けて何か考えたことは
体調不良など、色々あって調子が良いとは言えない状態だったんですが、そこは気を使って、失敗したら失敗したで雰囲気を良くしていったり、自分もきちんと責任を果たそうということは考えていました。
――インカレ後に強化してきたことは
演技内容は変わってないんですけど、たぶん、全日本ではあん馬とつり輪と平行棒の3種目を担当することになると思うので、その3種目に力を入れて練習していますね。
――後輩の演技を見て何か感じたことは
頼もしいですよね。僕たち4年生2人が抜けても、良い点数取っていってくれるだろうと思います。
――最後の全日本に向けて意気込みをお願いします
自分にとってこれが最後に臨む体操になるので、悔いのないようにしたいです。最低限予選は通過して、決勝で良い演技ができたらなと思います。何より、最後に全員で笑って終われたらいいですよね。
藤原昇平(スポ3=埼玉栄)
――早慶戦への意気込みは
きょうの試合は全日本のための途中経過と言いますか、どこまでやれるかを発表する場と考えていました。
――メンバーの変更については
1年生は新人戦もあったので、そこも意識していました。
――演技を振り返って
全日本に向けて良い弾みになるよう演技ができればいいと思っていたのですが、インカレ後からあまり完成度が上がらず、それが結果に出てしまい、練習通りのような演技になってしまいました。
――けがの影響は
もう特に問題はありません。
――新技の予定は
全日本の1日目を意識してきょうは試合に臨んだので、より確実に完成度の高くできる技を優先してやりました。なので特に入れませんでしたが、2日目の決勝に進むことができたら入れていきたいと思います。
――今回の試合ではミスも目立ちました
練習の時から不安があり、自分の感覚と体が合っていないようなものを感じていて、それがきょうの演技で出てしまったと思います。
――全日本に向けて改善点と意気込みをお願いします
きょう失敗が出てしまっているのですが、予選を突破することはあくまでも最低条件です。自分の立場をよく考え、エースとしての役割をきちんと果たしていきたいと思います。
浅野佑樹(スポ2=東京・明星)
――きょうの試合にどういう気持ちで臨みましたか
自分なりに出来る演技を全力でやって楽しもうという気持ちでや臨みました。
――この試合での目標などはありましたか
種目別でそれぞれ良い結果を出すことが目標でした。
――きょうは調子が良かったですね
はい。楽な気持ちでいけたのが良かったのかなと思います。
――自分の演技を振り返ってみてどうですか
他の試合と違って雰囲気を楽しみながらリラックスして出来たのでそれが結果につながったのかなと思います。
――ゆかの演技について
普段から着地を意識して練習しているのでいつも通りやればできると思って臨みました。できるという自信を疑わずに結果を出すことができ良かったです。
――平行棒について
最近練習ができていなくて少し不安だったのですが、最後までやり切れて良かったです。
――跳馬について
冗談交じりで着地を止めるって宣言をしていて、それが実行できたので良かったです。結果とつながったのが偶然なのか自分で狙えたのかは分かりませんが、こういうのを続けていけたらいいなと思います。
――きょうの試合で収穫は得られましたか
自分で狙った位置に着地するということがいま自分が練習していることなので、当たり前かもしれないですがそういうことを試合会場でもできるようにしたいなと思います。
――11月に全日本があり、このメンバーで臨む最後の試合となりますが自分としてはどういう意気込みで臨んでいきたいですか
団体に貢献するためにゆかと跳馬と鉄棒で今回出せたようなきっちりとした演技ができるように自分らしく頑張っていこうと思います。