8月に行われる全日本学生選手権(インカレ)の前哨戦ともいえる東日本学生選手権が、17・18日の2日間にわたって行われた。強豪校が多く出場する大会だけに、早大のいまの実力が試されることとなったこの試合。しかし、大会を通してミスが目立ち、男子団体の結果は6位に沈むなど、夏に迎えるインカレへの課題が多く見つかる試合となった。
大会初日の男子個人総合に出場したのは松田祐太(スポ3=埼玉栄)、山岸拓十(スポ3=福井・鯖江)。松田は1種目目のゆか、2種目目のあん馬とその後も順調に演技をまとめ上げ、迎えた最終種目の鉄棒。演技中盤、F難度の離れ技コールマンを豪快に決めたかに見えたが、バーをつかみきれず落下。得意種目としていただけに、悔しさの残る結果となった。一方の山岸も「疲れがあって、耐える試合になった」というように、細かなミスが目立ち、納得のいく結果とはいかなかった。その後行われた女子個人総合に出場したのは、ルーキー長沼園佳(スポ1=群馬・中央中等教)だ。大会の1週間前に肘をケガした影響で全種目技の難度を落としての演技となった。だが「気持ちだけでも切らさない」との言葉通りケガの影響を感じさせない堂々とした演技を披露した。
得意の平均台で堂々と演技する長沼
大会最終日には男子団体が行われた。つり輪でやや出遅れるも跳馬は大きなミスなく終え、迎えた3種目目の平行棒。本来の早大は平行棒で崩れることは少ないが、この日はなかなか点数を伸ばすことができない。5番手の嶋津尚弥副将(スポ4=和歌山・田辺工)は、演技中に平行棒から片手が離れ落下。続く鉄棒でも、藤原昇平(スポ3=埼玉栄)、佐藤紘翔主将(スポ4=岡山・関西)が相次いで落下し、浅野佑樹(スポ2=東京・明星)は着地を大きく乱してしまう。そんな中、輝いたのはルーキー竹中貴一(スポ1=福井・鯖江)。「チームとしての良い雰囲気をつくってくれた」(佐藤)との主将の言葉通りノーミスで演技し、チームを支えた。結果は合計412.800の6位と、1部校の中で最下位に沈んだ。
入学後初の試合で健闘した竹中
「きょうはみんなに助けられました」とエースである藤原も語り、調整不足が目立つ大会となった。普段は見られない場面でのミスが目立っただけに、「いつも通りの気持ちで演技をできるようにしたい」と語った佐藤。早くもインカレへの課題が浮き彫りになった。その一方で、ルーキー竹中の台頭といった好材料も見つかった。本番は8月。それまでに各々がしっかりと調整し、持てる力を最大限に出し切った早大体操部の演技に期待したい。
(記事 久保田有紀、写真 辛嶋寛文)
男子個人総合 | ||||||||
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選手名 | 床 | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
松田祐太(スポ3) | 13.300 | 13.600 | 13.350 | 12.500 | 13.650 | 13.150 | 79.550 | 46位 |
山岸拓十(スポ3) | 12.250 | 13.550 | 11.750 | 12.950 | 13.550 | 12.050 | 76.100 | 72位 |
女子個人総合 | ||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
長沼園佳(スポ1) | 11.650 | 9.050 | 10.750 | 9.350 | 40.800 | 67位 |
男子団体総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
佐藤 紘翔(スポ4) | 14.800 | 12.900 | 13.000 | 14.150 | 14.150 | 13.250 | 82.250 | 27位 |
嶋津 尚弥(スポ4) | 14.100 | 14.150 | 14.300 | 12.750 | 13.200 | 12.250 | 80.750 | 38位 |
藤原 昇平(スポ3) | – | 13.950 | 14.150 | 13.800 | 13.050 | 12.700 | 67.650 | 110位 |
浅野 佑樹(スポ2) | 14.100 | 11.900 | 13.800 | 14.550 | 13.550 | 13.650 | 81.550 | 33位 |
岸本 邦秀(スポ2) | 13.400 | 13.250 | 13.100 | 13.650 | 14.100 | 14.550 | 82.050 | 32位 |
竹中 貴一(スポ1) | 14.550 | 13.550 | 13.650 | 14.100 | 13.150 | 13.500 | 82.500 | 26位 |
チーム得点 | 70.950 | 67.800 | 69.000 | 69.250 | 68.150 | 67.650 | 412.800 | 6位 |
コメント
佐藤紘翔主将(スポ4=岡山・関西)
――きょうの試合を振り返って
自分が鉄棒と鞍馬で大過失が出てしまって、そこでチームの流れを悪くしてしまったのがチームを引っ張る4年としてはよくなかったと思います。
――原因は何だと思いますか
つり輪に関しては肩を痛めていて練習不足というのは分かるのですが、それ以外は普段練習でも失敗しないところで失敗しているので、試合といういつもと違う状況に自分の体と心が対応できていなかったんだと思います。
――キャプテンとしての団体戦はいかがですか
こんなんじゃキャプテンとして情けないと思います。
――1年生も団体のメンバー入りをしていましたが
きょうはノーミスで頑張ってくれて、チームとしてのいい雰囲気をルーキーが作ってくれて、キャプテンとして情けないなと思いました。
――きょねんに比べ、D難度が上がっているように見られましたが
床と鉄棒と平行棒でスコアを上げました。
――今後への課題は見つかりましたか
つり輪の調整不足はわかっているのでしっかりと調整していきたいです。つり輪はきょねんと同じ構成なので。失敗が出た鉄棒、鞍馬はいつも失敗しないところで失敗しているので試合に来てもいつも通りの心で、気持ちのコントロールをして、いつも通りの演技が出来るように気持ちを強くしていきたいです。
藤原昇平(スポ3=埼玉栄)
――試合全体を振り返って調子はいかがでしたか
自分はよくあることなんですが、体がつってしまって、最初の種目からずっとそういう状況でした。コンディションも全然良くなくて、それで試合に臨んだので、何て言ったらいいのか分からないんですけど、チームには本当に申し訳ないなと思います。
――跳馬の難度を下げたのはコンディションを考慮してのことですか
そうですね。
――平行棒では特に点数が伸びませんでしたが
最初の入りでその(体がつっている)状況が出てしまって、そこから立て直して最後までちゃんとやり切ったんですけど、どの種目も最初の技でその状況が表れてしまいました。(つっている状態は)ほぼ毎試合出てしまうんですが、きょうは特にひどかったです。
――先週行われた全日本選手権の疲れはありましたか
多分少し疲れはあったと思いますが、それなりに良い演技ができればと思って臨んでいました。
――チームとしての雰囲気はいかがでしたか
本当に、チームのみんながやることをやってくれたので、今回の試合は申し訳ないという気持ちしかないですね。自分がやらなきゃいけない場面で失敗が出てしまい申し訳ないです。きょうはみんなに助けられました。
――先週の全日本選手権個人総合決勝について少し伺いたいと思います。決勝の舞台では満足のいく演技ができましたか
すごく楽な気持ちで演技ができて、出来もそんなに悪くなくて、2日間ノーミスでやるっていうことが自分の中で目標だったので、それが果たせてこれからの試合に向けて自信になりました。
――全日本選手権の最終的な順位をご自身ではどう評価していますか
種目によっては多少点数を抑えられた部分もあるんですけど、それがいまの実力なのかなと。まだまだDスコアも上げないといけないですし、完成度も上げないといけないと思います。それがこれからの課題になると思います。
――演技の前に精神統一をしている姿が印象的でした
特に緊張しているというわけではないですが、やっぱり演技の前は心拍数が上がるので、呼吸を整える目的でやっています。
松田祐太(スポ3=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返って
細かなミスが多くて、最後の鉄棒で大失敗してしまい,
あまり良い試合が出来ない反省の多い試合でした。
――得点も満足がいかなかったと
――きょうのために強化したところは
鉄棒が得意なので強化したのですが、その鉄棒で落下してしまって。次の試合で出来たらなと。
――新しい技などは
この冬、調整して下げたところはありますけど、全体的にDスコアをあげています。
――同期や後輩に伝えたいこと
次はノーミスで模範的な動きをしたいです。
山岸拓十(スポ3=福井・鯖江)
――試合を振り返って
結構疲れがあって、最初の種目から耐える感じになってしまって、自分が目指していた良い演技というものはあまりできなかったです。
――きょう感じた課題は
何よりもつり輪ですね。もともと弱い種目で、演技の前も不安なまま臨んでしまったので、これからの練習でもっと力を入れてやっていきたいと思いました。
――技の難度について
全体的に上げてるんですけど、その影響もあってか疲れがたまって、耐える試合みたいな感じになってしまいました。
――次戦に向けて
今回はいろんな種目で難度を上げて臨んでギリギリの演技になってしまったので、インカレ(全日本学生選手権)までには余裕を持って演技できるようにしたいです。
竹中 貴一(スポ1=福井・鯖江)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
まあまあ個人的には良かったです。床の着地はいつもよりも安定していました。
――大学初の大きな大会になりましたがいかがでしたか
緊張はあまりなく気持ちはいつも通りできました。ただ、大学生と高校生では点数が全然違うので勉強になりました。
――1年生からはたった一人選ばれましたがどのように考えていますか
一年生ということは考えないように意識しました。
――とりあえず1試合終わりましたが自身の1年生としての役割はどんなことだと思いますか
1年生でも上の学年をサポートできるようにもっと上を目指していきたいです。
――最後にこれからに向けての意気込みをお願いします
夏までにもっと強くなってチームの力になりたいです。
長沼 園佳(スポ1=群馬・中央中等教)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうは一週間前に肘を壊してしまい練習もあまりできない状態だったので、気持ちだけでも切らさないように少ない回数で本番に持っていけるように意識しました。
――今回の大会での良かった点悪かった点は
良かったことはとりあえず無事に終えられたことです。悪かった点は試合までの準備ができていなくて試合でも技が全然練習通りに決めることができなかったことです。
――点数に目標はありましたか
とりあえず40点は超えようにということは考えていて、一応超えることはできました。
――床の競技の後にコーチと談笑される場面もありましたが
練習をあまりできていなかったので体力が落ちているということは自分でも理解していたのですが、自分が思う以上に落ちていて、技のジャンプのときに一個ずつ難易度を落としてしまって、笑われてしまいました。
――やはりコンディション調整がうまくいかなかったことが大きかったということですか
はい。
――ご自身の得意種目はどの競技ですか
平均台ですね。きょうは平均台もグラグラしてしまって、緊張が丸出しになってしまったのでそこは練習で改善していきたいです。
――苦手な競技はどれになりますか
段違い平行棒ですね。技を覚えるのが難しくてなかなかできません。
――1年生としてのことしの目標、これからの目標が明確にあったら教えてください
まずは全日本インカレに出て、できれば自分の最高の演技を大会で出せるようにしたいです。あと、女子の選手が増えたので練習を引っ張って団体で出られるようにしていきたいと思います。