全日本学生選手権(インカレ)の個人種目で多数の選手が健闘を見せた。31日の予選の結果、早大からは4名が種目別決勝を兼ねた個人総合決勝に出場。加えて小友翔太郎副将(スポ4=茨城・常磐)があん馬で、小倉佳祐(スポ2=千葉・習志野)と浅野佑樹(スポ1=東京・明星)が跳馬でそれぞれ決勝の舞台に立った。小倉は1本目の跳躍で15.300の高得点を叩き出し、種目別跳馬で大会2連覇を達成。その他にも3種目で入賞した佐藤紘翔(スポ3=岡山・関西)や跳馬3位の浅野を含む、計5名の選手が種目別で入賞を果たすなど、個々の活躍が光った。さらに、予選で個人総合10位と躍進した藤原昇平(スポ2=埼玉栄)が、悲願だったU-21日本代表に決定。決勝ではその実力を出し切れなかったものの、今後につながる試合となった。
小倉が「納得できた」と話す通り、ほぼ完璧と言っていい跳躍だった。1日に行われた種目別決勝。1本目の大技ロペスを着地までしっかりとまとめ、ガッツポーズが飛び出した。2本目のヨー2は着地が乱れ減点があったが、それでもなお周囲との実力差は歴然。2本の平均点を15.025とし、種目別の跳馬で見事優勝を飾った。小倉と同じく跳馬で種目別決勝に進出した浅野は、1本目にドリッグス、2本目にローチェを実施。「着地を狙いに行き過ぎた」という浅野だが、結果は3位と初出場のインカレで成果を残した。
跳馬で優勝した小倉
個人総合決勝には、綿崎啓太主将(スポ4=京都・洛南)、佐藤、嶋津尚弥(スポ3=和歌山・田辺工)、藤原の4名が出場。綿崎主将と佐藤は1種目目、予選から好調の鉄棒で共に14.550と高い得点をマーク。しかし鬼門のあん馬で綿崎主将は惜しくも落下し、上位争いから離脱した。一方の佐藤はあん馬もノーミスでこなし、終わってみればゆかで8位、あん馬で8位、鉄棒で7位の好成績を残した。だが6種目の合計点は85.150で個人総合は17位。狙っていた1桁順位にはわずかな差で届かなかった。あん馬で5位に入った嶋津は、全体的に安定感のある演技。また前日の予選の結果により目標としていたU-21日本代表入りを決めた藤原は、得意のつり輪や跳馬で完成度の高い技を披露。いい流れを保ち個人総合で入賞が狙える位置につけた藤原だったが、5種目目の鉄棒で落下して順位を下げ、21位で大会を終えた。
U-21日本代表に決定した藤原
個人種目で多くの入賞者を出した今回のインカレ。選手によって達成感や悔しさなど抱く感情はさまざまだろう。だが早大体操部全体にとって実りの多い大会であったことは確かだ。「来年につながるいい試合だったと思う。一人一人の経験値が上がったんじゃないか」と話す綿崎主将。今大会で得たものを糧として、今後も成長を続けてほしい。
(記事 末永響子、写真 栗田麻里奈)
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チーム力見せるも、目標には及ばず/全日本学生選手権(09/03)
男子1部個人総合予選(上位36名が決勝進出) | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
藤原昇平(スポ2) | 13.250 | 14.250 | 14.550 | 14.450 | 14.450 | 14.600 | 85.550 | 10位 |
嶋津尚弥(スポ3) | 13.800 | 14.500 | 14.550 | 13.050 | 13.600 | 13.950 | 83.450 | 30位 |
綿崎啓太(スポ4) | 14.450 | 11.900 | 13.800 | 13.800 | 14.700 | 14.550 | 83.200 | 33位 |
佐藤紘翔(スポ3) | 15.100 | 12.700 | 13.050 | 13.900 | 14.050 | 14.300 | 83.100 | 35位 |
浅野佑樹(スポ1) | 14.700 | 12.150 | 13.850 | 14.800 | 13.250 | 13.800 | 82.550 | 42位 |
小倉佳祐(スポ2) | 13.600 | 12.000 | 13.450 | 14.750 | 13.650 | 13.550 | 81.000 | 58位 |
小友翔太郎(スポ4) | 13.750 | 14.400 | 12.950 | 13.000 | 13.800 | 12.750 | 80.650 | 63位 |
岸本邦秀(スポ1) | 12.200 | 13.300 | 12.450 | 12.550 | 13.350 | 14.600 | 78.450 | 87位 |
松田祐太(スポ2) | 13.900 | 12.050 | 12.250 | 12.500 | 13.850 | 12.550 | 77.100 | 99位 |
山岸拓十(スポ2) | 13.600 | 12.450 | 11.850 | 12.800 | 12.30 | 13.550 | 76.550 | 103位 |
男子1部個人総合決勝 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
佐藤紘翔(スポ3) | 14.880 | 14.300 | 13.850 | 13.500 | 14.150 | 14.550 | 85.150 | 17位 |
藤原昇平(スポ2) | 14.000 | 14.200 | 14.500 | 14.400 | 14.100 | 12.900 | 84.100 | 21位 |
嶋津尚弥(スポ3) | 14.900 | 12.300 | 13.650 | 13.650 | 14.200 | 14.550 | 83.250 | 24位 |
綿崎啓太(スポ4) | ― | 11.900 | 13.800 | 13.800 | 14.700 | 14.550 | 83.200 | 33位 |
小友翔太郎(スポ4) | ― | 14.200 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
小倉佳祐(スポ2) | ― | ― | ― | 15.025 | ― | ― | ― | ― |
浅野佑樹(スポ1) | ― | ― | ― | 14.100 | ― | ― | ― | ― |
結果
▽男子1部種目別決勝
ゆか
綿崎5位、佐藤8位
跳馬
小倉1位、浅野3位
あん馬
嶋津5位、佐藤8位
鉄棒
綿崎7位、佐藤7位
コメント
綿崎啓太主将(スポ4=京都・洛南)
――最後のインカレが終わりました。全体を通していかがでしたか
楽しかったです。4年間で一番楽しいインカレでした。
――楽しかった、というのはどうしてですか
無駄に緊張しなくて、今までやってきたことをしっかり出せたので。試合中も冷静に楽しく試合ができました。
――1種目目の鉄棒は着地までしっかりと決まりました
鉄棒が一番冷静でした。緊張しなくて。考えながらいつも通り演技ができました。
――緊張せずに試合に臨めた要因は
個人選手権というのもあるし、最後というか、今まで練習してきたことを出したいなという風に思っていたので。緊張しないでやれればいいかなと。
――あん馬では惜しくも落下がありましたが
あそこで落ちなくても最後の降りできのうみたいになったら点が出ないので。どうせ失敗するならきょうみたいな失敗のほうがまだ良かったし、練習でもできてない部分もあったんで、けがの影響もあったし、そこは練習通りで、まあ悪くはなかったと思います。
――けがの影響とは
東インカレ(東日本学生選手権)のときから手を痛めていたのと、あとすねのシンスプリントをひどく痛めているので、痛み止めを飲みながら、休みながら練習したり。ちょっとあん馬に関しては間に合わない部分もありました。
――昨年に比べて多くの選手が2日目の試合に出場できましたが
来年につながるいい試合だったと思います、今回は。きのうも良かったし、きょうも良かったので。一人一人の経験値が上がったんじゃないかなと思います。
――今後の目標をお願いします
2か月後に全日本選手権があって。今回は予選があって、8チームが決勝に進みます。で、その予選通過を目標に。また気持ちを切り替えて頑張りたいと思います。
小友翔太郎副将(スポ4=茨城・常磐)
――きょうの試合を振り返って
失敗しないようにしてできれば3位以内を狙っていたんですけど、3位以内に入れなくて入賞圏内にも入れなかったのが悔しいです。でもまあ失敗なく終われたのでよかったです。
――きょうの出来は100点満点中では何点くらいですか
40点くらいです。最初の技の失敗と途中で足を割ってしまって上手くできなかったので。
――最後のインカレということですがどのような気持ちで試合に臨まれましたか
きょうは個人戦だったので自分のタイトルを取りにいって、やってやるぞという気持ちでした。やっぱり試合が終わった瞬間に今までの思いが出てきて。辛かったけど思うことは楽しかったなということですね。
――4年間を振り返って印象に残っていることは
やっぱりきのうの試合ですね。最後ということで気持ちも1番入っていたし、チームに迷惑をかけないようにしようと思って臨みました。
――4年間を振り返って1番嬉しかったこと、辛かったことは
昨年なんですが、自分は団体のメンバーに入れなかったんですがみんな頑張ってくれて団体が4位に初めてなれたということです。辛かったことは練習がけがなどのために思い通りいかなかったこと、それが1番辛かったですね。
――後輩たちにメッセージを
みんな試合を見るたびにたくましく強くなっていってすごいなと思うし、たぶんこのまま行ったら全日本選手権でも上位になれると思うのでオリンピックに出てもらえるように期待したいです。
――4年間の経験をどう人生に活かしていきたいですか
早大体操部として社会に出ても迷惑のかからないような礼儀正しい人間になりたいです。
佐藤紘翔(スポ3=岡山・関西)
――きょうの試合を振り返って
昨日は2種目でミスが出てしまったのできょうはミスなくやりたいと思っていて、やり切れたので良かったです。
――きょうの出来は100点満点中何点になりますか
今の身体の状態からして70点くらいですかね。試合に合わせてしっかり身体を100%の状態に合わせられなかったことと、それだけが原因じゃないんですけど、練習でやってきたことが上手く出せなかった種目もあるのでそこらへんがマイナス30点です。
――特にどの種目で練習通りにいきませんでしたか
つり輪と跳馬と平行棒が自分の中ではもう少し出来たかなと思いました。やっぱり試合になると緊張して動きが速くなったりして、いつも通りの動きが出来ないっていうことがあるので、自分の間とかで演技できなくて倒立など甘くなってしまったこともあるのでそういうところがあります。
――きのうよりも総合的に高得点をマークされました
100%満足のいく出来ではないですけど今の状態なら良い点数じゃないかなと思います。
――個人の課題は
肩を故障しているのでそれを治して自分の思い通りに動かせるようにするのがまず課題です。
――今後の目標は
きのうの成績が良くなくて来年の春の全日本選手権には出られないと思うので、次の1番大きな試合である秋の全日本団体選手権が4年生との最後の試合になると思うので4年生を楽しく最後に送り出したいと思います。
嶋津尚弥(スポ3=和歌山・田辺工)
――きょうの試合を振り替えって
きのう失敗したところが一ヶ所あったのですが、きのうの失敗はせず無事全種目失敗なく出来たので良かったです。
――点数のでかたはどう捉えていますか
まあ、練習と変わらないかなと思っています。特に点数を見てあれって思うことはなかったです。
――今回のインカレ全体について
個人的には力を出し切れたかなと思います。あと、きのうも言ったのですがあん馬はきょう狙って順位がどうかなというところでした。
――チーム全体に関しては
チーム全体としてもみんな失敗が少なかったので良かったと思います。
――今後の目標を教えてください
次、全日本団体があるのでメンバーに入ってチームに貢献して決勝に出れるように頑張りたいと思います。
藤原昇平(スポ2=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返って
2日間という厳しい戦いでしたが粘り強い試合ができたと思います。途中の鉄棒で落下はありましたけど、これもいい経験になりました。
――序盤は大きなミスなく演技をしていましたね
そうですね、やはり5種目目が一番大切な種目、後半種目のラストの方なので、そこでちょっと気の緩みではないですが、そのようなシーンが出てしまい、演技に影響が出てしまったと思います。
――今回の試合から見えた課題は
まあでも、粘り強い演技ができたのであまり悔しいという思いはないですね。また次回につなげられればいいと思います。
――その次回に向けて、どのようなことを強化していきたいか
やっぱり2日間失敗がでないような演技ができるようにしていきたいです。
――今後の抱負は
とりあえず、昨日の結果でU-21に入れたので、自分として嬉しく思っていて、それを自信にして、11月の全日本選手権向けてしっかりと調整して、頑張りたいと思います。
小倉佳祐(スポ2=千葉・習志野)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
きのう終わってから全然やる気がでなくて、このままやったらケガするかなと思いながらやっていて、結果1本目が良くて2本目はぎりぎりだったんですけど、きのうよりも良かったので納得できたかなと思います。
――小倉選手としては納得のいく演技だったのですか
昨日はがちがちになって着地がまとめられる感じではなかったので、きょうはできたので良かったです。
――今大会全体を振り返ってみていかがですか
きのうがボロボロだったので、団体の人たちには申し訳なかったです。内容はきょうは良くてもきのうは悪かったので、プラマイゼロという感じです。
――次の目標をお願いします
11月の全日本では団体戦があるので、そのメンバーに入って今回のミスをなくして、貢献できればと思います。
浅野佑樹(スポ1=東京・明星)
――試合を振り返って
目標にしていた大会だったので気合は十分あったんですけど、練習がまだまだ甘かったかなという感じです。
――今回の跳躍についてはどのように評価されていますか
1本目ドリッグスを跳んだんですけど、着地を狙いに行って、まだ完璧じゃないのに狙いに行き過ぎたという感じで。もっと練習を積みたいなと思いました。
――今後の目標を教えてください
全日本選手権で優勝を目指して頑張ります。