慶大日吉キャンパスで行われた伝統の一戦。両校の応援部から熱い声援が送られ、早慶戦ならではの盛り上がりを見せた。団体総合は427.75点対392.55点で早大が慶大に圧勝。第1種目のあん馬で落下が相次いだが、それ以外の種目で安定して得点を重ねた。個人総合は全種目を通して洗練された演技を披露した綿崎啓太主将(スポ4=京都・洛南)が、6種目合計86.05点で優勝した。
応援部や両校のOBなど多くの観衆が集まり、独特の緊張感の中で行われた今回の早慶戦。早大のスタート種目はあん馬。今週末の全日本団体選手権(全日本)のローテーションではあん馬が最終種目となるため、普段の練習と異なるペースで演技をしなければならない。そんな事情もあってか、あん馬では流れをつかむことができず早大らしくない演技が続いてしまう。しかし第2種目のつり輪では全員が気持ちを切り替え、着実に得点を重ねる。中でもこのところ安定感を増している嶋津尚弥(スポ3=和歌山・田辺工)が息をのむような力強い演技で15.100点を叩き出し、チームに貢献した。次の跳馬では貫録ある跳躍で会場を沸かせた小倉を始め、多くの選手が高得点を獲得。つり輪と跳馬の2種目で慶大に大きく差をつけた。
つり輪で高得点を獲得した嶋津
続く平行棒、鉄棒、ゆかの3種目では綿崎主将の活躍が光った。「全日本前にこの早慶戦で自分が一番点数を取って、士気が上がった状態で全日本に行ければいい」と、キャプテンとしてチームを鼓舞するつもりで臨んだ綿崎主将。その思いが演技にしっかりと表れていた。得意の平行棒で安定した美しい演技を見せると、次の鉄棒では着地をピタリと止める。最終種目のゆかは乱れのない演技でEスコア8.9をマークし、完成度の高さを示した。団体戦は、慶大に約35点の差をつけて早大が優勝。また個人総合1位は文句なしの綿崎主将。間近に迫った全日本に向け、いい形で早慶戦を終えた。
ゆかで美しい演技を披露する綿崎
早慶戦で勝利を収め、全日本へ弾みをつけた早大体操部。全日本の相手は強敵ぞろいだが、「僕が15年間やってきたことを出すだけですし、みんなもいままで練習してきたことを出すだけ」と綿崎主将が語るように、大舞台に向け準備は万全。まずは1日目の予選で8位以内に残り決勝に進むことを目標に、あと数日で最終調整を行う。
(記事、写真 末永響子)
男子団体総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
綿崎 啓太(スポ4) | 14.800 | 13..500 | 14.200 | 14.300 | 14.800 | 14.450 | 86.050 | 1位 |
佐藤 紘翔(スポ3) | 14.800 | 13.100 | – | 14.500 | 14.550 | 13.850 | 70.800 | – |
嶋津 尚弥(スポ3) | – | 14.600 | 15.100 | – | 14.700 | 12.450 | 56.850 | – |
小倉 佳祐(スポ2) | 14.500 | 13.300 | 14.100 | 15.000 | – | – | 56.900 | – |
藤原 昇平(スポ2) | 13.850 | 12.700 | 14.850 | 14.600 | 14.550 | 14.050 | 84.600 | 2位 |
松田 祐太(スポ2) | 14.200 | – | 14.400 | – | – | – | 28.600 | – |
山岸 拓十(スポ2) | – | 12.150 | – | – | 12.900 | – | 25.050 | – |
浅野 佑樹(スポ1) | 14.050 | – | 13.800 | 14.750 | 14.050 | 14.000 | 70.650 | – |
岸本 邦秀(スポ1) | – | – | – | 13.900 | – | 13.400 | 27.300 | – |
チーム得点 | 72.350 | 67.200 | 72.650 | 73.150 | 72.650 | 69.750 | 427.750 | 優勝 |
コメント
綿崎啓太(スポ4=京都・洛南)
――早慶戦の雰囲気はいかがでしたか
例年より盛り上がって、僕が経験した中では一番雰囲気良くできたと思います。
――応援部からの大きな声援がある中での演技でした
日頃は体育館でみんなで演技してて、自分一人だけ注目されるっていう機会がなかなかないので、早慶戦っていうのは緊張する場だと思います。そんな中でみんな演技していました。
――安定した演技だったように思いますが、試合を振り返っていかがですか
最近は全日本(団体選手権)に向けてだいぶ固めて演技をしてきていて、全日本前にこの早慶戦で自分が一番点数を取って、士気が上がった状態で全日本に行けたらいいなという風に考えていたので、きょうはその目的が果たせたと思います。
――団体戦のチーム全体の出来はいかがでしたか
スタート種目があん馬だったんですけど、僕たち全日本ではつり輪からスタートで。最近はずっとつり輪からスタートしてあん馬が最終種目っていう練習をしてきたので、あん馬が1種目目になってしまっていつもよりペースが違うというか、体力がある状態であん馬っていうことだったので、みんな体力が有り余って失敗してしまったんじゃないかなと思います。
――逆に全日本に向けてあん馬が最終種目という流れでの練習はしっかりできているということですか
まだ詰めは甘いですけど、だんだん詰めてきていると思います。
――来週に迫った全日本に向けて抱負をお願いします
僕が15年間やってきたことを出すだけですし、みんなもいままで練習してきたことを出すだけなので、それに向けて最後の調整をしていこうと思います。
佐藤紘翔(スポ3=岡山・関西)
――きょうの早慶戦の雰囲気はいかがでしたか
いつもと全く違う雰囲気なんですけど、とても盛り上げてくれるので、楽しくできました。
――きょうの演技を振り返って
1種目目のあん馬で失敗が出てしまいました。1種目目ということもあるんですけど、日頃から安定してない種目でもあって、全日本まであと1週間あるので、そこは修正して全日本に臨みたいと思います。
――きょう良かったと思う演技は
あまり練習でも自信がない種目である跳馬がまあまあいい出来だったので、跳馬は良かったです。
――全日本に向け調子はいかがですか
調子はいい感じにきています。
嶋津尚弥(スポ3=和歌山・田辺工)
――きょうの早慶戦の雰囲気はいかがでしたか
全国大会とはまた違った雰囲気でやれました。ちょっと応援に圧倒されるところもあったんですけど。
――あん馬は悪い流れを断ち切る素晴らしい演技でした
最近の中では一番いい出来ではなかったですけど、通すことが大前提なので、そこを考えながらやりました。
――全日本ではあん馬が最終種目ということもあり鍵を握っていると思いますが、そこではどのような演技をしたいですか
絶対落ちないということと、きょうはあん馬で足を擦ったりしていたんですけど、それをなくして、あと1週間詰めていけたらいいなと思います。
――来週の全日本に向け、状態はいかがですか
調子としてはインカレ(全日本学生選手権)のときから続けてやってきているので、バッチリだと思います。つり輪だけ下り技の難度を上げたのでそこだけ心配ですけど。それ以外の種目は大丈夫だと思います。