厳しい残暑のもと、今年も両校のプライドをかけ繰り広げられた早慶戦。早朝から応援部によるエール交換が行われ、共に絶対に負けられない戦いが始まった。昨年わずか2打差で慶大に敗れ、苦杯をなめた男子部の今年の試合は、午前にシングルス(8ポイント)、午後にダブルス(4ポイント)の合計12ポイント、各18ホールマッチプレーで行われた。通常のストロークプレーに比べ、より高い集中力が求められると言われるこのマッチプレー方式を、大会で経験している部員が少ない中健闘するが、またしても慶大に1ポイント差という僅差で敗れた。一方、女子部は今年も慶大に大差で勝利を挙げ、見事7連覇を成し遂げた。1年生の活躍や高い団結力が見られ、来年以降のさらなる連勝にも早くも期待のできる結果となった。
エール交換で校歌を歌う両校ゴルフ部
午前に行われたシングルスを3勝4敗1分けで終え、1ポイント差で慶大を追う展開となった男子部。全員が、午後のダブルスで絶対に勝たなくてはいけないというプレッシャーを胸に戦い、2勝を挙げるが差を縮めることはできない。そんな中でシングルス、ダブルス共に勝利を収めたのが山本雄太(教4=栃木・作新学院)と髙橋真央(スポ1=東京・早実)だ。最後の早慶戦となった山本は先週行われた関東学生選手権でも最終ラウンドに進み、調子の良さを見せた。ダブルスでは、4連続ポイントという圧巻の巻き返しで逆転勝利を飾ったが、「チームを優勝に導くことはできませんでした」と悔しさをにじませた。
シングルス、ダブルスで勝利を収めた山本
女子部の中でツートップのスコアで上がりチームの優勝に貢献したのが、共に早慶戦初出場の柏木瑠美(スポ1=兵庫・滝川二)と松尾奏(人1=佐賀・致遠館)だ。同じ組で18ホールを回った2人は、「バーディーを取った時に「ナイス」とか「いいショット」と声掛けをすごくしてくれて心強かった」(松尾)と抜群のチームワークを見せ、初めての早慶戦を終えた。特に松尾は自己ベストの5アンダー67という圧倒的なスコアをマーク。柏木がボギーを出してしまった場面でも冷静にバーディーを決め、1年生ながらチームを7連覇へ導く立役者となった。
パターを打つ松尾と後ろで見守る柏木
昨年に引き続いて、男女そろっての優勝を実現できなかった今年の早慶戦。しかし「チームで団結したことなどのきょうの経験は非常に貴重だった」と川下有咲女子主将(政経4=カナディアンアカデミー)が語るように、男子部女子部共に9月の関東大学ブロック対抗戦(リーグ戦)の前に結束力を高める良い機会になったのではないだろうか。男子部は気持ちを切り替えて秋のリーグ戦で春に続く優勝、女子部は今の良い流れに乗ったまま、春に果たせなかったAブロック昇格を目標に、早大ゴルフ部はこの短期間でさらにまい進していく。
(記事 島形桜、写真 石井尚紀、島形桜)
結果
▽総合順位(男子)
順位 | 大学名 | 総合成績 |
優勝 | 慶応義塾大学 | 6,5 |
2位 | 早稲田大学 | 5,5 |
▽総合順位(女子)
順位 | 大学名 | 総合成績 |
優勝 | 早稲田大学 | 379 |
2位 | 慶応義塾大学 | 415 |
▽個人成績(女子)
選手名 | 学部・学年 | 総合成績 | 総合スコア |
川下有咲 | 政経4 | 86 | +14 |
川口さらら | 政経4 | 84 | +12 |
清水日奈 | スポ3 | 78 | +6 |
深谷琴乃 | 教2 | 76 | +4 |
柏木瑠美 | スポ1 | 74 | +2 |
松尾奏 | 人1 | 67 | −5 |
※1ラウンド・パー72打 |
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コメント
加藤政和主将(商4=東京・早実)
――今回の早慶戦にかけた意気込みはどういったものでしたか
一昨年、昨年と2連敗しているため、初心に戻りチーム全員が挑戦者という気持ちで臨みました。
――主将としてきょうの結果を振り返ってみていかがですか
技術力の足りなさが目立った試合にはなりました。また1ポイント差で負けたということは最後に一押しする何か、根拠となる自信、気持ちが足りなかったのだと思います。
――きょうはマッチプレーということで、どのようなことを意識して試合に臨まれましたか
対戦相手に気を取られず、自分らしくプレーすることを心掛けて回りました。
――午後のダブルスで勝たなくてはいけないというプレッシャーはありましたか
プレッシャーは感じましたが、ペアでお互い信じ合って目の前の1打に集中できたと思います。
――今回が最後の早慶戦となりましたが
3年生以下は早慶戦で勝ったことがなく、勝利した時の気持ちを伝えられなかったことが心残りです。
――関東大学秋季Bブロック対抗戦(秋季リーグ戦)に向けて意気込みをお願いします
これから合宿に入るため、早慶戦で得た課題を元に、現状を見つめなおし優勝できるよう万全を尽くします。
山本雄太(教4=栃木・作新学院)
――今回の早慶戦にかけた意気込みはどういったものでしたか
今回の早慶戦は3年ぶりの優勝を目指し、悔しい思いをしてきた先輩の借りを返そうという思いだけでした。ただ、とにかく楽しんでやろうということは話をしていました。
――きょうの結果とご自身のスコアについてどう思われますか
個人的にはシングルスもダブルスも勝つことができましたが、チームを優勝に導くことはできませんでした。しかし最後のダブルスでは、アップドーミーという負けたら終了のホールから巻き返し、4連続ポイントを取って逆転勝利できたことは秋季リーグ戦に向けてチームに良い刺激を与えることができたのではないかと思います。
――きょうはマッチプレーということで、どのようなことを意識して試合に臨まれましたか
私は1年生の時の秋季リーグ戦に出場していたので、現チーム内でマッチプレーを大会として経験しているのは私だけでした。だからこそ、チームにマッチプレーのプレー運びやメンタルの持ち方などを全てフィードバックするように心掛けていました。しかし、スタートダッシュという点でケイオーを追うという形になった部員が多かったことが敗因の1つだと思います。
――相手のプレーが上手く行った時に、どのような思いでプレーされましたか
朝のミーティングの時に、相手が良いプレーをした時には心から祝福してあげることと部員に指導していました。ケイオーとは本当に良いライバルなので、相手のミスで勝つのではなくてお互いのベストプレーの上で勝ち切るということを考えていたので、ケイオーが良ければワセダがさらに良いプレーをするという思いでプレーしました。
――今回が最後の早慶戦となりましたが
私は4年間早慶戦に出場できたのですが、その中で1勝3敗と負け越してしまいました。責任を感じている部分も多いのですが、やはりここまでプライドをかけて戦える舞台はなかなか無いので、こういった舞台を用意してくださった両校のOB、OGに感謝しかありません。
――秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします
このチームの最終目標は秋季リーグ戦で優勝して、Aブロックに昇格して来年に引き継ぐという所なので、今回の敗戦を必ず次へと繋げていきます。チームの課題はゲーム作りという点にあるので、夏季合宿を通してレベルアップを図っていきます。
川上有咲女子主将(政経4=兵庫・カナディアンアカデミー)
――きょうの結果についてお聞かせください
1年生の2人が活躍してくれて、私も4年間ワセダにいた中でずっと早慶戦には勝つことができたので、そういう経験をさせてくれたチームに感謝しています。
――早慶戦に臨むにあたってチーム内で意気込みなどはありましたか
もちろんリーグ戦とかも大事なんですけど、早慶戦は絶対に勝たなくてはいけない試合ということで、ゴルフのスコアでも勝ちたいですが、マナーやエチケットなどのその他の面でもケイオーに勝てるように日々頑張っていました。
――主将目線で試合を振り返ってみていかがですか
非常にいい雰囲気で戦えたなと思っています。ゴルフは個人スポーツなんですけど、こういう早慶戦とかではチーム一丸となって戦うことが勝利には一番大事で、きょうはそれができたと思っているので良かったです。
――その中でご自身のプレーはいかがでしたか
私自身のプレーは採用されなかったんですけど、初心者でゴルフ部に入部して、私の中では悪くないプレーだったと思います。もちろん後輩がいるからこそできたことなので、すごくチームに感謝しています。
――最後に今回の早慶戦をどのように生かしていきたいですか
早慶戦に勝てたことは9月に行われるリーグ戦に向けて大きな自信となりましたし、ゴルフの技術面もなんですけど、チームで団結したことなどのきょうの経験は非常に貴重だったと思うので、それを生かして次のリーグ戦で優勝できればと思っています。
松尾奏(人1=佐賀・致遠館)
――優勝おめでとうございます。きょうは7連覇がかかる試合でしたが、どのような意気込みで臨みましたか
絶対に勝つという気持ちで臨みました。
――ご自身の結果を振り返っていかがですか
ショットもパットも良くて、スコアも自己ベストを出すことができて良かったなと安心しています。
――印象的な場面はありましたか
一緒に回っていた同期がミスをしてしまった場面で、その子の分まで頑張ろうというホールが1ホールあったんですけど、そこでバーディーを取れたのは良かったです。後半の残りのホールが少ない中でもスコアを落とさずプレーできて良かったです。
――同期の柏木選手と一緒に回って感じたことはありますか
バーディーを取った時に「ナイス」とか「いいショット」と声掛けをすごくしてくれて心強かったです。
――9月のリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
今日よりも良いスコアで上がって、春は優勝できなかったので優勝できるようにがんばりたいと思います。