重圧に打ち勝つ
団体戦重視と言われる大学ゴルフ。個人の力だけでは決して強いチームへと上り詰めることはできない。実力だけでなく、人間性も持ち合わせていなければならないそのチームの主将として指名された長谷川和市(スポ=兵庫・滝川二)。1年時から主力として多くの試合に出場し、4年時には主将としてチームをけん引し、個人戦においても男子で唯一日本学生選手権に出場を決めた。長谷川の早大ゴルフ部での四年間はどんなものだったのだろうか。
両親の影響で小3からゴルフを始めてから、レッスンスクールや中学・高校の部活動でのプレーを経て、数多くある大学から早大ゴルフ部を選んだ長谷川。入部当初から期待のルーキーとしてチームを引っ張っていた。1年時は怖いもの知らずで、気負うこともなく試合に出場しプレーすることができたという。3年時の秋には、初めて団体戦での全国大会、信夫杯争奪日本学生対抗戦に出場した。長谷川が四年間で最も嬉しかったと語る出来事である。日本中の高いレベルを持つ大学が集まり、今までに経験したことのない緊張感を感じながらも、心から楽しむことができたと振り返った。
堅実なプレーでこの一年チームを引っ張った
自分の長所として「ビッグスコアは出なくても堅実にいくスタイル」を挙げる長谷川。自分の持ち味を大いに生かし、技術面でも精神面でもチームを支えてきた。しかし学年が上がるにつれて、長谷川の両肩にかかるプレッシャーは増していった。これまで様々な立場を経験してきた長谷川であっても、主将として出場した昨年の関東大学秋季Bブロック対抗戦(秋季リーグ戦)は今までに味わったことのないものだったという。同時に、四年間で最も悔しさが残る出来事として、昨年の秋季リーグ戦におけるCブロック降格を挙げている。精神的に大きな負担がかかるスポーツであるゴルフ。野球やテニスなど、ボールが自分の方に向かってくる他のスポーツとは違い、止まっているボールに対して自分から動き出さなければならない。外してはいけないというプレッシャーの中で、いかに思い切ってやるかが自分の中に課題としてあったという。「もっと後先考えずにやりたかった。経験を積めば積むほど怖い」と語る一方で、「緊張していることに対して逃げようとするから、余計緊張する。開き直ることを意識していた」とも語る姿からは、チームを一年間率いてきた主将としての貫禄が垣間見られた。
早大ゴルフ部で過ごした四年間で、技術だけでなく多くのものを得たという長谷川。それはこれからの人生においてプラスになることばかりであろう。残された後輩たちに対しては、「背負いすぎることなく。これ以上、下に落ちることはないとポジティブに考えて欲しい」「常に感謝の気持ちを持ってやれば、運は引き寄せられる」とエールを送った。その姿は、全力でやりきった末の次の道を見据えているようであった。卒部をもって競技人生に一度ピリオドを打つことにはなるが、早大ゴルフ部で得た経験を糧に長谷川はこれからも歩み続ける。
(記事 島形桜、写真 石塚ひなの)