男子サーブルは4位、女子エペは5位 一部リーグ死守に蓮井「ほっとしています」

フェンシング

 王座決定戦(王座)進出をかけて戦う関東学生リーグ戦(リーグ戦)。3、4日目には男子サーブルと女子エペの試合が行われた。日体大と慶大を相手に接戦をものにした男子サーブルは4位。法大戦で一本勝負を制するなど2勝をあげた女子エペは、同じく2勝の専大に得失点差で及ばず5位で終えたが、両種目とも一部残留を決めた。

☆男子サーブル

 田中智也(商3=千葉・東葛飾)が「一部残留は堅く狙っていて、王座に行けたら」と目標を定めた男子サーブル。田中に加え佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)、密田創太(国教2=東京・早大学院)、さらにフルーレを専門とするダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)という4人の布陣で臨んだ。ともに1点差で最終セットに回ってきた日体大戦と慶大戦を最後回りの田中が勝ちきり、昨年を超える4位で一部残留を果たした。

男子サーブルのキャプテン・田中

 「日体大と慶大と法大には絶対に勝ちたかった」という男子サーブル陣。第1戦の日体大戦、第4セットで密田創太(国教2=東京・早大学院)が逆転するも、その後のセットで再びリードを奪われ、第7セットを31ー35とビハインドで終える。続く第8セットにピストに入った佐藤は、得点を取るたびに雄叫びを上げる気迫を見せて9点を奪い、1点をリードして最後回りの田中に託した。佐藤がもたらしたリードを絶対に生かしたい田中には大きなプレッシャーがのしかかる。しかし、春からの出稽古で団体戦の練習を重ね、僅差の展開に慣れていたという田中は「練習通りやるということを意識して」着実にポイントを重ね、45ー41で初戦を勝利で飾った。2、3戦目は格上と位置づけている中大、日大戦。田中が「勝てるかなという(強い)相手の時に安定して点数を取れていない」と話すように、時には1点も取れないセットもありながらジリジリと点差をつけられて大差で敗れた。4戦目に迎えた法大はお互いを熟知した相手だったが、序盤から劣勢の苦しい展開になる。田中が全てのセットで相手を上回る得点を取る健闘を見せたがチームとしては噛み合わず、41ー45で悔しい敗戦を喫した。最後に対戦したのは宿敵・慶大。両者一歩も引かない攻防で逆転に次ぐ逆転の展開になる。8セット目を終えた時点で39ー40と1点ビハインドで勝負の行方は田中次第に。44ー44の同点となり一本勝負にもつれ込むと、団体戦での一本勝負は初めてだったという田中は「とにかく迷わないということ」を意識して最後のポイントを獲得し、勝利をつかみ取った。2勝をあげた男子サーブルは昨年を上回る4位で大会を終えた。

☆女子エペ

 先日の立命大戦に出場した柴田華(スポ4=神奈川・横須賀大津)が不在の女子エペは、エースの蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)と新入生の池田佳央理(社1=岡山大安寺中教校)を、フルーレ専門の森多舞(スポ3=山口・岩国工)と早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)が支えるかたちで挑んだ。互いを鼓舞し合いながら笑顔を絶やさず戦った女子エペ陣は2勝をあげ、5位で一部残留を果たした。

エース蓮井。最後の法大戦では一本勝負を制した

 団体戦での「流れ」の重要さを知る蓮井が「流れをつかめた」と語るのは、初戦で迎えた慶大との試合での第1セットだ。緊張で堅くなりがちなこのセットで4ー0と圧倒し、チームに勢いをもたらした。1年生の池田と早川も奮闘し、終始相手にリードを渡さない盤石な試合運びで最終セットへ。攻撃権が存在せず、相手の動きを伺いながらプレーするため得点が入りづらいエペ種目だが、最後回りの蓮井が7点を奪って一気に試合を決めた。2戦目の専大戦では早川がポイントを稼ぐ展開になりながら第8セットを終えて35ー35の同点で蓮井につなぐ。さらに最終セットでも拮抗(きっこう)し、同点のまま時間制限となり一本勝負へ。果敢に攻めにいったものの相手にランプが灯り、蓮井は落胆してその場に倒れ込んだ。3、4戦目の明大、日大戦では大差をつけられて敗れたが、最終5戦目で蓮井にリベンジのチャンスが訪れる。蓮井、森多、早川の3人が出場した法大戦だったが、両者決め手に欠き1点のビハインドで最終セットへ。蓮井は慎重にポイントを重ね、またも同点で制限時間を迎える。今大会2度目の一本勝負となったが「自分のできることを思い切って」やったと、今度は自身のシングルランプを灯した。蓮井は「チームのメンバーが相手のエースに粘ってくれたり、リードを作ってくれる場面があってとても助けられ」たと、柴田を欠きながらも一丸となって戦った今大会を振り返る。結果は昨年と同じ5位ではあるが、チームでカバーし合って2勝をあげ、一部残留を決めたことは大きな収穫だ。

4位となった男子サーブル陣

 男子サーブルと女子エペは最低限のラインである一部残留を死守し、蓮井は「ほっとしています」と振り返った。一方で多くの課題が出たのも事実で、今後の大会では相手の力量に応じて柔軟に戦い方を変え、少しでも得点を増やす、失点を減らすという戦い方が求められる。個人の技術の向上に加え、チームとしての戦術の幅を広げることで勝てるチームへと進化を遂げたい。

(記事、写真 吉岡直哉)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

コメント

田中智也(商3=千葉・東葛飾)

――今大会の目標はどのように定めていましたか

一部残留は堅く狙っていて、王座に行けたらいいなという感じでしたね。メンバー的に。

――実際の結果をどのように捉えていますか

日体大と慶大と法大には絶対に勝ちたかったのですが、法大には流れが悪くて勝てなくて。そこに浮き沈みがあったので、修正したいなと思います。

――3人の役回りや作戦はどのように考えていましたか

僕が最後回りなので、基本マイナスせずに。僕と佐藤が基本点数を取ってきて、密田で耐えるという感じでした。

――それはうまくいきましたか

大体できたのですが、法大戦では僕と佐藤が片方良くて片方良くないというように、うまくマッチしなくて、そこが不安定さにつながってしまったかなと思います。

――最後回りを務めるにあたって、慶大戦と日体大戦は僅差で回ってきました。プレッシャーのかかる場面で勝ち切れた要因は何ですか

春から課題と練習内容を増やして、毎週法大などに出稽古に行っていました。人数が少ない中で(チーム内では)団体戦の練習ができないので、他の大学といっぱい練習をしたのが効いてきたので、練習通りやるということを意識していました。

――練習試合でも僅差で回ってくることは多かったのですか

そうですね。この状況に慣れておくということができて、良かったです。

――特に慶大戦では一本勝負を制しましたが、何を意識していましたか

とにかく迷わないということ。中途半端になったら後悔するというか。団体の一本勝負は人生で初めてだったので、とにかく嫌な負け方はしないように、そこを意識して決めていきました。

――日大戦の1セット目は1点も奪えなかったと思いますが、難しさはありましたか

相手の選手がずっと苦手意識がある選手で、何回も当たっているのですが全然(点を)取れなくて。その苦手意識が、(2日目の)初戦で緊張もあって、強く出てしまってうまくいかなかったです。

――今回良かったところと、次への課題を教えてください

良かったところは大事な場面で点数を取り切れたというところで、そこは関東学生選手権(関カレ)や早慶戦でも生かしていきたいです。ですが、勝てるかなという(強い)相手の時に安定して点数を取れていないので、そこは練習を重ねて。強い相手でも安定して0点とかを無くして、少なくともマイナス1、2とかで回せるようにしたいなと思います。

――個人の全日本選手権と、団体の関カレの意気込みをお願いします

シニアの大会でベスト16に入ったことがないので、全日本選手権ではベスト16に入りたいです。関カレはメダルを目指して頑張っていきたいです。

蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)

――今大会の結果をどのように捉えていますか

――2度の一本勝負がありました。惜しくも敗れた1度目を踏まえて、2度目はどのような戦略、意識で臨みましたか

1点リードされている状況からスタートしたのですが、自分のできることを思い切ってやることは意識しました。

――団体戦ならではの難しさや、個人戦との考え方の違いなどあれば教えてください

団体戦は流れが重要だと思います。勝負どころでは、ポイントを取りに行く、リードがあれば次につながる試合をするといったようなところです。3分間という短い時間の中で、状況に応じた戦い方をすることが難しいと感じます。

――団体としてよかったところ、自身のプレーでうまくいったところを教えてください

団体としては、チームのメンバーが相手のエースに粘ってくれたり、リードを作ってくれる場面があってとても助けられました。自分のプレーにおいては、初戦の1セット目に大きなリードを作り流れをつかめたこと、最後試合の一本勝負で取り切れたことは良かったかなと思います。

――次に向けてどのような点を改善していきたいですか

状況に応じて戦い方を変えたり、チャンスと思ったらポイントを取りにいくことは今後意識していきたいと思います。

――次回の大会の目標や意気込みをお願いします

次は個人戦ですが、今大会で見つかった課題を改善し、ベストを尽くしたいと思います。

結果

▽男子サーブル

早大[田中智也(商3=千葉・東葛飾)、佐藤悠雅(人科2=福岡・西南学院)、密田創太(国教2=東京・早大学院)、ビューワーニック・ダグラス(スポ4=埼玉・星瑳国際)]4位

○45‐41日体大

●30‐45中大

●24‐45日大

●41‐45法大

○45‐44慶大

▽女子エペ

早大[蓮井陽菜(スポ4=香川・高松北)、森多舞(スポ3=山口・岩国工)、池田佳央理(社1=岡山大安寺中教)、早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)]5位

○45‐37慶大

●39‐40専大

●31‐45明大

●29‐41日大

○28‐27法大