5月6日から開幕した関東学生リーグ戦。終盤の5、6日目には男子エペと女子サーブルの試合が行われた。女子サーブルは2勝3敗で一部残留を決めたのだが、男子エペはリーグ戦で1勝もあげることができず、入替戦に臨むことに。ここでやっと男子エペ陣は本領を発揮し、一部リーグの意地を見せつけた。二部リーグで全勝した明大を相手に快勝し、早大は全種目で一部に残ることとなった。
入替戦で応援に駆けつけた早大フェンシング部
☆男子エペ
日本学生フェンシング・カップで準優勝した中本尚志(スポ1=山口・岩国工)を筆頭に、同大会でベスト16入りした周旻朗(国教4=台湾・セントステフェンズカレッジ)、さらに高校時代にエペ団体で全国優勝経験のあるフルーレの藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)と、実力のあるメンバーがそろった男子エペ陣。一部残留はもちろん、王座決定戦(王座)出場も見える位置にいると思われたが、どの試合でも序盤から相手のペースにのまれる展開に。ポイントゲッターとして期待されていた中本は積極的にアタックを仕掛けるが、そこでカウンター攻撃を食らう場面が多く、思うように得点を重ねることができなかった。専大戦など後半まで早大がリードを保った試合もあったものの、最後まで粘り切ることができず0勝6敗。入替戦に臨むこととなった。
入替戦で待ち受けていたのは、二部リーグで全勝し1位に輝いた明大。一部昇格へ勢いづいた明大は、背水の陣の覚悟で臨む早大に序盤から襲い掛かった。第1セットを藤澤が2-5で落とすと、第3セットまでその差を詰めることができず、早大に暗雲が立ち込める。第4セットで藤澤が時間を使いながらポイントを重ね16-16と追いつくも、続く周が逆転され20-23とまたビハインドの状態に戻ってしまった早大。しかしここで「後半になるにつれて落ち着いて」きたという中本が逆襲に出る。連続でシングルランプを灯し30-26とリードを奪うと、周と藤澤も流れに乗り、徐々にその点差を広げた。最後は中本が相手エースに突きをほとんど許さず5点を取り切って勝利。試合が終わると何度も抱き合って歓喜に沸いた。「チームワーク、声かけを大事に」という言葉通り、ベンチや応援席からの助言にしっかりと耳を傾け、得点した際には全員が全身で喜ぶ様子が目立った男子エペ陣。早大らしく、チームが一丸となってつかんだ貴重な1勝だ。
一部残留が決まり喜ぶ男子エペ陣
☆女子サーブル
大型新人の伊藤花乃(スポ1=愛媛・三島)と山崎妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)、フルーレの森多舞(スポ3=山口・岩国工)の3人で臨んだ女子サーブル。2勝3敗で一部残留は決めたが、山崎が「4勝はできた」と話すように、惜敗した法大と東女体大の試合には悔しさが残る。初戦となった法大戦では、序盤は相手を上回るも第3セットで逆転され、山崎が第5セットで巻き返すもその後の勢いが続かず41-45で敗退。東女体大では終盤まで早大がリードする展開となっており、一時は11点もの差をつけていた。しかし第7セットに森多が12点を追い上げられ、続く伊藤も3得点の間に9失点し38-40と大逆転を許した。そうして最終セットを迎えたが、山崎は「取り急いでしまった」と本領を発揮することができず42-45で敗れた。のちに優勝を果たす日大との試合では、1人1人のわずかな失点が積み重なり45-33で敗戦。しかし日体大戦と専大戦では全員が各々の役割を果たし、それぞれ45-29、45-28と圧勝した。「(一部に)残れたら何でもよかった」と話していた一方で、試合後に「もう少し勝ちたかった」と思えるほど想像以上の実力を発揮できた女子サーブル陣。今大会すべての試合の第1セットをものにした山崎がつくる流れを、次戦の関東学生選手権(関カレ)では全員でつないで勝利を重ね、優勝を狙いたい。
女子サーブルの先陣を切った山崎
この日の試合をもってリーグ戦は幕を閉じた。次の団体戦は10月の関カレと日があくが、この期間で個々の実力に磨きをかけるとともにチーム内の結束力をも強化し、リーグ戦を超える結果を目指す。
(記事、写真 槌田花)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
コメント
山崎妃奈乃(法1=)
――今大会の目標を教えてください
一部残留でした。残れたら何でもよかったです。
――結果を振り返って
もうちょっと勝ちたかった、4勝はできたと思うので、巻き返されたときに自分がもっと取れたらよかったなと思います。
――3人の役回りや作戦を教えてください
山があるうちの上を取りたくて、上で私が一番最初に出て、まず5本取ってきて流れをつかむというイメージでした。全試合で(1セット目を)取ることができたのでよかったです。
――落としたくなかった試合はありましたか
法大と日女大ですね。自分がもっと取れていれば勝てたし、マイナスでまわってきたときにもっと取りたかったです。(団体として足りなかったところは)ないです。
――自身のプレーでよかったところと改善したいところがあれば教えてください
よかったところは、自分で積極的にプレーをつくりにいって、中には巻き返せた試合もあったところです。悪かったところは、ビハインドで回ってきたときに取り急いでしまって、日女大戦とか、早大に勝ちを持ってこれなかったところです。
――最後に関カレの団体戦の目標をお願いします
優勝です。
中本尚志(スポ1=山口・岩国工)
――今大会の目標を教えてください
一部残留ですね。2勝はしたかったです。
――3人の役回りや作戦を教えてください
将匡先輩とアンソン先輩が耐えて、僕がしっかり得点するという作戦で挑みました。
――個々では実力はあると思うのですが、なかなか団体で勝てなかった要因は何だとお考えですか序盤にリードをとられて苦しい展開になったので、そこがやっぱり厳しかったかなと思います。
――リーグ戦の全敗から入替戦に向けて、チームで話したことなどありましたか
チームワーク、声かけは大事にしようと話しました。
――自身のプレーでうまくいったところと、次回につなげたいところがあれば教えてください
後半になるにつれて落ち着いて、シングルランプがつくようになったんですけど、序盤は緊張してしまって焦ってしまう部分があったので、そこはメンタルをしっかりとコントロールしたいなと思いました。しっかりゆっくり作戦を立てて、試合展開をつくっていくということをもっと練習します。
――中本さんは攻め型で、相手にはカウンターを狙われていたような感じがしたのですが合っていますか
そうですね、本当にその通りです。
――入替戦、最初に連続でポイントを奪われてから中本さんの攻撃が決まり始めたと思うのですが、気持ちの切り替えなどは
勝たないといけないという場面で、そこでどれだけ冷静になれるかということが大切だと思ったので、メンタルをコントロールして挑みました。
――最後に関カレの目標を教えてください
個人は優勝、団体はベスト4。それに向けて筋力トレーニングもしていきたいと思っています。
結果
▽男子エペ
早大[周旻朗(国教4=台湾・セントステフェンズカレッジ)、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、中本尚志(スポ1=山口・岩国工)、竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教)]6位
●28‐45日大
●40‐45中大
●32‐45慶大
●41‐45専大
●38‐44法大
○45‐30明大(入替戦)
▽女子サーブル
早大[森多舞(スポ3=山口・岩国工)、伊藤花乃(スポ1=愛媛・三島)、山崎妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)]4位
●41‐45法大
○45‐29日体大
●33‐45日大
●42‐45東女体大
○45‐28専大