中本が準優勝、山崎がケガを抱えながら4位!新戦力が躍動し、早大に追い風吹く

フェンシング

 4月21日から開幕した日本学生フェンシング・カップ。最終日の23日は女子サーブルと男子エペの試合が行われた。女子サーブルには新戦力の2名が出場し、伊藤花乃(スポ1=愛知・三島)は38位と本領発揮ならずも、山﨑妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)がケガを抱えながら4位という好成績を残す。男子サーブルでは中本尚志(スポ1=山口・岩国工)が1年生ながら準優勝、周旻朗(国教4=台湾・セントステフェンズカレッジ)も粘り強いプレーでベスト16入りを果たし、5月頭に行われる関東学生リーグ戦に向け大きな弾みをつけた。

ケガをしている中4位となり、存在感を見せつけた山﨑

☆女子サーブル

 女子サーブルには、ジュニアU-20ランキングの上位を占める伊藤と山崎が出場した。伊藤は序盤からうまく流れをつかめず、予選は2勝3敗と負け越して37位。40人が進出できる決勝トーナメントに間一髪で滑り込み、1回戦は八惣柚香(朝日大)と対戦した。もしここで勝てば不戦勝で上がってくる山﨑との早大対決が決まるところだったが、伊藤は11-15とあと一歩及ばす敗退。全体38位となり、全日本選手権の出場権も獲得することができなかった。

 一方山﨑は、足のケガやそれに伴う練習不足をものともせず予選を全勝で切り抜ける。そして決勝トーナメントの2回戦、伊藤を下した八惣に対しリードを広げるが、終盤に「(点を)取り急いだ」と相手に連続ポイントを決められ13-13の同点に。山崎は一旦マスクを外して間を置き、「距離を開けられて攻められることが多かった」と冷静に分析。最後は自分から前に出て2本を取り切り勝利した。この時点で山﨑はベスト16入り。ケガを悪化させないためにもここで棄権する予定であったが、「3週間ぶりにフェンシングをして楽しくて」競技を続けることにした。迎えた3回戦、高山輪子(立命大)を相手にシーソーゲームを繰り広げ、試合は一本勝負に持ち込まれる。そこでも自身から攻撃をしかけ勝負を制すると、全身で喜びを爆発させた。準々決勝では横田彩未(法大)に対し15-10と余裕を持って勝利。最後の準決勝では、普段からともにプレーしている菊池心和(日大)と対戦したのだが、なかなか山﨑は主導権を握ることができず9-15で敗戦。3位決定戦は棄権し4位で大会を終えたが、「自分のやりたいことはできたので後悔はそんなにない」と笑顔も見せた。リーグ戦では女子サーブル陣のポイントゲッターとしてチームをけん引できるよう、まずはケガの治療に専念していく。

☆男子エペ

 男子エペには周と新入生の中本が出場した。周は4勝1敗、中本は5戦全勝で予選リーグを通過する。周と中本は決勝トーナメント1回戦が不戦勝となり、2回戦、3回戦は大きく点差を離して勝利し16強入り。周は準々決勝で伊藤海雲(慶大)に敗れ13位。中本は上級生相手に堂々としたプレーを見せて勝ち進み、大学入学後初の大会で見事準優勝を果たした。

武器であるフレッシュでポイントを奪う中本

 早大エペ陣に大きな新戦力が加入した。今春入学した中本は「フットワークがかなり良く、脚が動けていた」と話すように、相手を寄せつけない試合展開で予選プールを全勝で通過すると、決勝トーナメントでも勢いそのままに勝ち進み、決勝の舞台に臨んだ。決勝では予選プールを1位で通過した強敵・坂藤秀昌(慶大)との組み合わせに。今大会で初めて序盤で点差をつけられ追う展開になるが、「なるべく失点を抑えて逆転できるように」と粘ってポイントを取っていく。しかしわずかに及ばず10ー15で敗れ、準優勝で大学初の大会を終えた。1年生にして今大会の目標を優勝に据えていた中本は、うれしさとともに悔しさをにじませたが、鮮烈なデビューを果たした大器の今後の活躍に注目だ。

 最高学年になり、チームメイトから「努力家」と称される周も大きな飛躍を見せた。カウンター攻撃や相手のアタックを防御してからの突き返しが決まり、さらには接近戦となった際に粘り強く相手を突く姿勢が目立った周。決勝トーナメントの2回戦は15ー4、3回戦は15ー8と力の差を見せつけて勝ち上がった。ベスト8をかけた試合で対するのは伊藤海雲(慶大)。序盤に3ポイントを連続で献上してしまうが、徐々に周の攻撃も決まり始め、一時逆転する場面もあった。しかし惜しくも13ー15で敗れ、最終結果は13位。悔しさのあまりしばらくベンチに横たわる姿も見せたが、間違いなく今までの努力の成果を発揮した大会となった。

粘り強いプレーで得点を重ねた周

 山崎が4位、中本が準優勝と新入生の2人が好成績を残した。5月のリーグ戦では女子サーブルに森多舞(スポ3=山口・岩国工)、男子エペに藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)というフルーレを専門とする2人を加えて臨むことになる。頼もしい新入生を上級生がバックアップし、悲願の優勝を目指す戦いに挑む。3日間の大会を通して目立ったのは早大フェンシング部の一体となった応援だ。少数ながら一丸となってチームを盛り上げる早大ならではの雰囲気は、確かに選手達の力になっている。

(記事、写真 槌田花・吉岡直哉)

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

コメント

山﨑妃奈乃(法1=千葉・渋谷幕張)

――今大会の目標はどのように設定していましたか

今ケガをしていて、ベスト16で棄権しようと思っていました。3週間ぶりにフェンシングをして楽しくてやっちゃったみたいな。 逆に設定しているものがなかったのでのびのびと(プレーできました)。練習もできていませんでした。

―― 決勝トーナメントの2回戦で最後追い上げられましたが、相手に作戦を読まれたという感じですか

そうですね、自分も最後(点を)取り急いで単発になってしまったところがあったんですけど、最後取り切れて良かったです。

――追い上げにあったときに1度間を空けてから最後に連続ポイントを取ったと思うのですが、あの場面で意識したことはありますか

自分が結構距離を開けられて攻められるというのが多かったので、自分から積極的に前に出てそのまま早く取っていこうとしていました。

――試合全体で、どのように点を取っていこうと考えていましたか

基本前で戦いたいなというのは思っていました。自分は立ち会いが得意な方なので、立ち会いで点数を取りたいなと思っていました。

――最後の試合が終わってから笑顔が見られたのですが、どのような心境でしたか

普段からやっている友達というのもあったので、先輩ですけど、自分ができることはできたかなというのでそんなに後悔はなくて。1年生で4位に入れたので良かったなと思います。

――リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

まずは絶対に1部残留で、自分がたくさん点を取ってくるくらいのつもりで、頑張れたらと思います。

中本尚志(スポ1=山口・岩国工)

――準優勝おめでとうございます

ありがとうございます。

――決勝戦は劣勢の中一つずつポイントを取っていかなければならない場面でしたが、どのようなことを意識されていましたか

なるべく失点を抑えて逆転できるように頑張っていました。

――準優勝という結果をどのように捉えていますか

大学に入って最初の大会でメダルを取れたので、とてもうれしいです。

――今大会を通してうまくいった点は何ですか

フットワークがかなり良く、脚が動けていたので良かったと思います。

――今大会の目標は

優勝でした。

――では悔しさもありますか

はい、悔しいですね。

――改善できる点は何ですか

フィジカルがまだ足りていないなと思ったので、筋力トレーニングをしようと思います。

――リーグ戦の目標は

まずは優勝という目標を掲げて、全部のチームに勝つという目標で戦おうと思います。