森多が13位、ダグラスが27位と悔しい結果に

フェンシング

 今季初の公式戦となった日本学生フェンシング・カップ。初日には男女フルーレの試合が行われ、前回大会で4位となった森多舞(スポ3=山口・岩国工)が13位、関東学生選手権優勝など数々の個人戦で上位に名を連ねてきたダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)が27位に終わるなど、非常に悔しい結果に終わった。

☆女子フルーレ

 女子フルーレは、早大から森多、早川葵彩(スポ1=東京・東亜学園)、岡田彩希(スポ1=京都・龍谷大平安)の3名が出場。森多が4勝1敗、早川が3勝2敗、岡田が3勝3敗で予選プールを通過し、全員が決勝トーナメントへ進出した。予選のうち2試合を50秒以内で終わらせるなどコンディションのよさを見せた早川は、1回戦に15-10で勝利を収めると、2回戦では巾下栞奈(日女体)と対戦。のちに準優勝を果たす相手にあと1歩及ばず、9-15で敗戦した。岡田も1回戦は難なくクリアするが、2回戦では同世代の千葉穂波(法大)に対しポイントを重ねられず敗退。早川、岡田はそれぞれ28位、32位でピストを後にした。

女子フルーレをけん引する森多。コンディションが悪い中でも勢いは健在

 一方で「コンディションが悪く、気持ち的にあまりプラスな感じではなかった」ものの、予選での失点はわずか7と安定した実力を見せたのはエースの森多。「相手に合わせた動きをしてしまった」と一本勝負を1試合落としたが、それ以外は得意のアタックを生かし相手を圧倒した。決勝トーナメントの1回戦に15-6で勝利を挙げると、2回戦では岡田芽生(日体大)と対戦。審判との相性もあり若干苦しい展開となったが、「切り替えて(審判の見方を)理解しながらできた」と15-11で森多が勝ち切った。続く3回戦で当たったのは、先月に行われたアジアジュニアカデ選手権(アジアジュニア)の個人戦で金メダルを獲得した実力者・ 岩本鈴菜(日大)。ここで森多は序盤から岩本に主導権を握られ、その流れを断てないまま4-15で敗戦した。相手のプレースタイルに合わせてポイントをつけなかったことや、相手の弱点を素早く見抜けなかったことを反省点として挙げ、「足も動かず手も出せず何もできないという情けない試合」 と振り返った森多。それでも昨シーズン終了後からより重点的に鍛えてきたフィジカル面には手応えを感じたといい、初めてフルメンバーで臨む次のリーグ戦に向けて「楽しみ。1部に絶対残留できるように頑張ります」と意気込んだ。

☆男子フルーレ

 男子フルーレはダグラス、藤澤将匡(スポ4=宮城・仙台城南)、竹内隆晟(スポ2=岡山大安寺中教校)の3名が出場した。ダグラスが4勝1敗、藤澤と竹内が3勝2敗で予選を通過。3人は決勝トーナメントの1回戦を不戦勝で通過し、2回戦からの出場となった。ダグラスは3回戦に進出し、全体27位。藤澤と竹内は2回戦で敗れ40位と48位に終わった。

27位となり、全日本選手権の出場権も逃したダグラス。団体戦でその雪辱を晴らす

 ダグラスは決勝トーナメントの2回戦で15-3と相手を圧倒し、危なげなく3回戦へと駒を進める。3回戦の相手は、今大会の優勝者である西口泰嵩(法大)。「ここはしっかり勝たないとなという思い」でこの試合に臨んだ。一進一退の手に汗握る攻防が繰り広げられ、スコアは5-5のイーブンに。ここから相手に5連続でポイントを奪われる。「試合の流れが悪いなというのは冷静に分析できて」いたと、4連続ポイントを奪い返す。しかし反撃もわずかに及ばず、11-15で敗れダグラスは3回戦で姿を消した。

 一方、予選で3勝をあげ勝ち上がった藤澤と竹内は、ともに決勝トーナメントで苦しい試合展開を強いられる。藤澤は序盤、京極光志(日体大)に対し互角に渡り合うも、2-2から4連続ポイントを許し流れが大きく相手に傾く。その後は再び接戦の展開に持ち込むことはできず、5-15と悔しい敗戦を喫した。また竹内は、藤野正真(中大)に試合開始直後から8連続ポイントを奪われ完全に主導権を握られると、その後はジリジリと点差を離され、5-15で敗れた。

 男女合わせて最高成績はベスト16にとどまるも、出場した全員が決勝トーナメントへの進出を果たす層の厚さを見せた早大フルーレ陣。2週間後に控えている関東学生リーグ戦では、昨年男子が準優勝して全日本学生王座決定戦への切符を手にし、女子も一部残留を死守した。今大会味わった悔しさをバネに、昨年を超える成績を残したい。

(記事・写真 槌田花、吉岡直哉)

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

コメント

森多舞(スポ3=山口・岩国工)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

最近風邪をひいたりしてコンディションが悪くて、気持ち的にはあまりプラスな感じではなかったですけど、試合だって割り切って、予選から1本ずつ取っていこうと思っていました。予選は結構調子が良くて、一本勝負を1つ落としてしまったんですけど、トーナメントから切り替えて頑張ろうという感じでした。1回戦はいつも通り自分の動きでできて、2回戦目も、去年のこの大会とかインカレ・関カレとかで何回も当たって勝敗も五分五分だった相手だったので、そこをしっかり勝ち取って勝てたのでよかったです。最後の試合は、最近アジアジュニアで優勝したりしてすごい調子が上がっている相手だったんですけど、足も動かず手も出せず何もできないという情けない試合でした。

――2試合目までは身体は動いていたけれど…という感じですか

そうですね。1本ずつ取ろうと思っていたんですけど、もう1セット目で点数を離されて、そこから巻き返すというのができなかったです。

――常に攻めの姿勢のように見えました

基本的にアタックが得意だと思っていて、そのアタック練習は男子選手とかとやっているので、スピードとパワーを生かした攻撃で他の人からは(ポイントを)取れたんですけど、逆に女子選手とは駆け引きが大事なので、その駆け引きがまだ慣れていないというか、ちょっと苦手ですね…

――やっぱり男女差があるんですね

そうですね、男子は勢い、スピードでいくと思うんですけど、女子はどちらかといえば駆け引きが多くないですか?時間も3セット全部使ったりとか。そういう感じなので、その練習もしないといけないなと思います。

――予選プールが終わってすぐに、負けた試合の動画を見られていたと思うのですが、どういうところがよくなかったと感じましたか

その試合以外は全部自分からアクションを起こして連続ポイントが取れていたんですけど、その試合だけ相手をよく知っていて、なぜかその相手に合わせた動きをしてしまったのがよくなかったですね。知っている相手だからこそ「こう来るかな」という。それ以外の選手が相手の時みたいに自分からいけばいいのに、そこを逆に相手に合わせてしまったりしたのが良くなかったかなと思います。

――決勝トーナメントの2試合目は、少し審判と相性が良くなかったように見えました

そうですね、でも審判の見え方で取られにくいところがあったのはしょうがないと思うので、そこを切り替えて理解しながらできたのはよかったと思います。

――最後に当たった岩本選手との対戦は過去にも何度かありますか

そんなに多くはないです。予選プールではたまに当たったりするんですけど、トーナメントはあまりないです。だいたい動きは知っているけど…という感じで。すごい低い姿勢でくる選手で、自分は結構高い方なので、そこをしっかり合わせてポイントをつけなかったのと、相手の弱点を見抜くのが遅かったですね。

――相手の弱点というのは

カルトが強いから、こっち側を抜いたシクストのラインが相手は結構弱いと思うんですけど、そこを見抜くのが遅くて。次戦うことがあれば、そこを生かして勝ちたいなと思います。

――途中先輩からアドバイスを受けていましたが、どういうことを伝えられましたか

ここのラインがいいよ、とか自分が今できていなかったところを英語と日本語を混ぜながらアドバイスしてくれました。

――逆に今日の試合で一番よかったところはどんなところでしょう

トレーニングを春期間とか週3でやるようになって、フィジカルが他の人よりかはついているかなという感覚はありますね。でも風邪のせいで息切れが激しかったので、次の試合は万全に備えてやりたいと思います。

――最後に女子フルーレ団体の雰囲気と目標を教えてください

私と同じようなキャラが2人いて、みんな明るくてかわいくていい子なので、しかも全員フルーレで組めるのが初めてなので結構楽しみです。リーグ戦前に他の大学とも練習して、1部に絶対残留できるように頑張ります。

※カルト:右利きの場合、剣の左(上)側。剣のガードの内側のポジション

※シクスト:右利きの場合、剣の右(上)側。剣のガードの外側のポジション

ダグラス・ビューワーニック(スポ4=埼玉・星槎国際)

――今大会の結果についてどのように捉えていますか

悔しいです。

――3回戦で、法大の西口選手を迎え撃つに当たってどのようなことを意識していましたか

ここはしっかり勝たないとなという思いで臨みました。

――終盤に引き離されても巻き返しを見せましたがどのような心境だったのですか

試合の流れが悪いなというのは冷静に分析できて、連続ポイントで自分の流れに持ち込めたとは思いました。

――今回の大会の目標は

もちろん優勝を目指して臨みました。

――今回の調子はいかがでしたか

調子は別に悪くはなかったのですが、うまいこと噛み合わずに負けてしまったのかなというのがあります。

――改善できる点は

今まで以上の努力があった方が良かったのかなと思います。

――リーグ戦に向けたフルーレチームとしての仕上がりはいかがですか

今回フルーレ陣が最高で森多のベスト16というのが正直あまり良い結果ではないなというのがあるのですが、あと2週間あるので、しっかり切り替えてリーグ戦を戦っていこうと思っています。

――リーグ戦の目標は

リーグ戦は去年の日本チャンピオンの川村選手が抜けてしまったので、正直優勝は難しいかもしれないですが、それでも可能性はゼロではないと思うので、1つずつ勝つことを目標に頑張りたいと思います。