男子フルーレ日本王者・ワセダに降臨

フェンシング

 日本一の称号をかけ、全国のフェンサーが集った全日本選手権(全日本)。その男子フルーレの決勝の舞台に、早大の川村京太(スポ4=東京・東亜学園)が上り詰めた。相手は昨年の全日本王者であり、東京五輪の日本代表メンバーにも選ばれるなど、国内外問わず活躍する永野雄大(NEXUS)。それでも、肘を狙ったローラインへの攻撃、そして相手の距離感を狂わすディフェンスで格上の相手を圧倒し、15―7で見事日本一の座を射止めた。試合後、「実感は少しずつわいてきたが、まだ信じられないくらい私にとっては名誉な結果」と手にした栄冠を振り返った川村。残りわずかとなった競技人生に、より弾みをつける結果となった。

日本一を決め吠える川村

「作戦がはまりすぎた」と、終始前年王者を圧倒した(左が川村)

 9月9日に行われた予選では、準決勝で東京五輪日本代表である敷根崇裕(NEXUS)を倒す大金星をあげた川村。決勝では、昨年度の全日本覇者であり東京五輪にも出場した永野と対戦した。

 試合後に川村が「120%の力を出すことができた」と語ったように、試合開始から主導権は川村のものに。守備が強みの相手に対して無理に攻めることなく、カウンターを中心に1-1から7ポイントを連続で手にする。相手の肘下を狙う作戦が「はまりすぎた」と、序盤から大きなリードを手にした川村だが、徐々に永野も対応できるように。流れが相手に傾きかけたように思われたが、川村は細かいフットワークで相手の「距離の歯車を壊」し、相手に無理をさせることで再度ペースを取り戻していく。最終的には永野を突き放し、15-7で優勝を決めた。優勝インタビューで川村自身も「まさか自分が日本一の舞台に立つことができるとは想像していなかった」と語るように、大学生フェンサーとしての快挙を成し遂げた。一方敗れた永野は、川村の強みであるカウンターになかなか対応することができず、「最初から苦しい展開になってしまった」と結果に悔しさをにじませた。

ハーフタイムにて、コーチとして付いていた藤澤将匡(スポ3=宮城・仙台城南)と言葉を交わす川村

 「東京五輪に出場した選手と、対等に戦って勝つことができたことはかなり自信になった」と話した川村。「大学の練習環境からでも日本一を目指せることを立証できた」と、終始充実感に満ち溢れていた新たな全日本王者は、次戦の全日本学生選手権で個人・団体戦ともに優勝を目指していく。

(記事・写真 前田悠輔、槌田花)