3日目を終えた関東学生選手権(関カレ)。2日目には男子サーブルと女子エペの個人戦、3日目には同種目の団体戦が行われた。男子サーブルはともに1年生である石井豪(スポ1=東京・東亜学園)と佐藤悠雅(人科1=福岡・西南学院)がそれぞれ14位、16位と奮闘。女子エペでは蓮井陽菜(スポ3=香川・高松北)が5位に入った。団体は男子サーブル、女子エペともに準々決勝で敗北し、ベスト4入りを逃した。
笑顔が絶えないベンチはまさに「早稲田らしい雰囲気」
☆男子サーブル
男子サーブルの個人戦には、早大から3人の1年生を含む5人が出場。今大会はその1年生が結果を残した。佐藤が「自分の憧れでもありライバルでもある」と語る石井は2回戦を15-2と圧倒し、14位。その佐藤は1回戦、2回戦と序盤はリードを許す展開となったが、「先の点を欲しがらずに着実に点を重ねていく意識で、目の前の一点一点に意識を置いてプレー」したと逆転で制し、16位となった。森多主将は2回戦で敗戦し27位。「練習通りできないのが改めて課題」だとし、集大成となる全日本選手権大会(インカレ)での雪辱を誓った。田中智也(商2=千葉・東葛飾)と密田創太(国教1=東京・早大学院)は決勝ラウンドで勝利を飾ることはできず、田中は34位、密田は46位に終わった。
思うようにプレーできなかった森多主将
団体戦には2回戦からの出場となった早大は、上智大を45-9で危なげなく下す。続く3回戦の相手は中央大。終始追いかける苦しい展開となり、流れを引き寄せることができないまま相手ペースで試合が進み、32-45と悔しい敗北を喫した。しかし、頼もしい新戦力を加えた男子サーブル陣は、インカレでは「優勝を目指せるメンバーだと思っている」と森多は言う。試合自体を楽しむ「早稲田らしい雰囲気」(森多)を取り戻し、サーブル陣ではないメンバーを含みながら3位と健闘した昨年を超える頂点を見据える。
個人戦、大逆転で2勝をあげた佐藤
佐藤の「憧れでありライバル」の石井
☆女子エペ
女子エペの個人戦には蓮井陽菜(スポ3=香川・高松北)と中村咲久耶(文構2=東京・富士見丘)が出場した。「優勝を目標に頑張っていた」という蓮井はシードのため本戦からの出場。初戦は予選を勝って上がってきた選手との対戦となり、「緊張もあったし、技が大きくなって単発になってしまった」(蓮井)と苦戦を強いられる。しかし、後半に本来の動きを取り戻し、初戦を突破した。次戦も順調に勝ち上がったが、続く準々決勝で敗退し、最終成績は5位に終わった。一方今春に入部しエペ剣を初めて握った中村は、予選を勝ち上がることは叶わなかった。
団体ベスト4は逃したものの、終始明るい声かけでチームを盛り上げた
団体戦には蓮井に加え、サーブルを専門とする黒田ほのか(スポ4=香川・三本松)とフルーレを専門とする森多舞(スポ2=山口・岩国工)の3人が出場した。初戦はエペが専門ではない「二人もすごく粘って頑張ってくれた」(蓮井)と早大ペースで試合を展開し、45-28で東北文化学園大に勝利。続く専修大戦は、唯一エペを専門とする蓮井が貯金を重ねることが求められたが、「相手も強い選手が揃っている中で点を取りに行くのが自分としても難しかった」(蓮井)と振り返るように、最終セットを残して10点差を離される苦しい展開に。それでも最後回りを務めた蓮井が諦めない姿勢を見せ連続ポイントを獲得し、6点差まで詰め寄り34-40で試合終了となった。劣勢においてもベンチには笑顔があふれ、互いに声を掛け合う様子が見られた女子エペ陣。インカレでも専門外の選手が入って戦うことが強いられるが、個人優勝を目指す蓮井を中心に一丸となって戦い抜く。
エペ団体戦でチームをけん引した蓮井
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
(記事 吉岡直哉、写真 吉岡直哉・槌田花)
コメント
男子サーブル【森多諒(社4=山口・柳井学園)、佐藤悠雅(人科1=福岡・西南学院)】
――今回の大会にはどのような課題や目標を設定して臨みましたか
森多 自分の今までやってきたことをしっかりと試合で出すということを目標にやっていました。試合の数が減った分、そこがうまくできず、良い時も悪い時も波がやっぱりあるので練習通りできないのが改めて課題だと思ったので、インカレにはそこを再調整して集大成として頑張りたいです。
佐藤 自分は1年生ということもあって、結果にはあまり満足できていないのですが、ベスト8という目標を掲げていたので悔しいです。練習通りの動きをしてプレーをするというイメージでやっていたのですが、やっぱり点を連続して取られたら気持ち的に焦ってしまって思うように体が動かなくなったので、そういう面でも練習からいろんな想定をしてインカレに向けて頑張りたいと思います。
――チームとして良かった点とうまくいかなかったなという点があれば教えてください
森多 総戦力が上がったというのは良かった点としてあります。悪かった点としては、団体戦で全員が良い時というのは本当に珍しいと思うのですが、そこをいかに全員で認識した上でしっかりアドバイスができるかというのは、普段団体戦をして、課題の練習をして流れを把握することはインカレまでに大事なことかなと思います。誰かが良い、誰かがダメではなく、誰かが悪くても誰かがフォローできるようにしたいなと思います。
――今日見つかった課題は何ですか
佐藤 チームとして普段一緒に練習している分、お互いの良い所と悪い所を分かっているので、そこをベンチから声かけたりだとかそういう面はとても良かったと思います。でも個人戦と団体戦で点の取り方が違うところもあるので、インカレに向けて団体戦の練習をもっとしてチーム全体として団体の力を上げていけたらいいなと思います。
森多 ありのままの自分を出すことが僕自身の課題です。僕がやっぱり引っ張っていかなきゃいけない立場であるのに対して、普段練習でしないようなことをしてしまったりだとか、正直僕のせいで団体がうまく回らなかったと思うのでそこはしっかりと自分で重く責任を受け止めて、インカレでは頼れる先輩でありたいなと思っています。
――森多主将は、チームの雰囲気やチーム状況はどのように見ていますか
森多 何でも言える仲ではあると思う反面、やはりもう少し盛り上げたり、勢い付けというのを、お互い声を出しあったりだとか。勝つことはすごく大事ですが、試合自体をもっと楽しくやったらもっとみんなリラックスして早稲田らしい雰囲気になると思うので、そこは心がけたいなと思います。
――佐藤選手は個人戦でリードを許してから大逆転で勝利を収めていましたが、追い込まれた時にどういうことを考えていましたか
佐藤 点差がついてしまったので焦りはしたんですけど、普段から(森多)諒先輩に冷静にいつも通りのプレーをしようと声をかけてもらっているので、まずはそこを意識して先の点を欲しがらずに着実に点を重ねていく意識で目の前の一点一点に意識を置いてプレーしました。
森多 成長したな。
――石井選手とは同期で種目も同じですが、お互いどのような存在ですか
佐藤 同じ歳で同じカテゴリー、U20でやっていて、 昔から(石井)豪がランキングとして自分より高いところにいて、自分の憧れでもありライバルでもあるので、切磋琢磨してお互い強くなっていけたらなと思います。
――普段から教え合うことも多いですか
佐藤 そうですね。自分のベンチに豪が入ったり、逆に豪のベンチに自分が入ったりして、アドバイスをしあっています。
――個人とチームそれぞれに対して、今後の意気込みをお願いします
森多 インカレは個人としては最後の全国大会なのでベスト4以上を目指したいなと思っています。団体戦としても去年はサーブル陣じゃない人が入って3位というすごく良い成績を出せたので、今回は優勝を目指せるメンバーだと思っているので、優勝を目指して頑張っていきます。
佐藤 初のインカレになるのですが、個人は今回ベスト8が叶わなかったので、今年のインカレではベスト8を目標にします。団体では諒先輩がおっしゃっていたように、去年の3位を超える優勝を目指して頑張りたいと思います。
女子エペ【蓮井陽菜(スポ3=香川・高松北)】
――今大会にはどのような目標を立てて臨みましたか
個人は、やはり優勝を目標に頑張っていました。とりあえずインカレにはつながる大会にはしたかったので、今回見えてきた課題を11月にあるインカレに向けて修正したり苦手な選手を振り返ったりしたいです。
――個人戦を振り返って感想はいかがですか
個人戦はシードで入って予選がなかったのですが、予選を勝って上がってきた選手と当たるので初戦の入りがすごく難しかったです。自分の中では緊張もあったし、技が大きくなって単発になってしまったりして結構接戦になる試合でした。その試合も後半になってようやく自分の動きができるようになって勝てて、それに乗ったような感じでそこからは自分の動きができたかなと感じます。
――団体戦でチームとして良かった点を教えてください
もう一人エペを専門とする選手がいたのですが、その選手が今回出られなくなってしまってフルーレの後輩とサーブルの先輩との3人で出ました。やはり自分がエペ陣は一人だし最後回りだしということで自分が(点を)取りにいくという役割があったのですが初戦はすごく良い感じで回せたし、良い流れで後半につなげられました。他の二人もすごく粘って頑張ってくれたかなと思います。 2試合目は相手も強い選手が揃っている中で点を取りに行くのが自分としても難しかったし、 その中でも二人がすごく粘ってくれて後半につながりました。最後は10点差ついてしまって追い上げることは難しかったのですが最後までチーム一丸となって団体戦ができたかなと思います。
――今日見つかった課題はありましたか
二人が粘って私が(点を)取るという役割なので私が失点を少なくして、なおかつ次の選手に良い流れを持って行かせられるような試合展開にしたいなと思います。
――大差がついた中で最終セットに連続ポイントがありましたが、どのような意識で臨まれていましたか
最後までつないできてくれた分があったので、最後まで諦めずに取りたいなとは思っていました。
――うまくいった感覚はありましたか
そうですね。攻めていく中でも相手の剣を殺して、シングルランプをとる技にこだわれたかなと思います。
――劣勢の中でも声を掛け合っていたりだとか笑顔が見られたりしましたが、チームで意識していますか
そうですね。やはり点を取られて帰ってきて暗い雰囲気だと全員の空気が下がってしまうので、(点を)取られたとしても「大丈夫、次があるから」という風に声をかけていました。ベンチにコーチとしてOGの方が入ってくださっていて、その方もアドバイスをくださったり励ましの言葉をくださったりして、お互いに声を掛け合って明るい雰囲気でやろうとは言っていました。
――プレー中にしゃがむ動作をされますが、その狙いは何ですか
相手が出てくるのに対して、背の高い相手なら剣が高めに来るので、しゃがむなどのフェイントを入れています。後半は焦ってきていろんな動きをしていたんですけど、狙いは相手が来るのに対してしゃがんで避けながら突くためです。
――今後の意気込みをお願いします
課題と、やってきたことはインカレに向けてそのままつなげていきます。動画も全部撮ったので、映像も見返しながら悪かった点と良かった点を分析して次の試合につなげたいと思います。メンタル面で緊張しすぎて、技が大きくなってしまったり単調にいってしまったりするので、点差が開いたり相手にリードを与えた場面であっても落ち着いて冷静に自分の動きができたらなと思います。
――インカレの具体的な順位の目標はありますか
個人はやはり優勝目指して。インカレも団体戦は(今大会と)同じメンバーかなと思うので、ベスト4を目指して頑張ります。