個人は駒場が2位入賞!団体は課題が残る結果に

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)は3日目。この日は2日目から行われていた男子サーブル、女子エペの個人戦と、団体戦が行われた。女子エペは駒場みなみ(スポ3=富山西)が2位、登尾早奈(スポ3=愛媛・三島)が4位の好成績。しかし、団体は準決勝で慶大に屈し、3位で幕を閉じた。男子サーブル個人は小山の7位入賞が最高の結果に。一方、団体は準決勝で敗北を喫するも、三位決定戦で勝利を挙げ3位となった。

★駒場2年連続の2位に(女子エペ個人)

 昨年準優勝と活躍を遂げた駒場は「優勝したい」と意気込んで関カレに挑んだ。駆け引きで中盤までにリードを作り、優位に試合を進める戦い方が奏功し、順当に勝ち上がっていく。準決勝は慎重な展開となるものの、徐々に流れをつかむと、そのまま接戦を制した。目標まであと1勝。決勝戦も互いに相手の出方をうかがう出だしに。拮抗(きっこう)したままファイナルセットに進む。だが「どうしたらいいかというプランが見えてこなかった」(駒場)と相手を崩しきれず、その間に連取を許してしまう。終盤で背負ったビハインドは重くのしかかり、栄冠にあと一歩届かなかった。悔しさをバネに、全日本学生選手権(インカレ)ではさらなる奮闘を見せたい。

果敢に攻める駒場(左)

 フルーレが専門の登尾は「楽しくやろう」と心掛けて臨んだことが好成績につながった。「思い通りの試合運びができた」(登尾)とエペでの戦いに順応、ベスト4入りを果たした。準決勝、三位決定戦では白星を挙げることができなかったものの、慣れないエペで大健闘。笑顔でつかんだベスト4だった。

★悔しい逆転負け…小山はベスト8で終わる(男子サーブル個人)

 まさかの結末だった。小山は3回戦まで安定したパフォーマンスを披露。隙を見せることなく準々決勝を迎える。その相手は学生でも有数の実力者である淺野裕暉(日大、3年)。手強い強敵だが、先に抜け出したのは小山だった。8-4と順調な滑り出しをみせると、セカンドセットも落ち着いたプレーでマッチポイントまでたどり着く。だがあと一点が遠い。気付けば相手の猛攻に押され、打開できないまま、まさかの逆転負け。実に7連取を許す後味の悪い敗北だった。

準々決勝での小山(左)

 「ごまかしながらやっていた」。試合後、小山は本来のプレーには程遠かったことを語った。その原因は「準備不足」(小山)。自分のフェンシングを取り戻すことができないまま大会を迎えた影響は大きく、ゲームの中で修正していくことができなかった。悔しさを経験に変えて、今後に生かしていきたい。

★またも一本勝負に泣く、今こそ正念場(女子エペ団体)

 個人戦のすぐ後に行われた団体戦。初戦となった3回戦は快勝を収め、続く準決勝で慶大との対戦に挑んだ。5月に行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)では圧倒しただけに負けられない試合。序盤から「ロースコアで回す」(村上夏希、スポ3=三重・津東)意識で、一進一退の攻防が繰り広げられた。だが「もう少しとれていれば」と駒場が振り返るように流れをつかみ切れず、わずかながらも慶大がリードした中で最後周りの駒場に。同時討ちで粘る相手に動じず、残り1秒というところで同点に持ち込み一本勝負に。だが、相手に押されながら最後は姿勢を低くした相手に突かれ、勝負あり。決勝進出の夢は途絶えられた。

三位決定戦では勝利し、安堵した様子を見せる女子エペ

 やはり今後の試合を戦い抜く中で鍵となるのは攻撃力。一点の重みが増す団体戦ではいかにチャンスをものにできるかが重要になる。女子エペ団体は昨年のインカレ以降優勝から遠ざかっている。今度こそ「チーム一丸となって団体優勝」(村上)を果たすことはできるか。苦難を乗り越えた先には、歓喜が待っているはずだ。

★課題残る3位入賞(男子サーブル団体)

 「優勝は絶対にできるメンバー」(森多諒、社1=山口・柳井)。自信を胸に関カレに挑んだ男子サーブルチーム。初戦となった慶大戦は相手の勢いに押される場面もあり接戦となるものの、最後は小山がしぶとく勝ちきり白星を収める。続く準決勝の相手は日大。序盤は追いかける展開も、4周り目の森多、6周り目の小山の活躍で逆転するなど、僅差で試合が動く。だが「点を取れる選手には取れるけど、取れない選手には取れない」(小山)こともあり再びビハインドを背負い、戦況を返すことはできず。悔しい敗北を喫した。その後に行われた中大との三位決定戦は「自信をもって戦えた」と振り返る森多の活躍もあり、またもや接戦に。しかし、最後は小山が落ち着いた攻撃で得点を重ね、薄氷の勝利を挙げることができた。

森多は要所で奮闘した

 緊迫の接戦を戦い抜き3位入賞を果たしたものの、選手の顔に満足はなかった。「どの選手が相手でもそれなりに取れるように」(小山)とチームとしての課題が明らかになっただけに、気を引き締める必要がある。インカレ、全日本選手権(全日本)と団体戦はこれからも続く。価値のある『3位入賞』にしたい。

(記事 小原央、写真 大島悠希、大貫潤太)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子サーブル個人

小山桂史(スポ3=東京・クラーク) 7位

1回戦:◯15-7 岸本大輝(早大)

2回戦:◯15-10 水野智之(慶大)

3回戦:◯15-6 谷拓海(専大)

準々決勝:●14-15 淺野裕暉(日大)

高木良輔主将(スポ4=埼玉・立教新座) 14位

1回戦:◯15-14 尾浦智也(青学大)

2回戦:◯15-9 吉川元人(日体大)

3回戦:●8-15 淺野裕暉(日大)

青木貴雅(スポ2=静岡・沼田西) 19位

1回戦:◯15-10 岩井昌太(拓大)

2回戦:●9-15 清水崇史(日大)

森多諒(社1=山口・柳井) 20位

1回戦:◯15-13 福山恭平(日体大)

2回戦:●11-15 谷下尚弥(日体大)

岸本大輝(社3=東京・早実)55位

1回戦:●7-15 小山桂史(早大)

▽男子サーブル団体

早大[高木良輔主将(スポ4=埼玉・立教新座)、小山桂史(スポ3=東京・クラーク)、青木貴雅(スポ2=静岡・沼田西)、森多諒(社1=山口・柳井)] 3位

準々決勝:◯45-43 慶大

準決勝:●43-45 日大

三位決定戦:◯45-43 中大

▽女子エペ個人

駒場みなみ(スポ3=富山西)2位

2回戦:◯15-6 成田絵美佳(東農大)

3回戦:◯15-11 中浦柚樹(日大)

準々決勝:◯15-9 山口美里(日体大)

準決勝:◯15-12 久末汐里(慶大)

決勝:●11-15 登坂梨乃(日大)

登尾早奈(スポ3=愛媛・三島) 4位

2回戦:◯15-10 市川万里子(慶大)

3回戦:◯不戦勝 吉松琳果(日大)

準々決勝:◯15-10 森本菜月(日女体大)

準決勝:●6-15 登坂梨乃(日大)

三位決定戦:●11-15 久末汐里(慶大)

中島美月(スポ2=群馬・沼田女)16位

1回戦:◯15-14 小佐井彩花(明大)

2回戦:◯15-8 竹中稚葉(日女体大)

3回戦:●9-15 小笠原彩乃(東北学院大)

村上夏希(スポ3=三重・津東)20位

2回戦:●13-14 山口美里(日体大)

澤浦美玖(スポ4=群馬・沼田女)21位

2回戦:●9-15 吉松琳果(日大)

影山野希花(政経1=東京・早実)24位

1回戦:◯14-13 中村遥香(東農大)

2回戦:●10-15 河瀬珠恵(日大)

▽女子エペ団体

早大[駒場みなみ(スポ3=富山西)、村上夏希(スポ3=三重・津東)、中島美月(スポ2=群馬・沼田女)、影山野希花(政経1=東京・早実)] 3位

準々決勝:◯45-29 学習院大

準決勝:●41-42 慶大

三位決定戦:◯45-40 日体大

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コメント

小山桂史(スポ3=東京・クラーク)

――個人戦を振り返っていただけますか

先週も含めて自分の思うような準備ができなかったところがあって。なのでこういう感じになるな、という自分のイメージで迎えることになってしまって。形だけみたいな感じになってしまったなかで試合を迎えました。今日は頭が回っていなかったというのもあったのですが、アップの時からふんわりしていた感じがありまして。今日の3回戦は勝ったのですが、準々決勝は負けてしまって。14点まで取っていたのですが、ごまかしみたいな感じでやっていたので、普段の自分ならこれとこれで取れているから、最後の一本は点を取られても次はこれで行こうというのがあったんですけど、そういうのがなかったので、14点から逆転されてしまったのかなと思います。

――今大会を通じて自分のフェンシングはできましたか

部活のことだったり、卒業後の進路のことを考えていたこともあって、頭の中で整理整頓できていなくて。そういった意味でも自分のフェンシングをごまかしていたところはありました。

――続いて団体戦についてお聞きします。試合前にチームとして意識していたことはありましたか

一人一人特徴が違うので、どういうタイミングで選手を出場させるか、どのタイミングで選手を変えるかということは考えていました。メンバー全員調子は上がっていたので、調子に関しては問題ないかなと思っていたので、あとはやるだけしかないとは思っていました。

――接戦となった慶大戦を振り返っていただけますか

慶大は勢いのあるチームなので、そこで相手の勢いをこちらの勢いでカバーするというよりかは、しっかり自分のフェンシングをやりつつも、団体戦は5本勝負なのでそれなりに勢いが必要だとは思っていたので、そこのバランスが難しかったかなと思います。一人一人苦戦した部分かなと思います。

――準決勝の日大戦で勝ちきれなかった要因は何だと考えていますか

日大にも上手い選手がいて、簡単に勝てないということが前提としてありました。個人的には1回り目、2回り目より3回り目で同じようなミスをしてしまったことが、自分としてはばからしいなと思うんですけど、チーム全体としては点を取れる選手には取れるんですけど、取れない選手には取れないところがあるので、そこをどの選手が相手でもそれなりに取れるようにしないと良いときと悪いときの差が出てしまうのかなと。団体戦ではそうなってしまうんですけど、そこが課題として浮き上がってきたかなと思います。

――続いて中大戦を振り返っていただけますか

中大は主力選手が2人抜けていたので、戦力としてはそこまでだったかなと思いました。勝って3位になったのは嬉しいんですけど、主力メンバーが出てきても対応できるように、チームの力を付けていかないといけないのかなと思います。

――最後に全日本学生選手権(インカレ)への意気込みをお願いします

個人、団体ともに優勝するだけだと思います。

駒場みなみ(スポ3=富山西)

――個人戦の準優勝という結果をどのように捉えていますか

一昨年は3位で去年は2位できていて、今年は優勝したい気持ちがあったので準優勝という結果は悔しいです。ですが、3年間を通して上の方に勝ち上がれたのは良かったかなと思います。

――決勝まで勝ち上がれた要因はどこにあるでしょう

一試合ごとに慎重に、無理して点を取りに行こうとしないで、自分の取れるときに点が取れたのは大きかったと思います。

――決勝は今回が初めてではなかったということですが、今回は決勝戦への対策は何かありましたか

決勝戦では相手が強いので、点差が開かないことが多いです。以前は「これをやったら点を取れる」というようなものがあったのですが、今は絶対的なものではなくなっています。とくに技に関しては、対策は練ってはいませんでした。

――決勝では相手にポイントを連取される場面がありました。このときの心境はいかがでしたか

焦って無理をしてはいけないとは思っていました。決勝での点の取り方はドゥブルで点を両者が重ねて、私が点をとっても、相手の攻撃に対して私が合わせるという形が多かったです。その状況で、どうしたらいいかというプランが見えてこなかったので、焦るというよりは迷っていた感じです。

――団体戦におけるご自身の活躍を振り返ってみていかがですか

1試合目はチームの流れが良くて、5点をとって次に回せたし、最後も5点を取り切って終えられたので良かったです。準決勝と三位決定戦では自分が取るべきところで点をとれていなくて、そこが結局、接戦になる原因となってしまいました。自分がもう少しとれていれば、と思うところもあるし、大事な場面で点を取れなかったです。

――全日本学生選手権(インカレ)に向けて意気込みを教えてください

今大会では反省点を結構見つけられたので、チームでそこは改善して、去年は団体戦では優勝できているので、連覇を目指したいです。個人戦では、昨年はベスト8には入れているので、自分のプレイをしてメダルを取れたらいいなと思います。

登尾早奈(スポ3=愛媛・三島)

――率直に4位という結果をどのように捉えていますか

エペが専門種目ではなくやってみようという軽い気持ちでやっていたので、思いの他上位に上がれたなと。

――フルーレが専門ではありますが、エペではどのように臨みましたか

エペしてる人からフルーレのような試合運びが苦手と聞いていたので、足をとりあえず動かして、剣でのやり取りをするように心掛けました。

――準決勝まで上がれた要因は

試合の間に相手の苦手なタイミングで攻撃する、相手の弱点を動きながら知ることができたので、準決勝までは思い通りの試合運びができました。

――勝ち上がっていく中で、試合中から多くの笑顔が見受けられましたが

プライドやプレッシャーもないので、楽しくやろうというのを自分の中で大切にしてやっていたら、楽しい試合ができて良かったです。

――準決勝と3位決定戦を振り返ってもらえますか

準決勝は去年も負けた強い相手だったのですが、相手のリーチの長さに負けないフェンシングをしようと試行錯誤したのですが、相手の力が何倍も(自分より)上で、完敗です。3位決定戦は、終わってみればもう少し頑張れたら勝てたというのがあるのですが、その面ではすごく悔しいです。

――最後にインカレに向けて目標をお願いします

エペもなのですが、フルーレが専門種目なので、フルーレでいい成績が残せるように頑張ります。

村上夏希(スポ3=三重・津東)

――チームとして意識していたことはありますか

どういう風に次の人につなげていくか、どこでどういう展開に持っていきたいかということはそれぞれ意識しながらやっていました。

――準決勝を振り返っていただけますか

リーグ戦(関東学生リーグ戦)では大差で勝っていた相手で、勝てるかなと正直思ってしまっていて。その中でロースコアで回すということは作戦の内ではあったんですけど、もう少し取れるべきところで、やるべきことをしていたら勝てていたのかなと思います。ただ結果は結果なので。

――ロ―スコアで回すことはあまり余裕がなかったということでしょうか

私たちのだれか一人が点を大きく取れたりだとか、相手が思いっきり取りにくるということがない中で、一点一点の積み重ねをつなげていくという意識だったので、余裕がなかったということではなくて、点差をもう少しつけていたら楽に勝てたのかなと思います。

――全日本学生王座選手権(王座)では攻撃力が課題と話されていたと思いますが、今日はいかがでしたか

まだまだ課題を克服したとはいえないなと思っていて。それこそ慶大戦も守ってばかりいても勝てない、点差が欲しい時に取れないということがあったので、まだまだ自分たちの課題だと思います。

――関東学生選手権(関カレ)を振り返っていただけますか

個人はすぐ負けてしまって、それも攻撃力とか例えば勝負強さとか。やればできるのに、それを出せずに終わってしまうというのは、個人もそうですし団体でもあったので、持っている力を試合で出すということが、個人でも団体でも反省点であり改善点だと思いました。

――最後に全日本学生選手権(インカレ)への意気込みをお願いします。

インカレも簡単には勝ちあがれないとは思いますけど、絶対に勝てない相手がいるわけでもないと思っているので、個人ももちろんですけど、チーム一丸となって団体優勝できたらと思います。

森多諒(社1=山口・柳井)

――団体3位という結果をどのようにとらえていますか

優勝は絶対にできるメンバーなので、嬉しいですがやっぱり心残りはある試合結果でした。

――今日の試合で意識していたことはありますか

普段通りにやることはお互いに声を掛け合っていました。また、相手の特徴をつかんで戦うことを心掛けていました。

――法大戦、日大戦ではチームスコアがビハインドの状況でご自身が戦うことになりました。その点、チームスコアを意識した部分はありましたか

そこはあまり意識していなくて、点を取れるところで取るという一点に集中してやっていました。

――日大戦で勝ち切れた要因はなんでしょうか

とりあえず練習通り調整してきて、先輩に「ここで勝負しろ」と言われたところで自信をもって戦えたところですかね。

――全日本学生選手権(インカレ)に向けて意気込みを語っていただけますか

悔しい思いをしていますし、だいたいの強豪校は決まっているのでそこは対策をして自信をもってクオリティーを上げていけるような練習をしていければな、と思います。