男子エペ団体、アジアの頂点に届かず

フェンシング

  白熱するアジア選手権は最終日を迎えた。この日行われたのは男子エペ団体。早大からは個人に引き続き加納虹輝(スポ4=山口・岩国工)がメンバー入りを果たした。2回戦のニュージーランド、準々決勝のベトナムを立て続けに破り、中国との対決に。一気に突破したいところだったが、力とリーチで勝る相手に攻略の糸口を見いだせない。終盤の追い上げも実らず、敗戦を喫した。その後の3位決定戦ではカザフスタンと対戦。序盤に流れをつかむと、そのままの勢いで勝利を飾る。メダルを獲得し上位入賞こそ果たしたものの、アジアの頂点に立つことはできなかった。

★日の丸を背負う存在に

 日本代表の最後周り。ある時は試合を締め、またある時はチームの命運をその一身に託す重責を、今シーズンから加納は務めあげている。メンバー一人一人に実力がある日本男子エペ。充実した戦力は、相手や選手の調子に応じてメンバーを変えることができる強みにつながっている。今大会でも流動的にメンバーを入れかえたが、加納の最後周りの役目は変わることはなかった。加納の力が発揮されたのが、準々決勝のベトナム戦。1巡目、5巡目に登場した加納は時間を名一杯使って、リードを守るプレーを見せる。他のメンバーの活躍もあり、最後の加納に回った時には12点と大量リード。しかし、引かずに攻撃をしてくる相手に対応できず、4連続得点と捲られてしまう。それでも、加納は落ち着いて修正し、それ以上の反撃を許さず。準々決勝を突破した。加納の存在が、チームに安定感をもたらしている。

加納(右)はチームの重要なピースだ

★アジアの頂点は遠く

 準決勝での対戦となったのは中国。世界ランキングは日本に次ぐ9位で、混戦が予想された。体格で勝る相手を翻弄(ほんろう)していきたいところで、2巡目の加納。同時討ちもあり、思うようにアタックが決まらない。すると続く山田優(自衛隊)、見延和靖(NEXUS)のところで大きく差を広げられてしまう。苦しい局面で再び加納に出番が回るも、点差は縮まらず、スコアは21-30と劣勢のまま。しかし、ここから日本は粘りを見せた。加納の後を継いだのは山田。試合を通じて徐々に調子を上げてきたアジアチャンピオンは、このセットで5連続得点を挙げる活躍。5点差で最後周りの加納に決着は委ねられた。相手にマッチポイントを与えてしまうが、そこから自分の突きを決めていき、じわじわと相手に迫っていく。しかし反撃もここまで。痛い敗戦を喫し、決勝のピストに上がることはできなかった。

アタックを決める加納(左)

 序盤の失点が最後まで響く形となってしまった中国戦。それでも終盤には粘りを見せ、勝利への姿勢は貫いた。一方、力のあるチームであることに変わりはないが、今回の敗戦でライバルに水を空けられてしまったことも事実だ。団体での五輪出場のチャンスは徐々に少なくなってきている。ここからは世界選手権といった世界大会で結果を残していかなければならず、より険しい戦いになるだろう。それでも選手は前を向いている。「チーム一丸となって」(加納)、五輪の切符をつかみ取りたい。

(記事、写真 小原央)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子エペ

日本[加納虹輝(スポ4=山口・岩国工)、見延和靖(NEXUS)、宇山賢(三菱重工)、山田優(自衛隊)] 3位

2回戦:◯45-23 ニュージーランド

準々決勝:◯45-34 ベトナム

準決勝:●41―45 中国

3位決定戦:◯45-23 ウズベキスタン

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コメント

加納虹輝(スポ4=山口・岩国工)

試合後囲み取材より抜粋

――3位という結果について一言お願いします

非常に悔しい結果になってしまいましたが、オリンピックへのチャンスはありますし、このあと7月に世界選手権が控えているので、そこに向けてチーム一丸となって頑張っていこうと思います

――世界選手権に向けての意気込みをお願いします

これから世界と戦うにあたって、これまで以上に厳しい戦いになると思うんですけど、チームで支えあって、金メダルを取りにいきたいと思います