男子フルーレ団体、奮闘しベスト8!

フェンシング

 全日本選手権(全日本)団体戦2日目は、男子フルーレ団体、女子サーブル団体の試合が行われた。早大からは、男子フルーレ団体が出場。今大会は、ケガから復帰した竹田陸人(社4=神奈川・法政二)を加えての戦いとなった。2回戦で和歌山クラブを撃破し、準々決勝に進出。準々決勝では、中盤に松山恭助(スポ4=東京・東亜学園)の活躍で逆転に成功するものの、その後再び逆転を許し白星を挙げることはできず。今シーズン最後の大会をベスト8の成績で締めくくった。

 初戦を危なげなく通過し、続く2回戦では、一昨年の全日本で敗北を喫している強豪・和歌山クラブと対戦した。第2、3セットでは、失点を許さず、15点を奪取し好調な出だしとなる。しかし中盤、相手の猛追が中埜匡貴(創理3=東京・早大学院)を苦しめ、9連取を許してしまう。ベンチからは、「中埜、大丈夫だよ」(松山)と、励ます声が飛び交った。応援も後押しし、中埜は執念でリードを守り切り次の松山につないだ。エース松山は圧倒的な強さで5連取し、点差を再び広げることに成功。そして、最後まで、相手にリードを許さず勝利をつかんだ。

2回戦でガッツポーズを決める松山

 「強いクラブなので、そこに勝って勢い付くかな」(松山)と、このまま良い流れを保ち、準々決勝も突破したい早大。だが、ベスト4のカベを破ることはたやすくなかった。序盤から、試合の主導権を相手に握られてしまう。点差も徐々に広がっていき、一時は10点の大差をつけられた。たが、第6セットで松山が「自分が使う技も全て絞って、なおかつ自分が失点してはいけないところを肝に命じてやっていた」(松山)と、圧巻な攻めを見せ、着実に得点を積み重ねた。そして、ジャンプして背中を突く技がきれいに決まり、ついに同点に追い付く。しかし、相手も粘りを見せ、このセットを早大リードの状態で終えることはできなかった。残り3セットで早大は巻き返しを図るがかなわず。悔しくも、準々決勝敗退となった。

準々決勝での竹田

 「結果としてはメダルを取りたかったんですけど、5位という結果は良かったのではないかなと思います」(松山)と振り返る松山の表情はすがすがしかった。松山は今大会で、エースとして駆け抜けてきた早大フェンシング部から引退となる。松山の背中を見てきた早大男子フルーレ陣は、来シーズンに向けてここから新たな一歩を踏み出す。

(記事、写真 本野日向子)

 ※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

 ※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

結果

▽男子フルーレ
早大[小野真英主将(スポ4=埼玉栄)、竹田陸人(社4=神奈川・法政二)、松山恭助(スポ4=東京・東亜学園)、中埜匡貴(創理3=東京・早大学院)、] ベスト8
 1回戦:○45−23鹿児島南高
 2回戦:◯45−34和歌山クラブ
 準々決勝:●38−45中大
 

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コメント

松山恭助(スポ4=東京・東亜学園)

――ベスト8となりましたが今のお気持ちは

最後なので、全力で楽しくやろうということを心掛けて、きょうはやっていました。結果としてはメダルを取りたかったんですけど、5位という結果は良かったのではないかなと思います。

――今日は楽しく試合をすることができましたか

そうですね。本当に心の底から楽しんでいたわけではないんですけど、単純に勝ちたい勝ちたいという思いを出しすぎるとそれが空回りして、うまくいかないことがあるので。リラックスという意味での楽しく、そして勝ちたい気持ちもあるので、その中で勝ちたいという気持ちを出して戦おうとしました。

――松山選手自身の調子は良かったですか

良かったと思います。一つ一つ試合に集中してやれました。団体戦とはいえ戦うのは個人になりますし、自分が点数を取ったり失点しなかったりとかそういうところがチームに一番影響があるところなので、きょうはみんなのアドバイスにも注意しつつ、自分のプレーに集中してやれたかなと思います。

――2回戦目で和歌山クラブに勝利した時に、松山選手にうれしそうな表情が見られましたが、どういった心境でしたか

一昨年の全日本団体で負けていたので、メンバーが変わっているんですけど、リベンジできて良かったという思いと、強いクラブなので、そこに勝って勢い付くかなと思うところがあって。それで素直にうれしさが出ました。

――準々決勝では、松山さんの1巡目の番で、攻撃がうまく点につながっていませんでした。振り返っていかがですか

なんとなく自信が持てなかったのかどうなのか分からないんですけど、うまくいかなかったのは確かで。もう少し前に行けばチャンスがあったかなと思います。1巡目失敗に終わったんですけど、それをうまく次にリカバリーできたので、そっちの喜びの方が大きいです。

――2巡目では、10点差をひっくり返ましたが振り返っていかがですか

自分の中で失点しないことと、自分が失点してしまうところと得点が取れる場面を明確化していたので、自分が使う技も全て絞って、なおかつ自分が失点してはいけないところを肝に命じてやっていました。そういうようにうまくやれば結果はついてくると思っていたので、あまり10点差というのは大きくはなかったです。

――同点に追い付いた場面では、相手の背中を突く攻撃がうまく決まりました。この攻撃は松山選手の得意技なのですか

テレビとかでそういう風になってしまっていて、実際には確かに得意技かもしれないんですけど、その瞬間で一番チャンスがある技を僕は繰り出すようにしています。それがたまたまあの派手な技だったというだけで、決してあの技が欲しくて戦っていたわけではないです。体が自然とチャンスだと思ってやりました。うまく決まりましたね。

――最終的に、準々決勝は負けてしまいましたが、敗因は

ターニングポイントだなと思うところが2つあって、1つは自分の2回り目の29—27の時、自分が逆転してそこから逆転されてしまった。そこで僕がそのままの流れで、30—27でやっていれば、もしかしたら勝てたかもしれないですし、あとは8回り目の竹田のところも、大事だったかなと思うところがあって。色々振り返ると、敗因はいっぱいあると思います。自分は本当のベストを出せなかったという部分の方が悔しくて。もし自分のベストを出して、悔いがないような戦い方をしていたら、こういう結果になってもしょうがないなとなったかもしれないんですけど、自分の中であそこでこうしてれば良かったなというたらればもあるので、それは残念ですけど修正して自分の中で次につなげたいです。

――きょう良かった点としては、先ほどの試合を楽しめたという点と他に何かありますか

僕の中で勝ちたいという思いをすごく持って臨んだ大会でした。その勝ちたいという気持ちって、最近簡単なようで難しくて、中途半端な気持ちで試合をやっても、勝つこと自体難しいです。実際全日本個人の時も、自分の中で勝ちたいけど、なんとなくな大会だったので、そういう気持ちで勝てる世界じゃないというのもありますし、勝負の世界は厳しいし、勝ちたいという気持ちは改めて大事だなと思っていて。きょうはそれがしっかり出せたのかなと思います。

――今年の公式戦は今大会で終了しましたが、今年は松山選手にとってどのような1年でしたか

高校までは順風満帆に欲しいタイトルを欲しいがままに取れていたんですけど、大学に入ってからは、世界のカベを感じました。特に今年と昨年は、世界のカベをものすごく感じた2年間で。この前の全日本個人でも負けてはいけない相手に負けてしまって、悔いが残る1年になってしまったんですけど、最低限の結果は出せたかなと思います。失敗の1年ではなく、上り調子の1年だったかなと思います。

――今後はどのようなかたちでフェンシングを続けていく予定ですか

東京オリンピックというのを目指してやっているので、これからはより一層そっちの方に集中します。僕は休学をしていて、来年復学するので大学生として1年間はいるんですけど、ワセダではなく他の練習場で練習して、生活もよりオリンピックに向けた方にシフトしていこうと思っています。あまりやることは変わらないと思うんですけど、とにかくもっともっと強くなりたいです。この大学での4年間はとても幸せな4年間で、良いチームに恵まれましたし、かけがえのない4年間でした。この4年間はこれからのフェンシング人生のすごく大きな力になると思っているので、陰ながらワセダのことは応援して、自分もしっかり頑張っていきます。

――部の試合にはもう出場しないということですか

そうですね。寂しいけど。

――後輩たちへのメッセージをお願いします

みんなに言いたいことは、それぞれのレベルがある中で、それぞれみんなの中でしっかり目標を掲げて、一生懸命練習してやれば結果はついてくると思うし、誰も見ていないところでこそ、コツコツやるべきだと思います。また、毎日1日1日を大切にやってほしいですね。フェンシングだけではなくて、いろいろな人と関わりを持って、大きな器を持ってほしいです。