初日は、男子エペ、女子フルーレが3位入賞!

フェンシング

 3日間にわたって茨城で行われる全日本選手権(全日本)団体戦が幕を開けた。初日に行われた試合は、男子エペ団体と女子フルーレ団体。男女共に順調に勝ち進み準決勝に駒を進めたが、準決勝突破はかなわず3位決定戦に回ることに。しかし3位決定戦では見事勝利を収め、男女共に3位入賞を果たした。

★王者・自衛隊体育学校に奮闘(男子エペ団体)

 今年の全日本個人戦で3位に輝いた加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)と安雅人(スポ3=茨城・水戸一)、ベスト8の増田陽人(商1=岡山大安寺中教校)、ベスト16の小野真英主将(スポ4=埼玉栄)のベストメンバーで挑んだ今大会。難なく初戦と準々決勝を通過し、準決勝を迎えた。対戦相手は、昨年の全日本団体戦の優勝チームである自衛隊体育学校。第1セットで増田が4−4の同点で試合を終え、格上相手に幸先の良いスタートを切る。続く加納、安も相手に食らい付き、同点で次につないだ。第4セットで増田が好プレーを見せ、2点のリードを作り出す。すると続く安も単独得点を重ね、リードを6点に広げる。早大ベンチからは歓声が湧いた。このまま勢に乗りたい早大。しかし、相手も黙ってはいなかった。王者の意地を見せ、ジリジリと点差を縮めてきた。そしてついに第7セットで、安が相手の猛追を受ける。一気に相手のペースに飲み込まれた。同時突きを含む10得点を相手に献上してしまう。続く増田はノーコンバッティビティとなり、得点は動かず。そして4点ビハインドの状態で最終セットを迎えた。加納は粘りを見せ攻め続けたものの、なかなか点差を縮めることができない。最終的に、39−45で敗北を喫した。その後に行われた3位決定戦。序盤からリードするが、大きく点差をつけることはできなかった。両者拮抗(きっこう)した状態が続き、勝負の行方は最終セットへ。リードはたったの1点しかない。しかし、「追い付かれるだろうと思っていましたし、そのまま逃げ切れると思っていなかったので特に焦りはなかったです」(加納)と、加納は落ち着いた試合運びをした。時間内に決着はつかず、延長戦にもつれ込んだ。全員が加納を見守る中、延長戦がスタート。すると、開始直後光ったランプは、早大側。加納の剣が相手を突き、延長戦開始直後に見事勝利をつかみ取った。

準決勝で大健闘した安

 加納は、「準決勝は悔しい結果になってしまったんですけど、真英(小野真英)先輩はこれで終わりなので、最後に勝ってメダルももらえて良かったと思います」と前向きに振り返った。準決勝で敗れはしたものの王者相手に大健闘し、そして3位決定戦でしっかり勝ち星を上げることができた早大。来シーズンに向けて、さらなる飛躍が期待できる試合内容で今シーズンを締めくくった。

★ヤマ場を超えられず、悔しさ残る3位(女子フルーレ団体)

 1回戦、2回戦は相手を圧倒し、白星を挙げた早大。続く準々決勝でもそれぞれが実力を発揮し、終始早大ペースで試合が進む。最終セットで、溝口礼菜(スポ2=千葉・柏陵)が相手の反撃を受けるものの、最終的には45−31で勝利を収めた。ヤマ場となったのは次の準決勝。いつもは最後回りを務める溝口を早回りに変更して試合に挑んだ。作戦通りに試合が進み、溝口が第7セットを5点のリードで終える。残り2セットをこのまま逃げ切りたい早大。だが、ここから相手の怒涛(どとう)の攻撃に苦しめられる。相手が一方的に点数を奪う展開になり、早大は立て直すことができなかった。第8セットで10点を許し、大差をつけられることとなる。続く最終セットで狩野愛巳(スポ4=宮城・仙台三)も、「最後予想していた状況と全く逆の状態で回ってきたので、そこに対応しきれなかった」(狩野)と振り返ったように、1点も得点を挙げることができなかった。結果的に、10点差をつけられての敗北となった。そして続く3位決定戦では、第1セットで狩野が2点ビハインドで試合を終える。しかし、狩野は「最後自分がやるべきこととして、ちゃんとやるべきことはやってから終わらないといけない」と最上級生としての意地を見せた。第4セットで7点あった点差を2点に縮め、流れが早大に傾き出す。続く登尾早奈(スポ2=愛媛・三島)が、逆転を許してしまうものの、第6セットで溝口が、立て直し4点のリードに。残り3セットでさらに相手を突き放し、45—36で勝利となった。

準決勝終了後の選手達

 3位という結果について、狩野は「かなり悔しいです」と悔しさをあらわにした。早大女子フルーレ陣の個人個人のレベルの高さを見ると、まだまだ上を目指せるだろう。狩野は後輩達に向けて、「来年妹が入るので、新たにそのチームで絶対に優勝してほしいなと思います」(狩野)と優勝の思いを次の世代に託した。来シーズンは現在の2年生が主体となっていくチームとなり、どう成長していくのか非常に楽しみである。

(記事、写真 本野日向子)

 ※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

 ※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

 ※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

結果

▽男子エペ
早大[小野真英主将(スポ4=埼玉栄)、加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)、安雅人(スポ3=茨城・水戸一)、増田陽人(商1=岡山大安寺中教校)] 3位
 2回戦:○45−29 MFC
 準々決勝:○45−28専大
 準決勝:●39−45自衛隊体育学校
 3位決定戦:◯44−43法大

▽女子フルーレ
早大[狩野愛巳(スポ4=宮城・仙台三)、遠藤里菜(スポ2=群馬・高崎商大付)、登尾早奈(スポ2=愛媛・三島)、溝口礼菜(スポ2=千葉・柏陵)] 3位
 1回戦:○45−15鹿児島南高
 2回戦:◯45−25かしまモア
 準々決勝:◯45-31乙訓高
 準決勝:●35−45警視庁
 3位決定戦:◯45−36法大

コメント

狩野愛巳(スポ4=宮城・仙台三)

――3位となりましたが今のお気持ちは

かなり悔しいです。

――今大会の目標は、やはり優勝でしたか

そうですね。優勝しかないなと思っていました。

――きょうの狩野選手自身の調子はいかがでしたか

ここの試合に合わせてきていたので、調子はそれなりには良かったです。ずっとケガをしていて出られなくて、先週くらいまで手首が結構痛くてひどくて。リハビリ方法変え出してやり始めてから、ちょっと調子が良くなって、ここ最近は調子が結構上がってきていました。そういうのもあって、優勝も狙えるかなという思いもあり、すごく残念です。

――準決勝では、終盤までは接戦でしたが、第8、9セット目は、相手が連取する形となって敗退となりました。敗因としては、個人としてチームとして何が挙げられますか

チームとしては、第7セット目までは作戦通りで。8セット目も相性を合わせて、あえて変えていたので、全体の通しとしての作戦は全然悪くなかったと思います。

――どういった作戦だったのでしょうか

7セット目で、溝口が向こうの3番手から点を取って、リードした状態になること。遠藤里菜(スポ2=群馬・高崎商大付)と相手の選手は全日本で当たって遠藤が勝っているんですよ。なので相手はガンガン来るだろうということで、そこで防ぎながらトントンくらいでも、プラス2か3くらいで回してくれたら、いいよという感じでした。最後相手が攻める状態であれば、勝率的には高くなるから、それでいこうという話だったんですけど。遠藤の調子もあったと思うし、しょうがないことかなと思います。チーム的には、みんなベストは尽くしたし、できることはやって最終的に蓋を開けて見たら大差で負けてしまったんですけど、今の実力の勢力図が現れたのだと思います。個人の反省としては、序盤の3番手のところで、どうしても取らなければいけないし、取られてはいけないという状況で、取られてしまったのと、最後予想していた状況と全く逆の状態で回ってきたので、そこに対応しきれなかったです。そういうイメージが全くできていなかったので、何回も練習ではやっている相手なのですが、自分が守って取るというイメージがとても強かったので、そこでやっぱりうまく整理できなかったのが敗因かなと思います。

――3位決定戦では、狩野選手の2巡目から、逆転に成功し早大に良い流れをもたらしましたが、振り返っていかがですか

正直終わっちゃったという感じで、あまり気持ちが(3位決定戦に)入らなかったんですけど、最初の試合で私が負けてしまって。団体戦なので、かなり雰囲気とか流れとかがある中で、4年生として、1試合目でそういう風にしてしまったのではものすごく責任を感じました。自分でなんとかしなければという思いもあったし、最後自分がやるべきこととして、ちゃんとやるべきことはやってから終わらないといけないと思って。気合いを入れ直して、やって結果的にあのようになって良かったです。

――今年はケガから復帰しましたが、どのような1年間でしたか

ことしはケガにも苦しんだし、卒論や結構色々なことがあったりして、フェンシングもそんなにうまくいかなかったし、大学生活もあまりうまくいかなかったです。

――卒論がですか

そうですね。あまり良い1年ではなかったなというのもあって、調子がいいなと思っている時に優勝したいし、優勝を狙っていこうと思った試合は今日が初めてだったので、とにかく手首の様子を見て徐々に調子を上げていけばいいと思っていました。今年は勝負してもいなかったので、残念だったなと思うんですけど、良い経験をしたなと思うし、ここを乗り越えたら人間的にも、フェンシングも成長できるんじゃないかなと思います。前向きに捉えたいなと思っています。

――卒業後はどういったかたちでフェンシングを続けますか

社員として所属しながら、基本的にはフェンシングをして、東京オリンピックを目指すという形です。

――後輩の方々にメッセージをお願いします

来年妹が入るので、新たにそのチームで絶対に優勝してほしいなと思いますね。

加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)

――今のお気持ちは

準決勝は悔しい結果になってしまったんですけど、真英(小野真英)先輩はこれで終わりなので、最後に勝ってメダルももらえて良かったと思います。

――加納選手自身の調子は良かったですか

トータルで見るとあまり良くはなかったです。

――準決勝を迎えるに当たって何か作戦などはありましたか

とりあえず一人一人ガチンコ勝負で、逃げずにやっていこうという感じでした。

――準決勝敗退の原因として、個人として、チームとしてそれぞれ何が挙げられますか

個人としては、リードをした状態で、さらに追い討ちをかけていこうとしていたところで、失敗してしまったところがミスであったと思います。チームとしては、完全に実力で負けていたと思います。

――3位決定戦には、どのような気持ちで臨みましたか

そこはちゃんと気持ちを切り替えて、4位だとメダルも賞状もないので、最後勝って終わろうと思っていました。

――3位決定戦の最終セットでは、追い付かれる場面がありましたが、焦りなどはありましたか

一本の差だったので、追い付かれるだろうと思っていましたし、そのまま逃げ切れると思っていなかったので特に焦りはなかったです。

――最後、一本勝負となり見事制しましたが振り返っていかがですか

特に何も考えていなかったんですけど、とっさに体が動いたという感じです。

――今年は、アジア大会でも良い成績を残しましたがどのような1年でしたか

トータルで見て昨年よりは成長できたのかなと。でも、まだまだ課題は残りますし、技術面でもメンタル面でもまだ練習が足りていないと思っています。

――来年はどのような一年にしたいですか

リーグ戦(関東学生リーグ戦)、関カレ(関東学生選手権)、インカレ(全日本学生選手権)は、オリンピックシーズンが始まってしまうので、出られるか分からないんですけど、世界ランキングで一桁に入ることや、オリンピック出場権を獲得できる1年にしたいです。

――出場権獲得は来年決まるのですか

正確には再来年の3月までに決まります。なので、来年の1年間がすごく重要になってくると思っています。